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2012年12月19日 (水)

■【映画評】『伝説巨神イデオン 発動篇 Be Invoked』。生と死、そして見上げる満天の星空。

YOUTUBEでギジェの最期のシーンにたどり着き、つい懐かしくなってTVシリーズ後半から劇場編を一気に観てしまった。

うーん、富野喜幸の最高峰はやはりイデオンなのだ。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.61 『伝説巨神イデオン 発動篇 Be Invoked』
          
          監督: 富野喜幸 公開:1982年07月

Dvd ■伝説巨神イデオン 接触篇/発動篇 [DVD]

■ストーリー■

植民惑星ソロ星では、第6文明人の遺跡発掘が行われていたが、そこに伝説の無限エネルギー「イデ」を捜索していた異星人「バッフ・クラン」が現れる。

この意図せぬ遭遇は戦闘という最悪の結果となり、ソロ星の避難民は突如動き出した第6文明人の遺跡である宇宙船ソロシップに乗り、バッフ・クランに追われる逃避行を続けることとなる。

だが、バッフ・クランの追撃をかわしていくソロシップと巨大メカ・イデオンは次第にその力を増大させ、制御すら効かなくなっていく・・・。

■1980年代前半、ガンダムの影に隠れるようにあり、しかしそれを知るものからは熱狂的に受け入れられた作品である。

その時期に「オタク」の前身たる「アニメファン」のど真ん中にいた私自身、その巻き込まれ組の一人なのだ。

何が凄いといえば、その圧倒的な人間描写。

出てくる人間がことごとく感情的、それでいて個が立っていて不自然さがない。

それが湖川友謙のバタ臭いキャラクター・デザインとあいまって独特の世界を形作っている。

■特に、バッフ・クランの人々が魅力的で、軍の総帥の娘で女ながらも軍を取り仕切るハルル・アジバが、ふと見せる「女」の姿とか、「イデ」に見せられてしまった男、ギジェ・ザラルの実存をかけた苦悩とか。

そういったメイン・キャラクター以外、次々とソロシップに襲い掛かるバッフ・クランの面々ひとりひとりがまたクセがある。一話で死んでしまうのは惜しいくらい味わいがある。

だからこそ、発動編のラスト、死んでいった面々が次々と現れるシーンが生きるのだし、観る者は感涙にむせぶのである。

その意味で映画としてのイデオンは0点。

何しろ、TVシリーズを観て、それらの群像に愛着のある人間のみを対象に感動が仕立て上げられていて、知らん人間は置いてけ堀なのだから。

■結局、イデオンとは、「生きた」キャラクターを作り、「殺し」ていく、その過程を繰り返していく点描画なのかもしれない。

イムホフ・カーシャのセリフじゃないけど、「皆、星になっちゃえ!」なのである。

満天の星空を見上げれば、その星のひとつひとつに物語があって、それぞれの憎しみや悔しさや悲しみがある。

ここでTVシリーズのエンディング・テーマ「コスモスに君と」がアタマの中に流れればもう、それはイデオンの世界そのものなのである。

■破局と再生という意味でエヴァンゲリオンとテーマが重なるという人もいるが、ここまで書いてきて、やはり違うな、と思う。

エヴァンゲリオンはあくまでも「人類補完計画」ありきであって、謎をはらみながらそこに向かっていく物語である。確かにシンジやアスカの内面は描かれているものの、それはメインキャラクターゆえのもの。

対して「イデの発動」はあくまでも結果であり、そこにイデの意思があるにせよ、憎しみやこだわりを捨てることの出来ない人間の「業」の連なり自体が、イデオンという物語なのだ。

そこが富野喜幸の真骨頂であり、是非ともエヴァ世代のアニメファンに見て欲しい作品なのである。スタイルは野暮であっても、そこには人として何か感じるものがある、そう信じるが故に。

                             <2012.12.19 記>

 

●●● もくじ 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●

 

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