« ■下村博文・文部科学相 文系学部廃止要請。馬脚を現した安倍政権のファシズム性。 | トップページ | ■『ダナエ』、クリムト。恍惚としてエロスに浸る幸福。欲望も悟りをも越えた、人間が最後にたどり着く楽園。 »

2015年7月 2日 (木)

■【アニメ評】『ガッチャマン クラウズ』。悪って、なんすかね?

7月から続編放送開始。もー、わくわくするー。たのしみだお。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
番外編  『ガッチャマン クラウズ』

Photo

■ストーリー■
人知れず宇宙からの侵略者たちと戦ってきたガッチャマン。女子高生の一ノ瀬はじめは、神秘的存在JJにNOTEを抜かれ、ガッチャマンとなる。自由で素直な心を持つはじめに、他のメンバーは戸惑いながらも影響されていく。そんなとき、コミュニケーションアプリ、ギャラックスを使って世界をアップデートしようと試みる女装の青年と、人の心に付け込む悪魔のような異星人によって、世界は混乱に陥っていく。

Photo_2

X

■なんだこりゃ、と思いながら次第にはまっていき、中盤にさしかかるころには、もう病みつき。

何が、いったい私を惹きつけるのか。

WHITE ASHのスピーディーかつスタイリッシュなテーマソング?かわいらしい女装男子でありながら社会変革をめざす理想主義のるいるい?軽妙な2ちゃんねらートークで相手をあおりまくるカッツェさん?

そうであって、そうでない。

もっと根深いところに何かがある。単なる深夜アニメを超えた何かが、このガッチャマンクラウズにはあるのだ。

Photo_3

Photo_4

■言ってしまおう、それは、哲学である。

哲学とは、すべてを疑いつくし、日常の固い地面をへっぺがしたところにこの生の本質を見つけ出す学問である。

疑う人は、不思議ちゃん的女子高生のはじめちゃんである。

シルバーシートで老人に席を譲らない青年は、ものすごく体調が悪かったのかもしれないし、市街地の細い道をかっとばすクルマの運転手は、出産しそうな奥さんを乗せているのかもしれない。

数年来、ガッチャマンが死闘を繰り広げてきた謎の宇宙生命体メスは、ただ単に、我々に気付いていないだけなのかもしれない。

Photo_7

■すべてをニュートラルに受け止める力を持つ、はじめちゃん。

まわりのガッチャマンのメンバーは、次第に自らを縛り付けているものと和解し、あるがままの自分を取り戻していく。

己を含めた全世界を憎み、受け入れることのできないベルク・カッツェですら、はじめちゃんの中に、何かを見出そうとしてしまう。

どうしても上手くいかない、いらいらしてしまうこの世界。

けれど、はじめちゃんの瞳の向こうには、決めつけない、決めつけることで縛られない、自由な世界が広がっているのだ。

その世界は、抹香くさい坊さんの諦観とは真逆のものであって、楽しい、うれしいをあきらめない、極めて明るいものなのである。

■その、従来の宗教や、哲学にハマりきらない新たな価値観が、ガッチャマンのメンバーや、るいるい、カッツエを惹きつけるだけでなく、その姿を通して、みるものを新たな気持ちへといざなうのである。

ヒーローって何すかね?なんなんすかね?何すかね?

と、問い続けるはじめちゃんの頭にヒーローの具体的イメージはない。ただ、それは、悪いやつをやっつける、なんていう単純なものではない、ということだけははっきりしている。

遥か40年前、お茶の間を席巻した科学忍者隊ガッチャマンは、己を傷つけながらも悪の化身であるギャラクターをやっつけることで確かにヒーローであった。

けれども、すべての価値観が崩壊し、何が善で、何が悪かがきわめて見えづらくなってしまった今の世の中において、明確なヒーローなんてものはありえない。

ガッチャマンの最終回で、ギャラクターは滅んだが、悪がわれわれの中にいる限り、安心することはできないと喝破した南部博士の言うとおりの世界が今、我々の目の前に広がっている。

我々こそが善であり、同時に、悪であるのだ。

その悪をやっつけることは、我々が我々でなくなることを意味している限りにおいて、正義は絶望的な戦いを強いられることになる。

Photo_6

■この物語の後半は、ベルク・カッツェに煽られた我々の悪が暴走していく様が描かれている。いや、それは悪と明確に名づける事すらできない、混沌とでもいうべき破壊の種である。

だが、その一方で、状況を楽しみながら、受け入れていく強く健康なこころも、また我々であるのだ。

その楽観主義が、この作品に底抜けな明るさを与え、悪を取り込んだものであるが故の奥行きを与えている。

この物語が、続編のガッチャマンクラウズインサイトにおいて、さらにどう深まっていくのか。。。。

括目してみるべし!

                      <2015. 07. 02 記>

【CAST】
一ノ瀬はじめ:内田真礼

橘 清音:逢坂良太
枇々木 丈:浪川大輔
うつつ:小岩井ことり
パイマン:平野 綾
O・D:細見大輔
爾乃美家 累:村瀬 歩
ベルク・カッツェ:宮野真守
総裁X:丹下 桜
J・J・ロビンソン:森 功至
 
【STAFF】
監督: 中村健治
シリーズ構成:大野敏哉
設定構築:工藤孝雄
キャラクター原案:キナコ
総作画監督:高橋裕一
Gスーツデザイン:中北晃二 安藤賢司
アニメーション制作:タツノコプロ
音響監督:長崎行男
音楽:岩崎 琢

 

 

●●● もくじ 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●

*********************************************

■ Amazon.co.jp ■
■【書籍】 最新ベストセラー情報 (1時間ごとに更新)■
■【書籍】 ↑ 売上上昇率 ↑ 最新ランキング■

■【DVD】 最新ベストセラー情報 (1時間ごとに更新)■
■【DVD】 ↑ 売上上昇率 ↑ 最新ランキング■

|

« ■下村博文・文部科学相 文系学部廃止要請。馬脚を現した安倍政権のファシズム性。 | トップページ | ■『ダナエ』、クリムト。恍惚としてエロスに浸る幸福。欲望も悟りをも越えた、人間が最後にたどり着く楽園。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/208704/61741873

この記事へのトラックバック一覧です: ■【アニメ評】『ガッチャマン クラウズ』。悪って、なんすかね?:

« ■下村博文・文部科学相 文系学部廃止要請。馬脚を現した安倍政権のファシズム性。 | トップページ | ■『ダナエ』、クリムト。恍惚としてエロスに浸る幸福。欲望も悟りをも越えた、人間が最後にたどり着く楽園。 »