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2009年12月19日 (土)

■片山右京、富士山で遭難。生きて還ることの勇気。

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■片山右京が冬の富士山で遭難し、息を引き取った仲間2人を残して下山してきたという。

そもそもが無謀な行為であったのだ。

このニュースを聞いたとき、正直そう思った。

その軽率を非難することは容易だ。

けれども、’限界を超えるチャレンジ’に甘さがあったにせよ、その場面を想像するに、そこには身を切られるような壮絶な思いがあったに違いない。

■登山には詳しくはないが、冬の早朝の河口湖でフライロッドを振っていた時期があって、そこから眺める美しい富士の笠雲の下では強風吹きずさむ地獄があるのだろうな、というそれなりの想像はつく。

その状況の中で生還した右京を責めることはあまりにも酷な気もするのだ。

実際の状況はまだ漠然としているけれども、

生きて還る勇気。

これだけは否定してはいけないことのように思うのである。

   

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                            <2009.12.19 記>

■関連記事■
■『男が人生の忘れ物に決着をつける時。』 標高8848mの世界。 野口健、チョモランマ登頂。

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2009年12月16日 (水)

■NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』。単純明快に!

■まだ第3話を見てないのだけれども、2話目までの簡単な感想。

話は、伊予松山で生まれ育った秋山好古、真之、正岡子規が東京に出て、それぞれの道を歩み始めるところまで。

■いやー、引き込まれるドラマです。

90分があっという間に過ぎていく。

司馬遼太郎調の語り(渡辺謙)、久石譲の情感豊かな音楽。

また好古を演じる阿部寛、真之を演じる本木雅弘、子規を演じる香川照之がこれ以上ないというくらいハマっていて、脇を固める菅野美穂、伊東四朗も輝いている。

テンポが速くて、それでいて丁寧な演出、脚本ももちろん最高だ。

■2話目までで一番印象に残ったのが好古が真之を指導するときの「単純明快に!」という考え方。

一刀両断、って感じがして小気味いい。

■「単純明快に!」

いいねえ、気に入った!

迷ったときは、「単純明快に!」

とりあえず2010年のテーマとしておくか。

   

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                          <2009.12.16記>

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■坂の上の雲(全八巻)司馬遼太郎 著 文春文庫

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■「明治」という国家
司馬遼太郎 著 日本放送出版協会 (1989/09)

  
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■スタッフ■
原作:司馬遼太郎(『坂の上の雲』『明治という国家』)
脚本:野沢尚、柴田岳志、佐藤幹夫
演出:柴田岳志、佐藤幹夫、加藤拓、木村隆文、一色隆司
音楽:久石譲
主題歌:サラ・ブライトマン『Stand Alone』(作詞:小山薫堂 作曲:久石譲)

■キャスト■
秋山真之  : 本木雅弘     海軍軍人。日露戦争時の連合艦隊参謀
秋山好古  : 阿部 寛       陸軍軍人。“日本騎兵の父”とよばれる
正岡子規  : 香川照之      俳人・歌人。俳句や短歌の革新を目指す
* * * * * * * * *
山本権兵衛  : 石坂浩二   日露戦争時の海軍大臣。
                                       後に第16・22代総理大臣
東郷平八郎  : 渡 哲也     海軍軍人・日露戦争時の連合艦隊司令長官
高橋是清    : 西田敏行    神田・共立学校の英語教師。後に大蔵大臣、
                                       第20代総理大臣
伊藤博文    : 加藤 剛      初代内閣総理大臣
児玉源太郎  : 高橋英樹    陸軍軍人。日露戦争時の満州軍総参謀長
* * * * * * * * *
夏目漱石  : 小澤征悦        小説家。子規とは親交が深かった
秋山久敬  : 伊東四朗         秋山兄弟の父
秋山 貞   : 竹下景子         秋山兄弟の母
秋山多美  : 松たか子          好古の妻
秋山季子  : 石原さとみ        真之の妻
広瀬武夫  : 藤本隆宏         海軍軍人。海軍での真之の友人
正岡 律   : 菅野美穂        子規の妹。病床の子規を支え続けた
陸 羯南    : 佐野史郎           新聞「日本」主筆。子規の恩人
正岡八重  : 原田美枝子       子規、律の母
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語り     :  渡辺謙

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2009年12月14日 (月)

■【書評】『ある異常体験者の偏見』、山本七平。周囲の空気に流されない、「自律」ということ。

この論文集が文芸春秋に掲載されたのは1973年から74年であるのだが、今なおその鋭さは鈍ることは無く、そのことは日本人の物の考え方が根本のところではあまり変わっていないということを指し示しているのかもしれない。

Photo_2
■ある異常体験者の偏見
山本七平 著 文藝春秋 (1988/08)

■ここでいう異常体験とは、山本七平氏の砲兵としての従軍体験及びフィリピンでの俘虜体験のことを指し、異常体験をしたことで初めて分かることを敢えて「偏見」と呼んだ上で、再び日本が戦争、或いはそれ相当の異常事態に巻き込まれない為の警句としてこの本はある。

 「資源の無いこの国が戦争を始めたところで長くは続かないことは分かっていた。」

当時の軍人を含む、多くの人がそういうのだが、

それでは何故「墜落」すると分かっていて「飛んだ」のか!

というワケである。

■結論からいえば、資源とか軍事力といった物理的な要素からなる「確定要素」からすればその不均衡は明白であるのにに対して、「民衆の燃えたぎるエネルギー」といった精神力を主とする「不確定要素」でそれを補うことで戦争に進んでいった、ということだ。

が、こう言うと簡単すぎてこの本の面白みが伝わらない。

■何しろ、「異常体験者」の「偏見」なのである。

そこで体験した苦しみは、直接向かい合うことが出来ず、笑い話にするか、飛びのくか、似たような体験をした他のひとに託して語るほかない、という。

そこまでの凄みを背景とした「論」がそう簡単に理解できてしまえるほど軽かろうはずはない。

それでもその「論」が少しづつでもアタマの中に入ってくるのは、物事を理性的に捉え、論理的に語ることに徹底する、その姿勢にある。

■そこにあるのは「思考停止」に対する徹底的な批判である。

そのキーワードが山本氏が作り出した「軍人的断言法」という概念だ。

一定の判断以外は全部消し去ってしまう、これを徹底的に実施する(日本の旧)軍隊においては、合理的な判断が狂ってしまって、明確な命令が無くとも、ある一定の行動に縛られてしまう。

いや、もちろん軍隊というものは極めて論理的、合理的組織で、それでなければ戦争などは出来ないのではあるが、そこに生まれる一種の「空気」、「ムード」といったものがあって、それが個人の思考をしばり、「王様は裸だ!」と叫ぶことを出来なくさせてしまうのである。

■それは何も旧軍だけの話ではない。

「精神が兵器に打ち勝つ」理論や主張や解説が積み上がり、その表現がエスカレートして、世の常識になっていく。

そう世の中を扇動したのは当時のマスコミであり、そういう論調になびき、好んだ民衆自身もまた、「空気」をつくりだした主体なのである。

■その日本人の思考方法は今に至るも変わっていない。

「編み上げ靴に足を合わせろ」、というのは旧軍の有名な話だが、「経済的目標に人間を合わせろ」と言葉を変え、1973年の当時は公害問題としてその矛盾が現れ、2009年の現代においても利益をひねり出すのに人間を搾るカタチとして生きのびている。

合理的に考えれば到底無理な目標を立てて、精神力或いはモチベーションなどというコトバで煽って補おうとする、それは戦前の日本と何が違うのか、という話だ。

■「日本人の思考は常に「可能か、不可能か」の探求と「是か、非か」という論議が区別できない。

是か非か、の議論の前に可能か、不可能かが現実の問題として検討されねばならず、不可能なことの是非を論じるのは時間の空費である。」

と、山本七平氏はいう。

■かつてNHKで放映されていた「プロジェクトX~挑戦者たち~」の登場人物たちが不可能を可能にしていくその姿にカタルシスを感じていた我々は、まさにその思考に捉われているのである。

それの何が悪い。

出来る出来ないの問題ではない。

ヤルのだ!
 

実に心地イイ考え方である。

■この本を読み終えた今でも、その心地良さを捨てきれない自分がある。確かに、諦めない心が一見不可能と思われていたことを可能にすることもある。

が、それが本当に自分の思考なのか。事実をもとに自分で考え抜いた上での結論なのか。実は周囲の「空気」に流されているだけではないのか。「集団ヒステリー」に巻き込まれているだけではないのか。

それを改めて自分自身に問うてみる。

それが自らを律する、

つまり「自律」というものなのではないだろうか。

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                         <2009.12.14 記>

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■ある異常体験者の偏見
山本七平 著 文藝春秋 (1988/08)

 
■関連記事■
■【書評】『「空気」の研究』、山本七平。決して古びることのない本質的日本人論。

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2009年12月 9日 (水)

■成仏するのは誰なのか。『爆笑問題のニッポンの教養』 死生学、清水哲郎。

久しぶりの爆問学問。

今回のテーマは、死。

20091201_shimizu
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE094:「よりよく死ぬための哲学」 2009.12.01放送
東京大学人文社会系研究科 上廣死生学講座教授 清水哲郎。

■自分はどのように死にたいか。

という話から始まり、身近でリアルな死についての対話が続く。

身近な人の死、というものは動物の死と違って、

’死んでいる’

とは言わない。

いなくなってしまった。

身体は残ってはいても、その人はもう、ここには居ない、

という。

確かにそうだ。

■大切な人がいなくなってしまう。

これほど身を切られるような悲しみは無い。

今、それを想像すると、すぐにでもそうなってしまいそうで

慌てて、その’死’のイメージを振り払う。

■けれども、それは確実にやってくる。

それを受け入れざるを得ない状況は必ずやってくる。

とても、とても、大切な人を失ってしまった。

その経験が、死別への恐怖をよりリアルなものとして

増幅させる。

■太田はいう、

お葬式っていうのは、どこか心を安堵させるものがある。

 ほら、いい表情をしているでしょう。

 皆さんがいらしてくれたのをよろこんでいるんですよ。

確かにそういう面もある。

■けれど、それはセレモニーにおける高揚感のような

一時的なものなのではないだろうか。

そのセレモニーがひと段落ついたときに、

あらためて、あのひとがいなくなってしまった

そのことに沈み込んでいくのだろう。

■初七日、四十九日、百か日。

お坊さんのお経を聞きながら、

ああ、本当にいなくなってしまったのだと

月日が経つとともに

それを受け入れるようになっていく自分がいる。

■3年経とうが、10年経とうが、

絶対に悲しみはあるのだけれども、

どこか日常のなかに溶け込んでいくような、

こころのなかに、この胸の中に

確かにいるよ、という心持ちが生まれてきて、

もしかすると成仏するのは死んだ人間ではなくて、

残された者の方にあるのではないか、

 

そんな気がするのである。

                          <2009.12.09 記>

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■どう生き どう死ぬか―現場から考える死生学
岡部 健/竹之内 裕文編他 著、 清水 哲郎 監修 弓箭書院(2009/5/7)

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2009年12月 6日 (日)

■MEGA WEB ヒストリックガレージ。何故に昔のクルマは美しい。

■お台場パレットタウンにあるヒストリックガレージの2階のエリアって雰囲気がいいなあとおもう。

ヒストリックカーって何故これほどまでに魅力的なのだろう。

何故ここまで美しいクルマがあるんだろう。

■確かに今のクルマもそれなりの美しさがあるのだけれども、

なにか本質的な違いがあるように思えるのは気のせいであろうか。

それとも過去への憧憬がそうさせるのであろうか。

いいなあ、と思わせるクルマが高度成長期の1970年前後に作られたということに、そのヒントがあるのだろうか。

因みに私が生まれたのも、そのあたりなのである。

                             <2009.12.06 記>

Img_5753_3
■ トヨタ2000GT

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■ マツダ コスモスポーツ

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■ ディーノ246GTS 

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■ ディーノのホイールアーチからボディー側面の稜線へとつながるこのライン!
美し過ぎです。

   

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■お台場パレットタウンのクリスマスイルミネーション。

パレットタウンに行ってきた。

外はあいにくの雨だったけれど、

イルミネーションの美しさにそんなことはすっかり忘れて

しばらく見とれてしまいました。

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Img_5746

                         <2009.12.06 記>

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2009年11月29日 (日)

■【映画評】エイリアン4部作。オリジナルは唯一無二の傑作だが、続編も3者3様の面白さ。

今回は4本立てで行きましょう。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.37 『 エイリアン4部作 』
          

■『エイリアン ALIEN』(1979年公開)
 監督 リドリー・スコット 脚本 ダン・オバノン
 クリーチャーデザイン H・R・ギーガー
 出演 シガニー・ウィーバー トム・スケリット 他

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■エイリアン (ベストヒット・セレクション) [DVD]

■一番好きな映画は何?

なんて聞かれることがあるが、そういう時は迷った挙句、『ニューシネマパラダイス』とか『生きる』とか無難に答えるのだけれど、実は本当に大好きなのは『エイリアン』なのだ。

これほどにハラハラする映画は無くて、何度見ても同じところでビックリするのだから、驚くべきホラー映画なのである。

ケインがフェイスハガーに襲われる時でしょ、ブレットがビッグチャップに襲われる時でしょ、ダラスが通気口の中でやられるシーンでしょ、アッシュが・・・な時でしょ、それに最高のラストシーン。

■この映画は、CMディレクターだったリドリー・スコットのメジャー映画デビュー作品なんだけど、巨匠といわれる現在と同じか、いやそれ以上に’リドリー・スコットらしい’映画なのである。

滴る水、水蒸気、陰影が強調された画面。

特にブレッドが猫(ジョンジーだっけ?)を探しているときに、上の吹き抜けから水が滴り落ちてきて上を見上げる、あのシーンが最高だ。

■ビッグチャップ(エイリアンの成体)をほとんど見せない手法も、怖さを盛り上げる効果抜群。

初めて見たときにはその姿はほとんど判別できなかったもんな。

’見えない’、けどもしかしたら恐ろしいものがそこにいるかも知れない、という恐怖は原初の昔からDNAによって伝わってきた本能的反応なのだろう。

■ディレクターズカットでは、最後の脱出の場面の途中で、ダラスが繭にされているシーンが差し挟まれてこれも魅力的なのだが、やはりここは劇場公開版の方が私は好きだ。

危機感が盛り上がっていく場面で水がさされる感じがするからである。

そこをカットしたのはプロデューサーらしいのだが、その辺り、映画は監督だけで作るものではないなあ、と思う。

■あと忘れちゃいけないのがH・R・ギーガーのデザイン。

ビッグチャップを筆頭に、異星人の遺棄された宇宙船、その内部、エイリアンエッグと今までには全くなかったエロティックかつグロテスクな世界を作り出している。

■そんなこんなで語りだすとキリが無いのだけれども、ともかくこのオリジナルの『エイリアン』は企画、脚本、演出、デザイン、音楽、もちろん役者の演技を含めて最高の組み合わせであって、いつまでも記憶されていくだろう素晴らしい映画なのである。

      

■『エイリアン2 ALIENS』(1986年公開)
 監督・脚本 ジェームズ・キャメロン
 デザイン シド・ミード 他
 出演 シガニー・ウィーバー ジェニット・ゴールドスタイン他

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■エイリアン2 完全版 [DVD]

■今度は戦争だ!というのがキャッチコピー。

『エイリアン』は一匹のビッグチャップの強さが圧倒的であったが、エイリアン2では圧倒的なのはウォーリアー(兵隊エイリアン?)の数。

■海兵隊の重火器にによって次々にエイリアンが殺られるのだけれど、次から次から現れるからどんどんと追い詰められていく。

まさに戦争。

オリジナルの『エイリアン』はあまりに完成度が高いので同じ土俵で戦わなかったジェームズ・キャメロンは正解だったと思う。

■もうひとつの特徴はエイリアン・クイーンを生み出したところ。

リプリーと孤児ニュートの関係とクイーンとウォリアーとの関係がオーバーラップして、’母の強さ’というサブテーマをうまく作り出している。

個人的には前作の’捉われた人間が繭となり、新しい卵になる’というイメージが好きだったのでちょっと残念なのだけれど。

■この映画、劇場公開版は137分、ディレクターズカットでは154分。

大体において私の好みは簡潔な劇場公開版なのだけれども、この映画だけは違う。

その長い上映時間を飽きさせず濃密に話を展開させていくのがジェームズ・キャメロンの本領なのだろう。

   

■『エイリアン3 ALIEN3(1992年公開)
 監督 デヴィッド・フィンチャー
 出演 シガニー・ウィーバー ランス・ヘンリクセン 他

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■エイリアン3 完全版 (2枚組 プレミアム) [DVD]

■失敗映画の代表作と評価されてしまう可哀想な映画。

撮影が開始されているにも関わらず脚本の骨格すら定まっていなかったという酷い状態だったらしい。

各所に見られる’何となく落ち着かない感じ’も仕方なし、要するに映画として仕上がっていないまま公開されてしまった、というところか。

■それでも、決して悪い映画ではないと思う。

デヴィッド・フィンチャーが作り出した監獄惑星という独特の世界観は、その雰囲気だけでも味わう価値はあるだろう。

■エイリアン2に登場したアンドロイド、ビショップがこの作品にも登場するのだけれども、終盤、そのオリジナルとおぼしき科学者が登場するあたりからは「物語」としても面白い。

エンディングについては劇場版と完全版で異なるが、好みとしてはリプリーがクイーン・チェストバスターを抱きしめて落ちていく劇場版の方がいいかな。

  

■『エイリアン4 ALIEN:Resurrection』(1997年公開)
監督 ジャン=ピエール・ジュネ
出演 シガニー・ウィーバー ウィノナ・ライダー 他
 

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■エイリアン4 完全版 [DVD]

■副題のResurrectionは死者の復活、よみがえりの意。

その名の通り、前作で死んだはずのリプリーがクローンとして蘇る。

それも体内に宿していたエイリアンの遺伝子が組み込まれていて、驚異の運動能力と超酸性の血液をもった悲しきハイブリッドとして。

■登場するエイリアンの方も今までの’全くの異物’ではなく、怒りの感情を持っていたり、人間たちを罠にかける知恵まで兼ね備えていて共感の余地がある。

そのあたりも新鮮な感覚があって面白い。

あとはリプリーの娘(?)とも言えるニューボーン。彼女の最期は本当に可哀想だったなあ。

■この作品は前作とまったく逆で設定がシッカリしている。

ゆえに安心して見ていられるエンターテイメントなのである。

重要な役割りを担うウィノナ・ライダーも可愛くて華があるしね。

■ラストは劇場公開版と完全版でまったく異なるものになっている。

爽やかな劇場公開版もいいが、新しい物語が後に続きそうな完全版もいい。

完全版の衝撃のラストについては、オープニングに伏線らしきものがあって、そこも面白い。

     

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■エイリアン1~4の完全版。
エイリアン1と4は劇場公開版も収録。

 

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                           <2009.11.29 記>

    
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2009年11月28日 (土)

■NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』第1部。始まるのが待ちきれない。

司馬遼太郎の代表作のひとつ『坂の上の雲』。

高校時代に始めて読んだときは、その面白さにどっぷり浸かったものである。

その『坂の上の雲』、ずいぶん前からNHKでドラマ化されるという話があって、なかなか始まらないなぁ、とやきもきしていたのだが、いよいよついに明日、始まるのだ。

Img_story01_01
■2009.11.29(日)より 20:00~21:30 NHK総合 

■今年から3年に渡って年末に放映される予定だそうで、今回の第一部は日清戦争が終わって秋山真之がアメリカに留学するところまで。

明治維新によって世界に扉を開いた日本が、好奇心旺盛な少年のようにグイグイと成長していくその過程を、秋山好古、真之、正岡子規の3人の青年の成長と重ね合わせて描く、それが今年放映の第1部、ということだろう。

■正岡子規が病床のなかで高浜虚子らと新しい俳句の世界を模索し、その一方でロシアの影が日本に忍び寄り、ついに日露戦争開戦、というのが来年の第2部。

秋山好古、真之兄弟が陸軍、海軍それぞれの立場で、ぎりぎり限界のところでロシア軍を押しとどめる、そのクライマックスが再来年の第3部。

いやー、書いていて何だかもう、わくわくしてきた。

始まる前から待ちきれない感じなのである。

    

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■坂の上の雲(全八巻)司馬遼太郎 著 文春文庫

  
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秋山真之  : 本木雅弘     海軍軍人。日露戦争時の連合艦隊参謀
秋山好古  : 阿部 寛       陸軍軍人。“日本騎兵の父”とよばれる
正岡子規  : 香川照之      俳人・歌人。俳句や短歌の革新を目指す
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山本権兵衛  : 石坂浩二   日露戦争時の海軍大臣。
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伊藤博文    : 加藤 剛      初代内閣総理大臣
児玉源太郎  : 高橋英樹    陸軍軍人。日露戦争時の満州軍総参謀長
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夏目漱石  : 小澤征悦        小説家。子規とは親交が深かった
秋山久敬  : 伊東四朗         秋山兄弟の父
秋山 貞   : 竹下景子         秋山兄弟の母
秋山多美  : 松たか子          好古の妻
秋山季子  : 石原さとみ        真之の妻
広瀬武夫  : 藤本隆宏         海軍軍人。海軍での真之の友人
正岡 律   : 菅野美穂        子規の妹。病床の子規を支え続けた
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■紅葉始め。

紅葉を眺めに行った。

まだ葉っぱ全体が真っ赤に染まるところまではいかず、

けれども濃い赤と淡い橙色のグラデーションが

陽の光を浴びて、美しかった。

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2009年11月24日 (火)

■【書評】『複雑な世界、単純な法則 ―ネットワーク科学の最前線―』、マーク・ブキャナン著。我々を取り巻く複雑なネットワークが持つ、幾つかの特性。

この世は複雑でまったく予測できないような振る舞いをみせるものである。

が、実はそのなかには単純な仕組みが加速度的に折り重なっていくことで生じるものがあって、それ故に、その複雑な振る舞いの性質を知ったり、予測をすることが可能な場合があるのだ。

それは原子でも細胞でも社会でも、その要素に関わり無くその性質が普遍的であるというのだから面白い。

とても面白い話なので、ここでは、書評、というよりは備忘録として書いてみたい。

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■複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線
マーク・ブキャナン著 草思社 (2005/2/25)

■1960年代、’アイヒマンテスト’で有名な心理学者スタンレー・ミルグラムが面白い実験を行った。

アメリカの片田舎の見知らぬ人からボストンの株仲買人へと知り合い伝いに手紙を送ってもらったところ、何度やっても6人前後で目指す相手に手紙が届いたという。

広大な土地に何億もの人が住むアメリカがこんなにも狭いのか、と世界を驚かせた、世にいう「6次の隔たり」である。

■いやいや、数学的に考えれば、一人に50人の知り合いがいれば、50×50=2500、2500×50=125,000、と繰り返し50を掛けていけば50の6乗は156億2500となって、「6次の隔たり」なんて、当ったり前ジャン、

というのは浅はかな考えで、「知り合い」というものは身近にいるもので、50人の知り合い同士が重複してしまうのが実際の世界なのである。

■身近な知り合い同士がひとつの集団を形作る、それを「クラスター」と呼ぶ。

実は、このクラスターが複雑な系における大事な役割りを担っていて、リンクがひとつふたつ切れたところで近傍でつながっているリンクを伝ってすぐに切れたリンクを補完してしまう性質をもっている。

ちょっとやそっとのことでは崩れない、システムの安定性、強さがそこに生まれるのだ。

■「クラスター」については分かった、じゃあ、何で「6次の隔たり」が起きるのか。

それを幾何学的に解いたのがニューヨーク州コーネル大学の数学者ワッツとストロンガッツ、1998年冬のことである。

円周上に1000の点を打ち、ひとつの点から近傍10個の点をつないでみる(クラスターを作る)。そうして今度は遠く離れたクラスター同士をつなぐ線を何本か追加してみるのだ。

すると、遠距離リンクを追加する前の隔たりが約50であったのが、一気に7までに落ちたのである。

■同じように世界人口60億の点もわずか数本の長距離リンク(ショートカット)を追加することで6次に収まることがシミュレーションによって確かめられている。

キモは近傍同志をつないで生じるクラスターの規則性と長距離リンクのランダムさ。

それが世界の60億人を6回でつないでしまう不思議な世界、「スモールワールド・ネットワーク」を生むのである。

■この仕組みは実際の世界にもあって、ホタルの群れの同時点灯、下等動物の神経ネットワーク、巨大な電力供給ネットワークにも見られる構図なのだ。

ひとつの点からのびるリンクの数がほとんど変わらないことから、このモデルを「平等主義ネットワーク」と呼ぶとすると、実はもうひとつスモールワールド・ネットワークのカタチがある。

今、自分が向かっているパソコン。

そこから拡がっていくインターネットのウェブの世界がそれである。

■その特徴は、近傍同士がつながるクラスターという性質はそのままに、そのうち幾つかの点が他より非常に多くの繋がりをもつ、というものである。

その非常に多くの接続をもつ点をハブと呼ぶ。

アマゾンだとか、ヤフーだとか、皆が集中してリンクを張る人気サイトがそれだ。

そのハブの存在によって、インターネットのサイト同士は非常に短い距離で結ばれているのだ。

■このネットワークの面白いところは、自然発生的に生じるというところである。

人気のあるサイトには皆がリンクを張りたがり、ますますリンクの数が増えていく。そうやって極少数の点に多くのリンクがつながっていく構図がある。

その性質から、先の「平等主義ネットワーク」に対して「貴族的ネットワーク」と本書では呼んでいる。

■それはインターネットのウェブサイトが作る世界だけではない。

雨水が流れれば流れるほど地面が削られ流域を拡げていく河川の面積における本流と支流の格差や、金持ちになればなるほど投資する余剰資金が増えていくことで生じる貧富の格差、長い腕ほど多くの氷の粒をつけて伸びていく雪の結晶など、など。

そこにあるのは、金持ちがますます金持ちになるといった(べき乗数に従う)単純な法則であって、一見複雑に見えるけれども、実は簡単な話でなりたっているのである。

■大切なことは、原子、分子や病原菌、歩行者、株の取引から国家に至るまで、その構成要素に関わらず共通の性質を持つ、ということである。

生態系の健全さにおいて最も重要な種は何か、

感染症と戦うにはどんな戦略が有効か、

ウェブのネットワークを守る最善の方法は何か、

企業における業務のネットワークをどのようにすれば、効率的で安定したアウトプットを生む組織を作り出すことができるのか、

そのヒントが、このスモールワールド・ネットワーク共通の性質を知ることで分かってくるのである。

■強靭なネットワークは近傍の集団が強い繋がりで結びついていることにより(クラスター化)、そして世界の広がりを小さくする、効率化するには極少ない要素が多くの弱いつながりを持つ(ハブを持つ)ことである。

逆に言えば、近傍同士のつながりが弱ければシステムは脆弱になり、ハブとなる要素が取りさらわれれば、ネットワークの効率は致命的に弱くなる。

とするならば、先の疑問の答えはおのずと分かってくるだろう。

■もうひとつのポイントは、ハブには物理的限界があるということだ。

最近、羽田空港のからみでハブ空港が話題になっているが、アメリカでは既にハブ空港は管制の限界に至っていて、周囲の中小の空港への分散化が始まっており、一極集中の構図が崩れていっている。

では、その先に何があるかというと、先に示した「平等主義ネットワーク」である。

生物の神経ネットワークや電力供給ネットワークなど、ハブという意味では物理的限界が低いネットワークが平等主義ネットワークに落ち着いているのもうなづける。

■さて、我々を取り巻く複雑なネットワークシステムがもつ特性を幾つか理解したわけだが、これらの知識は何も科学や社会構造の研究の最先端の世界だけに活かせるだけのものではない。

その特性は我々の社会、組織、仕事のやり方にも影響を及ぼしているのであって、実際にそこからいろいろと重要なヒントが得られるのだと思う。

と同時に、実際の世界の丹念な実態調査とコンピューターによる高度なシミュレーションによって初めて分かる部分があるわけで、一般論以上の部分はなかなか素人には手が出せないのも事実だろう。

このあたり、世間に溢れる’予測’と呼ばれるものに対する「正しい見方」を示唆してくれるものなのかもしれない。
 

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                          <2009.11.24 記>

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■複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線
マーク・ブキャナン著 草思社 (2005/2/25)

  

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