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2017年11月13日 (月)

■【映画評】『シン・ゴジラ』 災厄と再起。人間の底力としてのシン・ゴジラ。

地上波初放映。

今回は、この映画におけるゴジラとは何か、そしてそこに込められたメッセージとは何か、について改めて考えてみたい。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.87-2  『シン・ゴジラ』
          監督: 庵野秀明、 樋口真嗣 公開:2016年7月
       出演: 長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ 他

Title

■日常に襲い掛かりすべてを破壊する想定外の災害。

ここでのゴジラは明らかに3.11東日本大震災及び福島第一原発事故である。

第2、第3形態のゴジラに破壊された街のがれきを前に立ち尽くす矢口の姿は、われわれが目にした津波の後の東北の街だし、その後の放射能汚染は原発事故後のわれわれの放射能汚染に対する危惧そのものだ。

そして、相模湾から再度上陸する第4形態のゴジラは、東海沖を震源とする大規模地震であり、そのとき首都は壊滅状態になるかもしれない。その予想図と見て取れる。

■東日本大震災で我々が計画停電だ、ガソリンがないだの、ポポポポンだの言っていた時、現場では、ぎりぎりの中で踏ん張っていた人たちがいる。

東電の職員や必死の放水を行っていた人たちは、制御の前提である電力が喪失し、メルトダウンが起きているのかどうかすら分からない中で、放射能汚染で生命の危機があるかもしれないなかで、しかし、ここで踏ん張らなければ日本が壊滅する、という想いで戦った。

ヤシオリ作戦の訓示で矢口は隊員たちに命の保証はできないとした上で協力して欲しいと訴える。

現場の放射線レベルが危険域に高まるなか、決死の覚悟で実行されるヤシオリ作戦だったが、注入部隊の第一小隊は、ゴジラの破壊光線の一閃で全滅。

実際の福島第一原発での注水作業で犠牲者が出たとは聞いていないが、まさにそういった覚悟は現場にあったに違いない。

■一方で、津波の被災地も地獄の様相を呈していたようで、3.11直後から現地に突入していった不肖宮嶋さんの写真集をみると、もう言葉ならないものが胸に込み上げてきて、当時も、今も、復興にたいして何もしていない自分が情けなくなってくる。


■ 再起 単行本 – 2011/7/26 宮嶋 茂樹 (著)

この『再起』で描かれている、あまりにもむごい事態、しかしながら、それでも久しぶりの風呂や、軍楽隊に笑顔をみせる人たちや、まさに身を粉にして働く自衛隊、トモダチ作戦の米兵たち、その姿は『シン・ゴジラ』の終盤に描かれたものの実像であり、そこに重ねた見たときに、あまりにもぐっとくるシーンが目について、そのたびに身を震わせるのである。

■この映画はあまりにも情報量が多く、テーマも重層的だ。

映画館で観たときには、その全体像を読み解こうと必死になっていたのだけれども、こうして改めて観てみると、やはり骨格はここにあるのだなと思う。

牧博士が提示した

好きにしろ

という言葉も、「そろそろ思ったようにしてよろしいのでは?」という官房長官代理の首相代行へのセリフで補完され、原発だとか、安保法制だとか、この国の行く先について考えたときにずしりとくるのだけれども、それは所詮、「理屈」のはなしだ。

映画というものが伝えるのはもっと、言葉の奥にある、感情とか感覚とかそういう世界のものであって、そう考えたとき、やはりグッとくるのは不条理に立ち向かった人たちの実際の姿に寄り添う気持ちなのだとしみじみ思う。

高速高密度リアリティ映画でありながら、感動するところは人間のこころの強さに対してなのだ。

そして庵野が追及したリアリティはまさにその感動を支えるために存在したのである。

                      <2017.11.13 記>


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(前編からの続き) さて、それではこの批評は、中途半端な尻切れトンボの終わり方をしてしまうのか。 結論めいたものを導き出すのは難しそうだが、いくつかの推測は提示できそうな気がする。 少し視点を変えて、『シン・ゴジラ』の、過去のゴジラシリーズ(特に第一作)...... [続きを読む]

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