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2015年9月22日 (火)

■【映画評】『チャッピー(アンレイテッド・バージョン)』。人間とは何かという問いに対するアンチテーゼ。

いやー、面白いラストでした。でも、カラーが変わらんね、この監督。いいことだけど。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.84  『チャッピー』
           原題: Chappie
          監督: ニール・ブロムカンプ 公開:2015年5月
       出演: シャールト・コプリー デーヴ・パテール シガニー・ウィーバー ヒュー・ジャックマン他

■ストーリー■

南アフリカ、ヨハネスブルグ。兵器メーカーのロボット技術者ディオンは治安維持用の自律型ロボットを開発し、量産化。犯罪多発地域のヨハネスブルグの治安維持に貢献する。その一方で、彼はAI(人工知能)を独自に開発、いち早くそれを試すべく、廃棄処分となった治安維持ロボットを社外に持ち出すが、彼のロボット技術を狙うギャングに拉致される。AIをインストールされたロボットはチャッピーと名付けられ、ギャングのもとで育てられることになるのだが。。。

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■ラッパーのヨーランディーがいい。ママとしての愛が溢れてる。

その彼女が黒い羊の話をするシーンが、このお話の中核であって、見かけなんで関係ない。大切なのは中身なのだというところ。

第9地区でもそうだったけど、このニール・ブロムカンプって監督は人間へのこだわりが無さ過ぎる(笑)。

人間とは何か。というテーマに行きつくべき内容なのだけど、そこから思いっきり逸脱してしまうところが面白い。

普通の人間が躊躇してしまう境界線をあっさり飛び越してしまう、そこについて行けるかどうかが、この映画を楽しめるかどうかのポイントなのだと思う。

■子供のようなチャッピーにヒドイ接し方をするのがヨーランディーの相方のニンジャ。

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かなりエキセントリックな人で、いきなり銃を教えるわ、貧民窟に置き去りにするわ、で、要は悪党なんだけど、それでもチャッピーのパパなのです。

子供は父親を選べない。

生き方、価値観を父親から学んでいくのです。

お仲間のアメリカさんにも影響を受けながらクールなギャングスタを目指します。

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■それに対して、創造主のディオンは痛々しいほどにチャッピーが育っていくことを望み、喜ぶ。

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多分、チャッピーはディオンのすべてだ。

その意味で本当の子供。

正しく生き、限界に縛られず、創造的に育ってほしいという親の気持ち。

ギャングスタにあこがれるチャッピーにも、その気持ちは通じていて、だからこそ、何故、5日しかもたない身体に自分の魂をやどらせたのか、という抗議は、ディオンにとってかなり堪える。

自我を生み出す、ということの重大性をディオン自身が意識していなかった。

つまりはそういうことなんだけど、これはシェリーのフランケンシュタインからつながる大きな問題なのであります。

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■生きたい、というチャッピーの純粋な気持ちが、終盤の物語を展開させていくのだけれど、そこにはもう、疾走感だけがあって、立ち止まり、考える余裕はない。

多分、それがニール・ブロムカンプ流の人間論なのだと思う。人間とは何か、とか、何故、生まれてきたのかとか、そういうことはどうでもいい。

だって、立ち止まっていたら殺られてしまう。

そういう世界で育ってきたのだから。

生き延びること。それが最優先事項なのだ。

生きたい、という気持ち。

平和な社会に生きていると、つい忘れてしまうのだけれど、突き詰めてみれば、それが本質なのかもしれない。

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■それはそうと、最高に笑えたのはニンジャのテンションパンツ。確かにあなたはテンション高かった(笑)!!

 

■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

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■生き延びるために、自らの意識を転送する手段を探すチャッピー。

ムーアの意識モニターヘルメットを使って、転送実験を試みる。

もちろん、上手くいかない。

当たり前だ。意識なんてものは、簡単にデジタル化。。。

カタカタカタ、あ、でけた。

え??出来ちゃうの??

 

もう、このあたりでハードな論理とはおさらば。ファンタジーの世界に突入します。

ディオンがロボットに転送されるなんて考えもしなかった。

おまけにヨーランディーママも復活!

良かった、良かった、のお話なんだけど、ホント、ニール・ブロムカンプって強引だよな。好きだけど。

■ブルーレイには80分の特典画像があって、そこに、もう一つのエンディングが入っている。

さらなるネタバレで言うなら、チャッピーがいっぱい!!

まあ、そうなるよな、というオチです。

でも、こうなるとまったく別の映画になってしまうので、正式カットにはならんかった模様。

正解だよね。

■ところでクレイジー、ヒュー・ジャックマンと軍事ロボット。

あれは必要だったのかね。。。。

シガニー・ウィーバーの抑えた演技は最高だったが。。。。

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                      <2015.09.22 記>


ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき

■幾何級数的に発達するコンピュータの能力の向上により、2045には人間の意識も含めた脳の解明は完了し、意識をもったAIが完成する。人間の能力をはるかに超えたAIの登場により世界は一変する。最近話題のシンギュラリティ(技術的特異点)の震源地。厚くて、まだ読破できてません。。。。面白いんだけどね。

■STAFF■
監督 ニール・ブロムカンプ
脚本 ニール・ブロムカンプ  テリー・タッチェル
原作 ニール・ブロムカンプ 『Tetra Vaal 』
製作 サイモン・キンバーグ
製作総指揮 ベン・ウェイスブレン
音楽 ハンス・ジマー
撮影 トレント・オパロック
編集 ジュリアン・クラーク


■CAST■
チャッピー(声とモーションキャプチャ) - シャールト・コプリー
ディオン・ウィルソン - デーヴ・パテール
ニンジャ - ニンジャ(ダイ・アントワード)
ヨーランディ - ヨ=ランディ・ヴィッサー(ダイ・アントワード)
アメリカ - ホセ・パブロ・カンティージョ
ヴィンセント・ムーア - ヒュー・ジャックマン
ミシェル・ブラッドリー - シガニー・ウィーバー
ヒッポ - ブランドン・オーレット
ピットブル - ジョニー・K・セレマ

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