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2017年7月10日 (月)

■【社会】安倍内閣支持率急落。日本の政治に民主主義の根幹である創造的議論は復活するのか。

まだ日本って健全なのだと少しホッとするニュースである。安保関連法のときは「反対派もうさんくせーよな」と半信半疑だった国民の判断が、今回は確信に変わったとみていいのではないだろうか。

20170710

読売新聞社は7~9日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は36%で、前回調査(6月17~18日)の49%から13ポイント下落し、2012年12月の第2次安倍内閣発足以降で最低となった。 不支持率は52%(前回41%)で最高となった。支持率は2か月で25ポイントの大幅下落となり、安倍首相は厳しい政権運営を強いられそうだ。 7/9(日) 22:02読売新聞配信

■いままで安保法制やテロ等準備罪では危険を煽ることで国民を納得させてきた安倍政権が、国民にもわかりやすい加計学園問題でその強引なやり口を暴かれて、強い反感を買ったということだ。

安倍内閣はその発足以来、選挙の公認を人質にするかたちで自民党内の自由な議論を封殺し、人事権を武器に各省庁の官僚の意見をつぶして強引に自らの描いたシナリオを押し付けてきた。マスコミ幹部との会食で癒着し、報道すらコントロールしようとしてきたのだ。

「決められる政治」の名のもとに、権力が首相官邸に集中していて、私の言うとおりにやりなさい、議論なんていりません、という流れが出来てしまっていたのだ。

その政策が正しいかどうかは問題ではなく、権力の集中は必ず腐敗する、ということが問題であり、森友学園問題にしろ、加計学園問題にしろ、それは単なるスキャンダルではなく、もっと政治としての本質的な問題なのだ。

■議論が封殺され、権力が集中したとき、多様な視点を失ってまわりの状況が見えにくくなり、それは独善に至る。さらに、その独善が認められ続ければ何でも自分の想い通りになるという錯覚に陥り、逆に思い通りにならないことに反発を覚え、さらに議論の封殺が進む。歴史はそれを独裁と呼ぶ。

森友はどうかしらないが、加計学園問題が示しているのは、理屈が通らないものが通ってしまう構造が、戦略特区という「法律の外」の場所で成立してしまおうとしていることだ。

このことをもっと深く理解したほうがいいと思う。

法律は、もっと言えば憲法は、権力を縛るものである。

いま安倍政権が進めていることは、その法を合法的に超えたところで、やりたいようにやらせろ、ということなのだ。その思想の根幹が現れているのが憲法解釈上どうなのかと思われるような昨今の立法であり、それが如実に現れているのが憲法改正そのものを目的とした憲法改正論である。

■もちろん、従来の規制で身動きが取れないものを変えてみたらどうなるか、という実験の意味での特区は別に悪いことではない。

問題なのは、そこに議論がないことだ。

文科省が、「獣医師の新しい需要があるなら、それを農水省に示してほしい」というのは極めて当たり前の要求であり、議論である。

それに対して官邸は、なにをうだうだ言っているんだ、これは決まっていることなんだ、と突っぱねる。

そこに議論を経た確固たる論理があるのならば、官邸サイドはそれを説明すればいいだけなのである。

けれど、官邸サイドは「記憶にありません」「記録は残っていません」って、どういうことか。

半年前の記憶すらないのならば、そういう人たちに国の舵取りは任せられない。全員辞めてもらった方がいい。

「言えません」

が正解なんだろう、と国民はみんな気が付いているのが分からないのか。みんなそんなにバカじゃない。

■ここで何度も書いているけれど

民主主義とは多数決のことではない、

民主主義とは創造的議論によって出来上がるものなのだ。

ひとつのテーマに対して、多様な側面からの視点での意見を出し合って、その意見の意図や新しい情報を共有しながら、最適な道を探っていく、そういう創造的議論によってA案、B案が出来上がる過程が大切なのであって、多数決をとるのはその前提あってこそなのである。

安倍政権はそこを全く理解していないし、反対一辺倒の民進党も、同じく絶望的にそれを理解していない。

だからこそ、今回の支持率の調査でも、民進党の支持率は上がらず底を這うばかりなのである。

そこをちゃんと理解しているという意味で世論というものはまだまだ健全だな、と思う。

■安倍政権を支えていたものが支持率なのだから、これが続けば政権はもたないだろう。

自民党内でじっと息を殺していた面々も、これでは自民党自体が危ういとばかりに、(自らの次期総裁の目をこズルくにらみながら)、自らの意見を発信しはじめた。

前回の総裁選で何故言わなかった!

というのは酷なことで、政治家とは機をみるものなのである。

逆に言えば、今がチャンスと踏んでいるということだ。

ようやく自民党にも健全な空気が戻ってきたと喜ぶべきところなのだろう。

■この後の国政はどうなるのか。

現状、反安倍政権の受け皿は存在しない。それが作れなければまたずるずると元の木阿弥である。

小池都知事が風穴を開けた都民ファーストの会の流れが、国政にも波及するのか。

自民党の中の安倍政権派と反主流派(旧宏池会?)が二大派閥としてバランスを取りながら政権を担っていくのか。

前者は、国家全体を見据えた論と、国民ひとりひとりの生活に根差した論に分かれた議論となるだろう。

後者であれば、自民党が分裂するかどうかは分からないけれども、アメリカに寄り添っていく従来志向を推し進める論と、アジアをも見据えながら日本独自の道を模索していく論に分かれていくことだろう。

どちらが最適なのかは分からないけれども、対立軸として

・全体、企業 ― 地方、国民

・アメリカ一極主義 ― 多極外交

の二つの軸で議論を深めていけるのならば、言うことはない。

何がいいかなんてわからない。

大切なのは健全な議論なのだから。

                       <2017.07.10 記>

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