« ■【映画評】ラストエンペラー。時代に翻弄されるかごの鳥は何と鳴く。 | トップページ | ■TBS終戦ドラマスペシャル、歸國(きこく)。生々しい苦しみがあってこその本当の人生であり、そこに本当の幸せがあるのだ。 »

2010年8月13日 (金)

■NHKスペシャル 玉砕 隠された真実。戦意高揚のために殺されてたまるか。

■昭和18年5月、アリューシャン列島アッツ島守備隊2600余名が、上陸するアメリカ軍に対し玉砕した。

番組では、日本軍初めての「玉砕」としてアッツ島の戦いをクローズアップ。

勝ちの見込みがなく孤立した部隊を「敗残兵」として冷酷に切り捨て、それを隠す一方で彼らを’潔く「玉砕」した軍神’として宣伝に利用した当時の大本営を糾弾する。

■そこには東條英機が軍人の行動規範として示した『戦陣訓』のなかの「生きて虜囚の辱めを受けず」という考え方があって、「玉砕」の基盤となっていたという。

実際、アッツ島の数少ない生還者の言葉の端はしに、「生き残ってしまった」という後ろめたさ、戦友たちに対する申し訳なさが垣間見え、その方々の65年以上にわたる苦悩を思うと心が痛む。

■アッツ島が米軍に奪還されたことにより孤立してしまった隣のキスカ島では濃霧を利用した奇跡的な撤退作戦に成功しているわけだが、それはレアケース。

撤退作戦というのは状況劣勢な中で行われるわけであるから、基本的に非常に困難な作戦であると思われるし、物量に劣る当時の日本軍にとっては尚更であったろう。

けれども、残された兵にとってしてみればあまりにも酷い話である。

それを戦意高揚に利用されるなんて尚更だ。

■「生きて虜囚の辱めを受けず」、「玉砕」。

撤退に次ぐ撤退はそれに拍車をかけ、ついには民間人にまで適用されていく。

その道筋が太平洋戦争310万人の犠牲者につながったと番組は結んでいる。

■自らの意思に反して亡くなっていったひと、一人ひとりを想うことが大切で、この夏の季節にはやはり欠かせないことだと思う。

その一方で、それを過去のことだと考えず、今、自分の生きる立場に移し替えていくことが大切ではないかと思う。

■大本営も戦陣訓もない今の日本では強制的に死に向かわされるということはない。が、年間3万人もの自殺者を出し、うつ病100万人という現在のこの状況である。

戦前のように否応なくひとつの色に染められるということはないけれども、もしかすると、こころのどこかで周りの人たちと同じ色でなければならない、という思考で自分を縛ってはいないだろうか。

そして、周りと同じ色でないこと、出世できないとか、就職できないとか、結婚できないとか、そういうことで自分にダメ出しをして自信を失っていたりしていないだろうか。

■その思考は、程度は違えど「生きて虜囚の辱めを受けず」と同類の極端な思考であって、それでいいのだ、仕方あるまい、それでも生きていられるんだからイイじゃないか、というしぶとさの欠如である。

65年前に亡くなった人たちと違って、我々はそれを選択できる。

そのことを忘れてはいけない。

                        <2010.08.12記>

|

« ■【映画評】ラストエンペラー。時代に翻弄されるかごの鳥は何と鳴く。 | トップページ | ■TBS終戦ドラマスペシャル、歸國(きこく)。生々しい苦しみがあってこその本当の人生であり、そこに本当の幸せがあるのだ。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/208704/49132780

この記事へのトラックバック一覧です: ■NHKスペシャル 玉砕 隠された真実。戦意高揚のために殺されてたまるか。:

« ■【映画評】ラストエンペラー。時代に翻弄されるかごの鳥は何と鳴く。 | トップページ | ■TBS終戦ドラマスペシャル、歸國(きこく)。生々しい苦しみがあってこその本当の人生であり、そこに本当の幸せがあるのだ。 »