映画・テレビ

2009年11月12日 (木)

■NHK土曜ドラマ『外事警察』が楽しみなのだ。

『ハゲタカ』のスタッフが今度は諜報の世界に挑戦する。

14(土)から全6回で始まる土曜ドラマ『外事警察』だ。

原作は『宣戦布告』の麻生 幾。

いやー、これは面白そうですな。楽しみ、楽しみ。

                        <2009.11.12 記>

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■外事警察 麻生 幾 著 日本放送出版協会 (2009/09)

■スタッフ■
原案 麻生 幾
脚本 古沢良太
演出 堀切園健太郎 他?
音楽 梅林 茂

■キャスト■
渡部篤郎
石田ゆり子
尾野真千子
片岡礼子
遠藤憲一
余貴美子
石橋凌 他

 
■土曜ドラマ『外事警察』番組HP

     

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2009年11月 7日 (土)

■【映画評】『沈まぬ太陽』。人間の生き様。ラストシーンの感動が止まらない。

上映時間3時間22分の大作である。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.36  『 沈まぬ太陽
          監督: 若松節朗 公開:2009年10月
       出演: 渡辺謙  三浦友和  他 

          001

■休憩10分をはさんだ3時間半もの長大な映画。集中して見ることができるかどうか、正直あんまり自信が無くて見に行くのをためらっていたのだけれども、そんな心配はまったくの無用。

恩地元というあまりにも真っ直ぐな男の生き様にあっという間に取り込まれてしまったのであった。

  
■ストーリー■

昭和30年代。巨大企業・国民航空社員の恩地元は、労働組合委員長を務めた結果、会社から10年におよぶ僻地での海外勤務を命じられた。かつて共に闘った同期の行天四郎が組合を抜けてエリートコースを歩みはじめる一方で、恩地は家族との長年にわたる離れ離れの生活で焦燥感と孤独に追いつめられ、本社への復帰を果たすも不遇な日々は続くのだった。そんな中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こり…。<goo映画より>

 
■この作品は、己の信念を曲げないがために僻地をたらいまわしにされる恩地の話と、日航ジャンボ墜落事故とその遺族の話、そして航空会社の腐敗体質にまつわる話が交差しながら進んでいく。

それぞれの話がそれぞれに深くて物語が発散してしまいそうに思えるのだが、それが逆にうまく共鳴しあい、さらに深みを増している。

■そのなかでもやはり御巣鷹山の墜落事故の遺族たちの話がやるせない。

あれから24年も経つというのにあのときのショックが鮮明に蘇る。

特に墜落中に家族に向けたメモを残した父親と、それを読む息子の話は胸がつぶれる思い。

丹念に遺族に取材したのであろう事実がしっかりと背景にあって、だからこそのリアリティであって、だからこその重みなのである。

■その一方で、この映画は実直な恩地元(渡辺謙)と、出世の鬼と化した行天四郎(三浦友和)の歴史を縦糸として物語を織っていく。

明と暗、陰と陽のそのコントラストが素晴らしく、またそのコントラストの強さに関わらず陳腐に落ちないのがまた素晴らしい。

それはもちろん原作と脚本によるものであるけれども、渡辺謙と三浦友和の魂を揺さぶる好演によるところが大。

また、そのコントラストを際立たせる俳優陣の力にもよるのだろう。

何しろそれぞれが主役を張れるような豪華な顔ぶれで、ため息が出るくらいなのだ。

■ラストシーン。

妻に先立たれ、日航機の事故で息子家族を一度に失い、ただひとり残された老人(宇津井健)が四国のお遍路の旅にいる。

その老人に宛てた恩地の手紙が胸を激しく揺さぶる。

こころの奥の底のところでズンと打ち震えるような感動だ。

救いようの無い絶望。

そこにはどんな慰めの言葉も届かない。

それでも生きていこうと思わせるのは、広大な自然に向かって立ち、ちっぽけな自分をいつまでも照らしている夕陽、その瞬間にあるのだ。

 

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                           <2009.11.07 記>

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■【原作】沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)
山崎 豊子 著 新潮文庫 (2001/11)
  

■STAFF■
原作:山崎豊子『沈まぬ太陽』
監督:若松節朗  
製作総指揮:角川歴彦
企画:小林俊一
製作:井上泰一
脚本:西岡琢也
音楽:住友紀人
エンディング・テーマ:福原美穂『Cry No More』
製作:「沈まぬ太陽」製作委員会
製作プロダクション:角川映画
配給:東宝

■航空会社やスポンサーに首根っこを抑えられたテレビ会社の協力を得ずにこれだけの大作を真っ直ぐ作り上げた製作委員会と角川に深い敬意を感じます。
   



■CAST■
恩地元:渡辺謙
行天四郎:三浦友和
三井美樹:松雪泰子
恩地りつ子:鈴木京香
 * * * * * * * *
国見正之:石坂浩二
八馬忠次:西村雅彦
桧山社長:神山繁
小暮社長:横内正
堂本社長:柴俊夫
和光監査役:大杉漣
八木和夫:香川照之
 * * * * * * * *
利根川総理:加藤剛
龍崎一清:品川徹
竹丸副総理:小林稔侍
道塚運輸大臣:小野武彦
 * * * * * * * *
阪口清一郎:宇津井健
鈴木夏子:木村多江
小山田修子:清水美沙
布施晴美:鶴田真由
 * * * * * * * *
恩地純子:戸田恵梨香
恩地克己:柏原崇
恩地将江:草笛光子
 * * * * * * * *
国民航空123便操縦士:小日向文世
航空管制官:長谷川初範

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2009年10月26日 (月)

■Nスペ・自動車革命 第2回 スモール・ハンドレッド 新たな挑戦者たち。果たして自動車産業は相転移を起こすのか。

中国の小規模電気自動車メーカーってこんなに爆発的に増えてたんだね。知らんかったよ。

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■NHKスペシャル 自動車革命 第2回 スモール・ハンドレッド 新たな挑戦者たち(2009.10.25放映)

■とはいっても、クリアすべき安全基準もなくて、当然のようにナンバープレートもない。

中身は結構レベルの高いものから、部品を集めてきて適当にでっちあげたようなインチキ臭いものまで有象無象の状況なようだ。

けれども、そうした裾野の広さって大事なようで、航続距離がガソリン自動車と遜色の無い300kmなんてクルマもあって、それも結構走るらしい。(とはいえ、安全基準が・・・ならば大手メーカーの電気自動車と比べるのもナニなのだが。)

■一方、アメリカの状況も面白い。

こちらも電気自動車のベンチャー企業が乱立しはじめているようで、グライダーみたいな3輪自動車をひっさげて、これは古いアタマの自動車メーカーには作れまい、なんていう訳で、かなり威勢がいい。

アタマが固いと言われていちいち反論するもの大人気ないし、確かにそういう側面もあるだろうから、真摯にご意見拝聴なのである。

■それよりも驚くべきは、電気自動車を家庭の電気の蓄電池として、各家庭と電力会社をネットワークでつないで電力供給のマネジメントをするというアイデア。

うーん、確かに画期的。

時代を変える、という言葉がリアリティをもってくる。

■水が沸騰したり、氷になったりするように、一気に構造が変化することを相転移というのだけれども、今回の番組を見ていて、もしかすると、本当に自動車業界にも相転移が起こりかけてるのかもしれない。

電気自動車なんて、第一インフラが整ってないじゃん、なんて思っていたのだけれども、良く考えれば、インターネットなんかも始めは電話回線でピーガガやってて画像一枚引っ張ってくるのにかなり時間がかかってたのに、あっという間に光回線が普及して当然のようにさくさく動くようになったもんな。

電気会社が本腰を上げれば、インフラなんか、あっという間に整備されてしまうのかもしれない。

この10年、面白いことになりそうですな。

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                         <2009.10.26 記>

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2009年10月25日 (日)

■【映画評】『私の中のあなた』。私は何の為に生まれてきたのか、生きるとはどういうことなのか。

これは泣けました。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.35  『私の中のあなた
           原題: My Sister's Keeper
    原作:ジョディ・ピコー「わたしのなかのあなた」
     監督:ニック・カサベテス 公開:2009年6月(米国)
  出演: キャメロン・ディアス アビゲイル・ブレスリン ソフィア・ヴァジリーヴァ 他

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■ストーリー■
11歳の少女アナは白血病の姉に臓器を提供するドナーとして遺伝子操作によってこの世に生まれた。母サラは愛する家族のためなら当然と信じ、アナはこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきた。そんなある日、「もうケイトのために手術を受けるのは嫌。私の体は、自分で守りたい」と、アナは突然、両親を相手に訴訟を起こす。しかし、その決断にはある隠された理由があった…。(goo映画より)

   
■私は何の為に生まれてきたのか、という問いは、10代前半には芽生えてくる問いのように思える。

主人公のアナは、姉のケイトが生きていく為のドナーとして人工的に生を受けたわけで、客観的に考えるならば、その問いの答えはかなり厳しいものとなるだろう。

■物語はアナの独白ではじまり、アナの独白で終わる。

その間にある出来事を通して、彼女自身、その問いに対するひとつの答え、というより想いに至る。

そのとき、邦題の「私の中のあなた」というタイトルの意味が深く心に沁みてくるのである。

011

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■どうも「隠された理由」にこだわりすぎたのか、臓器移植を拒否するアナと、その一方でケイトに対する思いやりに溢れる日常のアナとのギャップに違和感を覚えてしまう。

きっと母親のサラ(キャメロン・ディアス)も同じことを感じていたに違いなく、見る者はその意味でサラと同じ目線で子供たちを見ていることになるのだろう。

■けれど、ケイトの命を助けることで気持ちがいっぱいになっているサラに対し、それ以外の大人たちの視点がしっかり描かれていて、観客はサラだけに没入することはない。

ふたりの娘のどちらの気持ちも汲み取ろうとする父親(ジェイソン・パトリック)、アナの訴えを叶えようと全力をつくす敏腕弁護士(アレック・ボールドウィン)、自らも最愛の娘を亡くしたばかりの裁判官(ジョーン・キューザック)、そして、ケイトにとって最良のことを常に考えている彼女の主治医(デヴィッド・ソートン)。

■その視線の多様さが、アナとケイトの造形に深みを与えてくれている。

と、同時に、「子供たちが自分たちで決めたこと」を理解する道筋を与えているのである。

■本来ならば、明るい青春を謳歌しているはずの年頃のケイトにとって、入退院を繰り返し、抗がん剤の副作用に苦しむ人生とはいったい何なのか。

そして、そんな姉にとって、これから明るい青春を謳歌するはずの妹を腎臓移植による苦しみの道に引きずり込むこととは、いったいどういう意味をもつのだろうか。

■同じ白血病をかかえるボーイフレンドの死に直面したケイトはそれを真剣に考え、兄と妹もその考えを尊重することを決め、行動に移す。

彼らにとって、それがどれだけ苦しい選択であったことか。

アナが移植を拒否した理由が明らかになるに従って、ケイトの、そしてアナの気持ちに落涙を禁じえないのである。

■「私の中のあなた」という邦題は、ケイトの中で生きるアナの臓器を想起させつつ、実はアナの心の中で生き続けるケイトの記憶のことを意味する。

もちろん、ケイトが生き続けられれば、それにまさることはない。

けれども、自然のままに生きられない、となったとき、果たして「生き続けること」が本当に最良の道なのか。

尊厳死、などという難しい言葉の前に、

生きる、とは一体どういうことなのか。

物語の中とはいえ、子供たちにそれを教えられる、それが感動をさらに深くするのだ。

   

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                           <2009.10.25 記>

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■【原作】わたしのなかのあなた
ジョディ ピコー 著 ・ 川副 智子 訳 早川書房
 

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■STAFF■
監督:ニック・カサベテス
原作:ジョディ・ピコー
脚本:ジェレミー・レベン、ニック・カサベテス
撮影:キャレブ・デシャネル
美術:ジョン・ハットマン
編集:アラン・ハイム、ジム・フリン
音楽:アーロン・ジグマン



■CAST■
キャメロン・ディアス    :母親 サラ・フィッツジェラルド
アビゲイル・ブレスリン  :次女 アナ・フィッツジェラルド
ソフィア・ヴァジリーヴァ  :長女 ケイト・フィッツジェラルド
ジェイソン・パトリック   :父  ブライアン・フィッツジェラルド
エヴァン・エリングソン  :長男 ジェシー・フィッツジェラルド
ヘザー・ウォールクィスト :ケリー叔母さん
 
アレック・ボールドウィン :アレクサンダー弁護士
トーマス・デッガー    :テイラー(ケイトのボーイフレンド)
ジョーン・キューザック   :デ・サルヴォ判事
デヴィッド・ソートン      :チャンス医師

     
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2009年10月20日 (火)

■日曜劇場JIN ―仁―。次の展開にワクワクする久しぶりのドラマなのだ。

原作は知らないのだけれど、面白いね、この話。

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■現代の脳外科医が幕末の江戸にタイムスリップ。近代設備も道具もクスリも無しで、目の前の患者を如何に助けるか。

何が面白いといってこの設定がやはりいい。

外科医として腕は立つと自負していたものの、それは現代の便利さに支えられたものであって、丸裸で患者と対峙せよ、という状況に立たされたときに医者としての本当の力が試される、というわけだ。

■そこで腹をくくってノミと金づちで脳外科手術に挑む南方仁(大沢たかお)。

使い慣れないノミを頭蓋骨にあてて、あれっ、と調子っぱずれの声をあげるところがまたたまらない。

おい、本当にそれで大丈夫なんか!!

と、つい、要らぬ心配をしてしまう。

つい、引き込まれてしまうんだな。

■脇役陣もまたいい味を出している。

南方が身を寄せる橘家の娘、咲を演じる綾瀬はるかはこれ以上ないというくらいハマっているし、「リミット」から転じて今度は地の演技で勝負する武田鉄矢(緒方洪庵)も面白い。

しかし、なんといっても内野聖陽(坂本龍馬)でしょう。

今まで数々の龍馬を見てきたけれども、こんな茶目っ気たっぷりの龍馬を見たことが無い。

素晴らしい。

思いっきり気に入ってしまいました。

■現在、第2話。

今のところ花魁の野風(中谷美紀)はちらりとしか登場していないのだけれども、どうやら重要な役どころのようで、これからストーリーにどう絡んでくるのか。

そもそも、タイムスリップの原因を作ったあの胎児はいったい何なのか。

あの包帯の男は本当に坂本龍馬なのか?

いやー、本当に目が離せません!

  

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■JIN―仁 (第1巻) (ジャンプ・コミックスデラックス)
村上 もとか 著

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■STAFF■
プロデュース - 石丸彰彦、津留正明
脚本      - 森下佳子
演出      - 平川雄一朗、山室大輔、川嶋龍太郎
音楽      - 高見優、長岡成貢
主題歌    - MISIA 「逢いたくていま」
  

■CAST■
南方仁        - 大沢たかお
友永未来 / 野風  - 中谷美紀(二役)
橘咲         - 綾瀬はるか
橘恭太郎      - 小出恵介
佐分利祐輔     - 桐谷健太
山田純庵      - 田口浩正
タエ         - 戸田菜穂
緒方洪庵      - 武田鉄矢 
新門辰五郎     - 藤田まこと 
夕霧         - 高岡早紀
鈴屋彦三郎     - 六平直政
橘栄         - 麻生祐未
勝海舟        - 小日向文世
坂本龍馬       - 内野聖陽

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■JIN ―仁― 番組HP

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’まぁ、お茶でも’ さんの「《JIN-仁ー》★02」
 

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2009年10月17日 (土)

■夢を実現する力。『爆笑問題のニッポンの教養』 細胞シート工学、岡野光夫。

今回のテーマは、細胞シート工学。

File87_
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE087:「あなたの細胞生き返ります」 2009.10.13放送
東京女子医科大学先端生命医科学研究所所長
細胞シート工学、岡野光夫。

■岡野先生はもともと高分子化学の人だったのだけれども、人工物で人の体の不具合を何とかしたいという思いで医学部に転じた面白い経歴の人である。

その成果として患者の体細胞を培養し具合の悪いところに戻してあげて機能を再生させるという技術を完成、心筋梗塞とか食道ガンとか角膜損傷など臨床での適用の段階にまできているのだそうだ。

何しろ自分の細胞から作り出したシートだから拒絶反応がまったくないわけで、極めて画期的なのである。

■キモは培養した細胞の薄膜をシャーレから剥がす高分子化学の技術と薄膜を積層させる工学の技術。

その視線は3Dスキャンした心臓などのデータをもとに臓器を丸ごと細胞シートの積層でつくってしまおう、という夢のようなところにまで及んでいて、それも20年から30年先くらいと言ってのける。

そうすると遺伝子操作の技術なんかも合流して、腎臓病の人が人工透析から解放されたり、糖尿病の人がクスリを飲み続けることから解放されたりするんだろう。

素晴らしい話だ。

■あとは脳みそか。

あれは常に変化し続ける臓器だもんね、ちょっと難しいだろう。

それとも、脳のダメージを受けたところに脳細胞シートを貼り付けると自己修復したりするのだろうか。

そのあたり、興味あるなぁ~。

■それにしても、早稲田の工学部と東京女子医科大学のコラボで生まれた研究室の雰囲気は良かった。

ああいう場を生み出せるというのも一つの能力なのだろう。

狭いタコツボの中にいたのではなかなか上手くいかなくなってきている、専門化、細分化が極まった現代においてはそういう能力が求められてきているのかもしれない。

 

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                           <2009.10.16 記>

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■再生医療のしくみ (エスカルゴ・サイエンス)

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■爆笑問題のニッポンの教養■

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■新書版 『爆笑問題のニッポンの教養』の既刊一覧へ■
        

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2009年10月 8日 (木)

■【映画評】『カムイ外伝』、活劇であるならば何よりも大切なのはラストのカタルシスに至る下準備なのだ。

♪忍びが通る~けものみち~。

風~がカムイの影を斬ぃる~。(ワクワク)

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.34  『カムイ外伝
           公開:2009年9月
           監督・脚本: 崔洋一  脚本: 宮藤官九郎 原作:白土三平
       出演: 松山ケンイチ 小雪 伊藤英明 他

          Photo

■ストーリー■
抜忍であるカムイは追われる身として厳しい追忍の刃を切り抜け、生き抜いていく。そんな逃亡の旅のなかで、カムイは奇縁によって漁師の半兵衛一家のもとに身を寄せることになるが、その半兵衛の妻もまた身を潜めて生きてきた抜忍なのであった・・・。
  

■監督:崔洋一、脚本:宮藤官九郎、主演:松山ケンイチなんてメンバーであの名作を実写化しようってんだから期待がぐんぐんと高まるのも当然。

一部の映画サイトでの評判の悪さはその反動なのだろう。

確かに、ワイヤーアクションがチープすぎるとか、山崎努の説明過多なナレーションに違和感を感じるだとか、いろいろと難点はある。

が、そのあたりに片目をつぶれば、なかなかの傑作。

■’飯綱落とし’、’変移抜刀霞切り’といったカムイの必殺技をうまく見せていたし、松ケンの忍者走りも決まっていたし、小林薫や伊藤英明を中心とした俳優陣の熱演と山崎努のシブい声によってでドラマの中にも没入出来た。

要するにエンターテイメントとして楽しめた。

決して1800円の価値のない駄作などではない。

それだけに、ラストの描き方がどうにももったいなく、解せないのである。

■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■
   

■■■              ■■■

■渡り衆の頭である不動(伊藤英明)が島の民たちだけでなく、仲間であるはずの渡り衆まで皆殺しにした、そこの背景を、

「うぬがイヌだったのか!」

というカムイのセリフで全部を了解せよ、というのは原作を知らない観客に対して酷である。

果たして本当に伝わったのか、というそこである。

■もともと、「スガルの島」編は、半兵衛一家を中心とした島の人たちだけでなく、殿様とか、抜け忍集団の渡り衆だとか、追忍たちとかの関係が絡み合う複雑な話である。

それを2時間ほどの映画にまとめる苦労もわかる。

けれども、この話の何が大事だったかというと、関係のない者達をも巻き込んで無益な死に追いやっていく忍者社会の非道さ、その象徴である不動の裏切り。

そこを描くのがあまりにも早足過ぎるのではないか、ということだ。

抜け忍スガルと事情を知りすぎた半兵衛を始末するために島民を皆殺しにする理由もよくわからないし、抜け忍組織を作っておいてまとめて始末しようという不動のたくらみも分かりにくい。

そこがよく分からないまま、不動との対決に入っていくフラストレーション。

■なにもすべてが原作に忠実である必要はない。

けれども、不動が新たな抜け忍を助けに行くという名目でカムイを誘い出し、罠に嵌め、その間に半兵衛一家の水がめに毒を盛り、渡り衆を「組織を裏切った愚か者」呼ばわりしつつ船ごと全滅させる。

その一連の裏切りの流れが、不動に対するカムイの怒りの原動力になるわけで、そこを丁寧に描かなければラストシーンのカタルシスにつながらないのである。

物語りにとって、ラストに向けた流れの加速の丁寧さがいかに大切かを改めて認識した次第である。

  

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                           <2009.10.08 記>

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■カムイ外伝-スガルの島- (ビッグコミックススペシャル)
■【原作】白土三平 小学館 (2009/8/28)
■カムイ外伝全集、全11巻のうち、スガルの島編を抜き出した本だと思われる。話は独立しているからコレだけを読んでもまったく問題ないだろう。
  

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■決定版カムイ伝全集 カムイ伝 外伝 11巻セット
■2007年に刊行されたカムイ伝全集の外伝編。
映画公開と平行して新作が連載されているがそれは含まない。
  

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■カムイ伝全集―決定版 (第1部1) (ビッグコミックススペシャル)
■士農工商、エタ、非人。

江戸時代のその社会構造の歪みと悲劇、そして本当に生きる、ということを描こうとした壮大な叙事詩。

むごい話の連続なだけに、ラストの「生」に対する力強さに心を揺り動かせられた。

手塚治虫の『火の鳥』と並ぶ日本漫画史上に輝く傑作だとおもう。

(第一部、全15巻)
   

■STAFF■
監督 崔洋一
原作 白土三平
脚本 宮藤官九郎 、崔洋一



■CAST■
松山ケンイチ  : カムイ
小雪       : スガル(お鹿)
伊藤英明    : 不動
佐藤浩市    : 水谷軍兵衛
小林薫     : 半兵衛
大後寿々花   : サヤカ
金井勇太     : 吉人
芦名星      : ミクモ
土屋アンナ    : アユ
イーキン・チェン : 大頭
イ・ハソン  : カムイの少年時代
PANTA  : 絵師
隆大介  : 柏原
坂口征夫  : 渡り衆
* * * * * * * *
語り  : 山崎努

    
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2009年10月 3日 (土)

■【映画評】『惑星ソラリス』、アンドレイ・タルコフスキー監督。胸を締め付ける望郷の想い。

SFというよりは芸術映画といったほうがいいだろう。

文句無く、これは名作である。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.33  『惑星ソラリス
           原題: SOLARIS
           監督: アンドレイ・タルコフスキー 公開:1972年 3月(ソ連)
       出演: ドナタス・バニオニス ナタリア・ボンダルチュク  他

     Photo ■【DVD】惑星ソラリス

■ストーリー■
海の惑星、ソラリス。どうやらその海は知性を持っているらしい。軌道上の宇宙ステーションから帰還した研究者はソラリスでの驚くべき体験を語り、その真偽を確かめるべく心理学者のクリスがソラリスへと向かう。

   
■寡黙である。

とても寡黙な作品である。

下手をすると観る者が置いてけぼりにされてしまいかねないくらい、寡黙である。

静かな情景と抑えられた表情、少ないセリフで構成されたこの作品は、消化の良すぎるハリウッド映画に慣れた眼にはあまりに退屈に映るかもしれない。

けれども、『2001年宇宙の旅』と並ぶSF映画の最高峰とまで呼ばれるにはそれだけの理由がある。

『2001年』が人類の更なる進化について語る外向きの映画とするならば、ソラリスはひたすら深く心理の奥に入り込んでいく内向きの作品である。

だから理屈は通用しない。

それを知るには、ただ体験するのみである。

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■タルコフスキーの作品はほとんど見たつもりになっているのだけれど、どの作品もちょっとした映像の印象を残して記憶からスッポリと抜け落ちている。

そうか、筋書きそのものがあまり意味を持っていないのかもしれないな。

今回、改めてソラリスをみて、そう思う。

■たぶん《理解しよう》という考え自体が誤っているのだ。

タルコフスキーが表現したかったことは、頭で考えることではなく、感じることなのだ。

それゆえにスタニスワフ・レムの原作の設定である「知性のある海との邂逅」というテーマがそこに共鳴し、おおきく浮き上がってくるのだろう。

その体験は説明するものではなく、クリスの眼を通して体感するものなのだ。

■水辺があって、水草がそこに揺らいでいる。

その水辺をひとり歩くクリス。

胸にはぽっかりと穴が開いている。

10年前に自殺してしまった妻、ハリーに対する自責の念が彼をまだ苦しめている。

■そのクリスの目の前にリアルな存在としてのハリーを蘇らせたソラリスの思いは分からない。

けれども、それはクリスを、そしてハリーをも苦しめるものであった。

クリスが求めていたものは母、故郷、そして父。

それが本当の故郷であるか、ソラリスの作り出した偽りのものであるかはもう問題ではない。

そこには心の苦しみを癒してくれる何かがあるのだから。

そして、その悲しみ、苦しみは誰もがかかえているものであって、だからこそ、タルコフスキーの望郷の思いが我々にも沁みてくるのである。
  

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                           <2009.10.03 記>

■【DVD】惑星ソラリス

Photo_2
■【原作】 ソラリスの陽のもとに
■スタニスワフ・レム ハヤカワ文庫SF(1977/04)
■原作の内容もすっかり忘れてしまったなあ。
実家に戻ったときにでも本棚を漁ってみるか。
  

    
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2009年9月26日 (土)

■NHKドラマスペシャル 白洲次郎。矛盾に満ちたこの世の中で真っ直ぐ生きるということ。

90分3本勝負を半日かけて一気に見た。

後半にむけてぐいぐい引っ張られる感じがして、やっぱりいいね、大友啓史。

Photo_4

■白洲次郎というと、GHQに対して卑屈にならずにモノを申すことが出来た気骨の人であって、一本筋の通ったカッコいい人なのである。

だから作品としては、彼をいくらでも「カッコよく」切り取ることはできるし、実際、このドラマでもため息が出るくらいカッコよく描かれていたと思う。

■けれども、それだけでないのが大友啓史風味で、白洲次郎が真っ直ぐ生きれば生きるほどにそこに生まれてしまう矛盾をはっきりと描き出す。

世の中はそんなに単純に出来ているわけではないのだ。

そこに苦悩、というものがあって、だからこそ、単なるヒーローではない、生身の人間として白洲次郎を浮かび上がらせることに成功したのだと思う。

■売却話で対立する製鉄会社の役員と殴りあうシーン。

そこで’鉄屋’の男が言う。

お前は何者だ。

そこがこの物語のカギになる部分だと思う。

白洲はいう、俺は何者でもない。

戦後政治の中枢にいて占領下の日本を独立にまで導いた立役者がそう言うのだ。

■人には天命、というものがある。

多分、白洲はそれを意識していたのだろう。

己に何ができるのか。

己にしか出来ないことは何か。

自分が何者でもない、とまっすぐ言えてしまうということは、常に、その瞬間瞬間においてその問いを自らに投げかけ続けていたということだろう。

常人にはとても出来ないことである。

■白洲の妻、正子もまた、己が何者であるかについて苦しみ抜いた人だ。

ある種のスーパーマンの傍にいて、どうしても自分の姿と比べてしまう。

それは常人であり、かつ、自己実現を熱望する理想の高さを持つ故に悲劇的である。

その正子がこの物語の語り手であることに意味がある。

何しろテレビのこちら側にいる我々も常人なのだから。

■それがラストになって効いて来る。

西行法師に重ねて白洲次郎の生き様を語るシーンがあって、こういう比喩的表現も粋だなあ、なんて感じていたのであるが、最後のさいごに正子を演じる中谷美紀がふと顔をあげてカメラ目線でこちらをじっと見つめている。

これには参った。

総計270分かけて繰り広げられたドラマが画面のコチラ側にいきなり侵入してくる。あなたはどう生きているのかと問いかけてくる。

ひさしぶりにドラマでぞくぞく感を味わった。

■演出で言えば、写真と音楽で’語らずして語る’手法も見事。

さらりとしていて、それでいて艶っぽい。

いやあ、粋だねぇ。ホント。

白洲の名前に恥じない素晴らしく濃密でスタイリッシュな作品なのでありました。

     

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■【原作本】

Photo
■白洲次郎 占領を背負った男 上 (講談社文庫)

Photo_2
■【原作】次郎と正子―娘が語る素顔の白洲家  

  
■【DVD】

Dvd
■【DVD】 NHKドラマスペシャル 白洲次郎 DVD-BOX

 

■関連記事■
■NHKドラマスペシャル、白洲次郎。極上のレシピと、素材と、料理人。

■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

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■STAFF■
原案: 北康利 「白洲次郎 占領を背負った男 (講談社文庫)」
     牧山桂子 「 次郎と正子―娘が語る素顔の白洲家」
制作統括  : 鈴木圭
脚本・演出  : 大友啓史 
音楽          : 大友良英
美術          : 都築雄二
スチル        : 若木信吾

  
■CAST■
白洲次郎     : 伊勢谷友介(少年:高良健吾 晩年:神山繁)
白洲正子 (妻)  : 中谷美紀
白洲文平 (父)  : 奥田瑛二
白洲芳子 (母)  : 原田美枝子
ミヨシ (白洲家宮大工): 塩見三省
* * * * * * * * * * * *
吉田茂      : 原田芳雄
近衞文麿          : 岸部一徳
* * * * * * * * * * * *
マッカーサー    :ティモシー・ハリス
* * * * * * * * * * * *
牛場友彦 (幼馴染)  : 石丸幹二
辰巳栄一 (駐英武官) : 高橋克実
河上徹太郎 (文芸・音楽評論家) : 田中哲司
青山二郎 (骨董の目利き)     : 市川亀治郎
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ロビン (留学時代の親友):ED SPELEERS

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2009年9月 9日 (水)

■【映画評】『20世紀少年 ―最終章― ぼくらの旗』。大切なのは日常のなかのちょっとした勇気なのだ。

いやー、ハラハラしました。いろんな意味で・・・。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.32  『20世紀少年 ―最終章― ぼくらの旗』
          監督:堤幸彦  脚本:浦沢直樹  公開:2009年8月
      出演:唐沢寿明 豊川悦司 平愛梨 他
  
   

    02

■ストーリー■
“ともだち歴3年”の2019年、世界は世界大統領として君臨する“ともだち”に支配され、殺人ウイルスがまん延する東京は壁で分断。都民の行動は完全に制限されていた。そんな中、カンナ(平愛梨)は反政府組織として武装蜂起する一方、“血の大みそか”以降、行方がわからなくなっていたケンヂ(唐沢寿明)が突然現われる。(シネマトゥデイ)

■20世紀少年3部作の最終章。

公開直前にテレビでやった第1章、第2章が面白かったので、その熱が醒めないうちにと映画館に向かった次第。

けどね、ちょっと毛色が違うのでありました。

■1章、2章は、ケンヂたちが小学生のころの昭和60年代の回想を織り込みつつ現在世界で物語が進行していくという形をとる。

そのため、とてもリアルな感覚にあふれた映画となっていた。

2000年末の’血のおおみそか’で暴れまわった張りぼての巨大ロボットを筆頭に、’ともだち’のテロ行為は胡散臭さ故のリアリティがあって、オウム真理教の地下鉄サリン事件、9.11の同時多発テロから地続きの感覚を維持していた。

■ところがこの最終章では舞台が近未来になっていて急速にそのリアリティを失った印象が否めない。

特に空飛ぶ円盤と巨大ロボット。

そこには’現実’のかけらも存在しない。

確かに、1960年代から見た21世紀は、エアカーなんかが空を走りまわっていたりして、われわれの知る’つまらない’現在とはまったく異なった世界であり、作者はそこを描こうとしたのかもしれない。

けれども、なーんか入り込めない、ノリきれない。
   

■とはいえ、ドラマ自体はスリリングで役者も良くってそこはいい。

香川照之にしても、石橋蓮司にしても、黒木瞳にしても、脇を固める俳優陣がドラマに深みを与え、崩壊しかけたリアリティを取り戻すことに成功している。

■そしてラストの大団円へと物語はなだれ込んでいくワケなんだけれども、ここでまた引っかってしまうのだ。

満場の大観衆に囲まれて熱唱するケンヂ。

人類は救われた、ハッピー、ハッピー!!

けどそこでエンドロールが流れ始めたときは、ほんと、もうどうしようかと途惑ってしまった。

おいおい、これで終わりかよっ、何か忘れてやしませんか、ていう感じ・・・。

(以下につづく)

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

  

■■■              ■■■

■いやー、やられました。

エンドロールの後の展開、良かったなあ。

感動しました。

ケンヂがいう。

’ともだち’を生んだのは俺たちじゃない、俺なんだ!!

そこでケンヂは、ともだちランドのバーチャルアトラクションを使って過去に戻り、自分自身の過去、今回の悪夢を生む元凶となった出来事に決着をつけに行くのであります。

■小学生のときのエピソードもいいけれど、’ともだち’とケンヂが本当の友達になる、そこのシーンにグッときてしまった。

ここまでの悪夢の根本にケリをつける、これぞ完結編!!

本当の友達ができた’ともだち’は癒され、架空の悪夢は消え去った、というわけだ。

そこまでの話が壮大であっただけに、このちょっとした、当たり前の物語が効いてくる。

大切なのはちょっとした思いやり、素直さとそれを実行に移す勇気であって、それを再確認させてくれたこのラストシーンにこちらもすっかり癒されてしまったのであります。

  

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                           <2009.09.09 記>

Photo_2
■ 20世紀少年(ビッグコミックス)全22巻+21世紀少年 上・下
作・浦沢直樹
■実は読んでいないんです。
大人買いするか、マンガ喫茶通いをするか、考え中・・・。

20th_century_boy
■【CD】 20th Century Boy: Ultimate Coll (Dig) T.REX

   

01

■STAFF■
監督・脚本: 堤幸彦
プロデューサー: 飯沼伸之 / 甘木モリオ / 市山竜次
エグゼクティブプロデューサー: 奥田誠治
原作・脚本: 浦沢直樹
脚本: 長崎尚志
撮影: 唐沢悟
編集: 伊藤伸行
美術: 相馬直樹
音楽: 白井良明



■CAST■
ケンヂ(遠藤健児)    :唐沢寿明
オッチョ(落合長治)   :豊川悦司
ユキジ(瀬戸口雪路)   :常盤貴子
遠藤カンナ          :平愛梨
ヨシツネ(皆本剛)     :香川照之
マルオ(丸尾道浩)     :石塚英彦(ホンジャマカ)
ケロヨン(福田啓太郎)   :宮迫博之(雨上がり決死隊)
フクベエ(服部哲也)     :佐々木蔵之介
コンチ(今野裕一)     :山寺宏一
    
神様             :中村嘉葎雄
蝶野将平          :藤木直人
春波夫           :古田新太
ヤン坊・マー坊       :佐野史郎
漫画家・角田        :森山未來
小泉響子           :木南晴夏
仁谷神父          :六平直政
キリコ(遠藤貴理子)    :黒木瞳
敷島教授          :北村総一郎
  
万丈目嵐舟        :石橋蓮司
13番(田村マサオ)     :ARATA
高須             :小池栄子
ヤマさん          :光石研
地球防衛軍        :高嶋政伸、田村淳(ロンドンブーツ1号2号)
  
市原節子          :竹内都子
ジジババ          :研ナオコ
漫画家・金子       :手塚とおる
漫画家・氏木       :田鍋謙一郎
ビリー            :高橋幸宏(YMO)
大垣師範代        :武蔵
  
神木隆之介


・・・神木隆之介、相変わらずいい演技だったけど、大きくなったねぇ。

    
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2009年9月 3日 (木)

■こころのずっと奥底に響くもの。『爆笑問題のニッポンの教養』 音楽、坂本龍一。

今回のテーマは、音楽。

File083
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE083:「台本のない音楽会」 2009.9.01放送
音楽、坂本龍一。

■母親が赤ん坊に「○○ちゃーん、ごはんでしゅよー」、

なんていう時には声の音程が上がっていて、あたかも音楽のよう。

実はそれは世界万国共通で、何万年か昔の人類において「音」と「ことば」が未分化だった時代の名残りだという説があるのだそうだ。

太田がサザンの歌のもつ力を坂本龍一さん伝えようとするのだけれども、どうしても分からないのは、彼の耳には歌詞が記号(音)として入ってくるらしく、どうやら’教授’は耳が赤ちゃんのまま育ったんじゃないかと太田にからかわれていたが、それもあながち的外れでもないのかもしれない。

■太田のいうようにメロディの上に言葉がのることで、ものすごく伝わる、なかなか伝えられないことも伝わってしまう、ということは確かにある。

けれどその一方で洋楽を聴くときって、英語が分からないものだから、歌詞もまた曲の一部としてとらえてしまって、邦楽を聴くときと脳のはたらく部分が違うような気がするのだ。

ジャズとかを聴くときと同じ脳なんだよな。

■邦楽は左脳、洋楽は右脳、

なんて単純じゃないんだろうけれど、赤ちゃんの話を聞くと、洋楽とかジャズとかは感情とかそういったこころ動きのさらにずっと深いところに入り込んでいくのだろうな、とうなづける。

けど、まあ、そんな理屈は最後の’戦メリ’生演奏の前にはまったく意味が無くって、ああ、やっぱり音楽っていいなあ、と、ろくに弾けないウクレレと戯れながら、しみじみ思うのである。
  

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                        <2009.09.03 記>

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Photo 1996 坂本龍一
■6曲目に’Merry Christmas Mr.Lawrence’が入っています。
<視聴>では前奏の部分しか聴けないのが憎らしい(笑)。

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■過去記事■ [バックナンバー]の 一覧
■爆笑問題のニッポンの教養■

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Photo_2
■新書版 『爆笑問題のニッポンの教養』の既刊一覧へ■
        

■関連サイト■
■『爆笑問題のニッポンの教養』番組HP

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2009年8月25日 (火)

■【映画評】『エンゼル・ハート』。「驚愕のラスト」の元祖なのだ。

好きなサスペンス映画って言われるとコレだなあ。

という一本です。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.31  『エンゼル・ハート
           原題: Angel Heart
          監督: アラン・パーカー 公開:1987年5月 米国
      出演:  ミッキー・ローク ロバート・デ・ニーロ 他

     Dvd

■ストーリー■
1955年のブルックリン、私立探偵ハリー(ミッキー・ローク)は、ある日謎の紳士サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から、失踪した歌手ジョニーを探してくれとの依頼を受ける。しかし、その調査の過程で次々と殺人事件が起きていき…。 (Amazonの解説より抜粋)

■まず、役者がいい。

ミッキー・ロークの私立探偵の雰囲気。

失踪した謎の男を追ううちにどんどんと深みにはまっていくハードボイルドな展開に、ミッキーロークのチョイ悪具合がピタリときている。

一方、謎の依頼者のロバート・デ・ニーロもいつにも増してはまっている。

ラストの方の薄ら笑いを浮かべた表情なんて、もう最高。

■もちろんストーリーも見事。

ニューヨークのハーレムでの前半部分のハードボイルドから後半のルイジアナでのオカルトチックな世界への転調がいい。

あれあれ、という間にドンドンひきずり込まれていく感じ。

途中に差し挟まれる暗示的なシーンのカットと編集のテンポがいいんだろうな。

決して後味のいい作品ではないのだけれど、ええっ?!ってのが好きな人にはお薦め出来る作品です。
 

■【DVD】 エンゼル・ハート

   

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                           <2009.08.25 記>

■STAFF■
監督・脚本: アラン・パーカー(『ミッドナイト・エクスプレス』、『ミシシッピー・バーニング』)
製作: マリオ・カサール
原作: ウィリアム・ヒョーツバーグ 『堕ちる天使』
音楽: トレヴァー・ジョーンズ
撮影: マイケル・セレシン
編集: ジェリー・ハンブリング


■CAST■
ハリー・エンゼル : ミッキー・ローク (あ、『レスラー』見なきゃね。)
ルイ・サイファー : ロバート・デニーロ
エピファニー   : リサ・ボネット
マーガレット・クルーズマーク  : シャーロット・ランプリング

    
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2009年8月11日 (火)

■NHKスペシャル 「日本海軍 400時間の証言 第二回 特攻 やましき沈黙」。それは口で言うほどたやすいことではなく。

特攻隊のパイロットたちの話はよく取り上げられるけれども、それを命じる側の話は今まであまり明らかにされてこなかった。

この番組は当時の将校たちの組織「海軍反省会」の膨大な録音テープからその靄を晴らそうという試みである。

N

■特攻隊の創始者といえば1944年10月の航空特攻を命じた大西中将の名が挙がるのだけれども、それ以前から「桜花」とか「回天」とかいった、人間を誘導装置としてあつかう特攻兵器の開発が進められていた。

圧倒的不利な戦局を打開し、故郷に残した家族を守るためにこの身を捧げる。その意志の発露としての’特攻’とは全く別の次元で、戦争遂行の中枢である軍令部では冷徹な論理として「特攻」が計画されていたのだ。

01 人間魚雷「回天」
01_2
人間爆弾「桜花」

■戦争とは命を懸けて遂行するものである。

が、作戦とは目的を成し遂げた後に生きて帰る可能性をいくばくかでも残したものでなければならない。

従って、「特攻」は作戦ではない。

と、軍令部の元参謀はいう。

けれども、誰も「特攻」を止めることが出来なかった。

■過ちと分かりながら大勢、あるいは’空気’というものに飲み込まれてしまう。

番組は、それを「やましき沈黙」と呼んだ。

そして、それは過去の海軍の犯した過ちであるというだけでなく、今の我々にも突きつけられている課題なのだと結ぶのだ。

■確かにそうだ。

行き過ぎた自由化にしても、派遣の問題にしても、その問題が進行している時点では、どこかがおかしいと強く感じてはいても、人間というのはどうしても流されてしまう。

結局、それが過ちだと分かるのは事態が破綻を来たしたその後のことになる。

■しかしながら、番組の製作者が言うように我々は’大勢’とか’空気’というものに流されることなく、それに抗うことができるのだろうか。

特攻にしても現場の将校のなかで、その無謀さを批判し命令に攻しようとしたものもいるとう。

けれども、上官から国賊と罵られてしまってそれでおしまい。

その上官にしたって、心の中では’特攻’は無謀な作戦だと考えていたというに違いないのだ。

■この’大勢’とか’空気’とかいったものと戦うのは、口でいうほどたやすいものではないのだと思う。

もちろん問題提起としては重要だし、きっと本質をついている。

だからこそ、客観的な視点で’敵’の本質を見抜き、勝ち目のある作戦立案が必要なのだ。

たぶんそれは個人こじんが真剣に悩み考えるだけでなく、何らかの’支点’と’テコ’を見つけ出し、流れを変えていくことなのだろう。

今はまだ、そういう抽象的なことしか言えないのだけれども、常に考え、チャレンジしていくべき課題として胸に置いておこうと思う。
 

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                         <2009.08.11 記>

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Photo
■「空気」の研究 山本七平 著 文春文庫 1983/01
■「空気」とは何かについて思索を深める一冊。
もう一度読んでみようかなと思う。

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2009年8月10日 (月)

■土曜ドラマ「リミット―刑事の現場2」最終回。いいドラマ、というのはこういうものなのかもしれない。

これがドラマなんだな、と思う。

Simple

■18年前に梅木(武田鉄矢)の恋人を殺した黒川(ARATA)が、今度は啓吾(森山未來)の恋人の茉莉亜(加藤あい)を誘拐する。

前の恋人を轢き逃げした犯人に対して抱いている茉莉亜のこころのなかのわだかまりを利用して彼女を憎しみの世界へ引き込もうとする、その試みは18年前に満たされなかった黒川の心の闇の再演なのである。

黒川にとってこの世界は、憎しみこそ何よりも勝るのであって、愛だとか優しさいったもので何とかなるものではない。

そう信じることでしか己の不幸な生い立ちに折り合いをつけることが出来なかったのだ。

■茉莉亜の救出に成功し、黒川を屋上に追い詰める梅木と啓吾。

そこで演じられる啓吾の黒川に対する憎しみも、梅木の18年間の苦しみも、実は黒川の世の中に対する憎しみと同質のものなのである。

■18年の苦しみに決着をつけるべく黒川のこめかみに拳銃を突きつける梅木に対する啓吾の叫び。

嗤われてもいい、愛を信じたい。

この場面、涙をこらえるのにやっとでありました。

■そこまでの不自然な偶然の積み重ねやらご都合主義などというものは全くもって気にならない。

その次元のもっと上の高みでドラマが進行している感じなのだ。

いいドラマ、というのはこういうものなのかもしれない。

■最後の方で啓吾が茉莉亜にいう。

 結婚って、お互いに不幸せになることなんだって。

というそのセリフにもやられました。

それはお互いの不幸を背負い合う覚悟をもつこと。

その二人の背中にもまた、ジンときてしまったのである。

 

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                        <2009.08.10 記>

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■[DVD検索] ’リミット 刑事の現場’

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■STAFF■
原作・脚本 : 遊川和彦 (『女王の教室』、『さとうきび畑の唄』)
演出     : 渡辺一貴
製作     : 磯 智明

  
■CAST■
梅木拳     :武田鉄矢(中央署の一匹狼)
加藤啓吾    : 森山未來(若手3年目の刑事) 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
青井茉莉亜   : 加藤あい(啓吾の婚約者)
東野恵一    : 杉本哲太(刑事課長)
筒井薫      : 若村麻由美(庶務係)
太宰満      : 伊武雅刀(課長代理)
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
黒川真治    :ARATA

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■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

■リミット 刑事の現場2 番組HP

■トラックバックさせていただきます■
’まぁ、お茶でも’ さんの「《リミット~刑事の現場2》#05」
 

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2009年8月 7日 (金)

■【ドキュメンタリー】『妖怪 水木しげるのゲゲゲ幸福論』、食って、笑って、クソして寝るのが幸せの根本なのだ。

水木しげるサンは人生の天才なのである。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.30  『妖怪 水木しげるのゲゲゲ幸福論
           ― そりゃアンタ、
        何か根本的に覆さんと
          人類は幸せになりませんヨ ―
         
      主演:水木しげる 朗読:和久井映見 放映:2006年3月
       出演: 荒俣宏、呉智英、南伸坊、京極夏彦 他

     Dvd
           ■ 妖怪水木しげるのゲゲゲ幸福論
           ■ 2006年/日本/テレビマンユニオン・BS JAPAN/120分

■本作は2006年にBS JAPANで放映された水木サンの異色のドキュメンタリーであって、テレビ界の日本アカデミー賞ともいえる、ギャラクシー賞を受賞した作品である。

内容としては、水木サンの日常とニューギニア訪問、水木サンを良く知るひとたちによる座談会で構成されているのだけれど、本編1時間半、まったく飽きることのないうまい作り方をしている。

■タイトルの通り、テーマは「幸福」。

これがなかなか一筋縄ではいかない独特の幸福論で、観る者はその幸福菌に感染してとても幸せな気分に浸れるのである。

■幸福論、なんていう場合、生きる意味だとかなんだとか小難しい話に陥りがちなのだけれども、水木サンの場合は単純至極。

生きること、そのものなのである。

■食うことを楽しみ、面白いものや面白いひとに出くわしては楽しく笑い、銭をもらってはにんまりし、素晴らしくよいカタチのクソをして、こころゆくまで寝るのを楽しむ。

その行動とか発言は極めて自己肯定的であって、他のひとがどうだとかいうことは一切関係ない。

それでいてその天真爛漫さゆえに嫌味がなくて誰からも愛され、その幸福菌を周囲にばら撒き感染させていくのである。

■ニューギニアの戦地で生死のギリギリの場面に幾度も遭遇し、爆撃で左手を失い、戦後は紙芝居や貸しマンガで生計をたてようとするも全く売れず腐りかけのバナナで飢えをしのいだ。

その迫力。

それでいて「不幸」という文字は水木サンの背中には一切感じさせることはない。

自らが生き残る、ということが最重要課題であって、それさえあれば「幸せ」なのである。

■小難しいことは考えない。

そうしたとき、食うということ、寝るということ、それそのものが即ち幸せなのであって、ああ、本当にうらやましい生き方だなあ、と思う。

それもまた水木サンの才能なのだと思うのだけれど、水木さんの生き方を感じることでほんの少しだけおすそ分けを頂けるような気もする。

そういう意味で、繰り返し眺めてみたい作品である。

特に特典映像の座談会特別版は、生き方についての眼からウロコな内容であって、体内の幸せ菌が減ってきて心が疲れてしまったときの特効薬になるだろう。

  

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                           <2009.08.07 記>

■ 妖怪水木しげるのゲゲゲ幸福論
■ 2006年/日本/テレビマンユニオン・BS JAPAN/120分

    
   

■関連記事■
■Nスペ 『鬼太郎が見た玉砕』。戦争の不条理。TVドラマの枠を逸脱した10年に一度の傑作。

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2009年7月20日 (月)

■濃密な感情の奔流。土曜ドラマ「リミット―刑事の現場2」が面白い!

いやー、濃いドラマです。

Photo

■正義とは・・・、罪とは・・・、

なんていう甘っちょろいドラマではない。

そんな言葉遊びを吹き飛ばすような、ねっとりどろりとした心の奥底から湧き上がる抑え切れぬ感情がほとばしるドラマなのだ。

■刑事とは人間を憎む職業だと言い切る定年間際の一匹狼(武田鉄矢)と正義感に燃える若手刑事(森山未來)を中心にドラマが進行していくのだけれども、武田鉄矢の感情剥き出しの演技が半端じゃない。

金八先生の真逆というかダークサイドというか、犯人に対して人間として憎しみを持ってぶち当たっていく、その姿に大いに疑問を抱きつつも惹きつけられていく森山未來。

■主役の二人はもちろん、脇を固める杉本哲太、伊武雅刀、若村麻由美も濃くていい感じ。

脚本、演出のテンポもいいから飽きさせない。

現在、全5話のうち2話が終了したところなのだけれども、どうやらこれから二人の刑事それぞれの過去・人生に深く分け入っていきそうな勢いがあって、どうにもここからますます面白くなっていきそうな感じがプンプンなのである。

目が離せません。
 

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                      <2009.07.20 記>

 
■リミット―刑事の現場2― 番組HP 

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■STAFF■
原作・脚本 : 遊川和彦 (『女王の教室』、『さとうきび畑の唄』)
演出     : 渡辺一貴
製作    : 磯 智明

  
■CAST■
梅木拳     :武田鉄矢(中央署の一匹狼)
加藤啓吾    : 森山未來(若手3年目の刑事) 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
青井茉莉亜   : 加藤あい(啓吾の婚約者)
東野恵一    : 杉本哲太(刑事課長)
筒井薫      : 若村麻由美(庶務係)
太宰満      : 伊武雅刀(課長代理)
 

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2009年7月18日 (土)

■「うまい!」はどこにある。『爆笑問題のニッポンの教養』 人工舌、都甲潔。

今回のテーマは、人工舌。

Photo_4
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE079:「味のある話」 2009.7.14放送
九州大学システム情報科学研究院 研究院長 教授 都甲潔(とこうきよし)。

■味覚センサーなんてものはフツウにあるのかと思ったらそんなことは無くて、都甲先生が世界で始めて開発したものなのだそうだ。

計測は科学の基本であり、味覚の世界には今まで科学は無かったということである。

だからといって、科学につんのめった話かと思えばさにあらず。

■今回、見ていて面白かったのは、牛乳に細切れのたくあんを混ぜたコーンスープや’みかん’が乗ったいくらの軍艦巻きを食べてみろ、といわれて全然うまそうじゃない爆笑問題の複雑な二人の表情だ。

Photo_6
■まずい!

■味覚センサーでの計測ではほとんど一致するのに食べてみると違ってしまう。

なんだ、違うんジャン。

というところなのだが、それを実感させるのが都甲先生の狙いなのだ。

■粘菌は「甘い」に近づき、「苦い」を避ける。

それは「甘い」=栄養、「苦い」=毒を区別して行動しているということである。しかも単細胞生物が!

粘菌が「うまい!」と身を震わせているかどうかは判らないが、生き死にの問題として、味に対して非常に素直に反応する、ということだ。

■それに比べて人間は味覚だけで味わうということはない。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚に認知を加えたすべての感覚を総動員して「うまい!」を判断する。

栄養と毒を見分けるという生物としての本来の役割りを意識の下に追いやられ、味覚は、’うまい!’という娯楽を構成するひとつの要素に成り下がってしまったのだ。

■都甲先生は、自分の舌を信じよ、

というが、なかなかこれが難しい。

何故か?

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、認知によって構成される「うまい/まずい」自体が脳内に生じた幻であり、実体を伴わないものだからである。

般若心経の世界。

つまり、その大脳新皮質に仕組まれた罠をかいくぐるには、色即是空の「悟り」を開かねばならんということだ。

人生の半ばを過ぎてしまったが、まだまだそんなに枯れてはいないし、もう少し愉しみたい。

だから「うまい!」についても成るがままでいきたいと思うのである。 
  

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                             <2009.07.18 記>

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■ 感性の起源―ヒトはなぜ苦いものが好きになったか
都甲 潔 著 中公新書(2004/11)

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2009年7月12日 (日)

■裁判員制度は誰の権利を守るものなのか。『爆笑問題のニッポンの教養』 刑事訴訟法、後藤昭。

今回のテーマは、刑事訴訟法。

File078
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE078:「やっぱり、みんな有罪ですか?」 2009. 7. 7放送
一橋大学大学院法学研究科教授 刑事訴訟法 後藤昭。

■太田は是非とも裁判員制度に参加したいといい、田中は出来れば避けて通りたいという。

お前はどちらかといえば明らかに田中の方で、一般的日本人の大方の意見もそうだろう。

太田にいわせれば無責任、傍観者。

なるほど確かにそうかもしれない。

■これも一つの日本人論なんだと思う。

お上に対して文句はいうけど、お上に直接それをぶつけるでもなく、結局は上意に従って、またそれの文句を垂れるの繰り返し。

その柳腰もひとつの賢い生き方だ、というのもありだし、だから無理やりそれを変える必要もないのかもしれない。

けれども、明治、大正、そして戦後において’権利’というやつが日本の中に根付いていって、それはそれでいいのだけれど、その権利とセットであるはずの’責任’が欠けているのが問題で、モンスター・ペアレントにしても、不祥事を起こしてアタマを下げる経営者にしても、根っこにはその問題があるように思えるのだ。

■小学生の頃に先生から

 
’義務’と’責任’の違いを答えなさい、
 

なんて言われたことがあるけれども、その答えは未だにわからない。

世の中には理屈抜きにやらねばならないことがあって、’義務’とはそういうことだと理解しているが、’責任’、というやつについてはどうにもスカッといかないのである。

■もしかすると、分かっているつもりの’義務’についても、お上ごもっとも、世間様に顔向けできない、の文化のなかで定着しただけで、一皮向けばこれもよく分からないものなのかもしれない。

し、だからこそ、’責任’についてもよく分からないのかもしれない。

逆に言えば、’責任’が分かることで、’義務’の再定義も可能になってくるのだろう。

そこでキーワードになってくるのはやはり’権利’であり、それと’責任’との関係にポイントがあるに違いない。

■そこで裁判員制度である。

これは国民の義務なのか、責任なのか。

日本人の多くはこれを’義務’と捉えているのではなかろうか。

いや、言葉上は’責任’だ、と答えるのであるが、心情として「心ならずも課された’義務’」と捉えているのではないか、ということである。

■もし、ここに’権利’という概念があれば、少し雲行きが変わってくるのではなかろうか。

では、ここでいう権利とは何か。

刑事裁判に関していうならば、公正に裁かれる権利、であろう。

事実に基づいて有罪・無罪を判定され、イイカゲンな証拠では有罪とされない権利(無罪推定)。

そして、有罪であったとしても、法外な刑を受けることのない権利。

そういう被告人の権利である。

■今まで日本人は、その権利を守ることをお上に任せてきた。

その上で、犯罪者の人権ばかりを重視して遺族の人権を軽視しているとかの意見を垂れ流してきたわけである。自分自身がそうであるように。

ところが、

起訴される事件の99.9%は有罪判決。

なんていわれてビックリ仰天するわけだ。

いや、数字のマジックに踊らされることを嫌ったとしても、検事、弁護士、裁判官の閉じたコミュニティのなかで、一般の常識との乖離が生まれ、それも被告人に不利な方向にハタラくという後藤先生の話には説得力がある。

■しかも、この番組のHP上でのコメントにあるように、「素人の方が有罪にしやすくて、プロの方が無罪にしやすいと思ってた」という太田の話に後藤先生自身が驚いた、というのだからこっちも驚く。

中立な立場であるはずの研究者であっても、’法律家コミュニティ内の常識’による偏りがあるということで、じゃあ裁判官はどれほど一般人と乖離した感覚を有しているか、ということである。

■その閉じたコミュニティに我々は自分自身の’権利’を委ねてきたのである。

それは、自分が被告になったときに守られるべき’権利’である。

自分が被害者になることを想像しても、なかなか自分が被告になる想像力は我々にはないが、松本サリン事件の例を引くまでもなく、冤罪としてそこに引き込まれそうになる可能性は決してゼロではないのだ。

その時になってはじめて青くなる。

そして世間は被告の権利には知らん振り。

■今回の番組を見て、いろいろ考えるまでは、裁判員制度は「被告を裁く権利」なのだと勘違いをしていた。

太田の言葉を聞いていても、そういうニュアンスが感じ取れて、決して特殊な感覚ではないのじゃないか、と思う。

そして、その大きな勘違いにこそ、裁判員制度の捉え方を難しくしている本質があるように思えてくるのだ。

■裁判員制度が守る権利は、法によって侵されるかもしれない被告の人権である。

その上で、被害者の人権をも考慮しながら適正な裁きを規定する、ということである。

我々が裁判員制度で負うべき責任は被告の人権を守ることであり、それは誰のためでもなく、自分自身が法に裁かれる立場になったときに守られるべき権利なのだ。

一般的な解釈は別として、それがこの論の結論である。

■義務と責任の話は難しくてまだよく分からないところもあるが、責任というものが自分自身の権利とセットであることは間違い無さそうに思う。

やはり分からないことは具体的な話で考えるに限る。

モンスター・ペアレンツにしても、不祥事を隠してしまう企業にしても、守られるべきは誰のどのような権利なのかを考えることで本質的なものが見えてくるということなのかもしれない。

また、改めて考えてみたいと思う。

    

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                          <2009.07.12 記>

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Photo新版 わたしたちと裁判
後藤 昭 著  岩波ジュニア新書 (2006/10)

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それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]
監督: 周防正行 出演: 加瀬亮 瀬戸朝香 山本耕史 もたいまさこ 役所広司
■この映画が気になってしまった。

  
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■本家のこっちは見てないんだよな・・・。

  

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2009年7月11日 (土)

■日曜劇場 ドラマ 『官僚たちの夏』 今、高度成長期を再演することの意味。

拡大版というのを忘れてオシリの20分が切れてしまったのは残念だったが、それでも濃密で十分楽しめた第一話であった。

Photo

■1955年頃までの戦後復興期を越え、高度経済成長を迎えようとする時代。

それからの驚異的成長は当時の現在形では到底想像もできず、それでも戦勝国アメリカに経済力、豊かさでなんとか追いつこうと苦闘した官僚たちの物語である。

■第一話は、自動車を基幹産業として立ち上げようと試みる、国民車構想の話。

町工場のオヤジと若い連中がその夢見たいな構想を意気に感じて捩じりハチマキ、時速100km/hが出せて10万キロ走っても壊れない車を苦戦のすえに作り上げるあたり、やっぱりモノづくりの話は面白い。

実際に画面に出てきたのはトヨタ パブリカと思われ、作ったのは町工場でもなんでもないのだけれども、まだ当時は零細自動車企業がいろいろあったようで、このドラマのような場面も場合によってはあったかもしれない。(たぶん無かったんだろうけど。)

■それはそれとして、『官僚たちの夏』を何故、今、企画するのかという意味である。

今の日本の置かれている状況を2度目の焼け野原と言った人がいる。

逆に言えばここからが面白いということだ。

■そういったときに思いを50年後に飛ばすならば、今が、新たな’戦後復興’、新たな’高度経済成長’の基点になることを夢見ることは可能だろう。

それは決して同じことの繰り返しではないし、アメリカというお手本があるわけでもない。

その意味で、かつての高度経済成長期の官僚たちよりももっと強靭で夢のあるヴィジョンが必要とされるだろう。

■複雑系的に考えるならば、たぶん、それは誰がいうともなく生まれてくるモノに違いない。

問題なのは、自然発生的に生まれてきたその芽に気付き、育てる人の存在なのだと思う。

これからの10年。

東京オリンピックもあるかもしれないし、新しい東京タワーも立つわけで状況は万全。

楽観的に眺めてみようじゃないか。

(↑って、なんで参加意識がないの?、(笑))
   

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                           <2009.07.11 記>

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【原作】官僚たちの夏 (新潮文庫)
城山三郎 著 新潮文庫 (1980/11)

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■STAFF■
原作 : 『官僚たちの夏』 城山三郎著 (新潮文庫刊)
脚本 : 橋本裕志
演出 : 平野俊一 大岡進 松田礼人
 
主題歌 : コブクロ『STAY』
音楽 : 佐橋俊彦
 
制作統括 : 貴島誠一郎
プロデューサー : 伊佐野英樹 真木 明
製作著作 : TBS 
 
  
■CAST■
風越信吾 : 佐藤浩市
庭野貴久 : 堺雅人
鮎川光太郎 : 高橋克実
西丸賢治 : 佐野史郎
丸尾要 : 西村雅彦
牧順三 : 杉本哲太
山本真 : 吹石一恵
御影大樹 : 田中圭
風越道子 : 床嶋佳子
風越貴子 : 村川絵梨
 
片山泰介 : 高橋克典
玉木博文 : 船越英一郎
池内信人 : 北大路欣也
 
<第1話ゲスト出演>
朝原太一 : 蟹江敬三
朝原弥生 : 市毛良枝
日向毅 : 加藤虎ノ介

 

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■日曜劇場 官僚たちの夏 番組HP

■トラックバックさせていただきます■
’まぁ、お茶でも’ さんの「《官僚たちの夏》#01」
 

リンク: 佐藤浩市 ドラマ好調!.

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2009年7月 5日 (日)

■ああ、アメリカよ。『爆笑問題のニッポンの教養』 日米関係史、阿川尚之。

今回のテーマは、日米関係史。

File077_us_ilove_you_2
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE077: 「U.S. I LOVE YOU」 2009.6.30放送
慶應義塾大学教授
日米関係史・米国憲法史 阿川尚之。

■アメリカってなんだろう。

阿川先生の見るアメリカは、多様性に富んだ自由な国。

太田の見るアメリカは、大国の正義を押し付ける尊大な国。

きっとどちらも本当のアメリカなのであろう。

■感覚的には、太田の言うアメリカの方が理解しやすく、すっと入ってくる。

特に、ソ連崩壊後に唯一の超大国となってしまったアメリカは、自由主義の旗頭という役割を喪失し、それ故に各地の紛争に関わる大義が見えにくくなってしまった。

それまでのアメリカの覇権主義が良かったとはいえないが、大義名分を失ったアメリカに世界の批判が集中するのもやむを得ないことなのだ。

■アメリカを擁護する阿川先生は、その問題を正面から答えることを避けているように見える。

と、いうよりも、関心事が別のところにあるといった方がいいかもしれない。

巨大なバケモノと化してしまったアメリカについて語るのではなく、その本来の姿について広く理解を得ることで、それはバケモノなんかじゃない、という伝道をおこなっている、ということなのだろう。

■アメリカを批判するのは簡単なことである。

けれど、その前にアメリカという国の成り立ちを知ること、実際のアメリカ人と友人となって語り合うことが重要だ、という阿川先生の意見は非常に正しいように思える。

たぶん、それでも、アメリカという国に対する批判的精神が変わることはないのだろうが、その批判に幅が出ることは確かであろう。

やはり、知ること、というのは大切なことなのだ。

 

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                                                 <2009.07.05 記>

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■ 憲法で読むアメリカ史(上)
阿川 尚之 著 PHP新書 (2004/9/16)
         

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2009年6月29日 (月)

■日曜劇場『ぼくの妹』最終回。兄妹を結ぶ無条件のやさしさ。

■はじめの方のサスペンス調から打って変わって家族の絆ものですんなりと終わってしまった。

いや、これはこれで気に入っている。

九鬼(千原ジュニア)との別れの話とか、妹(長澤まさみ)の唐突な結婚話とか、いろいろ詰め込まれてはいるのだけれど、なんだか安心して見ていられる。

それは多分、兄(オダギリジョー)が成長したからなんだろうな。

 
■いくらでも迷っていいんだよ。

兄ちゃんはいつでもそばにいるから。

どんなことがあっても、いつだって帰って来ていいんだよ、

 
という兄妹の絆を確かめ、迷いが無くなった今であれば、もう、振り回されることは無い。

いいお話だな、と思う。

■とはいえ、気にかかるのは初回で死んだ、ともさかりえ。

みんな、それなりのゆったりした新しい生活に入っていく中で、彼女だけがあまりにも可哀想。

なんだが映画の『ゆれる』を思い出してしまった。

オダギリジョーと香川照之の兄妹の絆の恢復の話なんだけど、事件の発端となった真木よう子の死がさらっと流れてしまって、ラストの感動のなかで、おいおい、と小さい突っ込みを入れた、その感覚だ。

■まあ、それにしても、このゆったりしたラストはよかったな。

あざとさが無いというのかな。

名作とか感動巨編ではないのだけれど、

こういう、ほんわかしたのもいいもんです。

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                           <2009.06.29 記>  

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■[主題歌]  いきものがかり 「ふたり」

■[DVD] ぼくの妹 (オダギリジョー、長澤まさみ 主演)

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■STAFF■
作・脚本     : 池端俊策
制作総指揮   : 八木康夫
プロデューサー  : 高橋正尚
演出        : 金子文紀、清弘 誠、加藤 新
音楽        : 河野伸
主題歌       : いきものがかり「ふたり」

  
■CAST■
江上盟    : オダギリジョー
江上颯    : 長澤まさみ
九鬼研次   : 千原ジュニア
桐原里子   : ともさかりえ
瀬川欽也   : 田中哲司
瀬川茂子   : 鈴木砂羽
大河原春奈  : 笹本玲奈
大河原龍三  : 若林豪
櫻井忠治   : 大滝秀治

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2009年6月28日 (日)

■邯鄲の夢。『爆笑問題のニッポンの教養』 実験心理学、一川誠。

今回のテーマは、実験心理学。

File076
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE076:「『時間』という名の怪物」 2009.6.23 放送
千葉大学文学部行動科学科准教授 実験心理学、一川誠。

■比較的すんなりと話が流れた感がある。

隔離された部屋で爆笑問題のふたりが雑談をする、その時間がどれくらいかをふたりに尋ねると、太田が5分で田中が3分、実際は4分と、まあ見事に分かれたのだけれど、それを太田は退屈してたんだろうな、とか田中の方が一生懸命話してたんだろうな、と考えるのはごく普通のことなのである。

■そこで爆笑のふたりがそうだよね、と納得してしまうから「え?」という展開が無い。

まあ、こういうこともあるでしょう。

そんななかで、浦島太郎の玉手箱の話についての太宰の言葉を紹介した太田の話がおもしろかった。
 

 楽しく美しかった竜宮城の思い出は、玉手箱を開けて遠い過去のものとなって初めて完成する。

 
というのだ。

■実は、主観的時間というものは、今、この瞬間にしかないのかもしれない。

私が知っている「過去」が本当にあったことかなんて誰も検証することは出来ない。

あるのは、ただ、そういった過去の出来事が現在の意識に展開した影でしかないということだ。

■先の玉手箱の話でいえば、それは今とつながりのある竜宮城の記憶を断ち切って過去へとつなぎかえる作業であって、そうすることで「主観」から切り離された出来事として独立した相対的な「過去」が完成する、ということだろう。

・・・なんていうと、ただ文学的に味わえばいいものを、またこんなツマラナイ理屈をならべやがって、なんて野暮なヤロウなんだ、と笑われてしまうだろうか。

■だが、「時間」と「記憶」とを並べてみると、いろいろ面白いところがありそうな気もするのだ。

たいくつな時間は長く感じるが、思い出としては何も無い。

濃密な時間は早く流れるが、記憶として再生するときにはあれもこれもと膨大な量となる。

まさに邯鄲の夢。

  
じゃあ、夢なんかじゃない、

直(じか)に生きているってどういうことだろう。
  

ふと、そんなことをぼんやりと考えてみたくなった。

 

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                        <2009.06.28 記>

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Photo ■ 大人の時間はなぜ短いのか
一川 誠 著 集英社新書 (2008/9/17)

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2009年6月26日 (金)

■マイケル・ジャクソン死去。享年50歳。

東スポ1面の常連さんになってからのマイケル・ジャクソンについてはよく知らないが、少なくとも1983年、高校生だった私の目を釘付けにした「スリラー」でのあなたは真実だ。

Photo

                           <2009.06.26 記>

■【Youtube 動画】『 スリラー 』プロモーション・ビデオ
■監督は『ブルース・ブラザース』のジョン・ランディス、
特殊メイクはSFX界の大御所リック・ベイカー!
   

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スリラー 25周年記念リミテッド・エディション(DVD付)

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2009年6月25日 (木)

■「生命」とは全体の動き、そのものなのだ。『爆笑問題のニッポンの教養』 複雑系科学、池上高志。

今回のテーマは、複雑系科学。

Photo
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE075:「博士が愛した『イノチ』」 2009.6.16放送
東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 
複雑系科学 教授 池上高志。

■何も刺激を加えていないのにひとりでに動き出す脂肪膜につつまれた擬細胞。

円筒の中の水をゆっくり回してやると生まれてくる不思議な模様。

パソコンの画面のなかであたかも生きているかのように振舞うドットのカタマリ。

実に面白い。

■池上先生の研究は、その「面白い」に注目する。

一般的な科学が、判っていることを積み上げて全体像を語ろうとするのに対して真逆のアプローチなのである。

とにかくやってみよう、見てみよう、

そこからものごとを考えよう、

というその姿勢は、きっと2000年前の科学者(哲学者)に近い、より純粋なものなのかもしれない。

■太田さんも(既成のものを)破壊してみては?

と水を向けられた太田は生真面目に答える。

自分が考える’飛びぬけたもの’というのは、滑走路を飛び立つ飛行機のように、既成の地道な努力の積み重ねの先にあるものだ。

時々、突飛なことをやって、基本からはずれたところから始める人たちがいて、お笑いの世界にもあるのだけれど、それは違うと思うのだ、と。

■守、破、離、

なんてことをいうけれど、泥臭く地道な「守」無くして、「破」も「離」もあったもんじゃない。

まったく太田と同感だ。

■多分、池上先生のいう「新しいことを意識的につくる」というのも、十分すぎるほどに泥臭い調査、仮説、実験のトライアンドエラーを繰り返した上での「破」であって、その土台には無意識にかもしれないが、確実に「守」があるのだと思う。

だからこそ、池上先生のつくる「突飛なもの」が面白いのであるし、科学的好奇心をくすぐるのである。

■気象にしろ、経済にしろ、よくわからない振る舞いをするもの(複雑系)を捉えるのに、地球シミュレーターのような馬鹿でかいコンピューターで予測をしよう、なんていうアプローチが主流のように思えるのだが、果たしてそれは正しいのだろうか。

結局は小さく細分化されたセルに対して既存の方程式を組み込む試行錯誤に過ぎないのではないか。(競馬の予想屋と何が違うというのだ!!)

■そういうことじゃなくて、「全体の動き」そのものに着目する。

それは今まで語られてきた「科学」では無いのかもしれないし、ただ面白いだけで、複雑系の仕組みを解き明かすまでには至らないかもしれない。

けれど、それでいいじゃないか。

面白いことに、ここに来て「科学」という活動自体がひとつの複雑系になりつつあって、それが臨界を突破してあたらしい「自律的なカタチ」を生み出すとするならば、そこには池上先生のような突飛な多様性こそが必須のものと思えるからなのである。

  

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                                                          <2009.06.25 記>

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■ カウフマン、生命と宇宙を語る―複雑系からみた進化の仕組み
スチュアート カウフマン 著 日本経済新聞社 (2002/09)
■複雑系科学の到達点と謳われる本。
一度しか読んでいないのでまだ理解度は浅いが、それでも十分に感動ものだ。
そのうち再読して記事にしたいと思っている本のひとつなのだが、いつになることやら・・・(苦笑)。
  

Photo_2
■動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ
池上 高志 著 青土社 (2007/09)

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2009年6月23日 (火)

■「つらさ」にも意味がある。『爆笑問題のニッポンの教養』 障害学、福島 智。

今回のテーマは、障害学。

先生は全盲ろうの福島智さん。

File074
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE074:「私は、ここに いる」 2009.6.9放送
東京大学先端科学技術研究センター教授 福島 智。

■スティービー・ワンダーやホーキング博士を引き合いに出し、ハンディキャップと引き換えに何かを手にしているのじゃないか、という太田の思いつきに対して、福島さんが語った
 

 選択が出来るから割と気楽に言えるんだろうけど

 そんな甘いもんじゃない、

 
という言葉が厳しく響いた。

■光もなく、音もなく。

声は出すことはできても、

それが相手に伝わったかどうか、

いや、その相手が目の前にいるのかどうかすら

わからない。

そういう’全盲ろう’の人が日本には2万人いるという。

■才能を開花させて光のなかで生きているひとはごく一握りで、

いや、その人たちを含めて

そこには’孤独’と’渇望’があるのだという。

そんな福島さんの、
 

 生きる意味はあるのか、

 
という問いにはなかなか答えられるものではない。

太田は、

楽しい時間があるから、

と答えた。

私は、

必要としてくれる人がいるから、

と思う。

たぶん太田の考え方の方が生きやすいのだろうな、

とも思う。

■けれども、そこで福島さんは「絶望」を意識する。

ナチスのユダヤ人収容所で生き延びたヴィクトール・E・フランクルの

 
 苦悩から意味が失われたとき、それは絶望になる、

 
という言葉に、自分と同じ考え方を見る。

■光も音もない肉体の牢獄のなかで、

苦悩が絶望に至らない皮一枚の差が

 
 そこに意味を見出すこと

  
なのである。

■つらさにも意味がある。

そう信じられるからこそ

生きていけるのだ。

 

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                          <2009.06.23 記>

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Photo ■ 夜と霧 新版
ヴィクトール・E・フランクル 著 みすず書房; 新版版 (2002/11/6)

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2009年6月21日 (日)

■ドラマ『刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史』。「現場」と「人間」は時代を超えて通用するか。

ここまで引き込まれるドラマも久しぶりである。

Photo

■演出も脚本も美術もいいんだろうけれど、飛びぬけて役者がいい。

八兵衛の相棒を演じる高橋克実も、ふたりの上司を演じる柴田恭兵も素晴らしいのだけれども、キャスティングの妙と言えなくも無い。

そのなかで圧倒的に光るのが主演の渡辺 謙だ。

平塚八兵衛の火の玉のような生き様を内側から滲み出るように演じきる。

その迫力がその他きら星のような豪華キャストの各々の演技に良い影響を与え、さらに引き上げているように思える。

■土曜日放送の前編では、帝銀事件、警備員殺人事件について語り、吉展ちゃん誘拐事件担当に引き抜かれたところで終わる。

昭和38年のここまでは戦時中の匂いがまだそこここに漂っていて、八兵衛の火の玉が生きる土壌がまだあるのだけれど、昭和43年の三億円事件あたりから時代が高度成長期へと移っていく。

1970年の万博音頭が能天気に流れる中で、時代遅れといわれてしまいそうな八兵衛のやり方が一体どういう影響を受けるのか、とても興味深い。

それは「現場」と「人間」にこだわり続けるやり方が時代を超えて通用するのか、という問いであり、決して過去の問題ではなく、今現在の問題でもあるのだ。
   

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                                                          <2009.06.21 記>

■追記■
■第2夜。

萩原聖人、よかったなあ。

取調べの時の心理戦の表情もよかったし、落ちたときの一気に噴出す感情の描写も迫力だった。

萩原聖人は久しぶりに見たのだけれど健在ですね。

あとは、病床で表彰をうける高橋克巳。

ベタだけど、つい泣けてしまった。

■ドラマの方は、ラスト近くの演出過剰は気になったけれど、吉展ちゃん誘拐事件のお話はその濃さに圧倒されました。

いやー、実に贅沢なドラマ、満足です。

                        <2009.06.22 記>

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Photo_2
■[原作] 刑事一代―平塚八兵衛の昭和事件史
佐々木 嘉信 著, 産経新聞社 編集 新潮文庫(2004/11)

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■STAFF■
監督: 石橋冠
脚本: 長坂秀佳、吉本昌弘
音楽: 吉川清之
制作:テレビ朝日

  
■CAST■
平塚八兵衛(警視庁捜査一課刑事) : 渡辺謙
石崎隆二(捜査一課刑事。八兵衛の相棒) : 高橋克実
草間毅彦(警視庁捜査一課刑事)   : 山本耕史
尾藤和則(警視庁捜査一課課長代理): 大杉漣
加山新蔵(警視庁捜査一課主任)   : 柴田恭兵
* * * * * * *
平塚つね(八兵衛の妻)          : 原田美枝子
* * * * * * *
平沢貞通(帝銀事件の容疑者)     : 榎木孝明
平沢咲子(貞通の娘)           : 木村多江
* * * * * * *
森川剛三(警備員殺人事件の容疑者) : 杉本哲太
森川八重子(剛三の妻)         : 余貴美子
* * * * * * *
小原保(吉展ちゃん誘拐殺人事件の容疑者): 萩原聖人
* * * * * * *
岩瀬厚一郎(社会部新聞記者)     : 小泉孝太郎
吉崎真由(新聞カメラマン)        : 相武紗季

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2009年6月17日 (水)

■【映画評】『ハゲタカ』 一体どうしたっていうんだ。劇場まで足を運んで見たかったのはNスペじゃないんだぜ?

説明するまでもなく、名作ドラマ「ハゲタカ」の劇場版。

今一番ホットな自動車業界を舞台にどんなドラマを展開するのかワクワクして見たのだけれど、どうにも複雑な気分になってしまったのである。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.29  『ハゲタカ
          監督: 大友啓史 公開:2009年6月
       出演: 大森南朋 玉山鉄二 他

01

■ストーリー■
世界金融危機 前夜。日本のマーケットに絶望し、表舞台から姿を消した天才ファンドマネージャー・鷲津の元に、かつての盟友・芝野が現れる。中国系巨大ファンドが買収に乗り出した、大手自動車メーカー「アカマ自動車」を危機から救ってほしい、というのだ。日本を代表する大企業「アカマ」の前に突如現れたのは、“赤いハゲタカ”こと劉一華(リュウ・イーファ)。豊富な資金を背景に、鷲津を圧倒し続ける劉ら中国ファンドの真の目的とは!?
<goo映画より>

Photo_2 Photo_5 Photo_3

■鷲津が、三島由香が、西野が、そして芝野が帰ってきた。

それだけで満足するべきなのかもしれない。

あの音楽も、青いトーンも健在で、セリフに頼らない表情と仕草による抑えた演技・演出も素晴らしい。

けれど、どうしても乗り切れなかったのである。

可愛さ余って、

などと言い訳をしながら、そこのところを考えてみたいと思う。

■’赤いハゲタカ’劉一華(リュウ・イーファ、玉山鉄二)が大手自動車メーカーに襲い掛かる前半部分は文句なしにいい。

リュウ・イーファと鷲津の手に汗握るTOB合戦が実にいい。そこで敵の正体が’赤い国家’であることが判るあたり、その絶望感が素晴らしい。

この絶望的な状況をどう切り抜けるのか、それとも!!というドキドキ感が否が応にも盛り上がる。

と、ここまではいつものハゲタカ節炸裂で安心して見ていられたのである。

■ここから先がどうにも落ち着かない。

キャラクターの描きこみと動機付けが急に希薄になってしまうのである。

何故、西野(松田龍平)は猫を撫でるのをやめて、ファンドの世界に舞い戻ったのか。

何故、派遣社員の守山は働く者の権利を主張する情熱を捨てて床に散らばった銭を拾うのか。

そして何故、リュウ・イーファは本当の心を押し殺してまでハゲタカを演じるのか。

■もちろん、いろいろな推測はつくだろう。

し、語らないことで語るということだってあるだろう。

けれど、それがうまく機能しているようには思えないのだ。

なんだか詰め込みすぎ、という気がするのである。

■後半は、鷲津が反撃に出る話なのだけれども、どうもそのあたりの集中力に欠けている。

イスラム金融、リーマンショック、サブプライムローン、市場原理主義の終焉。

そういった、ここ半年のトピックスが無理に押し込まれてドラマとして破綻しかけているのである。

いや、イイタイコトはよく分かるんだけど、それは左の脳みそでの話であって、右脳直撃!!のドラマチックさが無いのだ。

■そこのところ、ドラマのハゲタカは上手かった。

当時、問題になっていた企業買収の問題をわかりやすく解説しながらも、同時に濃密に描かれたキャラクターと映像、音楽の素晴らしさで我々の右脳を揺さぶったのである。

ところがどうだ。

今回の新しいキャラクターでシッカリ人物が描けていたのは、アカマ自動車社長の古谷(遠藤憲一)くらいなものだろう。

■たぶん、テレビと劇場映画というメディアの違いが大きいのだろう。

ある程度リラックスしてみるテレビドラマと違い、劇場映画は観る者を引き込んでナンボのものである。

最近の経済の動きにおもねることで散漫になってしまった部分もあるだろうし、スポットを当てる登場人物が多すぎたきらいもある。

欲張ってはいけない。

松田龍平は猫を撫でていればいいのであるし、派遣の青年は札束には目もくれず啖呵を切って出て行けばいいのである。

主人公はリュウ・イーファでしょ?

なんでそこに集中できないのか、ということである。

■もちろん、それは釈迦に説法。

監督も脚本家もスタッフも皆、そんなことは百も承知であって、涙をのんで選択した何らかの事情があるのだろう。

けれどもファンとしては、そこをなんとか突っ張って欲しかった。

これは短期的に消費されるテレビドラマではなく、歴史に刻まれていく劇場映画なのだ。

100年に一度の経済危機がどうしたというのだ。

そんなことは些細なこと。

本質は中国とかインドとかロシアとかの新興国が圧倒的な資金力で日本の技術力を札束で奪いに来たとき、我々はいったいどうするのか、ということでしょう?

真正面からそれを受け止めなくて何の「ハゲタカ」か、と強く主張したい!!

というのが、愛すればこその苦言なのである。
  

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                           <2009.06.16 記>

■追記■
DVDでディレクターズカットが見れないかな・・・。
  

 
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Photo Photo_2
レッドゾーン(上) レッドゾーン(下) 真山 仁 著 講談社

   
Photo_3 [ドラマ] ハゲタカ DVD-BOX
    

■STAFF■
監督: 大友啓史
脚本: 林 宏司
原作: 真山 仁 『ハゲタカⅠ』、『ハゲタカⅡ』、『レッドゾーン』(講談社)
音楽: 佐藤直紀
撮影: 清久素延
美術: 花谷秀文
照明: 川辺隆之
編集: 大庭弘之
製作: NHKエンタープライズ、東宝


■CAST■
鷲津政彦 -鷲津ファンド代表     大森南朋
劉一華 -ブルーウォールパートナーズ代表  玉山鉄二
* * * * * * * * * *
三島由香-東洋テレビ記者        栗山千明
西野治 -西野屋旅館社長        松田龍平
飯島亮介-MGS銀行頭取        中尾彬
芝野健夫 -アカマ自動車取締役  柴田恭兵
* * * * * * * * * *
守山翔 -アカマ自動車派遣工     高良健吾
古谷隆史-アカマ自動車代表取締役社長  遠藤憲一
* * * * * * * * * *
中延五郎 -鷲津ファンド社員    志賀廣太郎
村田丈志 -鷲津ファンド社員    嶋田久作

Photo_4
■アカマGTカッコよかったね。ベースはなんじゃろか。 


■映画 ハゲタカ 公式サイト■

    
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2009年6月11日 (木)

■【映画評】『スター・トレック』。挑むこころ。

スター・トレックっていっても、シリーズの続編がどんどん出ていてまったくついていけてないもんだからあんまり興味が湧かなかったんだけど、え? カークとスポックの若き日の話なの?

要はエピソード・ゼロだってんだから、これは見逃せない。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.28  『スター・トレック
           原題: Ster Trek
          監督: J・J・エイブラムス 公開:2009年5月
       出演: クリス・パイン ザカリー・クイント 他

Photo

■と、勇んで劇場に飛び込んだわけだが、結論を言えば大正解!

スター・トレックの世界を存分に満喫できてとっても幸せな気分なのである。

■ストーリー■
テレビドラマや映画でおなじみの「スター・トレック」を再構築し、ジェームズ・T・カークの若き日を描くスペース・アドベンチャー。
ジェームズ・T・カーク(クリス・パイン)が宇宙艦隊に入隊して3年。USSエンタープライズに乗ることに成功したカークだったが、船内のトラブルメーカーになってしまう。それが気に入らないスポック(ザカリー・クイント)は、カークを船から追い出そうとするが……。(シネマトゥデイ)

Photo_2

■’エピソード・ゼロ’とはいっても、スター・トレックを幼少の頃に見ていたようなオジサンだけに向けた内向きのマニアックな作品ではなく、予備知識がまったく無い人でも十二分に楽しめる作品になっている。

それは物語の軸となるスポックとカークのふたりの人物像の描きこみがシッカリ出来てるからこその芸当なのだ。

■バルカン人と地球人のハーフであることで冷静な表情の奥にアイデンティティの問題を抱えるスポック。

片や、勝ち目の無い絶望的状況のなかで自らを犠牲にして大勢の仲間の命を救った英雄を父に持ち、それを受け継いでか、型破りで常に限界を超えようとする性格に育ったジム・カーク。

スポックを静とするなら、カークは動で、それがスター・トレックの物語を面白くしているのだけれども、この作品ではエピソード・ゼロとして、その性格が形作られた背景が語られる。

うまい作りだ。

■もちろん主役のふたりだけでなく、船医のマッコイや、ウーラ、スコット(チャーリー)、スールー(カトウ)、チェコフといったおなじみのメンバーもそれぞれに見せ場が用意されていて、ファンはニッコリ。

特にロシア訛りのチェコフの一所懸命さが、とてもかわいい。

Photo_5

■物語のテーマは、絶望的状況に直面したとき、どのようにその状況と向き合うのか、というところにある。

スポックの論理でいけば、生き延びる可能性がゼロなものはゼロなのであって、あとはそれをどう受け止めるか、となるのだけれども、破天荒なカークはそこで諦めない。

一体カークは何回高いところから落ちそうになってぶら下がれば気が済むのか(笑)、という話なのだけれども、最後には必ずなんとかなるのである。

■ご都合主義というなかれ、

何しろ相手は想像を絶した未知の世界。

常識が通用する世界ではない。

そこで必要とされるのは’求めよされば開かれん’、という挑戦のこころであって、さらにその挑戦の先には新たな驚きの世界が展開する。

それがスター・トレックなのだ。

■監督はM:i:Ⅲ(監督、脚本)、クローバーフィールド(製作)のJ・J・エイブラムス。

迫力と美しさを兼ね備えた映像が見事。

それはスター・トレックとして絶対に外せないところなんだけど、それだけでなく、随所に思わずクスりとさせるユーモアが埋め込まれていて飽きさせない。

そのあたりも、しっかりした人物描写によって作り出された奥行きがあってこそなのであろう。

■さて、この航海でカーク筆頭としたスター・トレックのオリジナルメンバーがそろったわけだ。

もちろん、ここで終わらせるわけはないだろう。

しかもオリジナルから大きく’歪んだ’世界のなかで物語が進行していくことになるから、彼らの前途にはあらたな驚異が待ち構えているのである。

そんなことを考えながら迎えたエンドロール。

そこに流れるテレビシリーズのテーマ曲に否応なく胸が高鳴るのであった。

   

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                           <2009.06.11 記>

[追記]
レナード・ニモイのバルカン式さよならのハンドサイン。つい懐かしくてスクリーンに向かって小さくやってしまいました(笑)。

Photo_4
■映画の第一作。

この話のオチがとても好きなのだ。

  

Photo_3

■STAFF■
監督  : J・J・エイブラムス
製作  : J・J・エイブラムス
         : デイモン・リンデロフ
脚本  : アレックス・カーツマン
           ロベルト・オーチー
音楽  :  マイケル・ジアッチーノ
撮影  :  ダニエル・ミンデル
編集  :  メリアン・ブランドン
        メアリー・ジョー・マーキー
視覚効果 : ロジャー・ガイエット
 

■CAST■
ジェームズ・T・カーク (艦長)  : クリス・パイン
スポック         (副長)  : ザカリー・クイント
                     レナード・ニモイ
レナード・マッコイ (船医)   : カール・アーバン
ウフーラ      (通信担当): ゾーイ・サルダナ
モンゴメリー・スコット (機関士、チャーリー) : サイモン・ペッグ
ヒカル・スールー   (航海士、カトウ)    :  ジョン・チョー
パヴェル・チェコフ   (航海士)        : アントン・イェルチン
  

ネロ             : エリック・バナ
クリストファー・パイク   :  ブルース・グリーンウッド
サレク           :  ベン・クロス
アマンダ・グレイソン   :  ウィノナ・ライダー

 
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2009年6月 9日 (火)

■無邪気なわれわれの罪について考える。『爆笑問題のニッポンの教養』 農学、岩永勝。 

今回のテーマは、農学。

Photo_2
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE072:「お米レボリューション」 2009.5.26放送
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
作物研究所 所長 岩永勝。

■日本の食料自給率は40%なのだそうで、先進各国のなかでもダントツのビリなのだ。

岩永さんはそんな危機的状況を打開すべく日本に呼び戻された、のかどうかは分からないけれども、30年間にわたる海外での作物の研究と発展途上国での指導経験を買われたのは確かだろう。

■いやいや、食料自給率が低いといったって比較するアメリカとかフランスとかは大平原を持つ農業国、極めて平地の少ないわが国と比べるのは的を得ない、

とか、

そもそもエネルギー自給率4%の日本で食料の自給率だけを問題にするのはナンセンス、

とか、

■ついつい、そういった知ったような口をききたくなってしまうのだけれども、どうやらそういうことではないらしい。

岩永さんが日本の食料自給率を問題にする理由は、日本の危うさの問題ではなく、日本が海外市場で買い占めることによって値段の高騰した穀物を手に入れることが出来きなくなる貧しい国々が出てきてしまう、その罪意識にある。

■ルワンダの友人が惨殺された話があって、そこに、「戦争の原因は食料なのだ、ハラが減っている人たちに対して何を言っても通じないのだ」、という話を重ねてみるとき、想像の枠の外側にある極めて重たいものの存在に慄然とする。

一世紀に一度の不況だなんだといっても、今の日本で食料暴動が起きる心配は無いし、太平洋戦争前夜のような絶対的孤立に陥らない限り、これからもきっとないだろう。

したがってアフリカ各地で起きていることについて新聞やネットで読んだからといって「知っている」なんて決して言えないのである。

それは金満・飽食ニッポンに住む者の想像力の遥か向こう側の話なのだ。

■食いものが足りないと世界中から食料を買い漁ること。

それを食いきれずに、或いはハシをつけることもなく廃棄すること。

言い換えるならば、われわれにとって当たり前の日常を水面下で支えているそういった現実が、貧困と飢餓に苦しむ人たちの目にどう映るか、ということである。

■ならば、どうするか。

といっても’生活’というものはなかなか変えようとして変わるものでもないし、中身を伴わなければ意味も無い。

だから、今できることとして、「知る」ことなのだと思う。

この一日に世界中で何人の人が飢餓で死んでいくのか。

私自身、それが数人レベルなのか何万人なのか、ということすらまったく知らない、せめてこの現状を何とかしたい。

まずは、そこからなのだろう。

知らないことによる無邪気さの罪は、見る立場によっては万死に値することもあるのだ。
  

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                         <2009.06.09 記>

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■ 食料自給率のなぜ (扶桑社新書)
末松 広行 著 扶桑社 (2008/11/27)

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■ 世界の半分が飢えるのはなぜ?
―ジグレール教授がわが子に語る飢餓の真実

ジャン ジグレール 著 合同出版 (2003/08)
   

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2009年6月 6日 (土)

■サバイバル・テクノロジーという発想。『爆笑問題のニッポンの教養』 触媒化学、原亨和。

今回のテーマは、触媒化学。

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■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE069:「永久エネルギー誕生!」 2009.4.21放送
東京工業大学教授
機能セラミックス・触媒 原亨和(はらみちかず)。

■石油化学の領域で、触媒としての硫酸が欠かせないものだなんて初めて知った。

で、実際の処理工程を見てみると、反応前後で変化しないのがミソの触媒なのにも関わらず、目的の物質を取り出すためにわざわざ中和処理をして硫酸でなくしてしまうのは確かに賢くないなあと思う。

■そこで原先生が硫酸と’炭’とを混ぜてやって作り出したのが「カーボン固体酸」というやつで、これなら生成物をろ過してやるだけで分離でき、そのまま何度でも使えるスグレモノ。

こいつを使ってやれば、木屑とか雑草なんかを反応させて砂糖をつくり、そこから石油代替物質としてエタノールが手に入る、という’エコ’な時代が求める画期的技術なのだ。

■そこで胡散臭いと思わせないのは、原先生は決してこの技術で環境問題や石油危機の問題が根本的に解決できるなどと大風呂敷を拡げないからである。

そこには少年時代に体験した石油ショック(当時10歳くらい?)が切っ掛けで、なんとかこの豊かな生活を維持しながら生き延びたいという、今でいうサスティナビリティ(持続可能性)を先取りした強い思いがある。

根っから真面目なのである。

■より少ないエネルギーで求めるものを手に入れることが出来る技術、サバイバル・テクノロジーといっていたか、その考え方が印象深い。

確かに、我々はそこを見誤りがちなのである。

■使い捨ての牛乳パックと、リユースが出来る牛乳ビン。

どっちが’エコ’かといえば誰でも牛乳ビンだと思うだろう。

けれど、よく考えてみれば牛乳ビンは重いからその分輸送費は余計にかかるし、回収はもちろん、洗浄、消毒なんかの手間もかかる。

「消費者が牛乳を飲む」ということに対してどちらがトータルで消費エネルギーが少ないか、そうやって真面目に考えてみると、牛乳ビンが本当に’エコ’なのかどうなのか何だかあやしくなってくる。

■そう言うと、「いやいや、誰が何と言おうとリターナルビンはエコなのだ、これに反対する人は反エコなのだ」なんて自称・環境にやさしい人たちからマナジリを結して批判されそうなのだけれども、冷静に、トータルで考えることが必要だし、先生の仰るとおり、結論がスグには出ない問題だったりするものだから、常にアタマの柔軟さが求められる。

それはコンビ二袋の話であったり、割り箸の話であったり、ハイブリッドカーの話であったりするわけで、達成手段が目的化してしまい、根本的な議論がなおざりにされるのはヨロシイことではないのである。

■テクノロジーを生み出す立場人間がそういう広い視野と柔軟性をもっていること。

先生の真面目さと謙虚さを見ていて、しみじみと心に響いた。

サバイバル・テクノロジー。

技術屋の端くれとして、その思想、しかと心に刻み込みたいと思う。
 

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                           <2009.06.06 記>

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■ Sustainable Design[サステイナブル・デザイン]
デザイナーと企業が取り組むべき環境問題

Aaris Sherin (著), 石原 薫 (翻訳) ビー・エヌ・エヌ新社 (2009/4/25)

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■言葉にした瞬間に消え去ってしまうものがあるのだと分かっていたとしても。『爆笑問題のニッポンの教養』 文化人類学、川田順造。

今回のテーマは、文化人類学。

Photo
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE073:「人類よ声を聴け」 2009.6.02放送
東京外語大名誉教授 文化人類学 川田順造。

■文化人類学っていうと何故か少しマユにつばをしたくなるのであるが、さすが’巨人’ともなると雰囲気がある。

新婚時代に未開の集落で日本人は奥さんとふたりだけっていう状況もすごいんだけど、そのうち日本語がめんどくさくなってくる、っていう話に唸らされた。

そうか、言葉ってそういうものなのか、と新しい角度からの光が差し込んだ感じ。

■このにこやかで柔らかくも、鋭く深い感覚はどこかであったな、と思ったら、水木しげるさんだ。

好奇心と実体験と才能に溢れていてそれが渾然一体となって、そこにある。

言葉を介さずに太鼓の音で直接語る民族の話とかを聴いていて、そのまま引きずり込まれて眠っていた新たな感覚を呼び起こされる感覚だ。

それは理屈による理解の対極にある。

■そのなかで太田の「ガンバレ」論が光っていた。

「ガンバレ!」

と相手を励ますとき、相手は「こんなに頑張ってるのに、」っていう責められる感覚を覚えたりするのだけれども、だから「ガンバレ!」と言うのを諦めるのではなくて、何とかそれを伝えたい。

相手に「もっとガンバレ」とプレッシャーをかけるつもりはまったく無くて、でも「あとチョッと!」というニュアンスも少しはあって複雑なのである。

■すごく分かる。

何か言葉にならない、’うめき’のようなもので表現したくなるようなもどかしい感じ。

先生がいう「伝えたいことが、脳から言葉を経由せずに指先から直接太鼓に伝わって音となる」豊かさがあって、言葉にした途端に消え去ってしまうもの。

■われわれが会話において相手に伝えることのうち、言葉で伝えられていることは実に一割程度しかない、という話がある。

目であったり、表情であったり、身振り手振りであったり、そういうことが「感覚」として相手に伝わって、その体内に身体感覚として再生される、それが伝達の9割を占めるというのだ。

何をもって9割というかはよく分からないが、ナルホドと思わせる話である。

■じゃあ、川田先生の新婚時代のように言葉を使わずにやっていけるかというと、そういうものでもないだろう。

言葉にした瞬間に消え去ってしまうものがあるのだと分かっていても、我々は言葉を使わざるを得ない。

たとえそれがモドカシイものであったとしても、「一対一」の見つめ合いだけでこの文明を維持できるはずもなく、もうエデンの園へと戻ることは出来ない。

だから、ひたすら表現を磨くのである。

     

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                           <2009.06.05 記>

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■口頭伝承論〈上〉川田 順造 著 2001/04 平凡社ライブラリー

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2009年5月31日 (日)

■NHK金曜ドラマ『ツレがうつになりまして』。ゆるゆると眺めませう。

ドラマ化しそうだな、とは思っていたけどNHKだったか。

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■NHK金曜ドラマ ツレがうつになりまして 番組HPより

■藤原紀香は意外にしっくりきてたけど、原田泰造がぴったりだったなあ。

大河ドラマもうまかったし、濃い役柄を演じるいい役者さんになりそうだ。

お笑いの人に狂気系(欽ちゃん)とずれ系(二郎さん)があるとするなら、ずれ系は役者としても力が出せるんじゃないかな。原田泰造もその系統。

一方、狂気系のひとで’コント’にならずにドラマに馴染む例外は’たけし’くらいかな。馴染む、というのとは違う気もするが・・・。

■さて今回は全3話の第1話で、原田泰造がストレス地獄から’うつ’発症に至るまで。

序、破、急、の’序’というわけで、物語はまだまだ小手調べ。

原作の漫画も面白かったけれど、ドラマとして展開させるためにどうもっていくか、これからがとても楽しみだ。

■あ、あと忘れてはいけないのがイグアナのイグちゃん。

今回、出番は少なかったけど、イグちゃんを通して貂々さんはいろいろ気付きを得るわけで、次回からはドーンと(でっかくなって、笑)活躍してくれるに違いない。

まぁ、こっちもイグちゃんみたいに、あんまり力をいれずにゆるゆると眺めることにいたしましょう。

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                                                       <2009.05.31 記>

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■NHK金曜ドラマ ツレがうつになりまして 番組HPより


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■[原作] ツレがうつになりまして。 細川貂々 著 (幻冬舎文庫)    

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■STAFF■
原作 : 細川貂々「ツレがうつになりまして。」(幻冬舎刊)
脚本 : 森岡利行


  
■CAST■
藤原紀香 原田泰造  風吹ジュン 濱田マリ 小木茂光
設楽統(バナナマン) 駿河太郎 黒川芽以 田島令子 宮澤ミシェル

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2009年5月29日 (金)

■【映画評】『ブリキの太鼓』。あの小人たちは何処へいってしまったのか。

いやーな味の映画である。

それでいて観る者をつよく惹きつけて放さない。

’毒’とは、そういうものなのだろうか。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.27  『 ブリキの太鼓
           原題: Die Blechtrommel
          監督 フォルカー・シュレンドルフ 公開:1979年5月(ドイツ)
       出演: ダーフィト・ベンネント アンゲラ・ヴィンクラー 他

          Photo

■いろいろと解釈が出来そうな映画なのだけれど、安易に進めば泥沼にはまってしまいそうな予感を含んでいる。

理屈ではなくて、作品そのものが放つ’毒’をそのまま満喫する、というのが無難な観かたなのかもしれない。

■ストーリー■
1899年、ポーランド・ダンツィヒ。

郊外のカシュバイの荒野で4枚のスカートをはいて芋を焼いていたアンナは、その場に逃げてきた放火魔コリャイチェクをそのスカートの中にかくまい、それが因でアンナは女の子を生んだ。

1924年、アンナの娘・アグネスは成長し、ドイツ人のアルフレートと結婚するが、従兄のポーランド人ヤンと愛し合いオスカルを生む。

3歳の誕生日を迎えたオスカルは母アグネスからブリキの太鼓を買い与えられるが、その晩、大人たちの醜い世界を覗き見て嫌気がさし、階段から落ちることで自らの成長を止める。それとともに彼は太鼓を叩きながら奇声を発することで周囲のガラスを破壊する能力を得る。

ナチスの台頭が町を脅かす中、密会を重ねるアグネスは再びヤンの子どもを身ごもり、自殺。16歳を迎えるも幼い容姿のままのオスカルは、家にやってきた同じ年齢の使用人のマリアを愛するが、父アルフレートの後妻に納まってしまい息子を身ごもる。

失意のオスカルは、かつて友情を育んだ小人症のサーカス団長ペプラの一座と一緒にさすらいの旅に出るのだが・・・。

■[DVD] ブリキの太鼓 HDニューマスター版

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■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■解釈をするな、

といわれても、どうしてもいろいろと考えてしまう。

見た直後には、どこかドライな関係を残した欧米の親子関係に感じる、違和感のようなものについてぼんやりと考えていた。

けれども、記事を書くにあたってもう一度じっくり咀嚼してみると、そんなことよりもずっと「際どい」ものがそこに横たわっているのではないかという気もして、改めてそういう視点から眺めてみようと思う。

■この映画から強く受け止めたイメージは、

・祖母のスカートの中に始まるエロティシズム

・オスカルが発する奇声と割れるガラス

・サーカス団のフリークスたちの異形

といったところだろうか。

そして、その背景にナチスの台頭と崩壊という時代のうねりがある。

■このナチス(と、それに続く旧ソ連?)の抑圧を抜きにして、この物語を語るのは憚られるような気がするのだが、ポーランド人でもドイツ人でもユダヤ人でもスラブ系少数民族のカシュバイ人でもない自分が、そこに流れる何かをつかめるとは到底おもえない。

けれども、放浪者の血、という文脈でなら、この日本においても何かが見えてくる可能性はある。

■’異者’の物語といってもいい。

母と叔父から放浪者である祖母の血を強く受け継いだオスカルは明らかに’異者’である。

彼はそれを否定すべく成長を拒絶するのだが、結局、’異者’である彼が落ち着く場所は小人症の男を団長とする旅のサーカス団以外にはない。

しかも皮肉なことに、戦時下においてそのサーカスは慰問団として、本来は’異者’を排除する立場のナチスの部隊をめぐることになる。

■連合軍の侵攻から逃れ、小人の麗人ロスヴィーダの死に打ちひしがれて故郷に帰るとことなったオスカルは、そこに自らの場所を見出せない。

そして血のつながらぬ父親を罠に嵌めて殺してしまうことで、群れのなかのオスとしての地位を得ようとする。

そこで、放浪のあいだに成長し、3歳を迎えた息子(だとオスカルが信じる)の投げた石で気絶し、アタマを打ったオスカルは再び身体的な成長を始める。

■このとき、オスカルの実年齢は20歳前後。

’大人’になるにはちょうどいい頃合いだ。

祖母アンナからカシュバイ人としての生き方を聞かされたオスカルは、後を息子のクルトに託して再び放浪の旅に出るのであった・・・。

■さて、われわれの世界に目を戻そう。

われわれにとっての’異者’とは何か、という問題である。

そこでふと思うのは、かつてテレビで良く目にした小人症の俳優さんたちのことだ。

最近、すっかり目にすることがなくなってしまったのは気のせいか?

■それだけでなく、ピグミーとかホッテントットとかの’異様な’民族の映像もテレビから消えて久しい。
 

世の中から’異者’が消されている。

 
そういう印象を抱いてしまうのである。

■故郷に戻ったオスカルは、結局、再び放浪の旅に出る。

それが’異者’の定めであるかのように。

テレビの画面から消えうせた小人症の役者やプロレスラーたちも、きっとどこかで元気に暮らしているに違いない。

ただ、「テレビ」という舞台が日常の色に染まりすぎて彼らの「存在感」の強さに耐えられなくなってしまったのである。

■世はダイバーシティ(多様性)だ、なんだというけれど、所詮は日常で受け入れることが難しい’異者’は清潔なテーブルクロスの向こうにしまわれたままだ。

けれど、
 

そこの議論を抜きにして先に進めてはならない、

 
なんて優等生的なことは考えるのは止した方がいいだろう。

なぜなら、ここでかくいう私自身が’差別’に関して余りにも無知であって、実際’清潔なテーブルクロス’のこちら側しか認識できなくなってしまっているからだ。

要は、そういう自分も同じ穴のムジナだということだ。

■この映画を見たときに覚える違和感は、あえて’毒’という表現をしたが、そのテーブルクロスの向こうに追いやったものに対する感覚なのかもしれない。

今、私が感じることができるのはここまで。

あとはただ、この映画が提示してくれた’毒’に軽い酔いを覚えてその’存在’にこころを向けるだけである。

そしてオスカルは今日も放浪の空の下。

行く先は見えない。
  

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                           <2008.05.29 記>

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■[DVD] ブリキの太鼓 HDニューマスター版

    
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■[原作] ブリキの太鼓 第1部
ギュンター・グラス 著 (集英社文庫)
   

■STAFF■
監督 フォルカー・シュレンドルフ
製作 アナトール・ドーマン、フランツ・ザイツ
脚本 ジャン=クロード・カリエール
ギュンター・グラス
フォルカー・シュレンドルフ
フランツ・ザイツ
音楽 モーリス・ジャール
撮影 イゴール・ルター
編集 スザンネ・バロン



■CAST■
オスカル・マツェラート   : ダーフィト・ベンネント
アルフレート (父)    : マリオ・アドルフ
アグネス   (母)    : アンゲラ・ヴィンクラー
   *     *     *
ヤン     (アグネスの従兄弟): ダニエル・オルブリフスキ
マリア    (後妻)    : カタリーナ・タールバッハ

アンナ    (祖母)    : ティーナ・エンゲル、ベルタ・ドレーフス
ヨーゼフ   (祖父、放火魔) : ローラント・トイプナー
   *     *     * 
ベブラ    (サーカス団の団長)     : フリッツ・ハックル
ロスヴィーダ (サーカス団のヒロイン)  : マリエラ・オリヴェリ
マルクス (おもちゃ屋主人、ユダヤ人) : シャルル・アズナヴール

    
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2009年5月27日 (水)

■価値観の焼け野原に立つ日本は、これからが面白いノダ。「爆笑問題のニッポンの教養」スペシャル:『ニッポン チャチャチャ』(3/24放送)。

DVDを整理していて録画したまま見ていなかった特番をみつけ、2ヶ月の遅ればせながらにして拝見させていただいた次第・・・。

で、今回のテーマは大上段に構えて「日本」とは何か。

Photo
■「爆笑問題のニッポンの教養」スペシャル:『ニッポン チャチャチャ』 2009.3.24放送
●川勝平太(比較経済史) ●姜尚中(政治学) ●近藤一博(ウィルス学)
●斎藤成也(人類学) ●田中克彦(社会言語学) ●山口仲美(日本語学)

■国土を豊かにおおう山林のおかげで日本は清涼な水に恵まれている。

そういう背景があって、「日本」は水のように何でも受け入れる、水に流す、その清らかさがあって、もののあわれを知る微妙な心が生まれるわけで、黄河を眺めていてもそれは生まれない。

という、とても魅力的な論が上がった。

■確かにそうだし、誇らしい部分である。

それが江戸の文化に集約されるというイメージも分かりやすい。

けれどもその一方で、清浄な水で穢れを祓って、じゃあその穢れはどうなるのか。どこへいってしまうのか。

なんだかとても危険な議論に思えてきた。

■そういや、
 

桜の木の下には死体が埋まっている

  
なんて言ったのは坂口安吾だったか、

儚げで清らかに感じるものの裏にはぞっとするような’もの’が横たわっている・・・、

なんてことを考えていると田中先生が、

  
そんなもんじゃ’戦争’には勝てない!
 

とやってくれた、まさにそれ、リアリティの話。

■そうなんだよね。

確かにそこに日本独特の’美’はあるにせよ、それでお腹は膨らまないし、戦争にも勝てない。

多感な軍国少年時代に、’敗戦’による価値観の180度転換を実体験した田中先生の言葉だけに、本物のリアリティがある。

■’戦争’とはいっても、今の日本に課せられているのは、グローバリゼーションとの対峙である。

敗戦後、奇跡的な成長を遂げて、アメリカと再び肩を並べるに至った経済大国日本。

けれども20世紀末頃から、アメリカが牽引するグローバリゼーションという’ゲームのルール’に乗らざるを得ない状況となり、その結果がいまの日本を覆い尽くす不安の根源なのだ。

■田中先生がもうひとつ面白い話をした。
  

安倍、福田、と総理がかくも簡単に辞職する姿をみて、これは今までの日本ではアリエナイすごいことだ。

総理大臣でさえ’国家’よりも個人の論理を優先する姿をみて、アメリカ流の民主主義もここまで浸透してきたか、と感慨深い。

だから今はとっても面白い時期ナノダ。

 
というのだ。

■姜(カン)さんが補足する。

 
今は「焼け跡」なのだという認識に立つこと。
  

これは実にショッキングな発言だ。

つまりは、いま日本が直面しているのは、’敗戦’で強いられた価値観の大転換、それに等しいものだ、というのである。

 
個人、個人が自由に、経済的な豊かさを求めること。

それが幸福につながるのだ。
 

その価値観こそがアメリカをお手本として敗戦後の日本の急成長を支えたものであって、9.11同時多発テロを境にしてほころび始め、今回の大恐慌に於いて抜本的な見直しを迫られている価値観なのである。

■そんなことは分かっている、

そういうつもりであったのだけれども、敗戦の’焼け野原’をそこに重ねたとき、それが意味する深刻さが身震いするほどのリアリティをもって立ち上がってくる。

と、そのあたりで録画をミスったのかDVDが止まってしまった。

ああ、ここからが肝心なのに、と思う一方、’第二の敗戦’というイメージを獲得できただけで十分に満足できるだろう、とも思う。

■そこを出発点としたときに初めて、川勝先生や山口先生のいう’日本特有の美意識’は単なる趣味的論議から離脱し、日本のこれからのカタチを考える上での実体を伴った意味が生まれてくるのだと思う。

それが、姜さんのいう、「剥く」という行為そのものに意味を見出すタマネギ論であり、すべての歴史は現代史である。ということの意味なのだろう。

■何が正しい、とか、そういうことではないし、明快な答えが出てくるハナシでも無いだろう。

けれども、今、ニッポンは新しい時代のとば口に立っているのだという認識を実感できたのが何よりも収穫なのであった。

     

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                           <2009.05.26 記>


    

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2009年5月25日 (月)

■草食男子はスターチャイルドの夢を見るか? 『爆笑問題のニッポンの教養』 進化生物学、長谷川眞理子。

今回のテーマは、進化生物学。

File071
■ 爆問学問 『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE071:「ヒトと殺しと男と女」 2009.5.19放送
総合研究大学院大学先導科学研究科教授 長谷川眞理子。

■何が興味深かったかって、やっぱり殺人統計の話。

殺人を犯すのは圧倒的に男で、それも20代前半に突出している。しかも、世界のどこでもそれが変わらない、という話だ。

■この事実(?)からはいろんなことを考えることが出来て、例えば、世界中の’ヒト’に見られる傾向であるならば、それが遺伝子的に決定されていることだと仮説を立てることも可能だし、そうすると、生きものとしての’ヒト’のオスが繁殖期の絶頂において競争相手を’殺す’という意味付けも浮かび上がってくる。

20代前半の男性が起こした殺人の理由を調べてみると、これまた圧倒的に面子にかかわる話だったりして、その点でも先の仮説を補強するもののようにも思えてくる。

■太田は、

女は花が好きだ、

という。

それは大体において当てはまるようである。

■何故?といわれても説明はつかないだろう。

ただ、

キレイだから、カワイイから。

ということなのだろうし、男のクセに野草に惹かれる私自身、そこに理屈を見出すことは出来ない。

このあたりに、実は、今回の話の本質が隠れているような気がする。

■女は花が好きだ、

女は情緒的である。

と言い換えてみると分かりやすいかもしれない。

逆に言えば、男は論理的な考え方をする、ということだ。

■これは、一般的な見方として世間に定着している捉え方といっていいだろう。

チョッと待て!

という鋭い反論が出てくる前に先手を打つと、男が論理的思考を重んじるのは’理解力の無さ’を補完するためなのじゃないか、ということを言いたいのである。

要するに’男’はバカだ、ということで、

逆に女からすると

’こんなことも分からないの?鈍感ね!’

となるのである。

■男は’何となく分かってしまう’という能力で女性に対して劣っていて、だから理屈を考える。

それはソクラテスの昔からそうであって、どうして?、と問いを立てることを生業とする哲学者は圧倒的に男が多いのである。

女は、’分かってしまう’から、そんな問いを立てる必要が無いということだ。

論理を土台にした現在の科学技術社会は、ある意味、男が理解力を得るためにした努力の副産物だ、という皮肉な話なのかもしれない。
  

■かなり寄り道をしてしまった。

殺人の話に戻ることにしよう。

  
「殺してはいけない」、

ということは、理屈抜きに女には分かる。

男は「何でだろうね?」とそこに理由を求めてしまう。

けれども、先の仮説によるならば、オトコがヒトを殺してしまうのは意識の下の深いところに埋め込まれたものからくるものであって、誤解を恐れずに言えば、理屈で制御できるものではない。

■つい、カッとなってしまって。

というのに、どうしても許せない’理由’をつけるのはその後の話で、’カッとなるその’瞬間にはそもそも理性など無いのだ。

そこにあるのは、「殺せ!」と命令する若いケモノの本能と、「殺してはいけない。」と問答無用に本能を抑え付けてくる’何か’。

その’何か’こそが、女が’知っている’ものであって、法律や道徳といった集団のルールの根元の奥のその底に横たわっている’何か’なのだ。

■そこで草食男子、である。

実は、コロシは20代前半の男性において突出しているという先の原則が唯一当てはまらない特異点があって、それが現代の日本なのだという。

日本人青年はむやみにヒトを殺さなくなってしまったのである。

■それをどう読むかといったときに、長谷川先生は、「一生懸命」の話をする。

動物が如何に生きているかを学んでいるときに学生が言うのだそうだ。

 
 なんで、そんなに一生懸命なんでしょうね。
 

長谷川先生は唖然としながらも、自然界では一生懸命でなきゃ’存在’できないこと、我々人間のように一生懸命でなくても’存在’し続けることが出来る方が例外的であること、そしてその人が一生懸命でない分、どこかでそれを支えている人がいるのだ、ということを伝えるのだという。

うーむ、いい話。

でも、その延長線上に草食男子を捉えるのはどうだろう。

■戦後日本の驚異的な経済成長と、一億総中流という幻想、どこの共産主義国よりも平等な’ムラ’社会。

この幸福な状況は、一方で日本の青少年のオスとしての本能をダメにしてしまい、その結果、殺人の件数も他の世代と変わらないくらいに減少してしまったのではないか。という説である。

こういう視点で格差社会、不安な社会となってしまった今の日本の状況を考えると、また青年の殺人件数が増えてくるのではないか、という予測が立つ。

■そうなのかもしれない。

多分、きっとそうなんだろう。

でも、それじゃあ面白くない。草食男子を戦後日本の特異な状況が生んだアダ花だなどと思いたくは無いのだ。

■そうではなくて、人類の新しい進化のカタチだ、というのはどうだろうか。

見た目の変化は無いけれど、オスでありながら女が’知っている’ものを’知っている’。

女のように’分かってしまう’。

それ故に、彼を突き動かそうとする本能に対して、それをしっかりと抑えつける’何か’がシッカリと機能する。

■今までは、あれに興味が無い=子孫を残せない、ということで、当然のことながらそういう「品種」は淘汰されてきた。

が、現代では性交に拠らずとも子供が作れるし、それ以前に子作りという目的意識をもってコトに及ぶというのもありだろう。

次世代の人類が静かにゆっくりと増加していく様子や彼らが作り出すであろう社会を空想すると、それなりに楽しめる。
   

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                       <2009.05.25 記>

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2009年5月23日 (土)

■【映画評】『容疑者Xの献身』。’生きる’ことは私には余りにも眩し過ぎて。

これは、「ガリレオ」ではない。

主演・堤真一渾身の、孤独な魂のドラマなのである。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.26  『容疑者Xの献身
           監督 : 西谷弘、原作 : 東野圭吾、脚本 : 福田靖  公開:2008年10月
       出演: 堤真一、 福山雅治、 松雪泰子、他

     Photo

■初っ端、本編とまったく関係の無いエピソードでガリレオの活躍が描かれるのだけれども、それ以降、例の数式書きなぐりの儀式もなくて、見せ場の再現実験も行わない。

かといって、つまらん映画かといったら全く逆で、孤独な天才数学者・石神という役柄にこれ以上ないっていうくらい堤真一がはまっていて、抑制された演技の奥に灯る純粋なこころの叫びに震えるのだ。

■編集がいい。というのも強く感じた。

場面場面のテンポが抜群にいいのだ。

死体が発見されて警察が調査を始める現場のシーンのようなアップテンポも小気味いいのだけれども、映画の冒頭で描かれる石神の朝の毎日のような淡々としたシーンにその上手さが光る。

■目覚ましが鳴り、アパートの薄い壁を通して隣の母娘の楽しげな朝のやり取りが聞こえてくる。ベッドでまどろみながら、それを愛おしむように味わう石神がヨシ、と起き上がる。

アパートを出て、いつものように川沿いの道を歩き、橋を渡り、いつもの時間にいつもの店でいつもの日替わり弁当を買う。

その弁当屋は隣りの部屋の母親(松雪泰子)の店で、その明るい笑顔を目当てに石神が毎日通っているのだな、と分かる。

■当たり前の、すべてが決まりきった朝の風景。

ラストまで見終わったあとに改めてこのシーンを見ると、この、何てことのない淡々とした一連のシーンが観る者のこころを揺さぶり、何かがぐっと込みあげてくるのだ。

派手さは無い。

けれども、それだからこそ沁みるものがある。

それを支えたのが絶妙の編集によるテンポの良さなのだ。

■ストーリー■
惨殺死体が発見され、内海(柴咲コウ)は本庁の先輩刑事・草薙(北村一輝)と事件の捜査に乗り出す。捜査を進めていくうちに、被害者の元妻・靖子(松雪泰子)の隣人である石神(堤真一)が、ガリレオこと物理学者・湯川(福山雅治)の大学時代の友人であることが判明。内海から事件の相談を受けた湯川は、石神が事件の裏にいるのではないかと推理するが……。(シネマトゥデイ、一部編集)

Photo_2  [DVD] 容疑者Xの献身 スタンダード・エディション

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■完全に騙された。

鋭利な知能で愛する松雪さんを殺人の嫌疑から守ってやる。そのことによって堤真一は彼女を自分の支配下に置くカタチとなる。

そこに現れるダンカン扮する気のいいオジサン。

ホステス時代から入れ込んでいたようなのだが、どうやら本気になってしまったようである。

■それを無下に出来ない松雪は、影からひっそりとその様子を窺う堤真一の存在が次第に恐ろしくなってくる。
  

「あの男から逃れたって、今度はそれが石神さんに変わっただけじゃないの!!」

 
松雪さんじゃなくたって追い詰められてしまう真に迫った堤真一のストーカー振りは、こりゃ’素’なんじゃないかと思うくらいなのだ。

■でも、結局それも天才・石神の計画の内だったんだよな。

始めっから自分が罪を被るつもりで、その自分に対して同情させない為には、あいつはストーカーであると思わさざるを得なかった。

■それでも松雪さんへの手紙に心情を吐露してしまう堤真一。

その詰めの甘さが、ラストシーンの松雪さんの行動につながってしまうのだけれども、その詰めの甘さ、天才数学者の完璧な計画にほころびをもたらしたものこそが、松雪さん親子の’生活’、ただ生きていることの素晴らしさ、によって彼の中に始めて生まれた’人間らしさ’なのである。
  

■どうして・・・?どうしてぇぇ!!
 

私も償いたい、と現れた松雪さんを前に泣き崩れる堤真一。

自分以外のすべての人間を騙しつくして計画を推し進めるならば、まったく余計な動きである。論理的ではない。(福山雅治っぽく。)

松雪がどんな証言をしようと今や証拠は何も無く、いや例え後になって’夫’の死体が海から上がったとしても、この時点では確率論的に白を切り通すのが筋である。

が、ただ居てくれる、その明るい生活を感じさせてくれるだけでいい。それでもこの自分には眩し過ぎるくらいだというのに、彼女は我が身を投げ出してこんな自分を助けようとしてくれている。

それに耐え切れなかったのである。
   

■ここまで切ない想いを掻き立てられたのは久しぶりだ。

それも、それ泣け、やれ泣け、という仕掛けにのるではなくて、うっかりすると聞き漏らしてしまいそうなボソボソとした声で語られるそういうトーンの中で盛り上がってくるものなだけに、その湧き上がる切なさに磨きがかかるのである。

■いやー、正直ここまで期待していなかった。

とくに堤真一には完敗だ。

アクの強すぎるイロモノだと思っていたのだけれど、実はいい役者さんだったんだねー。いや、降参、降参。
   

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                           <2008.05.23 記>

Photo_3 [DVD] 容疑者Xの献身 スペシャル・エディション

Photo_4 [原作] 容疑者Xの献身 (文春文庫)

    
■STAFF■

監督 - 西谷弘   
原作 - 東野圭吾 「容疑者Xの献身」
脚本 - 福田靖
音楽 - 福山雅治、菅野祐悟
撮影 - 山本英夫
照明 - 小野晃
美術 - 部谷京子
編集 - 山本正明
製作 - 亀山千広
企画 - 大多亮
制作- シネバザール
配給 - 東宝
 


■CAST■
湯川学 - 福山雅治
内海薫 - 柴咲コウ
草薙俊平 - 北村一輝
栗林宏美 - 渡辺いっけい
弓削志郎 - 品川祐
城ノ内桜子 - 真矢みき
工藤邦明 - ダンカン
富樫慎二 - 長塚圭史
花岡美里 - 金澤美穂 
葛城修二郎 - 益岡徹
柿本純一 - 林泰文
  *  *  *
花岡靖子 - 松雪泰子
石神哲哉 - 堤真一

    
■関連記事■
■スペシャルドラマ 『ガリレオΦ』。これが本来のガリレオか!
 

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2009年5月13日 (水)

■【映画評】『ブロークバック・マウンテン』、アン・リー監督。ダンナの「釣り旅行」には注意せよ!

正直、ホモセクシャルの人の気持ちは分からないのだけれども、

うーん、この映画のラストについ、やられてしまったのである。

これを見たのはちょうど一年前。

消化するのにずいぶんと時間がかかってしまった。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.25  『ブロークバック・マウンテン
           原題: Brokeback Mountain
          監督: アン・リー アメリカ公開:2005年12月
       出演: ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール 他

    Photo_2

■美しいんだよね、大自然が。

壮大な山々、みどりに広がる牧草地とそこを流れる羊たち。

それに対比して、人生のなんと’汚れつちまつた’苦しいものか。

■ストーリー■
美しいワイオミング州の山々。ふたりのカウボーイが羊を放牧している。ワイルドで牧歌的な風景に奏でられるのは、彼らの愛の物語。男同士の関係を描きながら、これほどまでに万人を感動させる映画は、過去になかったかもしれない。

イニスとジャックは、ブロークバック・マウンテンで燃え上がった愛を、その後、失うことはなかった。ともに妻を迎え、子どもを授かっても…。

物語は1963年に始まり、舞台は保守的な中西部なので、当然、厳しい現実が待っている。そして、妻たちの悲しみもある。アン・リー監督は、それらすべてを過不足なく描き、主人公ふたりの愛を際立たせていく。

(Amzaon 紹介文より抜粋)

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Dvd ■[DVD]ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■同性愛を否定はしないが、生理的に受け付けない。

ジャックは元々なんだろうけどイニスは何でそこで目覚めちゃうのさ。

何しやがるんだ、コンチクショウメ!

と殴りかかるでしょう、ふつう。

けど、イニスはジャックを受け入れるばかりか、いつしか彼がいなくては生きていけない自分になってしまっているのに気付くのである。

■ジャックとイニスは、お互いそれぞれの生活を持ち、妻もいて、それでも延々と想いを募らせる。

20年。

そこまで恋焦がれるのならば、もう、男同士だとかなんだとかどうでも良くなってしまう。

むしろ、伝統的な価値観が骨の髄まで沁みこんだ中西部の暴力的なまでの排他主義(「ボウリング・フォー・コロンバイン」を思い出そう!)がふたりの間に影を落とすことによって、その’許されざる愛’はどうしようもなく純化されるのだ。

■その許されざるが故の純度の高さが不幸を生み、イニスの妻を絶望へと落とし込める。

・・・だって端っから勝ち目が無いじゃないか、

そんなイニスの奥さんがあまりにも可哀想なのである。

■結局、奥さんはイニスと別れることになる。

そりゃ、そうだよな。

心底やさしさにあふれた奥さんにしても、アメリカの古い価値観にどっぷり浸かって生きてきたのだもん。

問題は娘の立場である。

お父さんっ子なんだよな、この子が。

だから凄く切なくなってしまう。

■ジャックが死に、たぶん「それ」が原因で’排除された’のだと匂わされるのだけれど、イニスも、ジャックの両親も口には出さずとも、それを了解している。

ジャックの両親から彼がイニスと牧場を経営するのを夢見ていたことを聞かされ、彼のクローゼットに、あの夏に殴りあった血痕の跡の残るシャツが大切に残されているのを目にしたとき、大きなおおきな穴がイニスの心の底にドンと開く。

■ジャックはずっと純粋にイニスを見つめて生きてきたのだ。

イニスが愛する妻と娘と別れなければならなかったことを悔やみ、幼少期に刷り込まれた’許されざる行為’に対する罰の恐ろしさのトラウマに襲われて、ジャックへの抑え切れない想いを疎ましく思ってしまった自分自身。

ジャックの純粋さに気付いた、その瞬間に、イニスのなかのわだかまりがすーっと消えていく。

いろいろあったけれども、俺には、俺を大切に思ってくれている娘もいる。決して不幸なんかじゃない。

もう隠れることはない。

そして娘の結婚式に出る決意をするイニス。

クローゼットを開けれあば、その扉にはあの頃に着ていたふたりのシャツが重ねてかけてある。
   

ジャック、これからはずっと一緒だよ。

   

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                           <2009.05.13 記>
   

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Photo    

■STAFF■
監督  : アン・リー
脚本  : ラリー・マクマートリー
      ダイアナ・オサナ
音楽  : グスターボ・サンタオラヤ
撮影  : ロドリゴ・プリエト
編集  : ジェラルディン・ペローニ
      ディラン・ティチェナー



■CAST■
イニス・デル・マー    : ヒース・レジャー
ジャック・ツイスト    : ジェイク・ギレンホール
     
(お、飯田橋かっ!・・・って、それはギンレイホールでしょ(苦;))
ラリーン・ニューサム(ジャックの妻)  : アン・ハサウェイ
アルマ・ビアーズ(イニスの妻)     : ミシェル・ウィリアムズ
 
アルマJr. (イニスとアルマの娘)   : ケイト・マーラ

 
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2009年5月11日 (月)

■いつも、あらゆる可能性に覚醒していること。『爆笑問題のニッポンの教養』 デザイン思想、原研哉。

ちょっと遅くなったけど、久しぶりの爆問学問。

今回のテーマは、デザイン思想。

Photo
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE070:「シンプル最高/再考」 2009.4.28放送
武蔵野美術大学基礎デザイン学科教授、
日本デザインセンター代表、原 研哉。

アートは’私はこう思う’、

 というのに対して

 デザインは’共感してもらいたい’。

  
という原さんの言葉が、わたしの中でずっと居座っていたもやもやを一気に晴らしてくれた。

■芝居をやっているときには’自己満足’と’観客の受け’との戦いであったし、

工業製品の設計をしている今でも、相変わらず’自己満足’と’販売成績’との戦いの日々なのである。

■芸術作品を作り上げる過程でそこにいるのは’わたし’と’対象’だけであり、その対峙のなかから’アート’が生まれてくる。

一方、「デザイン」を作り出そうとする段で欠かすことが出来ないのは’他人の目’である。何故かならば、デザインの本分は’相手に伝える’ことにあるからだ。

もちろん、このブログを書いていることも含めて、私が目指すのは他の人が喜んでくれることであり、常に「デザイン」だ、ということだ。

ああ、すっきりした。
   

■けれど、そのアプローチは世界共通というものではない。

だから、演劇にしても、クルマの設計にしても、そういう’アイデア’になかなか至らないのである。

■ユーラシア大陸を東を下にして90度傾けると日本は世界の一番下にいて、ヨーロッパだとか、インドだとか、中国だとか、そういったさまざまな文化があたかもパチンコの玉が釘に跳ね返りながら落ちてくるようにニッポンにむけて集まってくる。

そういう雑多な文化の影響を受ける環境のなかで、日本は銀閣寺を象徴とする独自の「シンプル」を生み出した。

■ドイツ製のナイフと日本の板前さんが使う柳刃包丁の比較が分かりやすかった。

手の形に添って力が入りやすいグリップをデザインするドイツ製ナイフの機能美。工業製品をつくる者にとってとても分かりやすいアプローチであって、かくありたいという指針であったりもする。

その一方で、柳刃包丁のにぎりはなめらかな楕円の棒であって、過剰な情報を一切そぎ落とした、原さんの言うエンプティ(空っぽ)なのである。

皮肉なことに、その’空っぽ’が板前さんの超絶的技巧を支えているのだ。

■ドイツの機能美は「使い方」を規定する。

デザインをコミュニケーションと捉える原さんの見方でいうならば、一方通行の投げ込みでキャッチボールの楽しさ、豊かさが無い、ということになる。

決してドイツ流が悪い、といっているわけではない。私も機能美が大好きだ。理由をもったカタチにワクワクする性質なのである。

■けれども、何かを生み出して誰かに分かってもらおうとしたときに、しっくりとくるのは’空っぽ’の柳刃包丁のアプローチなのだ。

すべてを規定してしまわない。

すべてを伝えない、伝えようとしないからこそ伝わるものなのである。

逆説、或いはパラドックス。

けれども、そう