« ■【書評】『<意識>とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤』、下條信輔 著。境界線の無い、ゆらぎの中に浮かぶもの。 | トップページ | ■【映画評】『ゴジラ』、最初にして最高の怪獣映画。 »

2010年1月 5日 (火)

■大河ドラマ「龍馬伝」。龍馬は一日にして成らずなのだ。

■最近のNHKは気合いが入っている。

一大巨編「坂の上の雲」をやりながら、その一方で坂本龍馬にオリジナル脚本で挑もうっていうのだから恐れ入る。

■さて、その「龍馬伝」である。

第1回はタイトル通り、土佐藩における上士と下士の不条理を描く。

そのなかで弱虫な子供であった龍馬が母の死後、その不条理を胸に抱きつつ腕の立つ青年剣士に育っていく。

■少年時代のアーノルド・シュワルツェネッガーが虚弱体質であったことはよく知られているが、それをバネにして一流のボディビルダーになり、一流の映画スターになり、政治家になり、と、何となく今回の「龍馬」像と重なって見えてくる。

坂本龍馬も、その根本は「弱虫」にあって、その弱さゆえに大きく羽ばたいていく、というわけである。

その辺りが新しい。

そこで福山雅治、ということか。

■ハッキリ言って福山雅治に坂本龍馬は似合わない。

剣の腕前とアタマの良さをちょっとお調子者の快活さで覆い隠す、そういう龍馬に対して福山雅治は線が細過ぎなのである。

けれども、我々の抱いている龍馬像は、薩長の手を結ばせ、船中八策であたらしい日本をデザインした英雄の姿であって、結果から作られた虚像なのかもしれない。

そこにズバッと斬り込み、「生きている龍馬」をえぐり出す。

どこか弱々しさを感じさせるような、そこに生の龍馬がある。だからこその福山雅治なのだろう。

■他のキャストで気になるといえば、やはりこの物語の語り部でもある岩崎弥太郎を演じる香川照之だろう。

この人は本当にすごい。

小汚くて、少し性根の曲がった青年期の弥太郎の見事なことといったらない。

「坂の上の雲」の正岡子規もいいけれど、こういうネジクレタ役をやらせたら右に出るものはいないのではないだろうか。

■オリジナル脚本の筆をとるのは「HERO」の福田靖。

演出は「ハゲタカ」、「白洲次郎」の大友啓史。

これで面白くないわけがない。

この後どんな龍馬像が描かれていくのか、楽しみに待とうと思う。

                            <2010.01.05 記>

●にほんブログ村●
にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

■ Amazon.co.jp ■
■【書籍】 最新ベストセラー情報 (1時間ごとに更新)■
■【書籍】 ↑ 売上上昇率 ↑ 最新ランキング■

■【DVD】 最新ベストセラー情報 (1時間ごとに更新)■
■【DVD】 ↑ 売上上昇率 ↑ 最新ランキング■

|

« ■【書評】『<意識>とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤』、下條信輔 著。境界線の無い、ゆらぎの中に浮かぶもの。 | トップページ | ■【映画評】『ゴジラ』、最初にして最高の怪獣映画。 »

コメント

こんばんは
龍馬伝始まりましたね
これからの展開に期待です

投稿: ぱる | 2010年1月 6日 (水) 00時04分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■大河ドラマ「龍馬伝」。龍馬は一日にして成らずなのだ。:

» 福山雅治『龍馬伝』第1回★どうして目くそは目頭から・・・。 [世事熟視〜コソダチP(気分は冥王星)]
『龍馬伝』第1回:上士と下士  多くの人が同じ思いなのかと思うのですが、『JIN -仁-』におけるエネルギッシュな龍馬=内野聖陽が頭に焼き付いているから、ソフトな福山龍馬が現れてしばらくは、二人の龍馬のギャップで三半規管が揺さぶられたような気分でしたが、えらいもので初回が終わる頃には、福山龍馬がしっくりと馴染み始めました。 【 ざらついた画像が好き 】  映画風のざらついた画像が気に入りました。  クリアな映像とは違って、画面に深みと生命を感じます。  『天地人』の、いかにも「... [続きを読む]

受信: 2010年1月 5日 (火) 16時16分

» 「龍馬伝」1回目 [星を枕に月を見る]
正月休みも終わり、今日から今年も仕事スタートですといっても、今日は神社にお参りに行っただけで、さっさと帰りました昨日は龍馬伝の1回目の放送でしたね風呂に入ってたので、見始めたのが30分遅れになってしまいましたちょうど龍馬の青年期が始まったところでした感想とい...... [続きを読む]

受信: 2010年1月 6日 (水) 00時07分

» 大河ドラマ 龍馬伝 第1回 「上士と下士」 [しっとう?岩田亜矢那]
う〜ん、やっぱり香川照之は巧いよなあ〜 直前までやっていて、いやこの龍馬伝が終わったこの年末にも続く 「坂の上の雲」の中でも準主役の正岡子規をやっていて しかも労咳で今にも死にかけている、強烈なインパクトを残してまま この「龍馬伝」でも準主役級の岩崎弥太郎役を演じて 絶対、正岡子規のイメージ引きずるで〜と懸念したら なんの、なんの、見事な貧乏たらっしい ケチで、ズルく、根性のひんまがった岩崎弥太郎であった。 (明治の岩崎弥太郎はそれはまた別の貫録のある) 労咳で今にも死にそうな、でも俳句改革をしよう... [続きを読む]

受信: 2010年1月 6日 (水) 13時18分

» 大河ドラマ 龍馬伝 第1回 「上士と下士」 [こちら、きっどさん行政書士事務所です!]
う~ん、やっぱり香川照之は巧いよなあ~ 直前までやっていて、いやこの龍馬伝が終わったこの年末にも続く 「坂の上の雲」の中でも準主役の正岡子規をやっていて しかも労咳で今にも死にかけている、強烈なインパクトを残してまま この「龍馬伝」でも準主役級の岩崎弥太... [続きを読む]

受信: 2010年1月 6日 (水) 13時21分

» 「龍馬伝」放送開始 [虎哲徒然日記]
NHKの番宣は、おそらく史上空前ではないかと思われる。 大河ドラマ「龍馬伝」の放送がスタートした。 主演は、いまやもっとも女性に人気のあるタレントといってもいい福山雅治。 明らかに狙いにきている。初回視聴率の23%というのは果たしてどうだったのか。 ....... [続きを読む]

受信: 2010年1月 7日 (木) 20時15分

« ■【書評】『<意識>とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤』、下條信輔 著。境界線の無い、ゆらぎの中に浮かぶもの。 | トップページ | ■【映画評】『ゴジラ』、最初にして最高の怪獣映画。 »