■【アニメ評】『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章「発進篇」』、沖田の子供たちが行く・・・。
待ちに待った第二章。
吹奏楽のヤマトのテーマが震えるほどかっこいい!!
●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
番外編 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章「発進篇」』
監督: 羽原信義 公開:2017年6月
■今回は仕込みの話だから、強烈な盛り上がりはない。けれど、それでも綺羅星のような名セリフ、名シーンがあって、もうたまらんのです。
司令部の妨害を排して発進するヤマトを見送る藤堂長官、
「沖田の子供たちが行く・・・」
司令長官の立場では見せることができないその心情の吐露である。この人物造形の奥深さがヤマトなんだよなあ。
それに対して芹沢の悪役ぶり(笑)。
波動砲艦隊が象徴する今の地球の矛盾の権化。アンドロメダ艦隊が全滅して芹沢が呆然とする姿が目に浮かぶ。
■「攻撃目標ヤマト!」
アンドロメダ艦長の山南。彼もまた沖田の教え子であり、ヤマトの理解者。
ヤマト追撃をアンドロメダ単艦であたらせた司令部に本気で止める気はないし、山南も十分それを承知している。
大人なんだよなあ。
「衝撃に備え!!」
アンドロメダの最新装備の攻撃をアステロイドリングでかわしたヤマト。新旧二艦が鎬を削る。
この後の山南の表情がまたたまらない。
ヤマトクルーは本当に愛されています。
こういう地球の大人たちの想いを描くのが今回のテーマなのだと思う。
■今回のもう一つのポイントは、コスモリバースシステムの副作用で生じた時間断層。外界よりも時間の流れが速く、3年の期間で波動砲艦隊が完成したのはこの時間断層のなかで建造されたからだと説明される。
いままでの設定のおかしいところを修正していく作業もぬかりない。まあ、ワープだとか使ってる時点でもうなんでもありなんだけど。
■テレサについても過去の超文明の成れの果て、超次元意識生命体であると説明がなされる。
この宇宙の初めから終わりまでを見通すことができ、その歴史の中の人間の精神に干渉し、導く。
何だか神様になっちゃいましたね。
もはや反物質どころの話じゃないです。
でも落ちはどうするんだろうね。
「わたしのこの反物質の体がお役に立つと思います」
って、テレサだけが突っ込めばいいのでは?
という「さらば」最大の突っ込みどころをどう回避するのか。このあたりも気になります。
■一方、軌道面を異にする太陽系第11番惑星。
空間騎兵隊の斉藤と永倉が駐屯している。
波動砲艦隊構想に反対した土方も左遷されてこちらに。で、古代アケーリアス遺跡の発掘プロジェクトの陳情を受けたりとさりげなく、「2202」の後の展開も示唆される。
うーん、やっぱり古代は死なないんだね。
この時代、やはり「さらば」の
「お前にはまだ命があるじゃないか」
は、無理だよね。
あれを特攻の思想だとか言う人がいるけど、そういう人はちゃんと見てない。
■戦って、戦い尽くして、刀は折れ矢も尽きて、しかし目の前の敵はまったくの無傷。
冥王星会戦での沖田はそういう絶望の淵において、それでもガミラス艦に食らいつこうとする古代守に語り掛ける。
「明日のために、今日の屈辱に耐えるんだ。それが男だ」
さらばでは、その沖田をして古代進にその命を投げ出せと言わせる。
冥王星会戦の沖田は松本零士的であり、
さらばの沖田は西崎的と言えなくもない。
けれども、もう「人類の最後の希望」すら力尽きる、その状況の中で初めて見えてくるものがあって、「あきらめない」ことこそが唯一の突破口であること、それがテレサの心を動かしたということだ。
そこが「さらば」の神髄であって、決して特攻礼賛ではなく、あきらめないという意味で正反対の思想なのだ。
2202では特攻はないのだろうが、ではその神髄をどう描くのか、そこが「さらば」でヤマトシリーズは終了している、と考えるファンの最大の関心事なのである。
■さて、第11番惑星である。
ガトランティスの攻撃に斉藤達の守備隊は歯が立たず、最後の希望を託して永倉を乗せた連絡艇が打ち上げられる。仁王立ちでそれを護衛する斉藤。
「頼んだぞ!永倉あああ!!」
かっこいいねえ。。。
で、斉藤のピンチにヤマト登場。
いい調子、と思ったらカラクルム級戦闘艦の群れ。
一隻であの威力だったカラクルム級・・・
ヤマトの運命は!
というラストなんだけど、予告を見る限り、そのカラクルム級が何万隻も!!
いやあ、どうするんだろう。
■次のポイントは波動砲の封印をどう解くのかというところだ。
波動砲艦隊も来るだろうし、真田さんの「こういうこともあろうかと思って」もあるだろう。
さらにその先の波動砲解禁のドラマ。
10月14日の第三章「純愛篇」公開、楽しみです。
<2017.07.01記>
[Blu-ray] 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 2
■STAFF■
製作総指揮:西﨑彰司
原作:西﨑義展
監督:羽原信義
シリーズ構成:福井晴敏
副監督:小林誠
キャラクターデザイン:結城信輝
ゲストキャラクター・プロップデザイン:山岡信一
メカニカルデザイン:玉盛順一朗・石津泰志
美術監督:谷岡善王
色彩設計:福谷直樹
撮影監督:堀野大輔
編集:小野寺絵美
音楽:宮川彬良・宮川泰
音響監督:吉田知弘
音響効果:西村睦弘
オリジナルサウンドエフェクト:柏原満
CGディレクター:木村太一
アニメーション制作:XEBEC
■CAST■
古代進:小野大輔
森雪:桑島法子
島大介:鈴村健一
真田志郎:大塚芳忠
徳川彦左衛門:麦人
佐渡酒造:千葉繁
山本玲:田中理恵
新見薫:久川綾
南部康雄:赤羽根健治
相原義一:國分和人
太田健二郎:千葉優輝
岬百合亜:内田彩
桐生美影:中村繪里子
西条未来:森谷里美
榎本勇:津田健次郎
山崎奨:土田大
土方竜:石塚運昇
斉藤始:東地宏樹
永倉志織:雨谷和砂
藤堂平九郎:小島敏彦
芹沢虎鉄:玄田哲章
山南修:江原正士
ローレン・バレル:てらそままさき
クラウス・キーマン:神谷浩史
沖田十三:菅生隆之
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