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2016年12月21日 (水)

【社会】「同一労働同一賃金」で何が起きるのか。

■政府は20日、首相官邸で働き方改革実現系義を開き、非正規社員の処遇改善を即す「同一労働同一賃金」のガイドライン案を示した。(2016.2.21 日経一面)
 
国内の労働市場のうち非正規労働者は4割を占める。その非正規労働者の正規雇用者との格差是正が目的だ。
 
ポイントは2つ。
・基本給を能力、成果、勤続年数で評価して支給する。
・業績と成果に応じた賞与を支給する。
 
■この15年、失われた20年に沿うように派遣労働が拡大していった。わたしも機械設計の現場にいるが、その変化は目を見張るもので、今や設計担当者のうち正社員は数えるばかりだ。
 
それは新自由主義の旗印のもとグローバリズムをめざす政府と企業の連携のなかで進められた。
 
今の30代の連中は、就職氷河期のなかで能力がありながら派遣社員にならざるを得ない状況があって、一緒に仕事をしていて非常に心苦しい想いを感じていた。
 
今回の指針が法制化され、非正規であっても正社員と同じ待遇が得られるなら、それに越したことはない。
 
だが、本当にそうだろうか。
 
■以下のサイトに面白い情報がのっている。
 
 
厚生労働省『平成25年度労働者派遣事業報告書』をもとに、派遣マージンについて詳細にまとめている。
 
ざっくり言えば、
・会社は正社員と遜色のない金を派遣会社に支払っている。
・派遣社員の給与はその60%程度で、派遣会社のマージンは3~4割
・社会保険などの経費を引くと、派遣会社の粗利は2割程度
 
派遣社員を雇う会社にとって短期的にはあまりメリットはなく、労働力の調整弁としての意味が強いことがわかる一方、派遣社員の給与を搾取しているのは派遣会社であることがわかる。
 
■さて、今回の影響はどうなるか。
 
新聞の分析によれば、あまり影響はない。つまり、会社側は言うことは聞かないだろう、ということだ。
 
それはそうだ。
 
派遣先企業は今だって、それなりに支払っているのだ。
 
社員を労働コストとして扱い、調整弁を設けてモノとして扱う禁断の果実を手にした今の企業は決して正社員中心の会社には戻らないだろう。
 
そこにあるのは労働コストの上昇のみである。上がったコストは下げなければならない。
 
ならばどうなるのか。
 
短期的には、労働時間の短縮によるコスト削減で臨むだろう。残業代は過去のものとなり、でも成果は求められる。効率アップで豊かな生活といった美辞麗句の名のもと、労働者にとっては精神的にも経済的にも苦しい時代がくるだろう。
 
中長期的には、人員削減である。ますますAIによる労働市場の浸食が進むだろう。
 
■この「同一労働、同一賃金」の背景には、いっこうに収まらないデフレ経済がある。
 
一部の資産家や経営者を除き、国民の所得が上がらないこと、そこからくる現在と将来への不安が消費を抑えていて、それがデフレ脱却を阻害しているのだと政府もわかっている。
 
けれども、それが労働コストの上昇を伴うがゆえに、むしろ正社員も含めて所得は悪化し、雇用も減っていくという逆効果しか生まないだろう。
 
だから、悪いことかといえば、わたしはいいんじゃないかと思うのだ。
 
今の新市場主義社会が逃れられないものならば、早く膿を出し、そこからの構造的脱却を目指すべきなのだ。
 
個人的には、会社に頼らない生き方の確立が目指すところだと考えているのだが、まあ、この10年、波乱含みだが、変化の風が吹く、面白い世の中になるかもしれない。
 
                         <2016.12.21 記>
 
 
 
 
 

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