■【書評】 『 子供の「脳」は肌にある 』 山口創。私とあなたの境界線。
肌は、体の内部と外部を隔てていると同時に、自我というものの内部と外部をも隔てている。
その「自」と「他」とが触れ合う場所、そこが肌なのである。
■著者は、思いやりのある人間に育つのために大切なのは幼児期のスキンシップである、と説く。
十分なスキンシップは安心感を生み、自らが「受け入れられている」と感じることで、健全な自我が育つ。
その自尊感情が、他者を尊重する心を育て、共感能力を育む。
■まったく、その通りだと思う。
幼児教育もいいけれど、そのまえに、しっかりと抱きしめてあげること。
その大切さは、子を持つ親ならばしみじみと分かるだろう。
そして、その効果は子供にとって重要なのと同じくらいに親自身にも大切で、親が子をいつくしむ感情も、そのふれあいによって倍化されるのだ。
■秋葉原無差別殺傷事件を起こした加藤被告は、母親からの愛情を受けることなく育ったと供述しているが、想像するに、そこには「安心」を生む肌の触れ合いは極めて希薄で、それ故に自らを尊重し、他者を受け入れ思いやる、そういう感情が育たなかったのだろう。
程度の差こそあれ、私自身も自尊感情が希薄な方で、それ故に他者とのコミュニケーションが未だに苦手なのである。
きっと、そういう「不安」を抱えて生きている人は日本中にごまんといるだろう。
■だが、あきらめてはいけない。
大人であっても、ふれあいによる癒しはあるのだ。
欧米人のように、いきなりハグというわけにはいかないけれど、ポン、と肩をたたくくらいのことは出来るかもしれない。
そうすれば、きっと明日からのコミュニケーションは劇的に変わるだろう。
ポン、と肩をたたく、たたかれる感覚が、「私」と「あなた」のあいだにそびえる壁の高さを下げるに違いないからだ。
でも・・・、
やっぱムリかな、柄じゃないし。
<2010.08.05記>
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