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2014年8月18日 (月)

■【映画評】『GODGILLA ゴジラ』。私はGODGILLAを許さない。

前回の巨大トカゲと違い、今回は本物のゴジラだ!わくわく!!。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.73  『GODGILLA ゴジラ』
           原題: Godgilla
          監督 : ギャレス・エドワーズ 公開:2014年8月
       出演: アーロン・テイラー=ジョンソン; 渡辺謙 他

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■ストーリー■
15年前の日本での原発崩壊事故。それ以来、原発周辺は封鎖されていたが、実は原発事故の原因は放射能を食らう怪獣によるもので政府は休止状態になった怪獣を封印していたのだ。そして、今、その怪獣ムートーが眠りから覚める。ムートーはつがいの相手であるメスの個体を求めてサンフランシスコを目指す。それに呼応して、ついにゴジラが目を覚ます。

■期待が高過ぎたのだろうか。
エンターテイメントとしては及第点かもしれないが、一作目のゴジラをリスペクトして作ったとするなら、大失敗。欲求不満の溜まる映画であった。

プロローグは実にいい。

富士の裾野の原発施設に突然地震らしきものが襲う。そこで原発技師である男が、放射能危険区域に入った妻を救えずに放射能漏れを防ぐために見殺しにしてしまう。

このシーンがベストシーンかもしれない。

怪獣を自然の災厄とみなして、それに翻弄される人間ドラマを期待していたからだ。

■それから15年、原発技師の男はあの時の事故の隠された原因を突き止めるべく調査を続けてきた。立ち入り禁止地域に踏み込む原発技師。その見捨てられた街の表現が実に見事。

そして、その時、悪夢が再びよみがえり、災厄の原因である怪獣ムートーが目覚めてしまう。

ここまでは見事。

だが、ムートーがハワイ、そしてサンプランシスコに向かうあたりから雲行きが怪しくなってる。

■日本で覚醒したムートーと呼応するようにアリゾナで目覚めたムートーのメス、ムートーを天敵として追いかけるゴジラ。

その三つ巴の戦いがサンフランシスコで火ぶたを切る。

怪獣映画の醍醐味がここにあるのだが、はて人間ドラマはどこへ行ってしまったのか。

Godgilla08

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■そもそもムートーなんて怪獣を登場させたのが間違いだったのだ。第一作をリスペクトするのであるのならば、ゴジラ単品で勝負すべきだった。

本来のゴジラは、水爆実験の影響で巨大化した怪獣が復興間もない東京を蹂躙する、というお話。

そこには唯一の被爆国として、行き過ぎた人類の愚行に対する自然の怒りというテーマがあって、なすすべもなく我々の文明は脅威にさらされる。

それを更なる強力な兵器であるオキシジェン・デストロイヤーをもって、科学の象徴たる芹沢博士とともに撃退する。

その皮肉が、超えてはならない一線を越えてしまった我々の文明に対する警鐘であったのだ。

Photo

■今回のGODGILLAに期待したのは、我々の文明に脅威を与える強大な力と、それに翻弄されつつも立ち向かう人間ドラマであった。

プロローグの原発事故。サンフランシスコを襲う洪水。

それは、3.11の東日本大震災を想起させる。怪獣は、自然の猛威そのものなのだ。だからテーマとして、この映画は決して的を外していない。

3大怪獣を核爆弾で倒そうとする米軍司令部、それに対し、芹沢博士は自然のバランス感覚に基づき怪獣同士を戦わせることが正しい姿なのだと進言する。

ここで、ずっこけた。

芹沢博士、あまりにも無責任。

自然の猛威に対して、人間はあらゆる努力をもって、これに対処する。軍司令官が芹沢博士の提案を即座に却下するのは当たり前。芹沢博士の父が広島の原爆で命を落としたというくだりは反核兵器論としてはまったく弱い。

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■さらに残念なのは、人間の努力が足りないこと。

怪獣たちに成すすべもなく、やられてしまう米軍。戦後からゴジラの存在に気付いていたのならメーサー殺獣機までとは言わないが、あ、もしかして人類の科学が勝つかもしれない、と一瞬思わせておいて、それでもそれを跳ね飛ばす自然=怪獣の強大さを見せつける。それが観たかった。

そうすることで、自然の恐ろしさをさらに倍増させることが出来るのだ。

人間には手も足も出ない、だから怪獣同士の戦いの行く末を見守るしかない、なんて、あまりにつまらなさすぎるのである。

■ただ、怪獣の描き方は、ちょっとくどすぎるきらいはあるものの、及第点。

特に海中を進むゴジラの描写は素晴らしいの一言。

Godgilla07_2

ムートーとの戦いのなかで放射熱線を吐くあたりもファンとしては拍手喝采だ。

Godgilla06

■総括するならば、やはりハリウッド映画に過ぎなかったということ。そこには哲学や思想の欠片もない。所詮、映画をビジネスとしか考えていない連中の企画だということだ。

ムートーとの闘いを終え、海に帰っていくゴジラ。

第2作目、やるんだろうね。これだけ儲けたんだから(笑)。

                           <2014.08.18 記>

■STAFF■
監督 ギャレス・エドワーズ
脚本 マックス・ボレンスタイン
フランク・ダラボン
デヴィッド・キャラハム
ドリュー・ピアース
デヴィッド・S・ゴイヤー
原案 デヴィッド・キャラハム
原作 東宝株式会社
製作 メアリー・ペアレント
ジョン・ジャシュニ
トーマス・タル
ブライアン・ロジャース
製作総指揮 坂野義光
奥平謙二
アレックス・ガルシア
パトリシア・ウィッチャー
音楽 アレクサンドル・デスプラ
撮影 シェイマス・マクガーヴェイ
編集 ボブ・ダクセイ



■CAST■
フォード・ブロディ大尉 : アーロン・テイラー=ジョンソン(幼少期:CJ・アダムス)
芹沢猪四郎博士    : 渡辺謙
ジョー・ブロディ     : ブライアン・クランストン
エル・ブロディ      : エリザベス・オルセン
サム・ブロディ      : カーソン・ボルド
ヴィヴィアン・グレアム博士 : サリー・ホーキンス
サンドラ・ブロディ    : ジュリエット・ビノシュ
ウィリアム・ステンツ少将 :デヴィッド・ストラザーン
ラッセル・ハンプトン大佐 :リチャード・T・ジョーンズ
トレ・モラレス軍曹    : ヴィクター・ラサック

 

 

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