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2016年12月17日 (土)

■【映画評】『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、「新たなる希望」へつなぐ魂の物語。

公開初日に劇場へ。

物語が終わり、エンドロールが流れ始めた途端、となりに座っていた母娘が、これって何かの話の続きなの?と会話を始めた。一方、反対側のとなりに座っていたおじさんはさめざめと泣いていた。かく言う私も隣のおじさんと同じ世代であり、左に同じ。

まあ、そういう映画なのだ。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.93  『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』
           原題: Rogue One: A Star Wars Story 
          監督: ギャレス・エドワーズ  公開:2016年12月
       出演: フェリシティ・ジョーンズ ディエゴ・ルナ 他

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■あらすじ■
天才科学者ゲイレン・アーソは帝国の眼から逃れ、家族とともに辺境の惑星ラ・ムーにひっそりと暮らしていた。だがある日、帝国軍が現れゲイレンは新兵器開発のために連れ去られてしまう。幼い娘のジンは地下の隠れ家に身を潜め難を逃れる。それから月日がたち、成長したジンはトラブルから帝国に捕らわれの身となっていた。そこに反乱軍が現れてジンを助けだす。反乱軍とたもとを分かった過激分子のソウのもとに、ゲイレンから新兵器、デス・スターの極秘情報を託された帝国の脱走兵が現れたというのだ。ジンはゲイレンの娘であり、また育ての親がソウであることを反乱軍が知り、彼女にソウへの接触を依頼したのだ。

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■いわずとしれた、スター・ウォーズ EP4 『新たなる希望』につながる物語である。ジェダイは出ない。ライトセーバーで戦ったりもしない。けれど、確実にこれはスターウオーズであり、むしろ、ほかのエピソード以上にスター・ウォーズらしいと言えるかもしれない。

こう言うとコアなファンから袋叩きに合うかもしれないが、スター・ウォーズとして圧倒的に面白いのはEP4「新たなる希望」、EP5「帝国の逆襲」までであり、3部作の最後をかざるEP6「ジェダイの帰還」や、それ以前を描いたEP1~3については、もちろん好きではあるものの、映画としては正直微妙で、NEW HOPE/EMPIRE STRIKES BACKのようなドキドキがなかったのは事実である。

そして、今回の「ローグ・ワン」は、EP4「新たなる希望」、EP5「帝国の逆襲」と同じ匂いがする映画であり、泣けるというたぐいの感動でいえば、もうダントツで「ローグ・ワン」なのである。

■この映画は二つの意味で泣ける。

ひとつは、なつかしさ。

EP4につながる登場人物やメカが登場するのはもちろん、空気感といったものがあって、たぶん、スターデストロイヤとか、X-ウイングとか、AT-ATとか、そういった特撮メカの撮り方、動かし方のディテールなんだと思うのだけど、そういった細部への愛情みたいなものがあふれていて、それがなつかしいワクワク感を加速させるのだと思う。

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■もうひとつは、絆だ。

主人公のジン、反乱軍のきたない仕事を引き受けてきたキャシアン、その相棒のドロイドK-2SO、帝国の操縦士ボーディー、盲目の戦士チアルート、速射砲の名手ベイズ、この5人と1体の絆が泣かせるのだ。

それは甘ったるい仲間意識でも、ひとつの目的に向かってというような単純なものでもない。

ならば何なのか?

それはとうてい文章で説明がつくようなものではなく、それぞれの人物造形の深さが嚙み合って、その相乗効果として生まれてくる関係性なのである。

そう、この物語は、ルーク・スカイウォーカーという新たな希望にバトンを手渡す彼ら「ローグ・ワン」と自ら名乗った5人と1体の歴史に記されない英雄たちの魂の挽歌であり、その先の物語を知るものは、その重みに涙するのである。

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■ともかくオールドファンは劇場へ行こう!

あの懐かしい世界があなたを待っている。

そして、ラストシーンは予想通りなのだけれど、それでも、「えー!!」という、うれしい驚きがのどから飛び出すことだろう。

今回、私はMX4D吹き替え版で見て十分堪能したのだけれど、被写体深度の深い広角での情感に訴える映像と英語のセリフ、特に最後の「HOSE」のセリフを聞きたくて、こんどは2D字幕で見に行きます!!

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[Blu-ray] ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■さて、先に語ったように、この映画はデス・スター秘話でありながら、焦点は「ローグ・ワン」の5人と1体に絞られている。

悲しみの科学者ゲイレンの物語や、帝国の司令官クレニックの野心の物語も、時代に押しつぶされた勇者ソウ・ゲレラの物語も、もちろん深くある。

けれども、やはり本筋はローグ・ワンの物語であり、惑星スカリフでのミッション開始から急速にその凝縮力は加速していく。

それは個の力の凝縮である。

■しかし、その中核は意外なことにジンとキャシアンではなく、人間味あふれるK-2SOと、そしてそれ以上にチアルートとベイズの東洋人コンビにある。

ジェダイではないが、いやジェダイではないがゆえにフォースを心の底から信奉するチアルート。そんなチアルートをからかいながらも実は尊敬し、信じる男ベイズ。

彼らの散り方が本当に泣ける。

 
 フォースは我と共にあり

 我はフォースと共にある

 
そう唱えながら、通信機のマスタースイッチを入れるべく、敵の銃弾の中をまっすぐ進むチアルート。

ジェダイであれば、敵の銃弾をすべてライトセーバーで叩き落したりするところだが、チアルートは生身の人間だ。

しかし、信じる力がある。

そしてマスタースイッチにたどり着きスイッチを入れることに成功するのだが、その直後にやられてしまう。

戦場で生き残ったベイズは、単身、チアルートの後を追うように彼が唱えていた言葉を重ねながら、進み続ける。

たぶん、これは「サムライ」なのだと思う。

それは外人が思うステレオタイプの「サムライ」ではなく、日本映画を愛するアメリカ人の考える「サムライ」なのだと思う。そこに美学を見ているのだ。

その美学は、黒澤というよりむしろ高倉健に近いのかもしれない。

私の世代でいえば、「野生の証明」のラストシーン。

命を落とした娘を背負い、単身、自衛隊の戦車部隊に向かっていくあの姿だ。

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■物語は彼らが命を落とした後にも進んでいくし、目的を遂げたジンとキャシアンにも絶望的な結末が待っている。

それでもなお、チアルートとベイズのシーンに固執するのは、「脇」の重要性を思うからだ。

ジンとキャシアンにはプロット上重要な役割が振られていて、いやでも、流れの中心にいる。

だが、ジンとキャシアンを描くことに全力を込めれば、脇があまくなり、薄っぺらくなってしまう。

2人の活躍は、K-2SOやチアルートとベイズのコンビの上に成り立っている。「脇」というよりも「土台」なのだ。

前半にK-2やチアルート、ベイズを描くことにどれだけ力を入れていたか。その成果が、後半の凝縮力を強固なものにすることにつながっている。

それがこの映画が単なるジンとキャシアンの物語になることを回避し、「ローグ・ワン」としての像を、見る者のこころに刻み付けるのである。

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■ラスト。

ともかく帝国の力は強大で、デス・スターがやってくれば惑星は壊滅だし、ダースベイダーがやってくれば艦隊も壊滅である。

デス・スターの設計図を手に入れたカタルシスが覚める間もなく、見るものは帝国の実力をまざまざと見せつけられる。

そう、まだNEW HOPEは現れていない。

だがキャリー・フィッシャーの若き日の姿を目にした驚愕に、観客のこころは覚め、あの日の歓喜を一瞬にして呼び覚ます。

映画は魔法なのである。

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                      <2016.12.16 記>

追記:ラストに出てきたレイア姫はCGではなく、ノルウェー人女優のイングヴィルド・デイラ(Ingvild Deila)さんなのだそうです!似すぎ!で、この人の方がきれい(笑)

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■STAFF■
監督 ギャレス・エドワーズ
脚本 ゲイリー・ウィッタ
クリス・ワイツ
原案 ジョン・ノール
原作 『スター・ウォーズ』 ジョージ・ルーカス
製作 キャスリーン・ケネディ
音楽 マイケル・ジアッチーノ
撮影 グリーグ・フレイザー
編集 ジャベス・オルセン
製作会社 ルーカスフィルム



■CAST■
ジン・アーソ - フェリシティ・ジョーンズ(渋谷はるか)
キャシアン・アンドー - ディエゴ・ルナ(加瀬康之)
オーソン・クレニック - ベン・メンデルソーン(三上哲)
チアルート・イムウェ - ドニー・イェン
ベイズ・マルバス - チアン・ウェン
ボーディー・ルック - リズ・アーメッド
ゲイレン・アーソ - マッツ・ミケルセン
ソウ・ゲレラ - フォレスト・ウィテカー(立木文彦)
K-2SO - アラン・テュディック
ジェベル議員 - ジョナサン・アリス
モン・モスマ議員 - ジュヌヴィエーヴ・オライリー
ドレイヴン将軍 - アリステア・ペトリー
ダース・ベイダー - ジェームズ・アール・ジョーンズ(声)
ベイル・オーガナ議員 - ジミー・スミッツ(てらそままさき)
デス・スター技師 - ライアン・ジョンソン、ラム・バーグマン
ライラ・アーソ - バレン・カネ
メリック将軍 - ベン・ダニエルズ

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チアルート、ホントかっこよかったです!

 

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