●4.自動車よもやま話

2010年8月26日 (木)

■新型エルグランド。腰の低い王者は新しい道を切り拓く。

日産エルグランド、実に8年ぶりのフルモデルチェンジだ。

2010_2

■これは挑戦である。

何がって、全高を100mmも落としたことである。

その影響は甚大で、E50、E51が築き上げたエルグランドらしさはフロントマスクに面影を残すのみ、というのは言い過ぎかもしれないが、まあ、それくらいのインパクトの強さだ。

もはや、同じクルマではない。

■それを悲しく思う人はいるだろう。

エルグランドも元をたどればキャラバン・ホーミーで、ワンボックスの延長線上に位置したクルマであった。

要は「箱」。

背が高く、視界が開けていて運転しやすく、それに何でも載せられる、実に便利で心強いヤツなのである。

それを高級化路線に乗せた初代E50は成功を収め、エルグランドの名前を不動にする。

■が、いつのまにやら、FF軽量低燃費のアルファード、ヴェルファイアにお株を奪われ、今に至る。

当然、満を持してFF化した新型エルグランドはこの強敵に真っ向勝負!と誰もが思ったに違いない。

だからこそ、今回のモデルチェンジには、うーむ、と唸る人が多いはずなのである。

■で、実車を見てきました。

結論から言えば、これもありでは、と。

これは高級車なのである。

夏休みに子供を連れて荷物満載でキャンプに行く、そういうクルマではない。

いや、もちろん居室も荷室もそれなりに広いので、キャンプに出かけてもまったく問題ないのだけれども、何となーく、そういう感じじゃないよなー、というオーラをまとっているのだ。

キャンプ、というよりは家族で高級リゾートホテルへ乗り付ける感じなのである。

■それでいいんじゃないか、と思う。

時代は変わる、人も変わる、クルマも変わる。

背が高いことのメリットは敢えて切り捨て、必要なものは残す。進化させる。

何に感動したか、といって、2列目シートの居心地の良さ。

いい感じでふくらはぎをサポートしてくれるオットマンと、自然な姿勢でもたれかかることのできる中折れシート。

これが実にいい。

そのまま居眠りしたくなる、そういうシートでありました。

このあたりが、今回のエルグランドを象徴的にあらわしているのかもしれない。

                          <2010.08.26記>

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■以下、諸元比較。

E52の全長はやけに長いが、フーガの全長4945を考えれば許容範囲か。

スペックで目立つのは最小回転半径で、16インチタイヤの仕様で実に5.4m。このホイールベースでこの数値は凄い。外寸のデカさを補って余りあるメリットだ。

E51の弱点であった燃費もアルファードを凌駕している。

そして何より全高の低下。

それによって重心が低くなり、リバウンドスプリングの効果もあいまって乗用車ライクな安定した乗り味が実現出来ているらしい(試乗はしていないので伝聞ですが)。

     エルグランド(E52) エルグランド(E51)  アルファード   

全長            4915     4835     4865          

全幅       1850     1795      1840

全高       1815     1910      1915

ホイールベース 3000     2950      2950

最小回転半径 5.4(16”)  5.7(16”) 5.7(16”)

         5.7(18”)  5.7(17”)  5.9(18”)

車両重量(V6 4WD)      2060  2140  2040

10・15モード燃費(V6 4WD)  9.3   8.0  9.1

Photo
■新型エルグランドのすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報)

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2009年12月 6日 (日)

■MEGA WEB ヒストリックガレージ。何故に昔のクルマは美しい。

■お台場パレットタウンにあるヒストリックガレージの2階のエリアって雰囲気がいいなあとおもう。

ヒストリックカーって何故これほどまでに魅力的なのだろう。

何故ここまで美しいクルマがあるんだろう。

■確かに今のクルマもそれなりの美しさがあるのだけれども、

なにか本質的な違いがあるように思えるのは気のせいであろうか。

それとも過去への憧憬がそうさせるのであろうか。

いいなあ、と思わせるクルマが高度成長期の1970年前後に作られたということに、そのヒントがあるのだろうか。

因みに私が生まれたのも、そのあたりなのである。

                             <2009.12.06 記>

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■ トヨタ2000GT

Img_5764
■ マツダ コスモスポーツ

Img_5752_2
■ ディーノ246GTS 

Img_5761
■ ディーノのホイールアーチからボディー側面の稜線へとつながるこのライン!
美し過ぎです。

   

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2009年10月26日 (月)

■Nスペ・自動車革命 第2回 スモール・ハンドレッド 新たな挑戦者たち。果たして自動車産業は相転移を起こすのか。

中国の小規模電気自動車メーカーってこんなに爆発的に増えてたんだね。知らんかったよ。

Photo
■NHKスペシャル 自動車革命 第2回 スモール・ハンドレッド 新たな挑戦者たち(2009.10.25放映)

■とはいっても、クリアすべき安全基準もなくて、当然のようにナンバープレートもない。

中身は結構レベルの高いものから、部品を集めてきて適当にでっちあげたようなインチキ臭いものまで有象無象の状況なようだ。

けれども、そうした裾野の広さって大事なようで、航続距離がガソリン自動車と遜色の無い300kmなんてクルマもあって、それも結構走るらしい。(とはいえ、安全基準が・・・ならば大手メーカーの電気自動車と比べるのもナニなのだが。)

■一方、アメリカの状況も面白い。

こちらも電気自動車のベンチャー企業が乱立しはじめているようで、グライダーみたいな3輪自動車をひっさげて、これは古いアタマの自動車メーカーには作れまい、なんていう訳で、かなり威勢がいい。

アタマが固いと言われていちいち反論するもの大人気ないし、確かにそういう側面もあるだろうから、真摯にご意見拝聴なのである。

■それよりも驚くべきは、電気自動車を家庭の電気の蓄電池として、各家庭と電力会社をネットワークでつないで電力供給のマネジメントをするというアイデア。

うーん、確かに画期的。

時代を変える、という言葉がリアリティをもってくる。

■水が沸騰したり、氷になったりするように、一気に構造が変化することを相転移というのだけれども、今回の番組を見ていて、もしかすると、本当に自動車業界にも相転移が起こりかけてるのかもしれない。

電気自動車なんて、第一インフラが整ってないじゃん、なんて思っていたのだけれども、良く考えれば、インターネットなんかも始めは電話回線でピーガガやってて画像一枚引っ張ってくるのにかなり時間がかかってたのに、あっという間に光回線が普及して当然のようにさくさく動くようになったもんな。

電気会社が本腰を上げれば、インフラなんか、あっという間に整備されてしまうのかもしれない。

この10年、面白いことになりそうですな。

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                         <2009.10.26 記>

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2009年5月21日 (木)

■3代目新型プリウス発売開始。’孤高’から’フツウ’への転換を象徴する215/45R17タイヤ。

満を持して3代目プリウスの登場である。

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■ぱっと見て、プリウスと分かるたたずまい。それでいてまったく古さを感じさせない。

小憎らしいほどにブランドが確立しているからこその芸当であろう。

■ハイブリッドメカニズムの思想としては前型のTHSⅡから大きな変化は無いが、ユニットの小型化が図られて技術がそこに留まっていないことを静かに主張している。

メカニズム全体でいえば、太陽電池による夏場の室内温度上昇防止機構なんてキャッチーなところに目が行ってしまうのだけれども、やはりなにより出力の向上だ。

■エンジン排気量が1.5Lから1.8LにグレードUPして、最大トルクは110N・mから142N・mと3割ちかく向上、モーターの頑張り代に余裕を持たせている。

一見、それじゃ燃費が悪かろうという風に見えるけれども、重要なのはバランスなのだ。

電池の能力(出力・容量)に限界がある限り、モーターの出番が多いということは結局は充電しなければならない、つまりエンジンを回さねばならなくなるということで、ハイブリッド車は生まれながらにしてそういう矛盾を抱えているのである。もちろん、もの凄く高いレベルでの矛盾なのだが。

その結果として、モード燃費を前型の35.5km/lから実に7%も押し上げて(これは驚異的!)、38.0km/lにまで向上させることが出来たということだ。

■車両寸法では全長の+15mmが効いていそうだ。

ホイールベースは2700mmで変わらないから乗員配置は変わらない。(たぶん・・・)

Cd値は、後席に乗る人の頭の上のスペースを取りたい車両設計と、後方に向けてルーフを下げて行きたい空力設計のせめぎ合いなのだが、全長が伸びればその分’せめぎ合い代’が楽になって、結果、前型で気になった後席のアタマまわりのスペースを確保できたということだろう。

■その一方で全幅が20mmも拡がってる。

これは何かというとタイヤサイズのUPである。

今回の新型プリウスにおけるトヨタの意志が強く現れている、そこが重要なポイントなのじゃないかと思えるのだ。

■前型も2種類のタイヤを履いていて、標準タイヤが185/65R15、上級が195/55R16と1インチUP。

10・15モード燃費は、それぞれ35.5km/lと33.0km/l。

中途半端っちゃー、中途半端だけれども、うーんゴメンナサイ、16インチ履きたかったんデス、という可愛らしさがある。

■ところが今回の上級グレードは215/45R17!

扁平率45だってよ。転がり抵抗が無茶苦茶高そうじゃん!

燃費は、標準仕様(前型と同じ185/65R15)の38.5km/lに対して35.5km/lと前型の標準仕様と同じ。

きっとタイヤ屋さんを中心にして、汗をだらだらかきながら必死に頑張ったんだろう。お察しします。

■もともとプリウスって、儲からないけど歯を食いしばって新しいクルマを世に問うていくのだ!という強い’使命感’を感じるクルマであって、それが共感を呼び、Mクラスで一番台数が売れるクルマにまでなったのだ(※)。

そこに17インチタイヤを履かせて燃費を落とそうなんてのは今までの思想からすれば愚の骨頂。ではないだろうか。

※2009年3月登録実績 :プリウス6,000台、プレミオ3,500台、アリオン2,600台、シルフィ1,400台、インサイト4,100台。

■いや、今回のトヨタのその態度を批判しているのではない。

むしろ、感慨深いのである。

要は、フツウのプロジェクトのように、造形だとか営業だとかの声をいれて仕様を決めていく。

孤高の存在であったプリウスも’一般化’する時期にきたのだという感慨である。

■それでもインサイトの燃費30.0km/l(175/65R15)に対して+5.5km/lの余裕があるのだから、相変わらず敵はいない。

そういう意味では、未だ孤高の存在であるのだけれども、今回のプラットフォームはLクラスのものを使っているようで、トヨタの中で次々とハイブリッド軍団が出てきそうな予感がする(Mクラスではやっぱり商売は難しいということだろう)。

 
5年後くらいにはハイブリッド車が当たり前になっている、

 
きっと、そういうトヨタのヴィジョンがあって、今回の17インチがその象徴に思えてならないのである。

                             <2009.05.21 記>

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2009年4月 2日 (木)

■白く塗れ!

地球温暖化防止のためにカリフォルニア州が黒塗りの車の販売を禁止する方向で法制化の準備を進めていることが28日までに明らかとなった。
<Technobahn 2009.03.30>

■さすがカルフォルニア、そう来ましたか。

知らなかったのだけれど、カルフォルニア州では既に建築物の屋根などに対して太陽光反射率の高い寒色系の色に塗ることを義務付けた条例が制定されているそうな。

■確かにカルフォルニアの日差しは強かろうからクルマの車体が吸収するエネルギーは多いのだろうし、反射した太陽エネルギーは宇宙空間へと澄み切った青空を突き抜けていくのだろう。

シンプルな収支計算ですよ、なんてカルフォルニアの官僚さんは言うのだろうけれど、うーむ、どうも話が単純すぎて腑に落ちないのである。

■大気の無い月世界の話ならまだ分かるのだけれど、地面と宇宙空間の間に広がる大気圏ってのは熱的には緩衝材の役割をもっているハズで、それを考えたとき、自動車の色を黒からブルーグレーに塗り替えたところで、一体どれくらい地球の気温上昇を抑制することが出来るというのだろうか。

せっかく苦労して地面までお越しいただいた太陽エネルギーさんにそのまま空にお帰りいただくというのはどうにも勿体ない話で、そこでロスするエネルギーはどうなるかと言えば何のことは無い、実は地球の大気をあたためているなんてわけの分からないことになりかねない。

■そんなことするくらいなら、例えば、建築物の屋上については太陽電池が設置されていない領域の80%を植物で覆うこと。

そんでもって自動車の屋根には芝生を植えること、とかにすればいいのに(笑)。

■いや、冗談抜きで、植物の光合成って太陽エネルギーを使って二酸化炭素と水から酸素と炭素化合物(植物自身の体)を作る仕組みなんだから素直にそれを使えばいいじゃん、ということだ。

地球温暖化対策として単にCO2を減らすだけでなく、コンクリートジャングルが生むヒートアイランド現象も抑えることができるいいアイデアだと思うのだが如何なものでしょう、アーノルド・シュワルツェネッガー州知事殿!!

                           <2009.04.02 記>

黒い車は販売禁止、カリフォルニア州が地球温暖化対策で新方針
<Technobahn 2009.03.30>
 

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2009年2月 5日 (木)

■NHKスペシャル アメリカ発 世界自動車危機。’銭カネ’ばかりのこの世の中を一発ギャフンといわせてやれよ!

破綻寸前のゼネラル・モーターズ。世界第1位に君臨し続けた巨大自動車メーカーに一体何が起こったのか・・・。

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■デトロイトのGM本社ビル
7棟からなり、中央のタワーは73階建てだそうです。頑張ってつくったお城なんだろうけど、残念ながら売却かな。

■要するにサブプライムローンの自動車版をやっていた、ということだ。

収入があろうがなかろうが住所と名前と電話番号なんかを書き込むだけで誰でも融資が受けられて、なんと5万ドルもする高級SUVが買えてしまう。

なーんでか。

というと、GMの金融子会社(GMAC)、実は借金を返してもらおうなんて端っから考えていないのだ。

■とってもリスクの高いその自動車ローンを証券化して、それをバラバラに切り刻んだうえで健全な金融商品のなかに潜り込ませる。

その金融商品に占める’ワケあり’ローンの割合は微々たるもので、評価のAAAは変わらないもんだからごく普通に金融市場で売れてしまう。

で、GMACには貸した分のお金に’おまけ’がついて入ってくるという寸法だ。

要するに産業廃棄物の海洋への不法投棄みたいなもので、大海の一滴、’濃度’が低いから大勢には影響なし、ということ。

手品というか、サギというか、金融工学ってのは本当に訳がわからない。

■ここで改めて確認するまでもなくGMは自動車メーカーである。

にも関わらず、本業は大幅なインセンティブ(販売奨励金、値引き)によって台数を売っても利益が出ない。

で、’優秀な’金融子会社であるGMACがインセンティブに頼らない’賢いやり方’を開発しただけでなく、サブプライムローンにまで手を広げ、稼ぎまくって親会社を支えた。

だから、金融危機の直撃を受けたGMACが失速し、人工心臓を止められたGM本体は青息吐息。

■そうなれば、裾野の広い自動車産業の下請け、孫請け部品メーカーは死刑宣告に限りなく近くなるわけで、その死臭を敏感に察知したハゲタカどもが寄ってくる。

自動車会社に頼りきった経営が立ち行かなくなったとしても、内装部品なら内装部品のメーカーを買いあさって巨大独占メーカーに仕立てあげれば、かのボッシュ社のように、そこいらのチンケな自動車メーカーなんかよりよっぽど強気なエクセレント・サプライヤーになるハズだ、という投資家一流の皮算用なのである。

■結局、どこまでいってもカネ、かね、金。

確かに資本がなければ作りたいものも作れない。

トヨタがプリウスで成功できたのは資本に十分な余力があったからで、無い袖を振るホンダを横目に、日産が地に伏し、目と耳をふさいでハイブリッド車の開発を停止していたのも結局、カネが無かったからである。

■けれども、だ。

青臭いことをいうようだけれども、

カネを得ることは手段であって、目的ではなかったはずだ。

誰もまだ作ったこともないようなクルマを作り出してお客さんをビックリさせてやろうぜ!という情熱が「ものづくり」の原動力なのであって、投資に対するリターンが素晴らしい、は食っていく為に、夢をあきらめない為に大切なことなのだけれども、断じて目的には成り得ない。

■GMの人たちにしてもきっと思いは同じはずで、89年に発表した電気自動車の’インパクト’は鉛蓄電池ながらも最高速を気にするような艶っぽいクルマであったように記憶している。

カリフォルニアのZEV規制(ゼロエミッションヴィークル)が発端であるにせよ、経済性よりもスピードに関心がある、いかにもアメリカ人らしい馬鹿っぽさを意気に感じてうれしくなってしまったものだ。

■その’EV魂’を受け継いでいるであろうクルマが2010年後半にデビューするという。

プラグイン・ハイブリッドカーのシボレー・ボルトである。

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家庭用電源で充電し(プラグイン)、フル充電で40マイル(64km)走る航続距離はアメリカ人の平均的な通勤距離をカバーし、充電専用の小型エンジンを使えば数百マイルの航続距離に一気に増える。

ハイブリッドカーといいながらも基本は電気自動車で(シリーズ型ハイブリッド)、そのあたりが複雑で賢いシステムのプリウスやモーターアシスト(パラレル型ハイブリッド)と根本的に思想が違うのだ。

■今回のNスペでは紹介されなかったけれども、GMだって気骨のある自動車メーカーなのである。

なんとかこの苦境を乗り越えて、是非とも’銭カネ’ばかりのこの世の中を一発ギャフンと言わせて欲しいものだ。

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■【DVD】 誰が電気自動車を殺したか? [2006年アメリカ・ドキュメンタリー映画] 

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2008年11月27日 (木)

■トヨタ iQ。未来を拓く「天才タマゴ」、再び。

アムラックスでトヨタのiQ(アイ キュー)を見てきた。

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■2008 トヨタ iQ (アイ・キュー)

■全長3メートル、全高1.5メートル、全幅1.7メートル。

なんじゃそりゃ、という常識はずれの車両寸法なのだけれども実車を見るとやっぱり変だ。

変なんだけれども、妙に納まりのいいカタチなのである。

造形として破綻をきたしていない、というよりむしろ「心地良い」と感じるくらいだ。

Photo
■全長 2,985mm × 全幅 1,680mm × 全高 1,500mm
1.0L直列3気筒 68ps 9.2kgf/m  140~160万円
■2008-2009 日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞、グッド・デザイン賞受賞 

■いや、いや、スマートがあるじゃないか、

という意見もあるだろうし、確かにスマート フォーツー クーペは全長2.7メートル、全高1.54メートル、全幅1.56メートルでチョッと小さいけれど大体同じ外寸だ。

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■スマート フォーツー クーペ
(smart社はSwatchとBenzの共同プロジェクト)

■けれど全体を見たときに「クルマ」として少し軽い印象がある。

それは数センチの外寸の違いから来るものではなく、そもそも目指しているものが違う、そこから来るものであって、似て非なるもの、と言ってもいいだろう。

決してスマートをけなしている訳ではなくて、「本格」をあえて避け、ちょっとチャチなところにセンスの良さを見出そうとする「Swatch」の思想そのものであり、それはそれで別のものということだ。

■それに対してiQは、その寸法の中に「本格」を詰め込む試み、ということである。

それが全幅1.7メートルの意味であるし、4人乗り(3人+α)の意味なのだ。

つまり、大人がふつうに3人乗れて(※)、安心して走行出来ること。それでいて全長3メートル、最小回転半径3.9メートルという見かけを遥かに上回る驚異の取り回しの良さを実現する。

未だかつて無いクルマである、

というのはそういうことだ。

※助手席側は前席をうんと前に出すことが出来るので大人2人が前後に座ることが出来るけれども、運転席の後ろは座席こそあるものの残念ながら実際は猫か手荷物くらいのスペースしかない。

Photo_5

■約20年ほど前のことになるが、やはりトヨタが「未だかつて無いクルマ」を世に出したことがある。

「天才タマゴ」こと、初代エスティマである。

3列シートのクルマは四角いワンボックス、という当時の常識をくつがえした楕円形フォルムは世間をアッと言わせたものだけれども、今回 iQの実車をじっくり眺めていて、そこに同じ「ニオイ」を感じたのである。

■初代エスティマの「カタチ」を可能にしたのはエンジンを横倒しにして床下に搭載し、前輪を思い切り前に出したことによるものだ。

それは車体骨格の設計思想やエンジン、トランスミッションなど駆動系部品を一新することを意味しており、つまりは莫大な投資・開発費を伴う大きな「賭け」なのである。

■今回のiQのカタチを可能にしたのも、やはりスモールカーの設計思想の革新によるものだ。

端的にいえば、FF用トランスミッションの前後逆配置によるフロントミッドシップ化である。

これはFF車(前輪駆動車)の車両を開発しているの者であれば誰もが一度は考えるパッケージだ。

何しろタイヤを前方に出すことが出来るから乗員も前に出すことが出来て、ひいては車両全長の大幅な短縮が見込めるメカミニマム・マンマキシマムな素晴らしいアイデアなのだ。

■けれども、これまでどこの自動車会社もそこに手を付けなかった。

今までに実績が無く、かつ莫大な投資を伴うアイデアに対して、そんな提案が通るはずが無いと担当者が本気にならなかったのかもしれないし、その危ない「賭け」が実際に経営判断によって却下されたのかもしれない。

いずれにせよ小型車のFF化が進んで20年以上が経つけれど根本的な変化は生まれて来なかったのは事実である。

だが、どこかで「賭け」に出なければ次第にジリジリと後退していくだけだ。

■分かっちゃいるけど・・・、

という我慢比べの状況の中で、やっと変化の兆しが生まれてきたのがこの数年の流れだろう。

会社が傾き、土俵際いっぱい起死回生での「うっちゃり」の如く、その賭け(エンジン後方配置)に出たのが三菱の「 i (アイ)」であり、それに負けじと横綱相撲の貫禄を見せたのがトヨタの「iQ(アイ キュー)」の横置きFFミッドシップなワケである。

■技術的に難しいと思われていた横置きFFミッドシップもやってみれば出来るもので、センターテイクオフ式ステアリングなんていう、旧シビックが使った飛び道具も気にするまい。

むしろ、前に出たフロント・ストラットがちょうどエンジンの真横に来た関係で、ペンデュラム(振り子)式エンジンマウント取り付け部の車体構造をガッシリ作ることが出来たという裏ドラに驚くべきで、いやーホント、悩んでないでチャレンジしてみるもんだ、ということである。

■初代エスティマの「画期的構造」は一代限りで消え去った。

きっと根本的な部分での避けがたい技術的課題があったのだろう。

ハッキリいえば「賭け」は失敗に終わった。

けれども、その後の北米でのミニバンブームの火付け役としての初代エスティマ(北米名:プレビア)が果たした役割はゼロではないはずで、10年単位で見たときに、ワンボックスカーがガラリとFFミニバンに切り替わるどころかセダンさえ駆逐してしまった日本の状況を考えると、その意味はとてつもなく大きいのである。

■そういうことを考えたとき、

たとえ「iQ」そのものが商売として上手くいかなかったとしても、その先に必ずや起こるであろうダイナミックな変化を見越している人がいる。

乾いた雑巾を絞って絞って積み上げた大切な資源を、その不確かな「未来」に託す判断をする人がいる。

そういう トヨタという会社は、

やっぱり凄いなぁと、しみじみ思うのである。

Photo_3
■このリアから見た姿が実にキュートである。
これだけで欲しくなっちゃっても、おかしくはないだろう。

                         <2008.11.27 記>

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Iq
■ トヨタiQのすべて ( ニューモデル速報 第417弾)
    

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2008年11月13日 (木)

■新型・日産 ムラーノ。「二代目の苦悩」を振り切る勇気。

優秀な兄をもってしまった弟は、なかなかツラいものである。

Fr
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■新型ムラーノ(※上の写真は北米向け左ハンドル)

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■旧型ムラーノ 

■ムラーノはSUVでありながら悪路とは正反対の都会的なデザインをまとった新しいテーマを打ち出し、世界の主要メーカーのデザインセンターには必ずムラーノが置いてあるといわれるほど、その筋には評価されたクルマなのだ。

それが先代。

さて問題は二代目となる新型ムラーノである。

■先代はパリッとしたシャツのようなスッキリした知的な印象を与える直線基調であったのに対し、新型はマッシブな男らしい力強さと威厳をアピールしているように思える。

カッコいいクルマの後継車は先代のイメージに囚われてしまって’イマイチ’となる「二代目の苦悩」なんてのが定説なのだけれども、そこを思い切って切り替えてきたわけである。

■新型のマッチョさは、いわゆるSUVらしさに直結するものであり、SUVとして一般に受け入れやすいものである。

北米向けに開発された先代は、アメリカの「とある」顧客層に向けて絞り込んで明確なイメージを持ちつつ作ることが出来たのに対し、その後のムラーノの幅広い世界展開によって、新型はいろいろな価値観のユーザーにも目を向けざるを得なくなってしまった、という事情も、その背景にあったのだろう。

個人的には先代のプレーンでジェンダレスなデザインが好みなのだけれど、街中で走っている新型を見たとき、そこに「肉食動物のもつしなやかさ」のようなものを感じて、これもありかな、と思うようになってきた。

確かに新しい「何か」をもったデザインではある。

■さて、ハードウエアとしてのポイントを3つ挙げるとすると、こんなところだろうか。

①シッカリした車体骨格による「走り」と「静粛性」の高いレベルでの実現。

②新しいCVTが生むスムースで気持ちのいい走りと燃費の両立。

③賢い4WDシステムとVDC(Vehicle Dynamic Control)による高い走行安定性。(なんと全車標準)

インテリアの質感も上がったみたいだし、いろんな親切装備も盛りだくさんで、中身的にも新型は大幅に進歩しているようである。

■とはいえ、ムラーノは日本人にはデカ過ぎる。

全長で4.8mを越え、全幅で1.9mににじり寄る。

ハリアーが月2000台以上売れているのに対して、ムラーノは売れてもせいぜい500台。

決して商品として遜色は無いと思うのだけれど、ここまで差がつくのは、多分そのデカさによるものなのだろう。

ハリアーくらいのサイズで作ってくれれば日本でももっと売れると思うのだけれど、やはりその辺は世界戦略車とはいえアメリカ市場オリエンテッドにならざるを得ないのかな。

残念。

                        <2008.11.13 記>

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■新型ムラーノのすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報)

■諸元比較■  
                    新型ムラーノ 旧型   ハリアー
全長               4825 mm      4770 mm   4735 mm
全幅               1895 mm      1880 mm   1845 mm
全高               1730 mm      1705 mm   1670 mm
ホイールベース  2825 mm    2825 mm   2715 mm
   
最低地上高      185 mm       180 mm    180 mm
最小回転半径   5.7 m          ←            5.7 m
タイヤサイズ    235/65R18  225/65R18  235/55R18
 
車両重量  V6   1850 kg        -        1830 kg
         直4 1790 kg     -      1700 kg
   
最高出力 V6    191 kw       170 kw      206 kw
          直4 125 kw     120 kw      118 kw
最大トルク V6  336 N・m     333 N・m   346 N・m
         直4  245 N・m     245 N・m   221 N・m
   
ミッション V6  CVT-6M          5AT
       直4  CVT    4AT           4AT
   
燃料消費率
10・15モード V6  9.3 km/l  8.9 km/l          9.0 km/l
       直4 11.0 km/l 10.6 km/l(2WD) 10.6 km/l
タンク容量         82 L         ←                 72 L

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2008年9月 3日 (水)

■ミニバン夏の陣。

この夏はマツダ・ビアンテ、スバル・エクシーガ、ホンダ・フリードと3列シートのニューフェースが次々と登場、トヨタからはアルファードの兄弟車としてヴェルファイアがデビューするなど結構盛り上がったわけだが、この不景気、ガソリン高騰の逆風の中、果たして各車の売れ行きはどうだったのか。
各車、この夏の販売実績を競合車と比較してみた。

■Lクラス 背高ミニバン 登録台数
(※下2ケタ四捨五入。8月は29日まで)
           【7月】     【8月】
【トヨタ】 
●アルファード   4,800     3,100 (2008/05 FMC)
●ヴェルファイア 5,900   4,300 (2008/05 新)
【日産】
●エルグランド   1,400     600  (2002/05 FMC)
【ホンダ】
●エリシオン      800        500  (2004/05 FMC)

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●ヴェルファイアのアクの強さはどうかなぁ~と思ったが、どっこいえらく売れている。このクラスのクルマを買う人はこれくらいの押し出しが無いとツマラナイと思うのかもしれない。
一方アルファードの台数が激減することもなく、ちゃんと棲み分けている様子。さすがトヨタだ。
しかし、かつてのこのクラスの覇者、エルグランドも堕ちたものである。最近の日産は寂しいね。
 

■Mクラス 背高ミニバン 登録台数
           【7月】     【8月】
【トヨタ】 
●ノア        6,000    3,400    (2007/06 FMC)
●ヴォクシー    7,800    4,100    (2007/06 FMC)
【日産】
●セレナ      7、100    4,200  (2005/05 FMC)
【ホンダ】
●ステップワゴン  3,400    2,500    (2005/05 FMC)
【三菱】
●デリカ D:5   1,900    1,100     (2007/01 FMC)
【マツダ】
●ビアンテ     3,900    2,500   (2008/07 新) 

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●マツダ ビアンテも結構頑張っている。
お父さんがマツダ好きなもんでMVPに乗っているのだけれど、奥さんから「セレナとかノアとかご近所のクルマは広そうでいいわね」、なんてちくりとやられる。そんな光景が繰り広げられていたのだろうか。「背高ミニバン、待ってました!」というかんじである。
他のミニバンが前年比でおおむね2割減のところMPVは4割減で、やっぱり多少は共食いしたようだが、既存の商品にこだわらず「売れる車」をキッチリ出すというのは大切なことである。
    

■Lクラス低床3列 登録台数
           【7月】     【8月】
【トヨタ】
●マークXジオ  1,600     800 (2007/09 新)
【ホンダ】
●オデッセイ   1,700   1,300 (2003/10 FMC)
【スバル】
●エクシーガ   3,100  1,300 (2008/06 新)

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●エクシーガ、宣伝で頑張ってるわりに早くも失速の兆し。
【運転が楽しい】というのと【3列で楽しい】では主語が違う。
ドライバーズカーに3列目をつけても家族はヨロコばない、ということだろう。オデッセイも低床化で苦戦してるし、マークXジオもイマイチぱっとしない。
このクラスでの低床3列というのは、やはりマーケットが小さいのだ。海外でもうける、というクルマでもないし、難しいカテゴリーである。
ところで、近々デビューするといわれている新型オデッセイも低床プラットフォームはそのままらしい。うーん、ドライバーにとっては最高の「ミニバン」なんだろうけど・・・。個人的には熟成された先代のオデッセイが好みである。そういうホンダファンは結構いると思うのだが。
  

■Sクラス 3列 登録台数
           【7月】     【8月】
【トヨタ】
●シエンタ     3,600   2,000 (2003/09 新)
【日産】
●キューブ 3列    700       500 (2003/09 追加)  
【ホンダ】
●フリード 3列  7,000    4,700 (2008/05 新)

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●ガソリン高騰の追い風を受けたか、フリードが絶好調だ。
シエンタ、キューブ・キュービックと並べてはみたものの「ミニバン然」としたフリードは新しいカテゴリーと考えたほうがいいだろう。
ガソリンの値動きが今後どうなるかは分からないけれど、「安く・賢く」という世の中の大きな流れは変わらず続くだろうから、フリードの販売はしばらく安泰であるに違いない。
「企画の勝利」のお手本みたいなもので、気持ちがいい。
  

■おまけ■Mクラス ランナバウト 登録台数
            【7月】     【8月】
【トヨタ】
●RAV4(2/3列)          700        400 (2005/11 FMC)
【日産】
●エクストレイル    2,600     1,500 (2007/08 FMC)
●デュアリス    1,700     1,000 (2007/05 新)
【ホンダ】
●CR-V        500        200 (2006/10 FMC)
●クロスロード(3列)    900         400(2007/02 新)
【三菱】
●アウトランダー(2/3列)700    300 (2005/10 新)
【スバル】
●フォレスター   2,000        900 (2007/12 新

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●こんなのフォレスターじゃないやい、なんて思ってたけれど意外に健闘しているのだ。
ど真ん中のストレートを狙った企画が大成功ということだろう。
いやいや、難癖つけてごめんなさい!

                          <2008.09.03 記>

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2008年7月10日 (木)

■マツダ ビアンテ。「枠」をはみ出すマツダの勢い。

マツダからミッドサイズのミニバン、ビアンテ(MAZDA BIANTE)がデビューした。

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■顔つきはどこかプジョーの’猫目風’。
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■斜め後ろから見ると、特に側面の表情の豊かさが実感できる。

■マツダのミニバンはプレマシーとMPVがあるが販売台数は2000台/月レベルで、いわゆる売れ筋の背の高いミニバン、セレナとかノアとかステップワゴンが5000台/月以上のレベルで売り上げているの対してはっきりと水を空けられてきた。

そこでマツダが満を持して、そのMクラス・トールミニバンのカテゴリーに殴り込みをかけるのがこのビアンテなのである。

■といっても、他社と同じことをしてもマツダの販売力では勝てるはずも無く、何かで尖らなければ勝機は見出せない、と思ったのか、かなり思い切ったことをやってきた。

Mクラス・トールミニバンの定説である「5ナンバーサイズ」の枠を確信犯的に破ってきたのだ。

■全長4715mm、全幅1770mm。

全長で15mm、全幅では70mmも「5ナンバー枠」をはみ出している。

トヨタのノア・ヴォクシーが一部3ナンバー幅になっているけれども、太いタイヤを履きたいがために、何となく気付かれないように20mm程度はみ出しました、というコソコソした感じをまったく受けない。

むしろ、そんな古い枠にこだわらないことで、のびのびとデザインしました、ということを積極的に売り込んでいる。

■確かに車体側面の造形は、片側35mmの余裕をつかって「流れるような」カタチを生み出すことに成功している。

セレナにしろ、ノアにしろ、ステップワゴンにしろ、ミニバンで一番大切な「室内の広さ」をとりつつ1700mmの全幅の枠に収めるために、べたんとした、つまらない側面になってしまう。

ビアンテは、そんな純日本的「団地サイズの思想」を取っ払い、欧州的な「デザインにおける贅沢」を選択したのだ。

■乱暴な言い方をすれば、「室内の広さ」と「流れるようなデザイン」をクルマのサイズを拡大することで両立させた、それだけのクルマである。

他に目新しいところは、3rdシートの畳み方がこのクラスで定番の横に跳ね上げるタイプではなく、前に畳むタイプになっているところで、これは好みの問題だ。

あとはエンジンが2.0L&2.3L直噴ガソリンというところだが、5ATとの組み合わせと車重の重さからなのだろうか、10・15モード燃費ではむしろ競合車に若干劣ってしまっている。

マツダの思想は、直噴による効率的なガソリン冷却によるターボ化「DISIターボ」路線であって、その理屈はそれなりに納得できるものだった。

が、今回のようにターボなしの直噴で、しかも排気対応するにはリーンでの燃焼が出来ず、結果、燃費が伸びないということなのであれば、何のための直噴なのかと少し首を傾げたくなるところだ。

■けれど、「流れるようなデザイン」だけであったとしても、ビアンテは十分に魅力のあるクルマだと思う。

街行くクルマがのっぺりしたミニバンばかりじゃつまらなくて、やっぱりこういう目鼻立ちのいいミニバンが増えてくると何となく豊かな感じがするのである。

技術的には、5ナンバーサイズを守りながら美しく、楽しいデザインを作り上げるというテーマにチャレンジする方が面白いのだけれども、世の中が本当に5ナンバーサイズを気にしていないのであれば、単なる自己満足に終わってしまうわけで、

そのあたり、このビアンテの受け入れられ方を眺めていきたいところである。

                             <2008.07.10 記>

■マツダ・ビアンテ公式HP

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