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2013年3月 3日 (日)

■【書評】『政府は必ず嘘をつく』、堤 未果。国家の使命とは何か。我々は何をすべきか。

企業の利害関係によって政策が支配される、というコーポラティズム(正しい用法ではないようだが・・・)を糾弾し、我々民衆に目覚めよ!と強く迫ってくる本である。

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■政府は必ず嘘をつく  アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること  角川SSC新書

■昨年末の衆議院選挙のときは本当に困った。

投票する政党が無いのだ。

民主党は烏合の衆だし、さりとて自民党の「変わります」なんて言葉も信用できない。

思いつきで政策を論じる維新の会などもってのほか。

私のありたいイメージは、誰もが不安なく希望をもって生きることが出来た70年代の日本であり、当時のソ連や中国よりも「社会主義」が実現できていた平等な社会である。

皮肉なことに私の理想を語るのは、当時バカにしていた日本共産党であり、けれども、高度経済成長もなく、少子高齢化の進む今の日本にそれを求めるべくもないし、たとえそこに一票を投じたところで死に票になるのは目に見えている。

■結局、自民党が大勝を果たし、新・安倍政権への期待感から円高は止まり、株価も戻ってきた。

だが、問題はこれからだ。

環太平洋戦略的経済連携協定、TPP(Trans-Pacific Partnership)である。

TPPに関しては、国内法の保護下にある農業が打撃をこうむる、というところが論点になっている、というのが私の認識だったのだが、本書を読むことで、その認識があまりに甘かったことに気付かされた。影響範囲はそれどころでなく広いのだ。

TPPの目的は自由貿易の推進にある。

だが、それにはISD条項なるものがあり、それは市場の自由化の妨げになる政策をとる国家に対し企業が訴訟することが出来るというルールなのである。

NAFTAなんかの事例でいうと訴訟をする国際企業にカナダやメキシコは一度も勝ったことはない、のだそうだ。

■具体的には、医療、教育、社会保障に影響が及びそうだ。

国民の生活を守る法制度があったとしても、それを外国企業から非関税障壁だと訴えられれば、それが壊れてしまう可能性があるということだ。

そうなれば、著者の「ルポ 貧困大国アメリカ」の世界が待っている。それは、中間層が貧困層に脱落していき、1%の経済的勝者だけが総取りをする救いようのない構図である。

これは新聞やテレビを見ていても分からない。

何故かマスコミはこういうリスクは語らず、「世界の趨勢に後れを取るな!」という論調の一辺倒である。

どうも、太平洋戦争直前の日本を想わせる。

記者クラブ制度が問題の根本かどうかは分からないが、どうも強い違和感をぬぐえない。

■一方、国家の役割は何か。

 

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

日本国憲法 第二十五条である。

最近、憲法改正の可決の為の賛成の割合を3分の2から半数に下げ、改正しやすくする、という論議が浮かび上がっている。

何故、今、その論議なのか?

憲法改正といえば9条にばかり目が行ってしまいがちなのだけれども、ターゲットはこの25条なのではないか、と疑いを持ち始めた。

社会福祉の分野で、外資が日本の市場に入ってくる場合の足かせになるからだ。

TTPの論議の中身は明かされていないが、アメリカ側からの要求にこのことが含まれているのではないか?

それは穿った見方だろうか。

■TPPといわずとも、市場原理主義はすでに日本に入り込んでいて、社会の福祉と文化を支える組織が独立行政法人として経済性を求められて久しい。

そもそも、この動きと25条の思想は整合が取れているのか。

ひとつ言えることは、そのことに我々が自分で気づき、自分の脳みそで考えることがなければ、なし崩し的に我々の社会は崩壊していくだろう、ということだ。

それは国家の問題ではなく、自分自身の問題なのだから。

 

なんてことを書くと、しょっちゅうサイト内をうろついているRobot toolにちくられるかもしれないので、この辺でやめておこう。

いやな時代になったものである。

                             <2013.03.03 記>

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