●詠う練習

2012年2月 8日 (水)

■【詠う練習】血脈。

かきくけこの「け」で

「血脈」をお題に。

 

■父と母 母の父をも拭い去れ

 歌えよ駿馬 逃げの血脈

 

■人生をたどる道筋半ばまで

 ここに途絶えし父の足跡

 

■君と我 その血を合わせて来たる子に

 誰しも踏まぬ道を照らせよ

 

血脈という軛があるのであれば、何とかそれを逃れたいと思う。けれど、どこまで逃げたところで己の血からは逃れることはできない。父の生があり、母の生があり、初めてそこに私の生があるのだ。

                      <2012.02.08 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月31日 (火)

■【詠う練習】くちびる。

かきくけこの「く」で、

「くちびる」をお題に。

 

■忙しき 日々の中にも 我知らず 

 歌浮かび来る くちびる楽し

 

■青深く 空に一筋 引き尾雲

 若き憧れ 吐息もれたる

 

■寒風の海辺にぽつりひとり立ち

 蒼きくちびる震わせる君

 

くちびるといえば、色っぽいイメージが浮かぶが今回は敢えて外してみた。と、いうより色恋が体からすっぽりと抜け落ちていてまとまらなかったというのが実は正しい。さびしい中年男である。

                         <2012.01.31 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月21日 (土)

■【詠う練習】希望。

かきくけこの「き」で

「希望」をお題に。

 

■「希望」とは最期の病と言いしひと

 その生き様が希望をぞ残す

 

■暗闇が闇であるのは光ある

 からこそ我はとにじむ夕陽に

 

■もうダメと思う毎日続くけど

 グウと腹鳴りブリと屁もでる

 

「人類が最後に罹るのは、希望という病気である」という言葉は寺山修司のものだとばかり思っていたが、実はサン=テクジュペリなのだそうだ。それが、愛機ともに行方をくらませた星の王子様の言葉だと思い直した瞬間に、「希望」は健全な光を放ち始める。

                       <2012.01.21 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■【詠う練習】帰る。

かきくけこの「か」で

「帰る」をお題に。

 

■夢破れ未来の見えぬ身になれど

 帰らぬからこそ ふるさとはあり

 

■抜ける青 沸き立つ緑 撫でる風

 歌無き故郷よ シーベルト

 

■君といる幸せ今を噛み締めよ 

 死ぬときはひとり 闇へと帰る

 

「帰る」というとき、そこには家庭であったり、故郷であったり、そういった温かいものがセットで湧き上がってくる。だが、それは虚構かもしれず、その行為はぬくぬくとしたものにつながるとは限らない。

                       <2012.01.21 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月20日 (金)

■【詠う練習】音。

あいうえおの「お」から、

「音」をお題に。

 

■すうすうと寝息かわゆき深夜2時

 まどろみ破りギギと歯ぎしり

 

■しとしとと しととしとしとしとととと

 自己嫌悪の雨 静かな調べ

 

■静寂に身をゆだねつつ一休の

 闇夜のカラス未だ聞こえず

 

何につけてもそうだと思うが、音は静寂があってこそ際立つ。そんな音が好きだ。

                       <2012.01.20 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月16日 (月)

■【詠う練習】駅。

あいうえおの「え」から、

「駅」を、お題に。

 

■急行の過ぎ行く風の頬叩く

 ぽつりとひとり各駅停車

 

■運行が5分遅れるアナウンス

 人身事故に家族を想う

 

■息を止め次の電車を待ってみる

 65秒の苦しさに踏み切りよ鳴れ

 

駅はあたかも呼吸のように人を呑みこみ、吐き出す。だが、その呼吸する空気の一分子である自分にも思いがあり、隣り合う一分子にも心がある。

                    <2012.01.16 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月14日 (土)

■【詠う練習】美しい。

あいうえおの「う」から、

「美しい」をお題に。

 

■薄白く降りたる霜の一面に

 黒を隠すも一時のこと

 

■蒼空の果ては遥かの百万里

 見えぬからこそ つかめぬからこそ

 

■足早に過ぎ行く路の傍らに

  ハコベ小さく咲き誇るらむ

 

美しいものには棘がある、というが棘のない美しさが私は好きだ。ヴィヴィッド過ぎる美は肌に合わないのである。

                     <2012.01.14 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月 9日 (月)

■【詠う練習】生きる。

あいうえおの「い」から、

「生きる」をお題に。

 

■今日もまた つまらぬことに悩むれど

 帰りて消え去る 我が子の寝顔

 

■我が道を行かんと思う その途中

 横目で妬む他人の出世

 

■過ぎゆく日 死を現実と覚えずに

 からからまわるこの生の価値

 

生きることは、何も難しいことではなく、平々凡々とした毎日の積み重ねである。生きいきとした人生は無理に作り出すものではなく、自然と湧き出るものなのではないかと最近思うのである。時は、向こうからやってくる。

                     <2012.01.09 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月 6日 (金)

■【詠う練習】朝。

年が明けて2012年になった。

昨年は東日本大震災という

価値観をひっくり返す出来事があったというのに

何も変わっていない自分がいる。

とても薄っぺらい自分がいる。

 

仕事での自己実現に限界が見えてきたこの歳になって、

それだけではない自分をつくりたいという

焦燥があって、

少しでも自分というものを深めたい。

 

ならば何かをせねばと考えたとき、

私にあるのは言葉による表現なのだと思う。

そこで、短歌はどうだろうかと考えた。

言葉を選び、研ぎ澄ます作業を繰り返せば

何か見えてくるものがあるのではないか。

 

これまで繰り返してきた評論という作業では、

人の胸を借りた作業では、培われない何かがあるのではないか。

そういう切なさも混じった希望を込めて

短歌の練習を始めようと思う。

始めは拙い言葉の羅列になるかと思うけれど

地道に、継続は力なり、でやっていこう。

 

 

前置きが長くなった。

では早速、あいうえお の「あ」から

「朝」をお題に。

 

■夜明け前 冷たくたなびく朝霞み

 寝ぼけた眼(まなこ)に虹色の光り

 

■身を震わす大気に白く

 今日はこそはと新しき日

 

■返す言葉もない

 黒き昨日を捨てる朝

 

                      <2012.01.06 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月 5日 (木)

■もくじ■短歌【詠う練習】

■■■ INDEX ■■■
短歌【詠う練習】の一覧です。

■■■ 2012年 ■■■

■■■  か行 ■■■

■【け】血脈。

■【く】くちびる。

■【き】希望。

■【か】帰る。

■■■  あ行 ■■■

■【お】音。

■【え】駅。

■【う】美しい。

■【い】生きる。

■【あ】朝。

| | コメント (0) | トラックバック (0)