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2010年9月 8日 (水)

■【書評】『ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座』、井沢元彦。理解しようとする思いは世界をつなぐのか。

キリスト教は分かっているようで分かっていない。ましてやユダヤ教、イスラム教など皆目わからない。

世界の動向をみる上で、さすがにそれはまずいだろう、というので本書を開いてみた。

Photo
■ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座 (徳間文庫)

■結論からいうと、分かったようで分からない。

本書の構成は、それぞれの宗教のなりたちの簡単な紹介と、各宗教の代弁者とのロングインタビューからなる。

が、それぞれの代弁者が特に過激な論者ではないために、「何故、異教徒を殺すのか」という井沢さんの切り込みに対してうまくかわされている印象がぬぐえないからである。

■キリスト教徒は過去の過ちは認め、今は過激な行動はとらないと言い、イスラム教徒はイスラム信仰に目覚めていない人に寛容だといい、ユダヤ教徒は迫害されはすれども他民族を迫害したことがない、という。

けれど、イラクにせよ、アフガニスタンにせよ、イランにせよ、テロとの戦い、世界秩序の維持なんていうのだけれど、そこには「押し付けがましい」何かがあって、それこそキリスト教が本質的にもっている性質なのではないか、と疑ってみたくなるのである。

ユダヤ教、イスラム教は、アメリカ=キリスト教ほどのグローバル展開は無いにしても、今でも流血の続くパレスチナ。なぜ、パレスチナ、イスラエルの地にこだわるか、というと単なる民族問題ではなく、そこには血で血を洗う宗教対立の構図が浮かび上がってくる。

■と、いう粗雑で乱暴な理解が出来るとして、それでもしっくりこないのは、一神教の心理構造に私の感覚が追い付いていかないからである。

山だろうが、河だろうが、台所だろうが、便所だろうが、ありとあらゆるところに神様がいるという感覚を背景にして、仏教だろうが、キリスト教だろうが、初めは免疫反応があったにせよ今は平気な顔をして受け入れている日本人。

■これは決定的に違う。

インタビューされたユダヤ教の指導者もイスラム教の指導者も、多元的な物の見方を受け入れるような言い方をしているのだけれども、自らの世界観が一神教を軸としている限りは全く違うのだと思う。

理屈では何とでも言えるのだけれども、そこにある考え方の構造がまったく異なっているのじゃないか、と思う。

ユダヤの指導者が「ユダヤ教」ではなく、「ユダヤ道」である。といっていたけれども、それは「個人」が世界とつながる、そのつながり方、生きていく上での哲学の話であって、他者を認めるとか認めないとか、そういう次元であぶりだされてくる話ではないのだと思う。

■それでもなお、理解しようとする努力は必要なのではないか。

きっと理解は出来ない。

けれども、理解したい、という思いは相手に伝わるだろう。

平和に向けた第一歩、それでいいじゃないか。

その意味ではこの本はそれに成功していると思う。

井沢さんの貴重な体験記なのである。

                        <2010・09・08記>

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