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2017年4月19日 (水)

■【映画評】『スウィングガールズ』 リアルとつながっている成長物語が生み出す一体感は、清々しく健康的で、気持ちいい。

音楽部で管楽器をやりたいって言いだした中一の娘と見るべくスウィングガールズを借りてきたんだけど、親父の方がノリノリになってしまって・・・(笑)。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.101  『スウィングガールズ』
          監督: 矢口史靖
       公開:2004年9月
       出演: 上野樹里 貫地谷しほり
          本仮屋ユイカ 豊島由佳梨 平岡祐太 他

Title

■あらすじ■
東北の田舎の高校。夏季補講を受けていた女子生徒たちが高校野球の応援に行った吹奏楽部にお弁当を届けるという口実で出かけたが電車を乗り過ごしてしまい、猛暑のなかで腐敗した弁当を食べた吹奏楽部は全員食中毒になってしまった。次の試合の応援のために急遽吹奏楽団のメンバーをつのったのだが。。。

■面白い。

ジャズビッグバンド結成からラストの演奏会までのマンガのような展開には、何度も腹をかかえて笑ってしまう。

上野樹里は本作で映画デビューなのだが、もうすでに上野樹里としてすっかり出来上がっていて、演奏会のビデオのくだりなんかはもう、上野樹里でしかありえない面白さがにじみ出ている。

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彼女だけでなく、矢口史靖の脚本はすべてのメンバーを笑いのなかであたたかく輝かす。

青春映画の天才なのかもしれない。

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もとバンド兄弟のシーンは完全につぼにはまって腹がよじれるかと思った。。。

■さて、ジャズである。

公開当時に話題になったのは覚えているのだけど、ほぼ全員が素人で、各リーダーについてはまったくの未経験者だったとは知らなかった。

それなのに、5月に特訓を始め、8月にはラストシーンのセッションを取り終えたというのだからびっくりしてしまう。

それくらいにうまい!

みんなノリノリで演奏していて、見ていて楽しいし、かっこいい。

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■矢口史靖監督は、素人を集めて全員に実際に演奏してもらう、ということを初めから決めていいたのだという。本物かどうかは、見ている人にはすぐにわかる。本物でなければ観客を惹きつけることはできない、と考えたのだそうだ。

まさにそれ。

まったく違和感なく彼らの成長に寄り添うことで、観る者はいつの間にか彼らを応援する気持ちになってしまう。

この映画の周囲の大人たちや仲間たちが演奏会の会場に集まって彼女たちのセッションを楽しむ姿は、われわれ観客と地続きであり、そして、あのスウィングに身も心も踊ってしまうのである。

『幕が上がる』で「ももクロ」の成長が描かれたように、あるいは『ラブライブ!』のように、この構造は今やヒット作品のひとつの型となっているが、その先鞭をつけたのは『ウォーターボーイズ』と本作を手掛けたこの矢口史靖監督なのである。

このリアルとつながっている成長物語が生み出す一体感は、清々しく健康的で、実に気持ちいい。

その一体感こそ、音楽の「楽しさ」であり、それ故に、そういったあらゆる面での相乗効果によってこの映画は観るものを「スウィング」させる。それは同じジャズを扱った映画『セッション』の「凄み」とは対局に位置するものだといえるだろう。(もちろん『セッション』も大好きだけれど。)

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■演奏会。

メガネ女子の関口によって焦りと緊張から我を取り戻したメンバーの演奏は観客の心をつかむ。

音楽って、楽しい。

どの音楽も楽しいのだけれど、ジャズって、本当に楽しい。

ついつい体をゆすってしまい、どぅんどぅどぅん、ぱっ、ぱ――!なんて口ずさんで、一緒にのってしまいたくなる。笑顔にさせる。

理屈じゃあない。 

そして最後の曲のシング・シング・シング。

もうこれがすこぶる、かっこいい!

こういう映画はただひたすらラストシーンのセッションを楽しむに限るのである。映画の本編はそのためだけにあったと言っていい。

娘よ!お父さんはあなたが寝た後、何度も何度も巻き戻して見てしまったよ!

いやー、ホント楽しい!!

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                      <2017.04.19 記>

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【DVD】 スウィングガールズ
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■STAFF■

監督、脚本: 矢口史靖
製作:亀山千広、島谷能成、森隆一
企画:関一由、藤原正道、千野毅彦
プロデューサー:関口大輔、堀川慎太郎
脚本協力:矢口純子(矢口監督の妻)
音楽:ミッキー吉野、岸本ひろし
バンドディレクション:山口れお
撮影:柴主高秀
照明:長田達也
録音:郡弘道
美術:磯田典宏
編集:宮島竜治


■CAST■

スウィングガールズ&ア・ボーイ
鈴木友子(テナーサックス):上野樹里 
斉藤良江(トランペット):貫地谷しほり 
関口香織(トロンボーン):本仮屋ユイカ 
田中直美(ドラムス):豊島由佳梨 
中村拓雄(ピアノ):平岡祐太 
渡辺弘美(ギター):関根香菜 
山本由香(ベース):水田芙美子 
久保千佳(アルトサックス):あすか 
岡村恵子(アルトサックス):中村知世 
大津明美(テナーサックス):根本直枝 
清水弓子(バリトンサックス):松田まどか 
石川理絵(トランペット):金崎睦美 
下田玲子(トランペット):あべなぎさ 
宮崎美郷(トランペット):長嶋美紗 
吉田加世(トロンボーン):前原絵理 
木下美保(トロンボーン):中沢なつき 
小林陽子(トロンボーン):辰巳奈都子 
  
友子の父・鈴木泰三:小日向文世 
友子の母・鈴木早苗:渡辺えり子 
友子の妹・鈴木亜紀:金子莉奈  
友子の祖母・鈴木みえ:桜むつ子 
  
数学教師・小澤忠彦:竹中直人   
音楽教師・伊丹弥生:白石美帆  
吹奏楽部の男子生徒・部長:高橋一生  
野球部の男子生徒・井上:福士誠治  
音楽教室の先生(トロンボーン)・森下:谷啓  
  
楽器店の店員:江口のりこ  
スーパー店長・高橋:木野花  
スーパーフロアチーフ・岡村:大倉孝二  
兄弟デュオの兄・高志:眞島秀和    
   山形県米沢市出身。方言指導も担当。  
兄弟デュオの弟・雄介:三上真史  
パチンコ屋店長:田中要次  
バス運転手:佐藤二朗  

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●●● もくじ 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●

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