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2013年2月18日 (月)

■【書評】『金持ち父さん、貧乏父さん』。ロバート・キヨサキ著。「私」として生きるということ。

単なる金儲けの指南書ではない。生き方についての本である。

翻訳されてから10年以上が過ぎても古く感じられないのは、そこにしっかりとした哲学があるからである。

Photo_2 ■金持ち父さん貧乏父さん

■初めてこの本を手にしたのは2001年の初め頃。私は30歳を少し過ぎたところで、クルマの設計の仕事が面白くなり始めた、そういう時期であった。

が、その時はあまり響かなかったようである。

面白かったのは覚えているが、負債をためない、というところくらいしか身に付くことはなかった。(それは、それで重要なことだったのだけれど。)

それから10年以上が流れ去り、1012年の終わりの政権交代、アベノミクスであれよあれよと円安、株上昇。ああ、乗り遅れたと思ったものの、あきらめつかず、ハテどうしたものか、と本棚から取り出したのが本書なのである。

要はてっとり早く儲けたいというスケベ根性だ。

ところが読み始めて、ひきこまれるうちに、どうやらもっと根源的なことを問うてくる本であるということに気付く。

■この世には2種類の人がいる。

ひとつは、一生、お金の為に働かされる人。

ひとつは、お金を自分の為に働かさせる人。

この差は、ファイナンシャル・リテラシー(お金に関する読み書き)の知識の差で生まれる、と説く。

それは単なる知識ではなく、本当にその仕組みを理解しているかが重要で、実は子供にも理解できるほど単純なこと、つまり、お金をもたらすものが資産であり、お金を奪っていくものは負債だ、ということだ。

なんとか貯金をして頭金をつくり、ローンを組んでなんとか手に入れた持ち家は、実は負債である。うまくローンを払い終えたとしても、固定資産税などの諸経費がかかるのだから負債だ、というわけである。

一方、投機や家賃収入の為の不動産や株などは、収入をもたらす資産ということになる。

■固いアタマには、キツネにつままれたようで、なかなか納得できない話だ。

自分が働いてきた目標そのものが否定されたようで戸惑ってしまうのである。

そして、実は、まさにそこを否定しているのだ。

良く働き、家族を持ち、家を建て、子供を育て上げる。

その幸せの方程式は、今や通じなくなっているのだと、そこを抜け出す為には、お金に関する知識が不可欠なのだと、本書は、繰り返し、繰り返し、語りかけてくるのだ。

■ここで思い出すのは、堤 未果さんの『ルポ 貧困大国アメリカ』だ。

行き過ぎた市場原理主義により、中流と言われる人たちが貧困に堕ちいっていく様を描いた著作である。2008年の話だ。

ロバート・キヨサキは、2000年の時点で、どうやらこうなることを予測していたようにも思えてくる。

日本も例外ではない。

アメリカほどにひどいことにはなっていないけれども、進んでいる方向は同じに見える。

日本の問題の根っこは少子高齢化にあり、特に老後の問題は深刻である。

働けば、働いただけの安定と幸せが手に入る時代はすでに終わっているということを認識し直した方がいいのかもしれない。

■自分は自己実現のために働いている、という意識はあるにせよ、実際はお金がなければ生きてはいけない。

まさに、お金のために働かされているのだ。

裏を返せば、会社を儲けさせるために働かされているのだ。

ここ10年の会社の動きを見てみれば、それは現実のものとして認識できる。

会社にとっては我々は金を生む為の駒に過ぎない。

そのコストが高くなれば、新入社員を減らし、コストの低い派遣労働者や、外国人労働者に切り替えていく。

経営者にとっては、単純なキャッシュフローの問題だ。

少し言い過ぎではないか、という人もいるかもしれないが、私が入社した20年前と比べれば派遣社員の数、外国人技術者の数は圧倒的に違う。

それも近年大幅に加速しているのが現実だ。

その結果、大手といわれる企業の正社員の道は閉ざされていき、希望する就職先へ進めない就職難民が増加していくというわけだ。

そして、次なるコストカットのターゲットは高齢化した正社員だ。65歳再雇用義務化に向け、その動きはもう始まっている。

■だから、生き方を変えなければならない。

働く、ということと、ビジネス(お金を儲けること)を分けて考えなければならない。

すべての人が起業するというわけにはいかないだろうし、私にもそのガッツはない。

けれども、「私」という個人企業を想定し、会社で働くこととは別のものとして資産とキャッシュフローを考える。

そういうことを真剣に考える、ということだ。

そして、その為に学ぶ、ということだ。

金持ち父さん、貧乏父さん、という本は、そういう危機感を与えてくれた。そして、自分の頭で考える、ということを思い出させてくれた。

10年、本棚のなかでよく待っていていてくれた。

実にありがたい本なのであった。

                         <2013.2.18 記>

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