●4.自動車よもやま話

2009年5月21日 (木)

■3代目新型プリウス発売開始。’孤高’から’フツウ’への転換を象徴する215/45R17タイヤ。

満を持して3代目プリウスの登場である。

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■ぱっと見て、プリウスと分かるたたずまい。それでいてまったく古さを感じさせない。

小憎らしいほどにブランドが確立しているからこその芸当であろう。

■ハイブリッドメカニズムの思想としては前型のTHSⅡから大きな変化は無いが、ユニットの小型化が図られて技術がそこに留まっていないことを静かに主張している。

メカニズム全体でいえば、太陽電池による夏場の室内温度上昇防止機構なんてキャッチーなところに目が行ってしまうのだけれども、やはりなにより出力の向上だ。

■エンジン排気量が1.5Lから1.8LにグレードUPして、最大トルクは110N・mから142N・mと3割ちかく向上、モーターの頑張り代に余裕を持たせている。

一見、それじゃ燃費が悪かろうという風に見えるけれども、重要なのはバランスなのだ。

電池の能力(出力・容量)に限界がある限り、モーターの出番が多いということは結局は充電しなければならない、つまりエンジンを回さねばならなくなるということで、ハイブリッド車は生まれながらにしてそういう矛盾を抱えているのである。もちろん、もの凄く高いレベルでの矛盾なのだが。

その結果として、モード燃費を前型の35.5km/lから実に7%も押し上げて(これは驚異的!)、38.0km/lにまで向上させることが出来たということだ。

■車両寸法では全長の+15mmが効いていそうだ。

ホイールベースは2700mmで変わらないから乗員配置は変わらない。(たぶん・・・)

Cd値は、後席に乗る人の頭の上のスペースを取りたい車両設計と、後方に向けてルーフを下げて行きたい空力設計のせめぎ合いなのだが、全長が伸びればその分’せめぎ合い代’が楽になって、結果、前型で気になった後席のアタマまわりのスペースを確保できたということだろう。

■その一方で全幅が20mmも拡がってる。

これは何かというとタイヤサイズのUPである。

今回の新型プリウスにおけるトヨタの意志が強く現れている、そこが重要なポイントなのじゃないかと思えるのだ。

■前型も2種類のタイヤを履いていて、標準タイヤが185/65R15、上級が195/55R16と1インチUP。

10・15モード燃費は、それぞれ35.5km/lと33.0km/l。

中途半端っちゃー、中途半端だけれども、うーんゴメンナサイ、16インチ履きたかったんデス、という可愛らしさがある。

■ところが今回の上級グレードは215/45R17!

扁平率45だってよ。転がり抵抗が無茶苦茶高そうじゃん!

燃費は、標準仕様(前型と同じ185/65R15)の38.5km/lに対して35.5km/lと前型の標準仕様と同じ。

きっとタイヤ屋さんを中心にして、汗をだらだらかきながら必死に頑張ったんだろう。お察しします。

■もともとプリウスって、儲からないけど歯を食いしばって新しいクルマを世に問うていくのだ!という強い’使命感’を感じるクルマであって、それが共感を呼び、Mクラスで一番台数が売れるクルマにまでなったのだ(※)。

そこに17インチタイヤを履かせて燃費を落とそうなんてのは今までの思想からすれば愚の骨頂。ではないだろうか。

※2009年3月登録実績 :プリウス6,000台、プレミオ3,500台、アリオン2,600台、シルフィ1,400台、インサイト4,100台。

■いや、今回のトヨタのその態度を批判しているのではない。

むしろ、感慨深いのである。

要は、フツウのプロジェクトのように、造形だとか営業だとかの声をいれて仕様を決めていく。

孤高の存在であったプリウスも’一般化’する時期にきたのだという感慨である。

■それでもインサイトの燃費30.0km/l(175/65R15)に対して+5.5km/lの余裕があるのだから、相変わらず敵はいない。

そういう意味では、未だ孤高の存在であるのだけれども、今回のプラットフォームはLクラスのものを使っているようで、トヨタの中で次々とハイブリッド軍団が出てきそうな予感がする(Mクラスではやっぱり商売は難しいということだろう)。

 
5年後くらいにはハイブリッド車が当たり前になっている、

 
きっと、そういうトヨタのヴィジョンがあって、今回の17インチがその象徴に思えてならないのである。

                             <2009.05.21 記>

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2009年4月 2日 (木)

■白く塗れ!

地球温暖化防止のためにカリフォルニア州が黒塗りの車の販売を禁止する方向で法制化の準備を進めていることが28日までに明らかとなった。
<Technobahn 2009.03.30>

■さすがカルフォルニア、そう来ましたか。

知らなかったのだけれど、カルフォルニア州では既に建築物の屋根などに対して太陽光反射率の高い寒色系の色に塗ることを義務付けた条例が制定されているそうな。

■確かにカルフォルニアの日差しは強かろうからクルマの車体が吸収するエネルギーは多いのだろうし、反射した太陽エネルギーは宇宙空間へと澄み切った青空を突き抜けていくのだろう。

シンプルな収支計算ですよ、なんてカルフォルニアの官僚さんは言うのだろうけれど、うーむ、どうも話が単純すぎて腑に落ちないのである。

■大気の無い月世界の話ならまだ分かるのだけれど、地面と宇宙空間の間に広がる大気圏ってのは熱的には緩衝材の役割をもっているハズで、それを考えたとき、自動車の色を黒からブルーグレーに塗り替えたところで、一体どれくらい地球の気温上昇を抑制することが出来るというのだろうか。

せっかく苦労して地面までお越しいただいた太陽エネルギーさんにそのまま空にお帰りいただくというのはどうにも勿体ない話で、そこでロスするエネルギーはどうなるかと言えば何のことは無い、実は地球の大気をあたためているなんてわけの分からないことになりかねない。

■そんなことするくらいなら、例えば、建築物の屋上については太陽電池が設置されていない領域の80%を植物で覆うこと。

そんでもって自動車の屋根には芝生を植えること、とかにすればいいのに(笑)。

■いや、冗談抜きで、植物の光合成って太陽エネルギーを使って二酸化炭素と水から酸素と炭素化合物(植物自身の体)を作る仕組みなんだから素直にそれを使えばいいじゃん、ということだ。

地球温暖化対策として単にCO2を減らすだけでなく、コンクリートジャングルが生むヒートアイランド現象も抑えることができるいいアイデアだと思うのだが如何なものでしょう、アーノルド・シュワルツェネッガー州知事殿!!

                           <2009.04.02 記>

黒い車は販売禁止、カリフォルニア州が地球温暖化対策で新方針
<Technobahn 2009.03.30>
 

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2009年2月 5日 (木)

■NHKスペシャル アメリカ発 世界自動車危機。’銭カネ’ばかりのこの世の中を一発ギャフンといわせてやれよ!

破綻寸前のゼネラル・モーターズ。世界第1位に君臨し続けた巨大自動車メーカーに一体何が起こったのか・・・。

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■デトロイトのGM本社ビル
7棟からなり、中央のタワーは73階建てだそうです。頑張ってつくったお城なんだろうけど、残念ながら売却かな。

■要するにサブプライムローンの自動車版をやっていた、ということだ。

収入があろうがなかろうが住所と名前と電話番号なんかを書き込むだけで誰でも融資が受けられて、なんと5万ドルもする高級SUVが買えてしまう。

なーんでか。

というと、GMの金融子会社(GMAC)、実は借金を返してもらおうなんて端っから考えていないのだ。

■とってもリスクの高いその自動車ローンを証券化して、それをバラバラに切り刻んだうえで健全な金融商品のなかに潜り込ませる。

その金融商品に占める’ワケあり’ローンの割合は微々たるもので、評価のAAAは変わらないもんだからごく普通に金融市場で売れてしまう。

で、GMACには貸した分のお金に’おまけ’がついて入ってくるという寸法だ。

要するに産業廃棄物の海洋への不法投棄みたいなもので、大海の一滴、’濃度’が低いから大勢には影響なし、ということ。

手品というか、サギというか、金融工学ってのは本当に訳がわからない。

■ここで改めて確認するまでもなくGMは自動車メーカーである。

にも関わらず、本業は大幅なインセンティブ(販売奨励金、値引き)によって台数を売っても利益が出ない。

で、’優秀な’金融子会社であるGMACがインセンティブに頼らない’賢いやり方’を開発しただけでなく、サブプライムローンにまで手を広げ、稼ぎまくって親会社を支えた。

だから、金融危機の直撃を受けたGMACが失速し、人工心臓を止められたGM本体は青息吐息。

■そうなれば、裾野の広い自動車産業の下請け、孫請け部品メーカーは死刑宣告に限りなく近くなるわけで、その死臭を敏感に察知したハゲタカどもが寄ってくる。

自動車会社に頼りきった経営が立ち行かなくなったとしても、内装部品なら内装部品のメーカーを買いあさって巨大独占メーカーに仕立てあげれば、かのボッシュ社のように、そこいらのチンケな自動車メーカーなんかよりよっぽど強気なエクセレント・サプライヤーになるハズだ、という投資家一流の皮算用なのである。

■結局、どこまでいってもカネ、かね、金。

確かに資本がなければ作りたいものも作れない。

トヨタがプリウスで成功できたのは資本に十分な余力があったからで、無い袖を振るホンダを横目に、日産が地に伏し、目と耳をふさいでハイブリッド車の開発を停止していたのも結局、カネが無かったからである。

■けれども、だ。

青臭いことをいうようだけれども、

カネを得ることは手段であって、目的ではなかったはずだ。

誰もまだ作ったこともないようなクルマを作り出してお客さんをビックリさせてやろうぜ!という情熱が「ものづくり」の原動力なのであって、投資に対するリターンが素晴らしい、は食っていく為に、夢をあきらめない為に大切なことなのだけれども、断じて目的には成り得ない。

■GMの人たちにしてもきっと思いは同じはずで、89年に発表した電気自動車の’インパクト’は鉛蓄電池ながらも最高速を気にするような艶っぽいクルマであったように記憶している。

カリフォルニアのZEV規制(ゼロエミッションヴィークル)が発端であるにせよ、経済性よりもスピードに関心がある、いかにもアメリカ人らしい馬鹿っぽさを意気に感じてうれしくなってしまったものだ。

■その’EV魂’を受け継いでいるであろうクルマが2010年後半にデビューするという。

プラグイン・ハイブリッドカーのシボレー・ボルトである。

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家庭用電源で充電し(プラグイン)、フル充電で40マイル(64km)走る航続距離はアメリカ人の平均的な通勤距離をカバーし、充電専用の小型エンジンを使えば数百マイルの航続距離に一気に増える。

ハイブリッドカーといいながらも基本は電気自動車で(シリーズ型ハイブリッド)、そのあたりが複雑で賢いシステムのプリウスやモーターアシスト(パラレル型ハイブリッド)と根本的に思想が違うのだ。

■今回のNスペでは紹介されなかったけれども、GMだって気骨のある自動車メーカーなのである。

なんとかこの苦境を乗り越えて、是非とも’銭カネ’ばかりのこの世の中を一発ギャフンと言わせて欲しいものだ。

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■【DVD】 誰が電気自動車を殺したか? [2006年アメリカ・ドキュメンタリー映画] 

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2008年11月27日 (木)

■トヨタ iQ。未来を拓く「天才タマゴ」、再び。

アムラックスでトヨタのiQ(アイ キュー)を見てきた。

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■2008 トヨタ iQ (アイ・キュー)

■全長3メートル、全高1.5メートル、全幅1.7メートル。

なんじゃそりゃ、という常識はずれの車両寸法なのだけれども実車を見るとやっぱり変だ。

変なんだけれども、妙に納まりのいいカタチなのである。

造形として破綻をきたしていない、というよりむしろ「心地良い」と感じるくらいだ。

Photo
■全長 2,985mm × 全幅 1,680mm × 全高 1,500mm
1.0L直列3気筒 68ps 9.2kgf/m  140~160万円
■2008-2009 日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞、グッド・デザイン賞受賞 

■いや、いや、スマートがあるじゃないか、

という意見もあるだろうし、確かにスマート フォーツー クーペは全長2.7メートル、全高1.54メートル、全幅1.56メートルでチョッと小さいけれど大体同じ外寸だ。

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■スマート フォーツー クーペ
(smart社はSwatchとBenzの共同プロジェクト)

■けれど全体を見たときに「クルマ」として少し軽い印象がある。

それは数センチの外寸の違いから来るものではなく、そもそも目指しているものが違う、そこから来るものであって、似て非なるもの、と言ってもいいだろう。

決してスマートをけなしている訳ではなくて、「本格」をあえて避け、ちょっとチャチなところにセンスの良さを見出そうとする「Swatch」の思想そのものであり、それはそれで別のものということだ。

■それに対してiQは、その寸法の中に「本格」を詰め込む試み、ということである。

それが全幅1.7メートルの意味であるし、4人乗り(3人+α)の意味なのだ。

つまり、大人がふつうに3人乗れて(※)、安心して走行出来ること。それでいて全長3メートル、最小回転半径3.9メートルという見かけを遥かに上回る驚異の取り回しの良さを実現する。

未だかつて無いクルマである、

というのはそういうことだ。

※助手席側は前席をうんと前に出すことが出来るので大人2人が前後に座ることが出来るけれども、運転席の後ろは座席こそあるものの残念ながら実際は猫か手荷物くらいのスペースしかない。

Photo_5

■約20年ほど前のことになるが、やはりトヨタが「未だかつて無いクルマ」を世に出したことがある。

「天才タマゴ」こと、初代エスティマである。

3列シートのクルマは四角いワンボックス、という当時の常識をくつがえした楕円形フォルムは世間をアッと言わせたものだけれども、今回 iQの実車をじっくり眺めていて、そこに同じ「ニオイ」を感じたのである。

■初代エスティマの「カタチ」を可能にしたのはエンジンを横倒しにして床下に搭載し、前輪を思い切り前に出したことによるものだ。

それは車体骨格の設計思想やエンジン、トランスミッションなど駆動系部品を一新することを意味しており、つまりは莫大な投資・開発費を伴う大きな「賭け」なのである。

■今回のiQのカタチを可能にしたのも、やはりスモールカーの設計思想の革新によるものだ。

端的にいえば、FF用トランスミッションの前後逆配置によるフロントミッドシップ化である。

これはFF車(前輪駆動車)の車両を開発しているの者であれば誰もが一度は考えるパッケージだ。

何しろタイヤを前方に出すことが出来るから乗員も前に出すことが出来て、ひいては車両全長の大幅な短縮が見込めるメカミニマム・マンマキシマムな素晴らしいアイデアなのだ。

■けれども、これまでどこの自動車会社もそこに手を付けなかった。

今までに実績が無く、かつ莫大な投資を伴うアイデアに対して、そんな提案が通るはずが無いと担当者が本気にならなかったのかもしれないし、その危ない「賭け」が実際に経営判断によって却下されたのかもしれない。

いずれにせよ小型車のFF化が進んで20年以上が経つけれど根本的な変化は生まれて来なかったのは事実である。

だが、どこかで「賭け」に出なければ次第にジリジリと後退していくだけだ。

■分かっちゃいるけど・・・、

という我慢比べの状況の中で、やっと変化の兆しが生まれてきたのがこの数年の流れだろう。

会社が傾き、土俵際いっぱい起死回生での「うっちゃり」の如く、その賭け(エンジン後方配置)に出たのが三菱の「 i (アイ)」であり、それに負けじと横綱相撲の貫禄を見せたのがトヨタの「iQ(アイ キュー)」の横置きFFミッドシップなワケである。

■技術的に難しいと思われていた横置きFFミッドシップもやってみれば出来るもので、センターテイクオフ式ステアリングなんていう、旧シビックが使った飛び道具も気にするまい。

むしろ、前に出たフロント・ストラットがちょうどエンジンの真横に来た関係で、ペンデュラム(振り子)式エンジンマウント取り付け部の車体構造をガッシリ作ることが出来たという裏ドラに驚くべきで、いやーホント、悩んでないでチャレンジしてみるもんだ、ということである。

■初代エスティマの「画期的構造」は一代限りで消え去った。

きっと根本的な部分での避けがたい技術的課題があったのだろう。

ハッキリいえば「賭け」は失敗に終わった。

けれども、その後の北米でのミニバンブームの火付け役としての初代エスティマ(北米名:プレビア)が果たした役割はゼロではないはずで、10年単位で見たときに、ワンボックスカーがガラリとFFミニバンに切り替わるどころかセダンさえ駆逐してしまった日本の状況を考えると、その意味はとてつもなく大きいのである。

■そういうことを考えたとき、

たとえ「iQ」そのものが商売として上手くいかなかったとしても、その先に必ずや起こるであろうダイナミックな変化を見越している人がいる。

乾いた雑巾を絞って絞って積み上げた大切な資源を、その不確かな「未来」に託す判断をする人がいる。

そういう トヨタという会社は、

やっぱり凄いなぁと、しみじみ思うのである。

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■このリアから見た姿が実にキュートである。
これだけで欲しくなっちゃっても、おかしくはないだろう。

                         <2008.11.27 記>

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■ トヨタiQのすべて ( ニューモデル速報 第417弾)
    

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2008年11月13日 (木)

■新型・日産 ムラーノ。「二代目の苦悩」を振り切る勇気。

優秀な兄をもってしまった弟は、なかなかツラいものである。

Fr
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■新型ムラーノ(※上の写真は北米向け左ハンドル)

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■旧型ムラーノ 

■ムラーノはSUVでありながら悪路とは正反対の都会的なデザインをまとった新しいテーマを打ち出し、世界の主要メーカーのデザインセンターには必ずムラーノが置いてあるといわれるほど、その筋には評価されたクルマなのだ。

それが先代。

さて問題は二代目となる新型ムラーノである。

■先代はパリッとしたシャツのようなスッキリした知的な印象を与える直線基調であったのに対し、新型はマッシブな男らしい力強さと威厳をアピールしているように思える。

カッコいいクルマの後継車は先代のイメージに囚われてしまって’イマイチ’となる「二代目の苦悩」なんてのが定説なのだけれども、そこを思い切って切り替えてきたわけである。

■新型のマッチョさは、いわゆるSUVらしさに直結するものであり、SUVとして一般に受け入れやすいものである。

北米向けに開発された先代は、アメリカの「とある」顧客層に向けて絞り込んで明確なイメージを持ちつつ作ることが出来たのに対し、その後のムラーノの幅広い世界展開によって、新型はいろいろな価値観のユーザーにも目を向けざるを得なくなってしまった、という事情も、その背景にあったのだろう。

個人的には先代のプレーンでジェンダレスなデザインが好みなのだけれど、街中で走っている新型を見たとき、そこに「肉食動物のもつしなやかさ」のようなものを感じて、これもありかな、と思うようになってきた。

確かに新しい「何か」をもったデザインではある。

■さて、ハードウエアとしてのポイントを3つ挙げるとすると、こんなところだろうか。

①シッカリした車体骨格による「走り」と「静粛性」の高いレベルでの実現。

②新しいCVTが生むスムースで気持ちのいい走りと燃費の両立。

③賢い4WDシステムとVDC(Vehicle Dynamic Control)による高い走行安定性。(なんと全車標準)

インテリアの質感も上がったみたいだし、いろんな親切装備も盛りだくさんで、中身的にも新型は大幅に進歩しているようである。

■とはいえ、ムラーノは日本人にはデカ過ぎる。

全長で4.8mを越え、全幅で1.9mににじり寄る。

ハリアーが月2000台以上売れているのに対して、ムラーノは売れてもせいぜい500台。

決して商品として遜色は無いと思うのだけれど、ここまで差がつくのは、多分そのデカさによるものなのだろう。

ハリアーくらいのサイズで作ってくれれば日本でももっと売れると思うのだけれど、やはりその辺は世界戦略車とはいえアメリカ市場オリエンテッドにならざるを得ないのかな。

残念。

                        <2008.11.13 記>

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■新型ムラーノのすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報)

■諸元比較■  
                    新型ムラーノ 旧型   ハリアー
全長               4825 mm      4770 mm   4735 mm
全幅               1895 mm      1880 mm   1845 mm
全高               1730 mm      1705 mm   1670 mm
ホイールベース  2825 mm    2825 mm   2715 mm
   
最低地上高      185 mm       180 mm    180 mm
最小回転半径   5.7 m          ←            5.7 m
タイヤサイズ    235/65R18  225/65R18  235/55R18
 
車両重量  V6   1850 kg        -        1830 kg
         直4 1790 kg     -      1700 kg
   
最高出力 V6    191 kw       170 kw      206 kw
          直4 125 kw     120 kw      118 kw
最大トルク V6  336 N・m     333 N・m   346 N・m
         直4  245 N・m     245 N・m   221 N・m
   
ミッション V6  CVT-6M          5AT
       直4  CVT    4AT           4AT
   
燃料消費率
10・15モード V6  9.3 km/l  8.9 km/l          9.0 km/l
       直4 11.0 km/l 10.6 km/l(2WD) 10.6 km/l
タンク容量         82 L         ←                 72 L

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モーターファン別冊 「新型車のすべて」 シリーズ 

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2008年9月 3日 (水)

■ミニバン夏の陣。

この夏はマツダ・ビアンテ、スバル・エクシーガ、ホンダ・フリードと3列シートのニューフェースが次々と登場、トヨタからはアルファードの兄弟車としてヴェルファイアがデビューするなど結構盛り上がったわけだが、この不景気、ガソリン高騰の逆風の中、果たして各車の売れ行きはどうだったのか。
各車、この夏の販売実績を競合車と比較してみた。

■Lクラス 背高ミニバン 登録台数
(※下2ケタ四捨五入。8月は29日まで)
           【7月】     【8月】
【トヨタ】 
●アルファード   4,800     3,100 (2008/05 FMC)
●ヴェルファイア 5,900   4,300 (2008/05 新)
【日産】
●エルグランド   1,400     600  (2002/05 FMC)
【ホンダ】
●エリシオン      800        500  (2004/05 FMC)

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●ヴェルファイアのアクの強さはどうかなぁ~と思ったが、どっこいえらく売れている。このクラスのクルマを買う人はこれくらいの押し出しが無いとツマラナイと思うのかもしれない。
一方アルファードの台数が激減することもなく、ちゃんと棲み分けている様子。さすがトヨタだ。
しかし、かつてのこのクラスの覇者、エルグランドも堕ちたものである。最近の日産は寂しいね。
 

■Mクラス 背高ミニバン 登録台数
           【7月】     【8月】
【トヨタ】 
●ノア        6,000    3,400    (2007/06 FMC)
●ヴォクシー    7,800    4,100    (2007/06 FMC)
【日産】
●セレナ      7、100    4,200  (2005/05 FMC)
【ホンダ】
●ステップワゴン  3,400    2,500    (2005/05 FMC)
【三菱】
●デリカ D:5   1,900    1,100     (2007/01 FMC)
【マツダ】
●ビアンテ     3,900    2,500   (2008/07 新) 

Photo
●マツダ ビアンテも結構頑張っている。
お父さんがマツダ好きなもんでMVPに乗っているのだけれど、奥さんから「セレナとかノアとかご近所のクルマは広そうでいいわね」、なんてちくりとやられる。そんな光景が繰り広げられていたのだろうか。「背高ミニバン、待ってました!」というかんじである。
他のミニバンが前年比でおおむね2割減のところMPVは4割減で、やっぱり多少は共食いしたようだが、既存の商品にこだわらず「売れる車」をキッチリ出すというのは大切なことである。
    

■Lクラス低床3列 登録台数
           【7月】     【8月】
【トヨタ】
●マークXジオ  1,600     800 (2007/09 新)
【ホンダ】
●オデッセイ   1,700   1,300 (2003/10 FMC)
【スバル】
●エクシーガ   3,100  1,300 (2008/06 新)

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●エクシーガ、宣伝で頑張ってるわりに早くも失速の兆し。
【運転が楽しい】というのと【3列で楽しい】では主語が違う。
ドライバーズカーに3列目をつけても家族はヨロコばない、ということだろう。オデッセイも低床化で苦戦してるし、マークXジオもイマイチぱっとしない。
このクラスでの低床3列というのは、やはりマーケットが小さいのだ。海外でもうける、というクルマでもないし、難しいカテゴリーである。
ところで、近々デビューするといわれている新型オデッセイも低床プラットフォームはそのままらしい。うーん、ドライバーにとっては最高の「ミニバン」なんだろうけど・・・。個人的には熟成された先代のオデッセイが好みである。そういうホンダファンは結構いると思うのだが。
  

■Sクラス 3列 登録台数
           【7月】     【8月】
【トヨタ】
●シエンタ     3,600   2,000 (2003/09 新)
【日産】
●キューブ 3列    700       500 (2003/09 追加)  
【ホンダ】
●フリード 3列  7,000    4,700 (2008/05 新)

Photo_2
●ガソリン高騰の追い風を受けたか、フリードが絶好調だ。
シエンタ、キューブ・キュービックと並べてはみたものの「ミニバン然」としたフリードは新しいカテゴリーと考えたほうがいいだろう。
ガソリンの値動きが今後どうなるかは分からないけれど、「安く・賢く」という世の中の大きな流れは変わらず続くだろうから、フリードの販売はしばらく安泰であるに違いない。
「企画の勝利」のお手本みたいなもので、気持ちがいい。
  

■おまけ■Mクラス ランナバウト 登録台数
            【7月】     【8月】
【トヨタ】
●RAV4(2/3列)          700        400 (2005/11 FMC)
【日産】
●エクストレイル    2,600     1,500 (2007/08 FMC)
●デュアリス    1,700     1,000 (2007/05 新)
【ホンダ】
●CR-V        500        200 (2006/10 FMC)
●クロスロード(3列)    900         400(2007/02 新)
【三菱】
●アウトランダー(2/3列)700    300 (2005/10 新)
【スバル】
●フォレスター   2,000        900 (2007/12 新

20x
●こんなのフォレスターじゃないやい、なんて思ってたけれど意外に健闘しているのだ。
ど真ん中のストレートを狙った企画が大成功ということだろう。
いやいや、難癖つけてごめんなさい!

                          <2008.09.03 記>

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2008年7月10日 (木)

■マツダ ビアンテ。「枠」をはみ出すマツダの勢い。

マツダからミッドサイズのミニバン、ビアンテ(MAZDA BIANTE)がデビューした。

Photo_2
■顔つきはどこかプジョーの’猫目風’。
Photo_3
■斜め後ろから見ると、特に側面の表情の豊かさが実感できる。

■マツダのミニバンはプレマシーとMPVがあるが販売台数は2000台/月レベルで、いわゆる売れ筋の背の高いミニバン、セレナとかノアとかステップワゴンが5000台/月以上のレベルで売り上げているの対してはっきりと水を空けられてきた。

そこでマツダが満を持して、そのMクラス・トールミニバンのカテゴリーに殴り込みをかけるのがこのビアンテなのである。

■といっても、他社と同じことをしてもマツダの販売力では勝てるはずも無く、何かで尖らなければ勝機は見出せない、と思ったのか、かなり思い切ったことをやってきた。

Mクラス・トールミニバンの定説である「5ナンバーサイズ」の枠を確信犯的に破ってきたのだ。

■全長4715mm、全幅1770mm。

全長で15mm、全幅では70mmも「5ナンバー枠」をはみ出している。

トヨタのノア・ヴォクシーが一部3ナンバー幅になっているけれども、太いタイヤを履きたいがために、何となく気付かれないように20mm程度はみ出しました、というコソコソした感じをまったく受けない。

むしろ、そんな古い枠にこだわらないことで、のびのびとデザインしました、ということを積極的に売り込んでいる。

■確かに車体側面の造形は、片側35mmの余裕をつかって「流れるような」カタチを生み出すことに成功している。

セレナにしろ、ノアにしろ、ステップワゴンにしろ、ミニバンで一番大切な「室内の広さ」をとりつつ1700mmの全幅の枠に収めるために、べたんとした、つまらない側面になってしまう。

ビアンテは、そんな純日本的「団地サイズの思想」を取っ払い、欧州的な「デザインにおける贅沢」を選択したのだ。

■乱暴な言い方をすれば、「室内の広さ」と「流れるようなデザイン」をクルマのサイズを拡大することで両立させた、それだけのクルマである。

他に目新しいところは、3rdシートの畳み方がこのクラスで定番の横に跳ね上げるタイプではなく、前に畳むタイプになっているところで、これは好みの問題だ。

あとはエンジンが2.0L&2.3L直噴ガソリンというところだが、5ATとの組み合わせと車重の重さからなのだろうか、10・15モード燃費ではむしろ競合車に若干劣ってしまっている。

マツダの思想は、直噴による効率的なガソリン冷却によるターボ化「DISIターボ」路線であって、その理屈はそれなりに納得できるものだった。

が、今回のようにターボなしの直噴で、しかも排気対応するにはリーンでの燃焼が出来ず、結果、燃費が伸びないということなのであれば、何のための直噴なのかと少し首を傾げたくなるところだ。

■けれど、「流れるようなデザイン」だけであったとしても、ビアンテは十分に魅力のあるクルマだと思う。

街行くクルマがのっぺりしたミニバンばかりじゃつまらなくて、やっぱりこういう目鼻立ちのいいミニバンが増えてくると何となく豊かな感じがするのである。

技術的には、5ナンバーサイズを守りながら美しく、楽しいデザインを作り上げるというテーマにチャレンジする方が面白いのだけれども、世の中が本当に5ナンバーサイズを気にしていないのであれば、単なる自己満足に終わってしまうわけで、

そのあたり、このビアンテの受け入れられ方を眺めていきたいところである。

                             <2008.07.10 記>

■マツダ・ビアンテ公式HP

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2008年7月 6日 (日)

■アルファロメオ MiTo(ミート)。ベビーアルファにその価格を乗り越える色気はあるか。

アルファ147の弟分が登場した。

Mito
Mito_2

■アルファロメオ MiTo(ミート)。

全長4メーターちょいの3ドアハッチバックだ。

エンジンは1.4Lターボ155psと廉価版NA仕様78ps、

1.6Lディーゼル・ターボが120ps。

トランスミッションはMTとデュアル・クラッチの2ペダル。

アルファD.N.A.と名付けられたエンジン、変速、サスペンション、ブレーキ、ステアリングの3モード統合制御が売りとなる。

■アルファロメオといえば独身時代、【156熱】に罹ってしまった時期がある。

’NAVI’で見たウォルター・デ・シルバのエクステリア・デザインにひと目惚れ。ふらふらとFIATの販売店に吸い込まれ、V6モデルに試乗してその管楽器のような惚れ惚れするエンジンサウンドに、もうぞっこん。

早速、見積もりをとったら400万円オーバー。

そこで、うーむと考え込んでしまった。

■あんまり給料の良い時代じゃなかったから普通に考えればムリな値段なんだけど、あれこれ返済計画を考えて、でも考えれば考えるほどに分不相応に思えてくる。

ディーラーのおじさんが、

アルファは勢いで買わないと駄目ですよ。

冷静に考えちゃうと買えなくなっちゃいますから。

と言っていたまさにその通り。

数ヶ月は悶々とした日々を過ごし、数年間の後遺症に悩まされはしたものの、結局【蛇の紋章】を手にすることは無く、今に至る。

■欧州車を買おうとする気持ちには、単なる工業製品に対する以上の価値を認める気持ちが含まれていると思うが、アルファロメオというブランドは独特で、明らかにそれとは次元が違う。

アルファロメオの蛇の紋章が発する色気は、情熱が「理屈」を凌駕して「屁理屈」へと捻じ曲げる、

そういう問答無用の力を秘めているのだ。

なんてことを言えるのは【蛇の紋章】を手にした者だけに許されることなのかもしれないが・・・。

■さて、アルファMiTo(ミート)である。

イタリア本国の価格で1.4Lターボで1万7950ユーロ(約300万円)。

日本で販売される時の価格は分からないけれども、やっぱりちょっと高い買い物にはなるだろう。

果たしてこのクルマも日本に【熱病患者】を発生させることに成功するだろうか。

個人的には見た目がちょっと、と思うのだが、

まあ、このアクの強さがアルファなんだけどね。

Mito_3

                       <2008.07.06 記>

Photo 
■今日からはじめるアルファ・ロメオ

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2008年6月15日 (日)

■東海大学ル・マンプロジェクト。今、サルテが熱いぜ!

14日午後3時(日本時間午後10時)、第76回ルマン24時間耐久レース決勝がスタートした。

Photo_7 Photo_8
■東海大学ル・マンプロジェクトHPより

■今回の目玉は、なんていったって東海大学チームの参戦だろう。

クラージュの市販品を改造したシャシにオリジナルの3,998ccV8ツインターボエンジンを搭載。

それでちゃんと予選を通過したのだから凄いものである。

■で、誰が乗るの?とドライバーを調べてみてぶっ飛んだ。

鈴木利男、影山正美、黒沢治樹(元治サンの息子)。

・・・まるで日産ワークスみたいじゃんか。

■というのは驚きすぎで、2001年から始まった【東海大学ル・マンプロジェクト】を率いる林 義正・東海大学工学部教授は、90年代初頭のCカー最強エンジンであった日産・VRH35エンジンの開発主管、レーシングエンジン設計の神様なのだ。

1992年のデイトナ24時間耐久レースではVRH35を搭載したNissan R91CPは優勝を飾り、鈴木利男サンと林 義正先生はそこで喜びを分かち合った仲。

その友情がここまで続いているというわけだ。(たぶん。)

■というと、なんだ日産ワークスなんじゃないの?と疑いたくもなるが日産ワークスな(だった)のは林先生の脳みそだけで、基本的に学生主体でプロジェクトを転がしているそうだ。

多少のアドバイスがあったにしても、メーカーだって二の足を踏むル・マンに学生が挑もうってんだからホント、大したものである。

■林先生の研究室で10年近く続けられてきたプロジェクトの成果が、今、この瞬間にフランスのサルテサーキットを走っている。

研究室の面々ならびにOBの胸にたぎる熱い思いが想像されて、こっちまでヤケドしそうである。

■日本時間の明日正午ころに、向こうは夜明けを迎えるのだろうか。

ゼッケン22番、ちゃんと残っててくれよ!

                        <2008.06.14 記>

【結果】
現地時間午前8時45分、駆動系トラブルで痛恨のリタイア。
186周目、走行時間17時間45分であった。
夜のセッションを乗り越え、エンジンもまだ元気に回っていただけに残念!
また来年な!(って資金は大丈夫なんだろうか・・・。)
                         <2008.06.15 記>

Photo Photo_2 Photo_3

■ エンジンチューニングを科学する
■ 林教授に訊く「クルマの肝」
■ 世界最高のレーシングカーをつくる (光文社新書)

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■東海大学ル・マンプロジェクト

 
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2008年6月 8日 (日)

■新型 ティアナ。和風モダンな「OMOTENASHI(おもてなし)」。

新型 日産 ティアナ/TEANAがデビューした。

08_
08__2
■イメージカラーのディープアメジストグレー

■前型のティアナは「モダンリビング」を標榜し、独自のセンスの良さをアピールしていて結構いい味を出していた。

独特のCMの効果は強力で「自動車」というよりは「心地よくデザインされた家具」のイメージが深く印象付けられている。

一般に欧州車に乗っている人はセンスが良く見えてしまうのだけれど、そのイメージとはまた違った方向性の「センスの良さ」である。

「粋(いき)」

という言葉が一番近いのかもしれない。

■さて、新型である。

テーマは「OMOTENASHI(おもてなし)」。

ラグジュアリーセダンにとっては使い古されたことばなのだけれども、逆にいえばそれはラグジュアリーに求められる本質的なことで、その「使い古された」感じを払拭せんがためのローマ字表記、ということなのだろう。

Photo Photo_2
■壇れいは淑やかな感じがしてピッタリくるのだけれど、豊川悦司はどうだろう・・・。

■前型の「モダンリビング」が欧米風のモダンであったのに対し、今回は「和」にこだわったイメージ戦略を展開している。

開発段階でそこまで深い味付けが定まっていたとも思えないが、無意識のうちに時代の雰囲気を取り込んでしまうもので、「結果」として出てきた商品をみると、「ああ、『和』だったんだな。」と気づいたということなのだろう。

■それはエクステリア、インテリアのデザインから染み出してくるものである。

前型が硬質な直線基調であったのに対し、新型は「たおやかな」流れが感じられる。

「機能をデザインに!」という理屈っぽさが抜けて、「まあまあ、ゆったりと構えようじゃないの」という鷹揚さを身につけた、という感じ。「あそび」がある、というのか、

それが「粋(いき)」というもので、

新型になって、さらに磨きがかかったというところか。

08_2
■白が基調になったインパネが印象的。

■「イメージ」ばかりで盛り上がってしまったが、そうはいっても心地良いハードウエア無くして本物の味わいは生まれない。

今回のティアナにおけるハードウエアのポイントとしては、まずエンジンが挙げられるだろう。

3.5Lは別にして、前型は2.3Lというちょっと中途半端な排気量であったのだけれど、今回は世間並みに2.5Lにアップグレード。

実質150cc(2,349cc→2,495cc)の排気量UPはMAXトルクで0.8kg・m(23.7kg・m@4,400rpm、+3%)しか上がっていない。

きっと中低速からトルクに厚みを出しているに違いない。

エンジン性能曲線を比べてみないと分からないけれども、排気量で6%UPしてMAXトルクが3%UPしかしないというのは、VQエンジン自体も進化しているのだろうから、それはちょっと考えにくい。

今回はトランスミッションが4速ATからCVTに進化しているから、そこのマッチングもあるのだろう。

■その結果として、10・15モード燃費は12.0km/Lと前型に比べ0.8km/L、+7%向上している。

想像するにゆっくり踏み込んでも過不足なく、すーっと加速していく、そういう味付けなんじゃなかろうか。

D
■Dプラットフォーム骨格透視図

■諸元表に反映されない部分では、プラットフォームと呼ばれる車体の骨格構造がリニューアルされている。

車体剛性を向上させているのが売りなのだそうで、車体が強いということは「走り屋」さんが喜ぶだけでなく、静粛性、乗り心地にも大きく反映される。

ドライバーの体を柔らかく、かつ、しっかりと支える「振動吸収3層構造シート」との組み合わせで、さぞかし、しなやかで、しっとりした乗り味に違いないなどと勝手に妄想が肥大してしまって、是非とも一度乗ってみたいものである。

(なーんて期待しすぎるとと大抵、当てが外れたりするものなのだが・・・。)

■前代から引き続きの「売り」であるインテリアは、評判であった助手席オットマンは継続採用、間接照明なんぞも追加されて「OMOTENASHI」を演出しているようだ。

そのへんは危なげないところである。

■ところで、このクルマの競合車はマークXだというのだが、「男の真ん中でいたいじゃないか」という佐藤浩市とは、ちょっと違う感じだ。

どちらかといえば方向性はクラウン・ロイヤルサルーンの方が近いのかもしれない。

2.5Lの仕様で片や250万円のクルマと、370万円のクルマを比較するのもどうかという話なのだが、「『過剰さ』は何も値段だけで決まるもんでもないだろう」というのがティアナの「粋(いき)」なのであって、同じ「おもてなし」を標榜するなかでそこに明確な違いを生み出す「心意気」なのである。

■王道を歩むクラウンが月に1万台を売る中で、ティアナは月千台も売れないクルマではあるのだけれど、それだからこそ守れるものがある。

唯一心配なのは、

「次」も、ちゃんとあるんだよね。

というところなのだけれども、ま、それはずいぶん先の話で

鬼が腹を抱えるから、今は考えないでおくことにしよう。

                         <2008.06.08 記>

■追記■

実車を見ました。

シート、すごくイイです。

ドアを開けてドカリと座った瞬間に、ふわっと沈み込んで包み込むように受け止めてくれる感じと、それでいて座った後にからだを支えてくれる「コシがつよく」てシッカリした感じ。

なんか感動してしまいました。

これは一度座ってみる価値ありだと思います。

Photo
■運転席に座ったときの「見切り」の良さもいい感じであった。
08__2
■ショルダーからリアコンビランプへ回り込む曲面が結構そそります。

                         <2008.06.12 記>

Photo
■ 新型ティアナのすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報)

                      
Photo_4 ■「いき」の構造  九鬼 周造

   
■日産ティアナ(TEANA)公式HP
      
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2008年5月31日 (土)

■ホンダ・フリード、FREED。その名の通り「コンパクト」の枠に囚われない清々しさ。

ホンダから、新しいミニバンが登場した。

FREED(フリード)である。

Photo
■全長はモビリオに対して15cm長く、3cm低い。’佇まい’もミニバン風である。

■全長:4.2メートル、全高:1.7メートル 排気量:1.5L

モビリオの実質的な後継車だ、などといわれるが、諸元表を眺めてみると「モビリオ後継」というよりは、ステップワゴンのダウンサイズ化という印象だ。

Photo_3
■モビリオ。低床フロアを生かし、ヨーロッパの路面電車をイメージした低いサイドウインドウが印象的。いいセンスだと思うのだけれど、残念ながらセンスの良さだけでクルマは売れないのだ。

■ホイールベースこそ2740mmと、モビリオと同じだけれどもホンダが売りにする「低床」をさほど前面には押し出さず、実際、後方にむけて斜め上方へ真っ直ぐつながったフラットなフロアは、いわゆる’ミニバン’のそれである。

Photo_2
■少し分かりにくいが、ドアの下側のキャラクターラインとほぼ平行にフロア面が作られているように見える。

■モビリオに対して居室前後寸法は190mm長く、室内高は95mm少ない。

ちょっと背もたれが立った、キチンとしたモビリオの座り方に対して、ちょっとゆったりした座り方になるのだろうか。

後ろ側が高くなるフロアは2nd、3rd席と座面が高くなる劇場式のシート配置となり、それぞれの視界が開けることで居室全体の一体感が生まれやすい空間を作りだす。

「コンパクトカー」の枠内で無理やり3列を作ろうというのではなくて、「ミニバン」の文脈をコンパクトに作ろうとするとこういうことになるのだろう。

■けれど、やりすぎは禁物で、無理に斜めったフロアによって生じる違和感や、後席の座る位置が高いことによる落ち着きのなさ等につながりかねない。

このあたりのバランスがうまくいっているかは実際に座ってみないと分からない。

けれど少なくともホンダは、これが「ちょうどいい」んですよ、と自信をもって提案してきてるのだから、まあ、そんなにひどいことにはなっていないのだろう。

■4月の販売台数(概算)からすると、

コンパクト3列: シエンタ        2500台、
          モビリオ         500台、
         キューブ・キュービック   500台。

Mクラス全高1600mm ミニバン: 
          アイシス        1900台、
          ラフェスタ        500台。

Mクラス全高1800mm ミニバン:
          ボクシー        5600台、
          ノア           4900台、
          セレナ          4300台、
          ステップワゴン     3500台。

セレナとかボクシーのようなタイプのミニバンがえらく台数を稼いでいる割りにコンパクト3列の販売台数は大したことはない。

■売れるはずの「コンパクト3列」なのだけれども、世に出してみれば思ったほど台数が伸びないなぁというのが正直なところで、捕らぬ狸の皮算用。

コンパクトカーの文脈の上にのっかったまま、やっつけで3列を作っても響かない。

お客さんにとって、これは「コンパクト」クラスのクルマだから・・・、なんていうことはまったく関係なく、作り手が無意識のうちに囚われている見えない壁がそれの邪魔をする。

■そういう意味でホンダ・フリードは画期的なクルマであると思う。

プラットフォームと言われるハードウエアの部分はコストの安いコンパクト・クラスを使いながらも、商品としてはミニバンの文脈に軸足を置いて、明らかに「コンパクト」を逸脱している。

それが清々しい。

■たぶん、このクルマは売れるだろうし、全長4200mmが1.5Lクラスミニバンの定番となっていくのだろう。

初代オデッセイといい、ストリームといい、エポックメイキングは常にホンダから始まる。

ちょっと悔しいけどネ。

                                        <2008.05.31 記>

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2008年5月18日 (日)

■新型アルファード/ヴェルファイア。外見も中身もルックスは絶品。

トヨタの新型アルファード(ALPHARD)/ヴェルファイア(VELLFIRE)がデビューした。

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08carview02
■助手席側Aピラーの根元に小さな補助ミラーが追加されている。子供巻き込み防止の新法規対応なのだろうけど、そのさりげない処理が上手い。

■NEWアルファードは上品で高級なコンセプトを維持しながら、より洗練された印象を受ける。

外観的には前型では比較的、なだらかだった「ハナ」がくっきりと強調され、切れ長のヘッドランプのデザインもあいまって随分と立派になった。ありていに言えばカッコいい。

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■タテ2段組みのヘッドランプがエヴァ弐号機を思わせる、なんて書くとオタクがばれてしまいそうなのでやめておこう。

■一方、NEWブランドのヴェルファイア。

これは強そう。

高速で後ろに付かれたら、すごすごと先をゆずってしまいそうである。

ヘッドランプとバンパー、グリルのデザインでこうも印象が変わるものか(もちろん色もあるけれど)。

アルファードとヴェルファイアは兄弟車でありながら、まったく異なる客層にアピールしていて、いやートヨタはホント、商売上手だなぁ。

Photo

■内装はアルファード、ヴェルファイアともに、ゆとりのある心地よさを演出している。

品のいい高級感を醸し出す天井の間接照明が心ニクい。

Photo_2

■シートも上品。是非とも実車ですわり心地を試してみたいものである。

「リラックスキャプテンシート」と名付けられた2列目シートが「売り」のようで、しっかりと作られたオットマン(ふくらはぎを支える部分)と前席の後ろから出てくるフットレストによって下手なビジネスクラスのシートより快適そうである。

■でも、ちょっと気がかりなのは、2列目を思いっきり後ろにスライドさせた「スーパーリラックスモード」。

確かに広々として快適なんだろうけれど、このときにオットマンを使うとフットレストに足が届かないのでぶらんぶらんになってしまう。

この状態で衝突すると「サブマリン現象」といって、足の支えが無いものだから「ズルッ」と前方に足先から滑ってしまう。そうすると脚にダメージが出るのはもちろんだが、腰を押さえるシートベルトがゆるい場合は下手をするとそれで首を絞められてしまう可能性がある。

トヨタのことだから、その辺のこともちゃんと考えていると思うのだけれど、HPを見る限りそれらしい工夫が見当たらない。6月からだったか、後ろの席でもシートベルトの着用を義務づける法律が施行されるのだけれども、かえってそれが仇になるのじゃないかとちょっと心配だ。

■車両寸法は、2WDの標準車で全長:4850、全幅:1830、全高:1890。

前型アルファードに対して全長で10mm長くなり、全幅は25mm広くなり、全高は45mm低くなった。ロー&ワイドになったスタイルはとても安定して見える。

全高は低くなったが室内は10mm高くなり、さらに驚くべきことに室内前後寸法は75mmも拡がっている。全長で10mm、ホイールベースで50mmしか拡がっていないのにである。(ということは、フロントオーバーハングとリアオーバーハングを足した寸法は50mmマイナス10mmで都合40mm短くなっているということなのだ!)

このへん、たかが数センチ、されど数センチで非常に苦しいところだ。アルファード/ヴェルファイアの担当者は鼻血を出しながら、さぞや頑張ったに違いない。ご苦労様!!

■タイヤは205/65R16から215/60R17に変更。見た目のどっしり感をさらに向上させている。

そのかわり、最小回転半径は5.6mから5.7mに悪化。ぎりぎり許容範囲か。

同じホイールベースで215/55R17を履くエスティマの回転半径も5.7m。アルファードは全幅が広い分余計にタイヤを切ればいいじゃんと思うのだけれども、このあたりに電動パワーステアリングの出力の限界があるのかもしれない。

■V6エンジンは3.0Lの1MZからエスティマと同じ3.5Lの2GRエンジンにサイズアップ。280psを叩き出す余裕の出力も魅力だが、吸排VVT-i(バルブタイミング制御)や6AT化などによる燃費の7%向上も見逃せない。

燃費でいえば2.4Lの直4エンジンはもっとスゴイ。

エンジンこそ旧型と同じ2AZだけれどトルクバンドが広くなった(と思われる)出力特性と4ATからCVTへのトランスミッションの変更で実に20%も燃費が向上しているのだ。(旧:9.7km/L → 新:11.6km/L、10・15モード)

実用燃費がどれくらい良くなるか分からないけれど、20%向上って言われたらやっぱり期待してしまうところだ。(このへん、先行しているエスティマの評価ってどうなんだろか・・・。)

■エンジン、トランスミッションもそうだけれども、車体下回りの骨格構造もエスティマと共用しているようだ。

ホイールベースは2950mmで同じだし、ガソリンタンク容量も65Lで同じ。全幅はエスティマに対して30mmも広いにも関わらず室内幅は5mmしか大きくないというあたり、下にもぐってみた訳ではないが、フロアパネルまで流用している可能性が濃厚だ。

床面の高さはエスティマに対して150mm程度高いだろうから、その分何かで嵩上げして制振、防音構造をつくりこんでるのだろう、きっと。

■エスティマに少しだけ乗った感想なので大きなことは言えないが、この新しいプラットフォームはあんまり出来がいいという印象は無い。

トヨタのお家芸である騒音や振動対策がイマイチに思えるのだ。

素性がMクラスのSUVであるRAV4のプラットフォームをミニバン向けにアレンジしたものだから、上級のLクラスのクルマとしては限界があるのかもしれない。

その跳ね返りなのか分からないが車両重量が重くなっている。

廉価グレードの車両重量で比較すると旧型エスティマに対し新型エスティマは60kg(V6)~100kg(直4)程度重い。

■下のクラスのプラットフォームを使う狙いは構造を簡素化することで車両重量やコストを安くするというところにあると思うのだが、どうもそのへんが上手くいっていないようだ。

エスティマのプラットフォームを使っている為かどうかは分からないが、新型アルファードも旧型に比べて60kg程度重くなっている。

たぶん同じ苦労を抱えているのだろう。

■でもね。大衆車のエスティマならまだいいけれど、ファーストクラスを想起させるアルファードでエアコンのファン騒音みたいな下品な音は聞かせられないでしょ。その瞬間に「夢」が覚めちゃまずいから。

足回りだって、しなやかに路面の小さな段差をいなしてくれないと困るわけで、そのあたり、エスティマからどれだけ向上させてくれているか楽しみなところではある。

アルファード/ヴェルファイアは見た目に違わぬ上質な走りをしてくれるのか?果たして!

・・・あ、ちなみに235/50R18なんて太っといタイヤを履いてるスポーツグレードは「それなり」のハズなので期待してはいけません。念のため。

                           <2008.05.17 記>

Photo_2
■ 新型アルファード ・ ヴェルファイアのすべて

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2008年4月17日 (木)

■MINI ・クラブマン。ノスタルジーに日和らない強さ。

■MINIは歴史に一時代を築いた名車を今という時代にうまく再生することに成功しているクルマであると思う。

4月に日本デビューした新しい車型『クラブマン』には特にそれを強く感じる。

それは簡単そうでいて、なかなかうまくいくものではないのだ。

Photo
Mini_2
■MINI CLUBMAN 2008

■ベースとなるMINIに対し、フロントセクションはそのままにホイールベースを80mm延長。全長は235mmUPだからリア・オーバーハングが155mm延長されたということになる。これはこれで結構いいスタイルだと思う。

標準車ベースのワゴン化(?)なのだけれど、旧車に詳しい方であれば、ああ「カントリーマン」の焼き直しか。とすぐに察しがつくだろう。

けれどそこで「カントリーマン」とか「トラベラー」とかいう名前をもってこないところがいい。(いや、「クラブマン」はあっただろうという声も聞こえてくる気がするけれどマイナー過ぎるので流しましょう。)

Mini_3 Mini_4
■旧MINI カントリーマン

■テールゲートが観音開きだったり、「木枠」を思い起こさせるモチーフもあったりするのだけれど決して「やり過ぎ」にならない。

過去は過去として敬意を表するのだけれども、「今」のMINIであることの自意識を非常に感じさせるのである。

そのあたり、表には絶対に顔を出さないBMWのうまさを感じる。「ブランド」というものをよく心得ているのである。

Mini_5 Mini_

■ハードウエアとしての目玉は観音開きの右リアドアだろう。

ホイールベースを伸ばして後席の居住性を良くしたのだから当然、乗降性も良くなくっちゃ。というわけだけれども、片側だけに設定、というあたりに若干セコさを感じるとともに、ああ左ハンドルメインのクルマになってしまったのだなぁと、妙なところに感慨を覚えてしまうのであった。

もう、ユニオンジャックを背負うクルマではなくなってしまったのだが、それでも「MINI」であり続けられるところがかえって凄いところなのかもしれない。

                        <2008.04.17 記>

Mini_ing

■MINI 公式サイト
http://www.mini.jp/mini.html

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2008年3月10日 (月)

■新型クラウン。「超えてゆく、ブランド。」 クルマにおけるブランド・アイデンティティの在り方。

「いつかはクラウン」。

というのは、もはや死語だろうけれども今回のクラウンにはそういった「気持ち」をそそる部分がある。

Photo
■08クラウン・ロイヤルサルーン

■13代目、である。

先代の「ゼロ・クラウン」で野暮ったさを振り切ったクラウンだが、今回のフルモデルチェンジでさらに「スマート」になった印象である。

315馬力のアスリートも気になるけれど、何といってもやっぱりクラウンはロイヤルサルーンの白に尽きる。往年の四角いクラウンの面影はまったく無いのだけれど、何故か「クラウン」だなぁと思わせるオーラがあって、それが不思議な落ち着きを感じさせる。

■高いポテンシャルをもった先代「ゼロ・クラウン」のプラットフォームを踏襲した新型クラウンだが、その「骨格、ハードウェア」に新たな「ソフトウェア」を吹き込むことでアクティブな意味での安全性能(予防安全性能)を大きく進歩させた。

VSCとEPSを中核とした「走る・曲がる・止まる」を統合的に制御するシステム(VDIM)や、NAVIの情報をもとに路面やカーブに最適なサスペンションの硬さを制御したり、高速道路の出入りでのAT変速制御までやってのける賢いシステム(NAVI・AI-AVS)。

その他にもオプションで、レーンキープアシスト、ブレーキ制御付きレーダークルーズ、プリクラッシュセーフティシステム(前突および後突)、居眠り警報、など盛りだくさん。

なんとも華やかで、パワステやらABSやらの装備が一気に進んだバブル期をほうふつとさせるものがある。

■そんな新型クラウンなわけだけれども、今回いちばん気になったのは、そのブランド戦略だ。

’超えてゆく、ブランド。’

Photo_2

ど真ん中のストレート。

この気持ち良さが何よりも好印象なのだ。

■ブランド力の重要性が語られるようになって久しいが、実際には企業全体のイメージを上げることで商品の「価値」を上げていく、そういうアプローチが多いようにも感じられる。

けれど本当のブランド力というものは、ひとつひとつの商品がこだわってきたその「結果」として生まれてくるものなのではないだろうか。

その企業が育んできた商品の歴史とか、物語とか、そういったものが重なりあって企業のブランドというものが立ち上がっていくのだろう。

■そういう意味で「クラウン」は強靭なブランドであり、「過去を否定するのではなく、過去を乗り越えるのだ」という姿勢( attitude )が滲み出る今回の宣伝戦略はそのブランドの力を最大限に生かしていると感じられる。

大抵のトヨタ車は例のトヨタマークをハナにつけているが、クラウンとかマークX(マークⅡ)のような個のブランドが立っているクルマのエンブレムには決して金太郎飴のような企業のマークを押し付けはしない。

何故ならば、トヨタのブランドを高めてきたのは「いつかはクラウン」と思わせてきた個のブランドそのものだと知っているからだ。

■セドリックだとかグロリアだとかブルーバードだとかサニーだとか自分を育ててくれた、いやむしろ「アイデンティティ」というそのままの意味での「自分そのもの」ですらある商品ブランドを切って捨て、そのうえでブランド・アイデンティティがどうのこうのと偉そうにいう、何か勘違いしているんじゃないの?というどこかの会社とはえらい違いなのである。

グローバルに羽ばたくには「土着のニオイ」はいらない。

そういう思想がそこに透けて見える。

■けれど、自分の生い立ちを消して立ち居振舞う上品さにいったい何の意味があるのだろうか。その本末転倒の無意味さに気付かぬココロは、「何故売れぬ?」という問いの答えには永遠にたどり着くことはないだろう。

ニッポン土着ブランド大いに結構、三河訛りのどこが悪い。

その潔さが共感を生むのだと思う。

そのままの自分であることが一番強いのだ。

                         <2008.03.10 記>

■追記。まったく関係ない話だけれど、昨日のQちゃんの記者会見。北京五輪への道が完全に途絶えた、その記者会見なのにあの人はなんて清々しいのだろうか。マラソンにはあんまり興味が無いのに感動してしまったわい。

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2008年2月28日 (木)

■Audi A5。流麗、「すぅー」と流れる感じが気持ちイイ。

・・・なんて美しい後ろ姿なんだろう。

08audi_a5_rear_qr
■Audi A5('08)

■日本でアウディ A5がデビューしたという記事をみて、その写真にグッときた。

パリッとしつつもゆるやかにうねるショルダーラインとフロントのホイールセンターからリアバンパー上端に流れるライン。その2つのラインで3次元的に構成された「帯(おび)」。これがタイヤの存在をゆるーく受け止めつつ後方へとしなやかにたなびいている。

■兄弟車にあたるセダンのA4にもそれに近いテーマが見られる。が、流れるというより力がグッとたまる感じ。これはこれで、すごくカッコイイし、セダンとしての収まりが良くて素晴らしいのだけれども、如何せん最近のBMWと同じような匂いを感じてしまって新鮮さという意味で、むむむ、なのである。

A4qr■Audi A4('07)

■ところが、A5はA4のテイストを引き継ぎつつも、うまくクーペとしての流麗さを演出できている。

・・・なーんて評論家めいたコトバなどでは表現できない。なんというのか、「すぅー」と流れる感じ、それが気持ちイイのである。

■ちなみに前から見ると、大きくクチをあけた例のアウディ顔。

この顔は05年のA6からだっただろうか?はじめはビックリしたけれども最近は少し慣れてきて、まあまあかっこよく見えてきた。

08audi_a5_front_qr■Audi A5('08)

■エクステリア・デザインをまとめたのは、和田 智(わだ さとし)さんという日本人の方だそうで、お前はエラそうにデザインを語るわりに、そんなことも知らないのか!という話で、何処かに穴があったら入りたいです、はい(苦笑)。

和田さんは98年に日産からアウディに移籍した変り種。日産も惜しい人材を流出させたものである。

でも、才能っていうのはその場の雰囲気に大きく左右されるものじゃないだろうか。アウディに移ったからこそ、これだけ気持ちが良くって素晴らしいデザインを生み出すことができたのに違いない。

08audi_a5_side_2■Audi A5('08)

■いやいや、日産の雰囲気じゃダメだ、というわけじゃない。今度のスカイラインクーぺとか流麗なデザインもちゃんと生み出しているわけで・・・でもやっぱり欧州の空気って少し違うんだろうなぁ、とも思うのである。

A
Aからのアウディ (CG選集)
         
                <2008.02.28 記>

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2007年12月26日 (水)

■新型フォレスター。スバルよ、それでいいのか?

3代目となる新型フォレスターが発表された。

今回のフルモデルチェンジでフォレスターは、いわゆるSUV的なクルマへと大きく舵を切った。

20x_2

■全長は前型+75mmの4560mm

全幅は前型+45mmの1780mm

全高は前型+85mmの1675mm

要するに、でかくなったということだ。特に全高の+85mmが効いていて、アプローチアングルをしっかりとったデザインも併せて「SUV」らしいカタチとなった。

寸法的には日産エクストレイルとほぼ同じであり、「MクラスSUV市場に殴りこみ!」的な商品なのである。

■けれど、スバルよ。それでいいのか?

確かに北米・欧州を考えれば、この市場自体は商売になるだろう。

だがエクストレイルがあって、トヨタ・RAV4があって、ホンダ・CR-Vがあって、三菱・アウトランダーがあって、それでもスバルに分け前があるのだろうか、と余計な心配をしてしまうのである。

■かつてレガシィが売れまくっていた頃、たぶん12年くらい前に、レガシィの商品主管(だったか?)の方の講演を聴いたことがある。

その要旨を一言でいえば、「継続は力なり」。

デビュー以来、頑なに同じスタンスを維持し続けることで【強いブランド】を育てることが出来た、という話であった。

実際、Lクラスのワゴンが全く売れなくなり、あのトヨタですら「マークX・ジオ」という変化球で勝負せざるを得ない状況の中で、ひとりレガシィだけが商売できている、という現状がある。

レガシィはワゴンである前に「レガシィ」なのだ。それがブランド力なのだと思う。

Photo
■初代フォレスター(1997-2002)

■「フォレスター」というクルマは元来、5Drハッチの寸法でワゴン的な性格を持つという特異なクルマであった。

たぶん同属と呼べるのは、今は無き日産・ラシーンくらいなものであろう。

そこには、「世の中には決して迎合しない」というフォレスターとしての「心意気」のようなものがあって、ちょっとデザイン的にはどうかという2代目にもその「魂」はしっかりと受け継がれてきた。

■そこで、今回のフルモデルチェンジである。

「マーケットがあるから、そこに商品を投入します。」

分かりやすい論理ではある。

だがスバルよ、本当にそれでいいのか?

■わたしは特に熱烈なスバルファンだというわけではないので、「余計なお世話」には違いないのだけれど、猫も杓子もおんなじような商品に収斂していくという姿がどうにも気に入らないのである。

それは、多様性こそが自動車市場の活性度を測るものさしだと思っているからであるし、その多様性を提供できるのがスバルの強みだと信じるからなのである。

                                                           <2007.12.26 記>

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2007年12月22日 (土)

■もっと、自由にやっていい。『爆笑問題のニッポンの教養』 環境工学(電気自動車・ELIICA開発)、清水浩。

12月18日の放送は今までの放送の総集編。

第6回(7月6日放送)・電気自動車ELIICA(エリーカ)の話を見逃していたので、ちらりとではあるがELIICAが走る姿を見ることが出来て非常にうれしい。

Photo_2
■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE006:「教授が造ったスーパーカー」 2007.07.06放送
慶應義塾大学環境情報学部教授(環境工学) 清水浩

■電気自動車は「遅い」というイメージがあるが、電気モーターの特性として低回転から最大トルクを出せるので本来は異次元的な加速感を味わうことができるポテンシャルを秘めている。

だが、今までは電池の能力が低いためにその能力を発揮できなかったのである。

■慶応の清水先生たちが創ったELIICAは、ようやく性能を発揮し始めたリチウムイオン電池でその真価を見せつけるコンセプトカーなのだ。

特徴的なのは、径の小さな8輪のタイヤ。

その8輪それぞれに60kWのモーターを配し、高加速性能挑戦車で実に0.8Gの発進加速を見せつける。(ELIICA HPのスペック表より)

Wiki
■ELIICA(エリーカ)。Wikipedediaより。
”将来”を予感させる左端の子供がいい味わいだ。

■例外もあると思うが一般論として、通常の4輪自動車は、どんなにトルクのあるクルマでもタイヤの性能限界によって0.5~0.6G程度の加速しか得られない。

また、エンジン→トルコンorクラッチ→駆動系→タイヤという伝達系と、エンジンそのもののレスポンスの問題でホイール・イン・モーターの電気自動車に比べると加速度自体の「立ち上がり」がどうしても緩やかになってしまう。(こちらの方が感覚的には影響が大きいと思われる。)

■まあ、なんだかんだそんな理屈を並べ立てても屁のツッパリにもならず、是非ぜひ、その異次元の加速を味わいたいものである。

そういう意味で爆笑問題のふたりが本当にうらやましい。

■対談の部分で、なぜ電気自動車に取り組んでいるかと問われ、「趣味です。」とキッパリ答えた清水先生もかっこいいが、その本質的意味をつく太田の目線もあいかわらずの切れ味だ。

世の中の先端的なものは、もう一般的なジャンル分けだけでは収まりきれなくなってきていて、子供の頃に好きだったことだとか、体験したこととかそういった「自分の歩んできた歴史」の延長線上に新しいジャンルを作り出す、そういう時代になってきたのじゃないだろうか。

うんうん、そうだよなぁと、深くうなづいた。

■自分の仕事を面白くなくしてしまっている原因は、実は、そういう従来の枠組みでしか考え行動することができない「自分自身」にあるのではないだろうか。

もっと、もっと、好きなことを自由にやっていいのである。

                           <2007.12.22 記>

Photo_3
■新書・爆笑問題のニッポンの教養
『教授が造ったスーパーカー・環境工学』

■爆笑問題、清水浩 著 講談社 (2007/10/31)
  

■清水浩先生の新刊■
■『温暖化防止のために 一科学者からアル・ゴア氏への提言』
■清水浩 著  ランダムハウス講談社 (2007/12/20)
■21世紀型技術が現状を大きく変える。
1.太陽電池、2.リチウム―イオン電池、3.電気自動車、4.水素製鉄。
(紹介文より)
    

■爆笑問題のニッポンの教養■
■新書版 『爆笑問題のニッポンの教養』
      
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■慶応大学電気自動車研究室 ELIICA BLOGへトラックバックします。

■ELIICA(エリーカ)HP

■過去記事・バックナンバー『爆笑問題のニッポンの教養』

■『爆笑問題のニッポンの教養』、番組HP

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2007年11月27日 (火)

■ランボルギーニ・レヴェントン、トーネードとの一騎討ち。

バカはアメリカにしかいないと思っていたら、

イタリアにもいたようである。

02

■20台限定生産、一台100万ユーロ(1億6千万円くらい)のスーパーカー『レヴェントン』が多目的攻撃機『トーネード IDS(Tornado IDS)』にスタートダッシュの勝負を挑んだ。

コースはイタリア北部のゲーディ空軍基地にある長さ3000mの滑走路。

出足でトーネードを突き放したレヴェントンだったが、滑走路の後端近くで離陸していくトーネードにかわされた。

■「この時、レヴェントンの速度は340km/hを超えていた。」

と記事にあるが、滑走路の後端で最高速を維持した命知らずのドライバーが、どうやってクルマを停止させたかは定かではない。

・・・合掌。

 
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■ランボルギーニ・レヴェントン Lamborghini Reventon■
V12、6.5L 出力650HP(478kW)/8000rpm,660Nm/6000rpm
LP640に対し、出力+10HP,質量▲10kg(乾燥重量1655kg)。
0~100km/h 3.4 秒、最高速 340km/h はLP640と同じ。

 

■『レヴィントン』は、ランボルギーニのフラッグシップであるムルシエラゴLP640をベースとした20台限定生産車。

エクステリア・デザインがポイントで、F-22の機能美にインスパイアされたものだそうである。

うーむ、並行四辺形のエアインテークとか、ノーズからリアフェンダーに強く流れる稜線だとか、確かに『ラプター』風味がただよう。

かっこいいかどうかは好みの問題だけれど、わかりやすいデザインではある。

                         <2007.11.27 記>

Lp640_01
Lp640_02_2
■ランボルギーニ・ムルシエラゴ LP640■
この滑らかな美しさ・・・。
素性がいいから派生車の出来も良い。プライス約3500万円。

Photo
■ランボルギーニ : カリスマの神話
パッション・オート CG BOOKS 二玄社 (2006/01)

 
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■ランボルギーニ・ジャパンHP

■レスポンス記事「ランボルギーニ レヴェントン と戦闘機、どちらが速い?」

■大石英司さんの代替空港にT/Bします。

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2007年10月26日 (金)

■300km/hの世界。NISSAN GT-R、「スーパーカー」であるということ。

GT-Rが帰ってきた、

という表現はあまり正しくないのかもしれない。

Gtr_fr
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■R35 GT-R。見かけ上はスカイラインらしさを感じるが・・・。

・ニュルブルクリンクを連続して7’30”台で走れること

・アウトバーンを300km/hでストレス無く走れること

・パワーウエイトレシオが4.0kg/ps以下であること

これが、GT-Rを「スーパーカー」として開発するに当たっての目標だったという。

そう、今回の「NISSAN GT-R」は「レースカー」であると同時に「スーパーカー」でもあることを目指して開発されたクルマなのだ。

■今、40歳前後のお父さんが幼い頃にあこがれた「スーパーカー」。

カウンタックLP400、フェラーリ512BB、ポルシェ911。

それは単に時速300kmを出せる速さだけではなく、貴族的なオーラをまとったクルマ達であった。

イタリア貴族、ドイツ王侯貴族と、その纏っている雰囲気の違いはあれども、歴史・伝統という強い背景をもって初めて、その貴族的オーラというものは立ちあわられてくるものなのだと思う。

■その意味で、NISSAN GT-Rは、もはやスカイラインGT-Rでは無い。

GTカーとして常に勝ち続けることを求められたスカイラインGT-Rは、確かにレースカーとしての歴史と伝統を背負ってきた。

だが、いみじくも「羊の皮をかぶった狼」とジャーナリスト・三本和彦さんが名づけたとおり、ベースとなる大衆車・スカイラインをチューン・アップしたレースカーであり続けたことも、また事実である。

■NISSAN GT-Rは文字通り日産のフラッグシップであり、「技術の日産」という歴史・財産を深く世界に想い起させるという使命を持っている。その為には、胸を張ってイタリア、ドイツの貴族たちと渡り合えるクルマでなければならない。

そして開発リーダーとして水野和敏さんが選ばれた。これほどの適任者は他にいないであろう。

R91cp
■R91CP カルソニック日産(ドライバー・星野一義)

■1990年前後、日産のグループC(プロトタイプカー耐久)のクルマは鬼のように強かった。

90年から92年まで3年連続でJSPCチャンピオン獲得。90年のル・マンでは日本車初のポールポジションを獲得。そして92年のデイトナ24時間レースでは圧倒的な強さを見せつけて日本車初の総合優勝を果たした。

ポルシェ、ジャガー、メルセデスといった欧州貴族どもの鼻をあかしたのが、その時代のNISMOの監督、水野和敏さんなのである。

■当時、日産のCカーは「乗りやすい」という話を何度か耳にした。800psの大出力のクルマの割りにピーキーな特性ではなく、とても安定した走行が出来るというのだ。

路面に吸い付く空力特性、車両の動的な重量バランス。そういった当時のCカーで培われた水野和敏さんの設計思想、手法が「スカイライン」という枠に捉われることなく、今回のGT-Rに投入された、というわけである。

■エンジンのフロントミッド配置、独立型トランスアクスル化と低重心化による理想の重量バランス。

走る、曲がる、止まる。

日産が「フラットライド・スポーツ」と呼ぶその走りは、その根本的な部分から「理想」に向けてスタートしている。

空力特性や電子制御4WDとVDCの協調制御や軽量化も重要なポイントだが、その立脚するところに「妥協を許さない理想主義」があったからこそ、それらの技術が光り輝いてくるのだ。

■ライバルは、ポルシェ911ターボ、BMW M6、ランボルギーニ・ガヤルド、フェラーリF430 といった500PS、2000万円クラスのクルマたちだろうか。

パワーウエイト・レシオこそ、これらのクルマの後塵を拝するが、トータルでのバランスでは「勝っている」と、誇り高き日本人として信じたい。

これら貴族のスポーツカーの乗り比べなんて夢のまた夢である小市民には、それを体感する機会がおとずれることは無いけれど、これから雑誌記事などを読んでは夢想に耽るのだろう。

■明日から東京モータショーの一般公開。

各社、環境にやさしいクルマを前面に推しだしている中で、GT-Rのもたらす「興奮」はひと際目立った存在である。

いつだって、スーパーカーは男たちを興奮させるのだ。

Gtr_meter
■MAXが340km/h、トップに280km/hと刻まれた挑発的なスピードメーター。サーキットでのみリミッターが解除されるらしい。200km/hと300km/hでは感じる世界が全く違うというが・・・。

                           <2007.10.26 記>

■関連記事■
■【ひつじの本棚】『スカイラインとともに』、櫻井眞一郎かく語りき。

  
■NISSAN GT-R 公式HP
■赤のGT-Rがカッコイイと思う!やっぱ、スーパーカーは赤でしょ。

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2007年10月 9日 (火)

■BMW 1シリーズ・クーペ。そのショルダーラインにシビれる。

■遅まきながら、BMW1シリーズのクーペが公開されていることに気がついた。

Photo
Bmw1
■欧州での発売開始は11月。はたして東京モーターショーでその姿を拝むことができるだろうか。欧州仕様では直6 3.0L高圧直噴 TWINターボ 306PSも搭載されるらしい。

■フロントのホイールアーチからリアコンビランプまで真っ直ぐ伸びるピシリとしたショルダーライン。そのラインの上側の面がしっかりしていて非常に気持ちいい。その、どことなくノスタルジックカーをほうふつとさせる造形に惚れぼれしてしまう。

またクーペ化にともないトランクが追加されることで、シルエットにのびやかさが出た。変則的なハッチバックのシルエットに対し、BMWらしい落ち着きが感じられる。

Bmw_1_5dr_
■5Dr HB。全長4240、全幅1750、全高1430。直6エンジンを搭載するためのロングノーズが目立つ。これはこれで面白いカタチである。

Bmw_1
■クーペ。全長4360(+120)、全幅1748、全高1408(▲20)。

■というわけで、1シリーズ・クーペのスタイリングにシビれてしまったのだけれども、実際購入対象になるかというと、とうてい家族もちのクルマにはなりえず、かといってうちの経済レベルでは300万円もするセカンドカーを持つ余裕も無い。

まあ、せいぜい高速で自分のクルマを追い抜いていく姿を眺めて楽しむくらいなのだが・・・。

306ps30l6twin_t_c_dig
■うーむ、これにアルファロメオの顔をつけると完璧だ(笑)。

                         <2007.10.09 記>

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2007年10月 4日 (木)

■新型 日産スカイラインクーペ 「スポーツカーに乗ろうと思う」、再び。

新型スカイラインクーペがデビューした。

Dsv36_skyline_coupe_side
■NISSAN SKYLINE COUPE 公式サイトより(何だか往年のZ32フェアレディZの「スポーツカーに乗ろうと思う。」というCMを想いおこさせる写真である。)

■前型V36スカイライン・クーペよりも、さらに美しくなったと思う。

特に、後方に向かって気持ちよく抜けていくリアフェンダーまわりの造形に「スカイラインらしさ」を感じる。

V36_skyline_coupe_2

■また、フロントまわりの造形も抑揚が強くなり、Type Sのバンパー仕様と併せるとフェラーリチックな雰囲気すら漂う。

フェラーリはちょっと言い過ぎかもしれないが(笑)、写真で受ける印象よりも実際のクルマの方がカッコイイというのは偽らざる感想である。

■このフロントまわりのデザインを可能にしたのは、「ポップアップエンジンフード」という歩行者頭部保護のための技術である。普通のクルマはボンネットとエンジンの間に空間を大きく取って、歩行者を跳ねたときにボンネットに当たる頭部への衝撃を吸収している。

それに対して「ポップアップエンジンフード」は歩行者とぶつかった瞬間にボンネットを跳ね上げて頭部の勢いを受け止めるというシステム。エンジンに対してボンネットの位置を低くすることが出来るのでデザインの自由度が増すというわけである。

これは1000万円を越えるジャガーXK(2005年デビュー)以来、世界で二番目(たぶん)、国内初のシステムである(私が知っている限りでは)。

■また、エンジンもポイントだ。

クーペに搭載されるエンジンはVQ37VHR。セダンのVQ35HRに対し、ストロークを延ばして3.7L化。さらにバルブタイミングとバルブハイトを連続的に変化させるVVEL(Variable Valve Event & Lift )を採用することで、333PS/7000rpm、37.0kgm/7000rpmを叩き出す。さらに燃費(*1)も9.3km/l(Type P)とセダンとほぼ同等であり、VVELの威力恐るべし。なのである。(*1)10・15モード燃費

アクセルに対するレスポンスもかなり良いらしい。が、Type Sの燃費は8.9km/lであり、あくまでも憶測だが、Type PとType SでVVELと5ATの制御を使い分けている可能性がある。試乗記事を読むときには仕様をしっかり確認しておいた方が良いかもしれない。

■「スポーツカー」と呼べるデザインと性能を身につけた新型スカイラインクーペ。

10月26日に開幕する東京モーターショーでデビュー予定の「GT-R」に向け、気分は徐々に盛り上がっていく。

Photo
■V36 スカイライン クーペ (V36 スカイライン 公式ブログより)   

                          <2007.10.03 記>

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■関連記事■
■【ひつじの本棚】『スカイラインとともに』、櫻井眞一郎かく語りき。
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_5ee2.html

     
■V36 スカイライン クーペ 公式サイト
http://www.nissan.co.jp/SKYLINE/V36/0710/index.html

■V36 スカイライン 公式ブログ
http://blog.nissan.co.jp/SKYLINE/

   
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■「NISSAN GT-R」の発売は12月の予定で、価格は700万円台後半から。(・・・だそうです。)

Photo
■GT-Rオフィシャルサイトより。

Photo_3
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2007年9月28日 (金)

■ホンダ NEW フィット。『深化』したコンセプト。広くて、速くて、経済的。

10月中旬デビューといわれる新型フィット<FIT>の姿が明らかになってきた。

07_side

■特徴は3つ。

①ワンモーション(流れるような凹みのない)デザイン。

②広い室内、広い荷室。

③高出力、低燃費エンジン。

■ホンダが「スーパーフォワーディングフォルム」と呼ぶ流れるようなエクステリアデザインは、前面ガラス下端を120mm前方に出すことで実現しているのだという。

現行型で「昆虫の眼」のように突き出していたヘッドランプの出っ張りもなくなり、スムースなカタチが気持ちいい。

乗ってみればミニバンのような開放感を味わえるだろう。狭い路地での取り回し(「見切り」の悪さ)がチョット気になるが、まぁこれも乗ってみなけりゃ分からないことである。

■前面ガラスが前方へ拡がって開放感が出ただけではない。実際の居室スペースも、ホイールベースが50mm拡大された分、そのまま広くなっている。

ホイールベースが延びた分、全長も55mm大きくなっているが3900mmなら許容範囲だろう。(技術的にいうと、歩行者保護対応でフロントのバンパーを50mm程度延ばす必要があったはずなので、実は頑張った寸法なのである。)

また、荷室スペースも拡大している。現行型の最大の特徴であった燃料タンクの真ん中配置を踏襲し、さらに思い切ってスペアタイヤを廃止(※)することで、圧倒的に大きく深いラゲッジスペースを確保している。

※パンク修理剤で代替のようである。事故ってホイールまでいっちゃたら動けなくなるが・・・。スペアタイヤのオプション設定があるかどうかは不明。構造的に出来ないようになっているとしたら、いかにもホンダらしい思い切りの良さだ。

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■(左)新型フィット、(右)01年型フィット

■エンジンは今回も頑張っている。

1.3Lではツインプラグで他社の追従を許さない24km/lを達成していたが、あっさりとそれを捨て去り、4バルブ化、i-VTEC化をおこなった。

低負荷時には吸気弁の片方を閉じることで、24km/lの燃費はそのままで出力は100ps(現86ps)、13.0kg・m(現12.1kg・m)と大幅に向上した。これは1.4Lエンジン並の出力である。

さすが、エンジンのホンダ!素晴らしい。

■1.5Lもバルブタイミングとリフト両方を切り替えることで、120ps(現110ps)、14.8kg・m(現14.6kg・m)と高出力化を図りつつ、日産NOTE(1.5L、109ps、15.1kg・m)の燃費19.4km/lを上回る19.6km/lを達成している。

なお、1.5LのグレードはRS一本に絞られた。’RS’は、レーシング・スペシャルではなくてロードセイリング。足回りはRS専用だが、ガチガチではなく、「あたかも道路を帆走するように堂々と、ゆったりと、遠くへ」というコンセプトなのだそうだ。

とはいえ、現行車で気になった電動パワステの「ゆるい」感じは解消されたようなので乗り味の素性は良さそうだ。

■現行型のデビューは2001年6月。6年も前のモデルで月7000台コンスタントに売れ続けたのだから凄いものである。

オデッセイ、ステップワゴンと、成功したあとのモデルでの「イマイチ」が続くホンダだが、今回ばかりは失敗は許されない。随所にそういう気迫を感じる新型フィットなのであった。

                            <2007.09.28 記>

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2007年9月22日 (土)

■ もくじ ■ 自動車よもやま話

■■■ INDEX ■■■
クルマに関する記事の一覧です。
※リンク切れ等、不具合がありましたら、コメントをいただけると助かります。

■■■ 2009年 ■■■

■■■ 5月 ■■■

■3代目新型プリウス発売開始。’孤高’から’フツウ’への転換を象徴する215/45R17タイヤ。
【最新記事】

■■■ 2月 ■■■

■NHKスペシャル アメリカ発 世界自動車危機。’銭カネ’ばかりのこの世の中を一発ギャフンといわせてやれよ!

■■■ 2008年 ■■■

■■■ 11月 ■■■

■トヨタ iQ。未来を拓く「天才タマゴ」、再び。

■新型・日産 ムラーノ。「二代目の苦悩」を振り切る勇気。

■■■ 10月 ■■■

■■■ 9月 ■■■

■ミニバン夏の陣。

■■■ 8月 ■■■

■■■ 7月 ■■■

■マツダ ビアンテ。「枠」をはみ出すマツダの勢い。

■アルファロメオ MiTo(ミート)。ベビーアルファにその価格を乗り越える色気はあるか。

■■■ 6月 ■■■

■東海大学ル・マンプロジェクト。今、サルテが熱いぜ!

■新型 ティアナ。和風モダンな「OMOTENASHI(おもてなし)」。

■■■ 5月 ■■■

■ホンダ・フリード、FREED。その名の通り「コンパクト」の枠に囚われない画期的商品。

■新型アルファード/ヴェルファイア。外見も中身もルックスは絶品。

■■■ 4月 ■■■

■MINI ・クラブマン。ノスタルジーに日和らない強さ。

■■■ 3月 ■■■

■新型クラウン。「超えてゆく、ブランド。」 クルマにおけるブランド・アイデンティティの在り方。

■■■ 2月 ■■■

■Audi A5。流麗、「すぅー」と流れる感じが気持ちイイ。

■■■ 1月 ■■■

■■■ 2007年 ■■■

■■■ 12月 ■■■

■新型フォレスター。スバルよ、それでいいのか?

■もっと、自由にやっていい。『爆笑問題のニッポンの教養』 環境工学(電気自動車・ELIICA開発)、清水浩。

 
■■■ 11月 ■■■

■ランボルギーニ・レヴェントン、トーネードとの一騎討ち。

    
■■■ 10月 ■■■

■300km/hの世界。NISSAN GT-R、「スーパーカー」であるということ。

■BMW 1シリーズ・クーペ。そのショルダーラインにシビれる。

■新型スカイライン クーペ デビュー。「スポーツカーに乗ろうと思う」、再び。

    
■■■ 9月 ■■■

■ホンダ NEW フィット。『深化』したコンセプト。広くて、速くて、経済的。

■新型マツダ デミオ。カッコ良ければ、それでいいじゃないか。

■トヨタ マークX Zio ジオ。柳の下にドジョウは二匹いるのか?

  
■■■ 8月 ■■■

■『スカイラインとともに』、櫻井眞一郎かく語りき。

■新型 マツダ6/アテンザ そのデザインに葛藤はあったか?

  
■■■ 7月 ■■■

■インパクトのあるCMと、しみじみ伝わるCMと。(日産デュアリス)

■日産 『デュアリス』 欧州発、「足のいいヤツ」。

■新型 『ノア・NOAH/ヴォクシー・VOXY』 一部、こっそり3ナンバー。

  
■■■ 6月 ■■■

■ 新型 NEW BMW X5 。3列シートの追加で失ったものとは?

■ ディーゼル車は日本に根付くのか?

■メルセデス・ベンツ NEW Cクラスに惚れぼれ。

  
■■■ 5月 ■■■

■ レクサス LS600h トヨタ、『信念』の結晶。

■『クライスラー売却』 ハゲタカは救世主たりうるのか?

■ 新型 『エクストレイル』 「変えないこと」で根付くブランド力。

  
■■■ 4月 ■■■

■マツダ セカンドライフで『葉風』をプロモーション。

   

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2007年9月11日 (火)

■新型マツダ デミオ。カッコ良ければ、それでいいじゃないか。

7月の初めにデビューしたマツダ・デミオ。

随分と大きく変身したものである。(2ヶ月落ちの記事になってしまった・・・。)

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07_
■新型 デミオ(2007年7月5日デビュー)

Photo 
■旧型デミオ(2002年8月デビュー)

■見るからに「スポーティー」で『カッコ良い』デザインとなった。

「マツダは『スポーティーな楽しさ』で行くのだ!」という心意気が滲み出ているデザインである。とても潔い。

旧型デミオに対して、全高を55mm低くくしている。

全高1475mm。これは、ヴィッツ、フィット、マーチといった競合車に対しても、やはり50mm程度低い数値であり、頭上空間には多少目をつぶっても、低く構えた「カッコ良さ」をとろう、ということだろう。

1695mmに拡大された全幅や、競合車より100mm程度大きい全長を含めて、『デザイン命!』という強い意志を感じる車両寸法であり、それは見事に成功をおさめている。

■技術的なハイライトは、『100kgの軽量化』と『ミラーサイクル・エンジンによる低燃費』である。

だが、『100kgの軽量化』については、「前型車が重たいクルマだった」というオチであり、やっと競合車並(1000kg)に追いつきました、というのが実際のところである。(少し厳しいか?)

■さて、鳴り物入りで登場した『ミラーサイクル・エンジン』(1.3L ZJ-VEM)。

10・15モード燃費 23.0km/l。CVTとの組み合わせでの燃費の良さが売りである。

19km/l程度のヴィッツ(1.3L CVT)やマーチ(1.2L 4AT)と比べれば素晴らしい値だが、モデル末期のフィット(1.3L CVT)24.0km/lの後塵を拝してしまっている。

フィットは、ツインプラグによる高効率化を実現しているのだ。

カタログ・スペックが全てでは無いけれど・・・、残念。

■要するに、「技術的には競合車に追いついた。あとは、見た目で勝負!」というところか。

そういう『一点突破型』の商品は、結構好きである。何より分かりやすいのがいい。

そこそこの性能でも、多少室内が狭くてもいいじゃないか。

ものごと、割りきりが大切である。

                        <2007.09.11 記>

■新型デミオのすべて (ニューモデル速報)

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『ミラーサイクル・エンジン』の解説もあります。

 
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2007年9月 5日 (水)

■トヨタ マークX Zio ジオ。柳の下にドジョウは二匹いるのか?

■9月26日にトヨタから新しいクルマが発売される。

’X-Seater’ マークX Zio(ジオ)である。

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■マークⅡ ワゴンも、日産ステージアも、いまや月産200台くらい。アコードワゴンも100台くらいしか売れていない。

Lクラスワゴンは、レガシイの1人勝ち。

といっても2~3000台/月程度。

要するに、Lクラスワゴンのお客さんは、すっかりミニバンに移行してしまって、そこに市場は無くなってしまっているのだ。

(レガシイは、断固たる継続性による強固なブランド力と2.0Lの廉価版設定で売れている。きっとレガシイは、このまま生き続けることだろう。それもストイックで、いい感じである。)

■さて、魚の居ないところに竿を出すほど自動車会社は暇ではない。トヨタはマークⅡワゴンを切り捨てて「オデッセイ」がひとり棲む「Lクラス低床3列」に打って出た。

「そろそろ『普通のミニバン』にも飽きてきた」、というところか。

だが、オデッセイの販売台数もそれ程大きいわけではなく月産2~3000台そこそこ。

5000台売れるのが当たり前のミニバン市場では、決して成功しているとは言えない。

けれど先駆者ホンダ ストリームに対してトヨタがウイッシュを投入して、市場が拡大した例もある。

今度も二匹目のドジョウはいるのか、はたまた!?

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                     <2007.09.05 記>

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2007年8月31日 (金)

■【ひつじの本棚】『スカイラインとともに』、櫻井眞一郎かく語りき。

今年はスカイライン生誕50周年なのだそうだ。
スカイラインといえば櫻井眞一郎さん、なのである。

Photo
■『スカイラインとともに (わが人生 (2))』
櫻井眞一郎 著 神奈川新聞社 (2006年6月)
<Amazon評価> ★★★★★(レヴュー数 2件)

■神奈川新聞で連載されていた「わが人生」を単行本化したものだそうで、とても読みやすい構成になっている。

もちろん内容はスカイラインのことが大半を占めている。1957年に完成した初代スカイライン(ALSI型)から、1981年の6代目スカイライン(R30型、いわゆる「ニューマン・スカイライン」)まで、櫻井さんが開発に打ち込んだ情熱がビシビシと伝わってくる本である。

■日産と合併する前のプリンス自動車は中島飛行機と立川飛行機の流れをくむ会社で、「中島」のエンジン技術はピカイチだが、クルマの技術に関しては暗中模索の状況だったようだ。

そのような状況の中で、櫻井さんは上司に励まされつつ独力でサスペンションの技術を磨き上げていったのだ。

■自動車に限らず機械設計の技術者だったら、うーむと唸る言葉が、あちらこちらに散りばめられている。

エンジンの神様、中川良一さん曰く、

「開発に必要なのはクオンタム・ジャンプ(発想の跳躍)だ。大胆に跳べ。」

「おれも失敗を数え切れないほどやってきた。駄目だから元に戻すというのでは、いつまでも進歩しない。元に戻すというようなやり方はするな。櫻井が正しいと思う通りにやれ。」

そうして、板バネや防振ゴムと格闘し、検討と実験を重ねていき技術を積み上げていったのだ。他社の猿マネでは技術は育たない。

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■初代プリンス スカイライン(ALSI-1) ■2代目プリンス スカイライン(S50)

■1966年。プリンスと日産が合併する。

当時、櫻井さんが開発していたC10型スカイラインは、日産の510ブルーバードと競合してしまうが、「出来るだけ共用部品を増やして、別々のクルマにしよう」ということでなんとか生き残る。

この場面での、自らの技術力に対する櫻井さんの絶対的な自信は素晴らしい。理想が高く、信念を持った人でなければこうはいかない。

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■3代目 日産 スカイライン C10型(いわゆるハコスカ)
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■日産 ブルーバード 510型 【日産ミュージアム】より

■合併後、プリンス系の櫻井さんたちは、「売れる」クルマを作ろうとする日産側と、「『スカイライン』というクルマが持つ哲学、情」といったものを大切にしたい気持ちとの板ばさみに合う。

結果、4代目「ケンメリ」は「羊の皮をかぶった狼」ならぬ、ただの羊になってしまった。と切り捨てる。5代目の「ジャパン」での抵抗も中途半端だった、と悔しがる。

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■4代目C110型スカイライン「ケンメリ」・5代目C210型スカイライン「ジャパン」
「ケンメリ」は、「ダルマ」セリカと並んで小学生の頃の憧れのクルマだった。

■そして、開発をまとめる立場に立った6代目「(ポール・)ニューマン スカイライン」で、「本来」のスカイラインに回帰することを目指す。

その時の開発陣内でのベクトル合わせのやり方が、身震いする程かっこいい。

『作りたいのは、こういうクルマだ!』と上から伝えるのではなく、まず自分のイメージをドラマ仕立てで作っておいて、開発メンバーに対して語りかける。

それに対してメンバーそれぞれが、役職も肩書きも関係なく、自由闊達に「スカイライン」のイメージについて討論する。そうすると、あたかもオーケストラのように、それぞれの想いが共鳴していく。

製品の開発は、コストを制約とした異なる性能の凌ぎあいとなる場合が多い。そうしたときに「こういう商品をつくるのだ」というイメージが開発メンバーで共有されていると、向かうべき方向が分かっているので話が早い。

このベクトル合わせが、なかなか上手くいかないのである。やはり、櫻井さん自身の人徳によるところが大きいのだろう。

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■6代目 R30型スカイライン 「ニューマン・スカイライン」
親父がR30を買ったときの嬉しそうな顔を思い出す。

■実際の販売台数では、「大衆迎合」の4代目、5代目は大成功で、むしろ、「所有する人がそのクルマに『愛』を感じる」という「スカイライン」らしさを取り戻した6代目で、売上は半減する。

商売というのは難しいものである。

■その後、櫻井さんの「魂」は、サスペンション設計部を中心に引き継がれ、「90年には世界一のクルマを」という901活動を生み、R32スカイラインGT-Rを代表とした技術的頂点を極める。

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■8代目 R32型スカイラインGT-R

■だが、その後日産は長い低迷を迎えることになる。

ゴーンさんのマネジメントで財政的には復活を果たした日産自動車。だが、残念ながら「売れる」商品がなかなか産み出せずに苦しんでいる。

愛を求めるお客に向けた「魂」のこもったクルマを創るのか、市場分析による「大衆迎合」で商品像を組み立てていくのか。

私見を述べるのであれば、それぞれのクルマには役割があって、スカイラインは前者である続けるべきクルマなのだと思う。

■櫻井さんが最前線にいた時代から20年。北米に市場を広げることでスカイラインは何とか生き延びてきた。

この秋発表の新型スカイラインクーペは、バルブコントロール機構「VVEL」を搭載するなど、なんだか「スカイライン」らしい匂いも漂ってくる。「スカイライン」と呼ぶかどうか分からないがGT-Rも大進化を遂げて復活するらしい。

さて、ミスター・スカイライン櫻井眞一郎さんは、いまのスカイラインに対してどういう思いを抱いているのだろうか?

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■12代目 V36型スカイライン セダン/クーペ。

                         <2007.08.31 記> 

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■『スカイラインとともに (わが人生 (2))』
櫻井眞一郎 著 神奈川新聞社 (2006年6月)
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■何故か絶版。古本は結構出ているようです。

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2007年8月10日 (金)

■新型 マツダ6/アテンザ そのデザインに葛藤はあったか?

新型マツダ6/アテンザが、

9月のフランクフルトでデビューする。

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フロントヴューのみの公開だけれど、いかにもスポーティ。

ボンネットの両端を持ち上げてAピラーへ流れるライン。

フェンダーを低く、段付きにすることで

歩行者保護の対象エリアから外す手法。

歩行者保護の頭部打撃要件を満たしながら

スポーティーなデザインを演出する、

これがひとつのデザイントレンドになりそうだ。

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■よく見りゃデミオも同じやりかた。 

でも、この設計思想って

歩行者を撥ねた時にボンネットで受け止めるエリアを減らして

フェンダーですべって直接地面に頭が当たる確率を増やしている

ような気がするのだが・・・。

マツダのデザイナーにそういう葛藤はあったのだろうか?

悩ましい問題ではあるけれど・・・。

                     <2007.08.10 記>

   

■Motor Fan illustrated VOL.9―図解・自動車のテクノロジー (9)
特集:ITS/プロダクション・デザイン/図解ランボルギーニ カウンタック 
■「カーデザイン」を敢えて「プロダクション・デザイン」と呼ぶコダワリ。
デザインの特集は、なかなか深く掘り下げられていて楽しめた。

 
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2007年7月10日 (火)

■インパクトのあるCMと、しみじみ伝わるCMと。

パワードスーツが登場する日産デュアリスのCMが、どうも腑に落ちない。

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■<新車イベント>押切もえとパワードスーツ・・・。

「デュアリスがパワードスーツに変形して渋滞の街を駆け抜ける」という、あのCMだ。

「ドライバーが意のままにクルマを操ることが出来る楽しさを」主張したいのだろうけれども、何だかどこかでズレている。全然こころを揺さぶらない。

CM自体が感情移入を拒絶していて「入り込めない」のだ。見る者が客観的になってしまっては「良く出来たCGだなぁ」という「アタマの理解」までで終ってしまう。それでは「意のままにクルマを操るドキドキ感が見ている者の胸に込み上げる」なんて、逆立ちしてもあり得ない。

たぶん「物語」の欠如に問題があるのだろう。見ている者が共感する対象となる「主人公」の存在感が希薄なのだ。

それはセレナを除く、最近の日産の「オシャレ」なCM全般に言えることかもしれない。

「センス」はいいのだけれど、それが心を揺さぶって「欲しい!」に、なかなかつながらないのだ。そういうところは、人気の役者をどんどん起用して、それなりのドラマ仕立てで見るものを引き込むトヨタのCMの方が数段上手である。

          
パワードスーツのデザインは「マクロス」で名を馳せたスタジオぬえの河森正治。そこまでこだわるのであればCM自体にもトコトンこだわり、監督を押井守に頼むなりして『味わい深い大人の物語』を創り上げるくらいの気合いが欲しかった。CMについては次回作に期待!
Photo_161 Photo_159
<参考>攻殻機動隊 Production I・G×NISSAN SPORTS CONCEPT 2006
http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2006/_STORY/060804-01-j.html

                        <2007.07.08 記>

■日産デュアリスのすべて

 
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■日産 『デュアリス』 欧州発、「足のいいヤツ」。

日産 デュアリス/DUALIS (欧州名 キャシュカイ)が好調な売れ行きのようだ。日産の公式発表によると、5月中旬の発売開始から1カ月半で1万台の発注を受けているらしい。

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■デュアリス ( 欧州名 キャシュカイ < QASHQAI >) は、英国日産製の輸入車である。かつて同じように英国生産で輸入されていたP10プリメーラ 5ドアハッチバックという知る人ぞ知るマニアックな車があったが、今回は、ちゃんと宣伝してもらってメジャーな道を歩めそうである。
P10_5dr_1

■今さらプリメーラを持ち出してきたのには理由がある。このデュアリスというクルマはSUVのエクストレイルと比較されがちだし、実際プラットフォームを共用する兄弟のようなものなのだが、クルマとしてのその性格はどちらかというと5ドアハッチバックに近いと思われるのだ。

約4.3mと切り詰められた全長と、
約1.6mに抑えられた全高。

車両寸法的なポジショニングも、大雑把にいえば、エクストレイルとVWゴルフの中間に位置する。(記事末尾の諸元比較参照。)

■どうやら、試乗記事などを見ると運動性能もかなりよろしいようである。コーナリング時のロールが少なく、それでいて足を固めたクルマにありがちなゴツゴツ感が無いらしい。

「エンジン以上に驚いたのが乗り心地である。ヨーロッパ域内の高い走行速度に対応すべく、減衰力をキッチリ確保してあるハズなのだけれど(実際コーナーでのロールなどSUVとしては少ない)、全く「硬さ」を感じないのだ。このあたり、ベンツやBMWと共通する乗り味。」 
'All About クルマ・バイク’試乗記事(国沢光宏 氏)より抜粋
http://allabout.co.jp/auto/japanesecar/closeup/CU20070228A/index2.htm

キモはザックス社(ドイツの名門企業・・・らしい)と共同開発したダンパーにあるようだ。リバウンドスプリングを内蔵することでコーナリング時に内側のタイヤが伸びるのを制してロールを抑える。またダンパー自体も「ハイスピード・ダンピングコントロール・ショックアブソーバー」という名のとおり、ガタガタ道も上手にいなす高性能のもののようである。

Photo_151
■リア・サスペンションはマルチリンクと、これまた結構奢っている。

■サイドから見たシルエットも、前後のオーバーハングを詰めたわりにアプローチアングルはさほど大きく取らず、5ドアハッチバックに下駄を履かせたような印象だ。サイドウインドウ後端の切れ上がりはムラーノ譲り。
Side

■4WDシステムは、8月デビューの新型エクストレイルに設定される進化型ではなく、現行エクストレイルと同じタイプ。オンロード重視のこのクルマではこれで十分過ぎるくらいだろう。

むしろ、お金をかけるなら4WDの走破性よりも見た目を重視して、ガラスルーフと17インチタイヤが付く上位グレードの20G 2WDを選ぶ方が自然かもしれない。
Photo_155
Photo_156

■日産にしては珍しく好調なデュアリスではあるが、「新車効果」が半年もたなかったりするこのご時勢、さてはていつまで好調を持続できるかが問題だ。

それはエクストレイルのような強い個性を定着させることが出来るかどうかにかかっている。
                      
                        <2007.07.08 記>

■日産デュアリスのすべて
   

■関連記事■
■インパクトのあるCMと、しみじみ伝わるCMと。
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_58ec.html

 
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■デュアリス公式サイト
http://www2.nissan.co.jp/DUALIS/J10/0705/index.html

■<参考>新型エクストレイル X-TRAIL の事前公開サイト
特に、「オールモード4×4-i 」の解説が分かりやすい。

http://www2.nissan.co.jp/X-TRAIL/NEW/top.html

 
■車両諸元比較 (2WD)

          DUALIS 20G   X-TRAIL X  RAV4 G Golf GLi
                       新型8月発売  
全長       4315mm     4455mm     4335mm  4205mm
                               (4630mm)
全幅      1780mm     1765mm     1815mm  1760mm
                               (1785mm)
全高     1615mm     1675mm  1685mm  1520mm
                               (1685mm)
W/B    2630mm     2625mm    2560mm   2575mm
                               (2630mm) 
車両重量  1420kg       1350kg      1460kg    1380kg
最小回転半径 5.3m     5.3m          5.1m       5.0m
タイヤ 215/60R17 215/65R16 225/65R17 195/65R15   
        <S: 215/65R16>
   
エンジン   直4 2.0L   直4 2.0L   直4 2.4L 直4 2.0L
最高出力   137ps      150ps       170ps      150ps
最大トルク  20.4kgm  20.4kgm      22.8kgm   20.4kgm
トランスミッション  CVT        CVT         CVT          6AT
燃費(10・15) 14.2km/l  13.2km/l  13.4km/l  12.0km/l
燃料タンク容量  65L       60L           60L        55L
                  レギュラー レギュラー   レギュラー  ハイオク
   
サスペンション
フロント     ストラット      ストラット      ストラット     ストラット
リア     マルチリンク  パラレル     ダブル   4リンク
                     ウィシュボーン
車両価格 222.0万円 222.6万円  216.3万円  282万円
     <S:195.3万円> <S: 201.6万円> <X: 198.5万円>

■蛇足■デュアリス(欧州名 QASHQAI : キャシュカイ)は英国日産で生産される輸入車だから、今のポンド/ユーロ高で儲けが飛んでしまってるのでは?というのは、余計なお世話か。現地価格そのままだと最低グレードでも334万円(1ポンド=247.6円)になってしまうのだから『お買い得』という言い方もありカモ。
  

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2007年7月 2日 (月)

■新型 『ノア・NOAH/ヴォクシー・VOXY』 一部、こっそり3ナンバー。

新型 ノア/ヴォクシーが5年半振りにフルモデルチェンジをおこなった。

ノア・NOAH
07__02 07___02 

ヴォクシー・VOXY
07__6 07__7

■5ナンバーサイズ背高ミニバンとして、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンとの熾烈な販売競争を戦うモデルであり、モデル末期にも関わらず2年前に新型に切り替えたライバルに対して一歩も引かない販売台数を稼ぎ出してきた。そういう意味でトヨタにとって「失敗できない」モデルなのである。
<2007年5月販売台数>
ノア 4,012台、ヴォクシー 5,252台、
セレナ 4,502台、ステップワゴン 3,180台

ノア/ヴォクシーはいわゆる兄弟車。「家族のクルマ」ノアと、「父親のクルマ」ヴォクシー。ボンネットと前後のバンパー・ランプを作り変えることで上手くキャラクターの違いを演出している。

特にヴォクシーは、ザガード ステルビオを彷彿とさせるボンネットの盛り上がりが挑戦的だ。(上下2段分割ヘッドランプ風の「まゆ毛」は、どうかと思うが・・・)
Photo_137 オーテック ザガード ステルビオ

■さて、問題は車両全幅である。
このカテゴリーでは、頑なに5ナンバー枠が守られてきたのだが、ついにノア/ヴォクシーは新型で3ナンバー幅となっているのだ。しかも、205タイヤを履くトップグレードが1720mm、195タイヤのグレードは1695mmと作り分けているのだ。(密かにバンパー違いで全長も違うのだが・・・)

兄弟車というのはパーツを極力共用することで投資を削減するのが定石なのだが、その中のグレード違いで車体パネルを作り分けるいうのだから、トヨタの羽振りの良さは並大抵のことではない、ということか。

205タイヤを履かせて全幅1695mmを守ろうとすれば、タイヤ幅の分だけハンドルの切れ角が小さくなり、最小回転半径が大きくなってしまう。全幅を合わせるとすれば、3ナンバー幅の1720mm。

自動車税も排気量でしか区切らないのだから、全グレード3ナンバーで良さそうなものだけれども、まだまだ5ナンバーの心理的壁は厚いと判断したのだろう。

そもそも、税金と連動しなくなって分かりづらくなっている5ナンバーの定義自体が疑問なのだけれど。

■その他の特徴

■エンジン
新型エンジン(3ZR-FE)のハイライトは何といっても上級グレード(3ZR-FAE)に設定される(3ZR-FAE)吸気バルブリフト連続可変システム(VALVEMATIC)だろう。

これはBMWのバルブトロニックと類似の機構であり、吸排バルブタイミング制御との組み合わせで、低燃費と高出力の両立を図れる仕組みなのだ。
(低負荷時のポンピングロス低減による燃費の改善とカムハイトアップによる高出力化。:詳しくはMotor Fanイラストレーテッド vol.5 「エンジンの基礎知識と最新技術」を参照方)

2.0Lクラスの大衆車でそこまでやるか。という気もするが、そういうトヨタの環境に対する積極性は評価したい。

■Motor Fan イラストレーテッド vol.5
エンジンの基礎知識と最新技術
・VWゴルフGT TSI &BMWバルブトロニック
・F1エンジンの実像
 

■2列目シート回転モード
07_2nd2
2列目が回転できて、子供をチャイルドシートに乗せる時に母さん楽チン。という装備。

うーん。で、チャイルドシートの固定はどうするの?と思って取扱説明書を確認したら、やっぱりISO-FIX式チャイルドシートでないとダメで、トヨタ純正を買う羽目になりそう。

その点、2列目回転シートを選択する時は注意が必要。

■ワンタッチ式3rdシート跳ね上げ機構
片手でロック解除、自動跳ね上げというところが売りのようだが、シート跳ね上げをバネで助力してくれるセレナとそう大差は無いだろう。

それよりも、前型にはあった3列席のシートスライドが無くなっているところがイタイ。シートスライドか楽チン跳ね上げか、どっちを選べと言われたら、私はスライドを取るけれど・・・。

■多少、粗が気になるところもあるのだけれど、まあトヨタの販売力をもってすれば、バカスカ売れてしまうのだろう。7月の販売台数が楽しみである。

■新型ヴォクシー/ノアのすべて
(モーターファン別冊 ニューモデル速報)

 
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                        <2007.07.02 記>

■トヨタ ノア・NOAH 公式HP
http://toyota.jp/noah/index.html

■トヨタ ヴォクシー・VOXY 公式HP
http://toyota.jp/voxy/index.html

   
■競合車 諸元比較

<セレナ>  /  <ステップワゴン>

0702 05

'07 ノア Si <'05 セレナ 20RS > 〔'05 ステップワゴン G
('07 ノア G)

全長     4630mm     <4690mm>       〔4630mm
             (4595mm)
全幅     1720mm     <1695mm>   〔1695mm
      (1695mm
全高     1850mm      <1840mm>   〔1770mm〕 
W/B      2825mm      <2860mm>   〔2855mm
乗員        8人     < 8人 >     〔 8人 〕 
車両重量  1590kg      <1610kg >      〔1510kg
タイヤ    205/60R16  <195/65R15>  〔205/65R15
           (195/65R15)
最小回転半径 5.5m      <5.5 m>        〔 5.3m

エンジン  2.0L 直4     <2.0L 直4>      〔2.0L 直4
最高出力  158ps        <137ps>          〔155ps
       (143ps)
最大トルク
20.0kgm    <20.4kgm>     〔19.2kgm
               (19.8kgm)
トランスミッション  CVT       <CVT>          〔4AT
燃費         14.2km/l    <13.0km/l>  [13.2km/l]
(10.15モード) (13.4km/l)

サスペンション 
フロント    ストラット       ストラット>     〔ストラット〕 
リア   トーションビーム トーションビーム> 〔トーションビーム

     

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2007年6月21日 (木)

■ 新型 NEW BMW X5 。3列シートの追加で失ったものとは?

■BMW X5が7年ぶりのフルモデルチェンジを行い、6月21日から国内販売が開始された。

07new_x5

07_new_x5_rear_quoter

■エクステリアに関して、フォルムには大きな変化は無いが、旧型はどっしり腰の据わった「かたまり」感を演出していたのに対して、新型は「しっかり糊の効いたおろしたてのワイシャツ」のようなパリッとした清潔感があり、軽快に感じる。
折り目正しいサイドのキャラクターラインが気持ちいい。
これは最近の流行りかな。

<前型 X5>
Bmw_00_x5_front1 Bmw_00_x5_rear_quoter

■今回のフルモデルチェンジの大きな特徴は、車両サイズの拡大にある。
3rdシートをオプションで設定するために、ホイールベースが113mm延長され、全長も189mm大きくなった。

X5は北米で生産されており、メイン市場も、もちろん北米。
ちょっとカテゴリは異なるが、いわゆるクロスオーバーSUVといわれるジャンルで低床3列シートが流行り始め、
「X5にも3列席つけてよ。絶対売れるから」
なんて北米サイドから熱い要望があったに違いない。
(サッカー少年達を送り迎えするアメリカのママさんたちがX5を買うかどうかは、良く分からないけれども・・・。)
*北米の3列クロスオーバーは、なかなか目にする機会がないと思うので、画像を載せておきます。

■ Cadillac キャディラック 「SRX Crossover 」
Cadillac_srx_crossover

■ Ford フォード 「Freestyle フリースタイル」
Fordfreestyle

■ Chrysler クライスラー 「Pacifica パシフィカ」
Photo_126

■さて、3rdシートを追加してホイールベースを伸ばした結果が、最小回転半径6.7m。北米ならまだ良いのかもしれないが、日本で取りまわしするのには少しつらい。5.7mくらいがギリギリの線だろう。
まぁ、このクルマを買うお客さんは、路地や狭い駐車場には縁が無いのかもしれないが・・・。それにしても6.7mはでかすぎる。
07_new_x5_3rd_seat NEW X5 3rdシート

■ところで、旧型の乗り味は力強いが重くて硬いイメージだったが、新型はどうだろう。
人目を引くのは、ストラットからダブルウイッシュボーンに変わったフロントサスなのだろうが、【①連続可変でギア比を制御するアクティブ・ステアリングによる軽快なハンドリング】と、【②スタビライザーとダンパーを連続可変制御するアダプティブ・ドライブによるコーナリング時のロールの抑制と、しなやかな乗り心地の両立】。
この2点が目玉のようである。是非、一度オプション設定有りの仕様で乗ってみたいものである。
(Car Viewのレポートを参考にしてください)

■さらに特筆すべきは、
 
図体がデカくなったにも関わらず、
車両重量が、ほとんど変わらなかったところ。
 
これは技術屋として大いに拍手するところである。
通常、新しいモデルでは、衝突性能を向上させるために車体が重くなるのが定説で、開発が進むにつれ、どんどん重くなっていくクルマを、設計者は必死で軽量化し、おんなじサイズでおんなじ重さ、くらいのところになんとか抑えこむものなのだ。

一見地味ではあるけれども、『軽い』ということはクルマにとってとても重要で、加速、ブレーキ、ハンドリング、全ての運動性能に関わってくるのはもちろん、耐久信頼性や衝突性能そのものにも貢献するのだ。

さらに今回のX5の場合は、単なるサイズUPにとどまらず、ホイールベース拡大をしながらもアダプティブ・ドライブを支える高い車体剛性が求められたはずで、BMWの技術者には改めて惜しみない拍手を送ろう!パチ、パチ、パチ。
                                                 <2007.06.21 記>

Bmw_1
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■BMW X5 オフィシャルHP■
http://www.bmw.co.jp/jp/ja/index_highend.html

■参考記事■
CARVIEW 試乗レポート
http://www.carview.co.jp/magazine/special/2007/bmw_x5/default.asp

   
■おまけ■ BMW X5 諸元 新旧比較

              (国内高級SUVとしてハリアーハイブリッドとも比較した)
          
  '07 BMW X5 4.8i  <'04 X5 4.4i >  〔ハリアーHB
全長 =  4854 mm    <- 189mm>       〔- 99mm
全幅 =  1933 mm      <-   63mm>   〔- 88mm
全高 =  1766mm      <-   26mm>   〔- 76mm〕 
W/B =  2933mm      <- 113mm>   〔-218mm
乗員 =     5人(+2人)  <  5人  >    〔 5人 〕 
車両重量=2245kg      < -   5kg  >       〔-285kg
タイヤ=  255/55R18      <    >        〔235/55R18
最小回転半径= 6.4m    < 6.1 m >        〔 5.7 m

駆動方式=4WD    <4WD>    <HBモーター 4WD
エンジン=4.8L V8      <4.4L V8>  〔3.3L V6+(Fr&Rrモーター)
261kW  (355ps)         <333ps>     〔211+(167+68) ps
475Nm(48.5kgm)         <45.9kgm>  〔29.4+(34.0+13.3) kgm)
トランスミッション= 6速AT   < >     〔CVT

サスペンション 
フロント ダブルウイッシュボーン   ストラット      ストラット  
リア   インテグラル4リンク式           ストラット  

標準価格  963万円    934万円   462万円

・・・3.0si でも753万円だもんな。ちーと高いわな。

                  

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2007年6月 8日 (金)

■ ディーゼル車は日本に根付くのか?

■6月3日の報道特集で、最新のディーゼル車事情を紹介していた。
「今のディーゼルは非常にクリーンで燃費も良く、地球温暖化対策としてCO2削減のひとつのアプローチになるかもしれない。」というような論調であった。

■環境にやさしい、というとハイブリッドが真っ先に挙がるが、実は、ディーゼル車もガソリン車に比べ効率が30%良く、CO2排出量という意味でいうと、かなり「エコ」な車なのだ。

我々が知っている「汚い、臭い、うるさい」というイメージは既に過去のものであり、欧州で人気を伸ばしながら、着実に進歩を遂げたディーゼル車は、今では、かなりクリーンで静かなクルマになってきている。現在、欧州でのディーゼル比率は実に50%。パリでタクシーに乗れば、ほぼ間違いなくディーゼル車だ。

一度、旧型のBMW330ディーゼルを運転する機会があったのだが、実に静かで、低回転からゆったりと太いトルクが立ち上がり、スムースに加速していく。ガソリン車とは違う快感があり、生まれて初めてディーゼル車で感動というものを味わった。目からウロコとはこのことである。
(BMWの直6ユニットが素晴らしい、というところも多分にあるのだろうけれど・・・)

Ev6d V6d_e320cdi01
■ 写真は、メルセデス・ベンツ E320CDIと3.0L V6ディーゼルユニット

■さて、日本市場で乗用車ディーゼルを前面に押し出してきているのは、今のところメルセデス・ベンツだけ。他社は様子見、というところ。

09年から国内に導入される新排気規制では、ディーゼルの規制値はガソリンとほぼ同等のレベルという極めて厳しい基準になる。このハードルはかなり高い。

けれども、それに対して、ホンダを初めとする日本勢各社も、新規制をクリアできる技術を次々と発表している。難しいし、コストもちょっとかかりそうだけれども出来ないことは無い、というところだ。

だが、同じくディーゼル排気規制がかなり厳しい北米市場に投入する。という話は聞こえてきても、「国内へ」、という具体的な話はホンダにチラリとあるくらい。

日本でディーゼルが市民権を取り戻すことにかなり懐疑的なのだろう。

■昔、やっとのことで縁を切った性悪おんなが、「世間さまのあら波にもまれて、いい女になって帰って参りましたよ。」 なんて、今さら三つ指立てて帰ってこられても、正直、対応に困ってしまうのである。

過去の悪い印象を抱えるという大きなハンデを背負った悲しきディーゼル車。

嫌というほどトラックの黒煙を浴びせられて育ってきた我々の心のひだには、真っ黒な粒子状物質がしつこくこびりついていて離れない。そして、「ディーゼル」というコトバを聞くだけで、あのいやな臭いを思い出すのだ。決して理屈ではない。

E320CDIの売れ行きは、そこそこのようだが、ベンツの代紋の威力が強いのだろう。ホンダがオデッセイに2.2Lディーゼルターボを積んで市場に受け入れられるのか、ということだ。
果たしてディーゼルは日本に根付く日は来るのだろうか?

【 バイオディーゼルハイブリッド参上!! 】

くらいのインパクトが無いとなかなか上手くいかないと思うのだが・・・・。

                          <2007.06.08 記>

■日経Automotive Technology<2007 Winter>
『 新世代ディーゼルの実力 』
__14 新車の半数をディーゼル車が占める欧州に次いで、米国が有望市場として急浮上してきた。ガソリン車と同じ厳しい排ガス規制にもかかわらず、日欧自動車メーカーはディーゼル車の導入攻勢を強める。欧州のEuro4排ガス規制に比べてNOx(窒素酸化物)を84%削減しなければならない米国の規制をクリアすれば、日本市場での展開も視野に入ってくる。ガソリン車並みのクリーンさを目指して各社はエンジンや排ガスの後処理装置をどのように進化させていくのか。<紹介文より>
【Amazonで書評を見る】

  

■メルセデス・ベンツ ディーゼルエンジンの紹介サイト
メルセデス・ベンツHP
http://www.mercedes-benz.co.jp/ 
Mercedes-Benz Today (左下にある一覧)
 ディーゼルエンジン

 

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■メルセデス・ベンツ NEW Cクラスに惚れぼれ。

■Mercedes-Benz W204 新型Cクラスがカッコイイ。
特に、白のAVANTGARDE。

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■セダンはこうあって欲しい。と思う造形である。
現行のぬるりとした造形から、シャープなイメージに路線変更。
「目ん玉つながりのおまわりさん」を思い起こさせたヘッドランプも流行のきらきら光るダイナミックな3次元形状。

■どうだ!とばかりにグリルに鎮座するスリーポインテッド・スターは、「力」を感じさせる。歩行者保護対応で高くなってしまったボンネットは、この迫力グリルのおかげで浮き上がることもなく、全体にキレイに収まっている。ボンネットとフェンダーのパーティングラインもヘッドランプ後端からサイドウインドウ下端をキレイに結び、シャープなスピード感を強調する。 ショウモデルといえども、サイドパーティングでここまでキレイに線を出すのは工業技術的にすごいことなのだ。

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■そして、リアクォータがシビレルほどカッコイイ。
フロントのホイールからおとなしく始まるラインは微妙な弧を描きながら、徐々に力とスピードを増していき、リアコンビランプの先端で弾かれ、トランクデッキ後ろ端とバンパー上端に流れ込み、開放される。ダイナミックな流れが目に見えるようであり、さらに「シュパー」という音までも聞こえてきそうである。

■世のクルマがうねうねとした曲面を描き始めたのは90年代くらいからだったろうか、あの手の造形は個人的にしっくりこないのだ。
デザインルームで粘土を削りながらつくったオブジェでござい。この面の変化が面白いでしょ?なんていう匂いを感じてしまってダメなのだ。
クルマは薄い鉄板で出来ている(プラスチックの部分も増えては来たが)。鉄板には鉄板の良さがあるのだ。粘土で作り出されたオブジェに無理やり追従させられる鉄板がかわいそうである。鉄板のよさは、なだらかな面に蓄えられた緊張感であり、エッジのピシッとした潔さだと思う。

■その爽やかな力強さを見せ付ける新型Cクラスの日本導入は今年の初夏だそうである。セダンに500万円かけられるような上流の身分ではないのだが、こういう造形のクルマがこれからのトレンドの切っ掛けになってくれると、街行くクルマを眺めるときも気持ちが豊かになる。というと言い過ぎだろうか。

                       <2007.06.08 記>

■メルセデス・ベンツCクラスのすべて
(モーターファン別冊 ニューモデル速報)

Photo_127 ■メルセデスの魂
 
■All New C-Class HP
http://www.imagine-c.jp/index2.htm

 
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■■■DVD 「売れている順番」カテゴリー別■■■
■ 日本映画 ■
■ 外国映画 ■
■ アニメーション ■

■■■書籍 「売れている順番」カテゴリー別■■■
■ TVドラマ・映画 原作本ページ
■ 小説一般 ■
■ 歴史・時代小説 ■
■ミステリ・サスペンス■
    

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2007年5月20日 (日)

■ レクサス LS600h トヨタ、『信念』の結晶。

トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は17日のレクサス『LS600h』シリーズ発表の席上、1997年末から発売したハイブリッド車の世界累計販売が今月初めで100万台に達したことを明らかにした。
<2007/5/17 レスポンス記事>
Ls600h

■私はトヨタが嫌いである。

巨人、大鵬、たまご焼きというコトバは死語だけれども、そういった’主流派’というものが肌に合わないのだ。これは理屈ではないのでショーがない。

だが、ハイブリッドに対するトヨタのスタンスだけは、心から賞賛して已まない。

■1997年にプリウスが発表されてから10年が経つ。
新しい技術は、システムコストが高くつく上に、不具合が発生する確率も大きく、テストモデルとして少数生産から入るのが常道なのだが、プリウスは『次の時代を担う中核的乗用車は、かくあるべきだ。』という崇高な理想主義に基づく信念のもと、通常の量産車種として市場投入された。

そして、それなりにマスコミ、ジャーナリストには評価され、時代の先を行く’エコ’な人達の自己表現の手段として、それなりに売れ続けた。

が、売れば売るほど赤字がかさむハイブリッド。
そこに、どれだけ将来性があるのか?と、二の足を踏んだフランス人経営者もいたし、俺たちゃあ、現実的なミニマムシステムで行こう!と、お得意の独自路線を歩んだメーカーもある。

しかし10年の時を経て、今やプリウスは、しっかりと市場に定着している。
驚くべきことに、ミディアムクラスのセダンで一番売れている車の2倍も販売台数を稼いでいるのだ。
(年度末商戦で競争が厳しい3月度の販売台数で、シルフィー:3600台、プレミオ/アリオン:3550台/3200台、シビック:1650台に対し、プリウスは、6900台。4月度の実績でもトップのプレミオに対して2倍以上の3900台を売り上げている。)

これは、「ハイブリッドもありますよ。」という少し腰の引けたスタンスではなく、「エコを本気で考えるとこんな車になります!」と胸を張って独自ブランドを磨き続けたプリウスの『信念』の勝利である。結果、100万台を売り上げたハイブリッドシステムの部品コストも、かなり下がってきていることだろう。

『コスト高だから商売の見込みが立たない。』のではなく、『コスト高な現状から、どうやれば商売に出来るのか?』という創造的な「問い」を立てることが出来たのは、トヨタに強固な『信念』があるが故のことなのである。

■さて、その『信念』の頂点、レクサスLS600hである。
これはコンベンショナルなLS460(旧セルシオ)のハイブリッドモデルである・・・。
と、簡単に済ますような内容ではなく、トヨタが「高級車の理想を求めた」と言う通り、LS460の上位に位置する、レクサスのフラッグシップモデルと捉えたほうが良いだろう。

新開発のV8 5.0Lエンジンを、プリウスで進化させたTHS Ⅱを高出力縦置き後輪駆動対応させたTHS Ⅱ-FRと組み合わせ、6.0L並みの出力を発生。その溢れるトルクを地面に伝えるためにトルセンLSDを組み込んだセンターデフ式4WDシステムを採用した。

メカニズム的に面白いのは、やはり核心部分のTHS Ⅱ-FRハイブリッドシステムだ。
(GS450hと同様のシステム・・・たぶん。)
 
Ths2_fr_2  Ths2_fr__2
ハイブリッド(交流同期型モータ)の弱点は、最高速にギア比を合わせた場合、モータの出力特性上、低速域でのトルクが低くなってしまう点にある。
THS Ⅱでは昇圧、高電圧化により大電力を供給し、モータの高出力化を図ることで、全体的なトルクUPで問題を改善、初代プリウスのノタノタ感を見事に消し去ることが出来た。
 さらに、今回のTHS Ⅱ-FRでは2速のリダクションギアを設定することで、よりトルクバンドを広げることに成功している。

■では、このレクサスLS600h。クルマとしてはどうだろうか?
それは、もう『横綱』としか言いようの無いクルマに違いない。
特徴はいろいろあるだろうけれど、圧倒的なのは以下の2点であろう。

①どこから踏んでも野太く加速する、余裕の動力性能。
動力性能に振ったハイブリッドといえば、ハリアーハイブリッド(3.3L V6エンジンにTHS Ⅱ+リアモーターを組み合わせたモデル)がある。
ハイブリッド化による重量増の影響で加速も大したコトあるまい、と高を括りつつ試乗してみたら、その走り出しの余裕に驚いた。
看板に偽りなし。本当にV8 4.0Lが搭載されているかのような ’余裕’に、つい笑みがこぼれてしまったのである。
LS600hのTHS Ⅱ-FRでは、2段のリダクションギアによりトルクバンドが広くなっているわけで、いやぁ~、もう恐れ入りましたの’余裕’を堪能させてくれることは確実である。

もちろん、モーターの活躍するバンドが広がったことは燃費にも効くはずで、トヨタのいう「3.0Lのクルマと同等の燃費」は期待できるだろう。

②圧倒的な静粛性能。
残念ながらLS460には、まだ乗ったことが無いのだが、先代のセルシオは圧倒的に静かな車であった。
特に、駐車場からゆっくりと出る瞬間。え?、と息を呑む静かさ。『駐車場から滑り出す』とは、正にこのことか!と驚愕した覚えがある。(普段、うるさい安グルマに乗っているだけに、驚きもひとしおだ。)
それに加えてのハイブリッド化・・・無振動、無音の走り出し。プリウスとも違う、新しい感覚を味わえることは間違いない。

■さて、最低でも1000万円近いお値段のLS600h。庶民には到底手の出せないその価格も横綱級。けれどメルセデス・ベンツSクラスとは”一味違う”、スマートな薫り漂うこのクルマ。
そこに心くすぐられるエグゼクティブ/セレブリティは、結構いるに違いない。

■ともかく、LS600hでハイブリッドの一つの頂点が提示された。
次の興味は、ここ2年くらいで登場するといわれている次期型の3代目プリウスが、どんな『理想』を謳ってくれるか・・・。太陽をも味方につける、という噂もあるが、果たして!
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TOYOTA HYBRID-X @07ジュネーブショー
                         <2007.05.18 記>


 
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