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2017年4月 8日 (土)

■【社会】『日本会議の研究』の黒塗り部分。これは一つの日本民主主義の歴史の記録である。

出版差し止め撤回で入手困難になる前に欲しかった黒塗り版、アマゾンで無事にゲットできました!

■なーんて、浮かれてると怒られちゃうけど、削除の仮処分が解消されたのだから、次の版から元に戻ってしまうわけで、権力によって言論に制限が加えられた生々しい証拠を手にできたことは、あまりに心にインパクトを加えるのである。

で、くだんの菅野完氏の著書『日本会議の研究』(扶桑社)の問題の部分がここ。

2017040801

■黒塗りされた(東京地裁の判決に従って扶桑社が行った)のは、

【結果、自殺者まで出たという。しかし、そんな事は安東には馬耳東風であった。】

という部分。

2017年1月6日、「生長の家」元幹部の安東氏による名誉棄損の訴えに対し、東京地裁の関述之裁判長は「真実ではない蓋然性がある」ということで出版差し止めの仮処分を行った。

ではなにか、真実であるという証拠がない限り、何も言えないということなのか?

「言論の自由」とは、たしかに何を言ってもいいというわけではない。名誉棄損もそれを制限するひとつであり、書かれる側の人権も等しく考慮されるべきという意味で自明の論理だ。

けれども本文の文脈から言えば、ごく自然な記述であり、もはや言いがかりとしか思えず、それゆえのこの間の仮処分解除ということだろう。

■そもそも絶対的な真実などというものがあるはずもなく、「事実」のとらえ方がその人の歩んだ人生をかけて作りあげられた目と脳に依存し、それを「真実」と呼ぶならば、人の数だけ「真実」があるものなのである。

それこそが「民主主義」の根幹である「議論」の源泉なのである。

議論によって、その集団のいろいろな人生が融合し、共通理解としての「真実」が立ち上がってくる。それこそが民主主義のダイナミズムなのであり、小選挙区制における党本部支配が党内議論を封殺している自民党こそが、民主主義を多数決だなどと小学生並みの論理に貶める、元凶なのだ。

東京地裁に司法の独立がなかったのかどうかは分からない。けれども何か「空気」のようなものが醸成されていたとしても不思議ではない。

■小選挙区による二大政党制への移行は失敗した。

論理的議論の出来る野党は異質なイデオロギーを抱えた日本共産党のみであり、あとはクズだ。

この10年で日本国民が出した結論は、自民党に頼らざるを得ない、ということである。

確かに小選挙区制による総理官邸への権力集中は、「日本をぶっ壊す」ためには必要な処置であったのだろう。

けれども、破壊に方向性の間違いはないが、再構築の今の場面では方向を間違えれば大変なことになる、という観点から言えば、いろいろな価値観、人生観による「真実」をぶつけ合う、つまりは議論することこそが、今、日本にとって一番大切なことであり、それが民主主義そのものなのである。

今すぐ小選挙区制から中選挙区制に戻るべきだ。

それこそが自民党内にかつてのような自由な議論の構造を呼び戻す唯一の方策だからだ。

確かに選挙に金はかかるだろう。けれども、それを小選挙区制を守る理由とするのは本末転倒であり、間違いだ。

小選挙区制が構造的に日本の言論の自由を脅かしていることは確かであり、そこにメスを入れない限り、首相官邸がすべてを牛耳る今の構造は変わらないだろう。

この一冊の墨塗りは、単なる名誉棄損の話ではなく、10年後の未来の日本から見たときの重要な歴史の一ページなのかもしれないのだ。

 

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【「空気」の研究】 山本七平。決して古びることのない本質的日本人論。

                <2017.04.08 記>

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