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2010年8月12日 (木)

■【映画評】ラストエンペラー。時代に翻弄されるかごの鳥は何と鳴く。

中国の近代史をもうちょっと勉強しておくべきだったか。そうしたら見方が少し変わったかもしれない。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.41  『ラストエンペラー
           原題: The Last Emperor
          監督: ベルナルド・ベルトルッチ 公開:1987年11月
       出演: ジョン・ローン ピーター・オトゥール 他

Photo_2 ■ラストエンペラー [DVD]

■ストーリー■
1950年、満州国戦犯として中国本土に護送された元満州国皇帝・溥儀は、両手首の血管を切って自殺を図る。薄れゆく意識のうちに、まざまざと過去の情景がよみがえる。

■恐ろしげな西太后が3歳の溥儀を皇帝に指名するシーンから、即位のシーンまで。

時代考証はちゃんとやっているのだろうかと疑問を抱かせるような、やりすぎ感漂う圧倒的エキゾチズムに少し引き気味。

■けれども、紫禁城の中に閉じ込められた溥儀の少年時代を描くあたりからぐいぐいと引き寄せられる。

特に、紫禁城の中での皇帝の地位が城の外では通用しないという現実。そして、自分は紫禁城のなかに囚われたかごの鳥であること。母の死にさえ立ちえない悲しみ、苦悩。

家庭教師の英国人、レジナルド・ジョンストンの目を通すことで、その不条理がさらに際立つ。

実際の紫禁城で撮影された、というのがまた効いていて青年期までの皇帝時代は文句なしにいい。

■それに比べると、天津の日本租界の時代、満州国皇帝の時代が少し地味で迫力にかける。

川島芳子だとか、甘粕大尉にスポットが当たりすぎの印象。

このあたり、219分のフルバージョンだとしっくりくるのかもしれない。

■さて、戦争が終わり、中華人民共和国の体制下で戦犯として裁かれる溥儀。

その後、釈放され一市民となるわけだが、彼の一生はいったいなんだったのだろうか。

というところで、コオロギの伏線が効いてくる。

邯鄲の夢、とでもいうのだろうか。

しみじみとする、いいラストである。

一般に言われるほど名作だとは思わないが、一つの旅を終えたような後味の良さがある。

                         <2010.08.12 記>

■STAFF■
監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:マーク・ペプロー
プロデューサー:ジェレミー・トーマス
音楽:デイヴィッド・バーン、坂本龍一、コン・スー
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
美術:フェルディナンド・スカルフィオッティ
衣装:ジェームス・アシュソン



■CAST■
ジョン・ローン:愛新覚羅溥儀
ジョアン・チェン:婉容
ウー・ジュン・メイ(ヴィヴィアン・ウー):文繍
ピーター・オトゥール:レジナルド・ジョンストン
イェード・ゴー:アーモ(溥儀の乳母)
ケイリー=ヒロユキ・タガワ:張謙和(宦官)
英若誠(イン・ルオ・チェン):戦犯収容所長
マギー・ハン:川島芳子(通称:イースタン・ジュエル)
リサ・ルー:西太后
坂本龍一:甘粕正彦

 

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受信: 2010年8月12日 (木) 23時24分

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