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2009年10月18日 (日)

■【書評】「宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった」佐藤 勝彦 著。神の目から見た我々の世界。

ビッグバンの前、

宇宙の始まりはどうなっていたのか。

その疑問に答える非常に分かりやすい本である。

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■宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった
佐藤 勝彦 著  PHP文庫 (2001/11)

■1980年くらいのカール・セーガンの時代、90年頃のスティーヴン・ホーキングの時代と宇宙についてのブームの時代があって、それなりに本を読んでみたはずなのだけれども、相対性理論も宇宙の起源についても何ともよく分からなかった。

それが、この本を読むとあら不思議、今までのもやもやがすっきりと晴れた感じがする。

もちろん、理論を理解できた、ということではなくて、どういう仕組みで宇宙が誕生したのかがイメージできる、そういうレベルではあるのだが。

■ともかく、読みやすく分かりやすい。

と、思ったらこの本は佐藤先生の口述筆記というカタチで作られた本なのだそうで、だからスルリと頭のなかに入ってくる。

それだけでなく、たぶん佐藤先生が宇宙論の第一人者であるからこその分かりやすさなのだろう。

まるで大学の講義を受けているようで、何とも贅沢な本なのだ。

■さて、ビッグバン以前の宇宙はどうなっていたのか。

その謎に迫るための二つの理論、相対性理論と量子論。その二つの簡潔な解説も素晴らしく分かりやすくて面白いのだけれども、やはり本論のインフレーション理論に驚嘆する。

何しろ、ビッグバンのその前に、我々の宇宙と平行した宇宙がいくつもいくつも生まれているというのだ。

■まず、何も無い世界というのがあって、そこからポッと宇宙の「種」が生まれてくる。

「何も無い」といっても実は「正と負のゆらぎ」があって、それがトンネル効果によって確立論的に「宇宙」という実空間を生む種が現れる。

ここは良く理解できないのだけれども、そういうことだと納得するしか仕方ない。

そうやって、「宇宙の種」がいくつも発生する。

その「宇宙の種」の一つが我々の宇宙につながってくる。

■次に、その「宇宙の種」の持つ内部エネルギーによって超々々々爆発的な急膨張(インフレーション)を起こす。

その過程のなかで宇宙のあちこちでお湯が沸騰するような相転移が起こり、その膨張の狭間に押し込めたれた空間が宇宙の外側に押し出されキノコのように膨れ上がる。

これが「子宇宙」。

その「子宇宙」もまたインフレーションを起こし、同じように「孫宇宙」を作り出す。

そうして相転移後に満たされたエネルギーによって火の玉のようになったそれぞれの宇宙はそれぞれにビッグバンを起こす、というのだ。

■何ともSF的空想を駆り立てるような宇宙像なんだけれども、相対性理論と量子論を駆使してビッグバン以前の世界を計算していくと、こういう宇宙になるのだそうだ。

残念なのは「親宇宙」と「子宇宙」は因果律を異にしていて決して観測できない、ということ。

その壮大な宇宙像をこの眼で見ることは出来ないということだ。

■だが、我々の因果律を遥かに越えた「神の目」というものがあったらどうだろう。

さらに空想を拡げてみたならば、或る日の昼下りに神様がコーヒーを入れようと沸かしたお湯が沸騰するその水蒸気の泡の一つがあって、それが我々の宇宙なのかもしれない。
  

 行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

 よどみに浮ぶうたかたは、

 かつ消えかつ結びて、久しく止とゞまる事なし。

                      ― 方丈記

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                          <2009.10.18 記>

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佐藤 勝彦 著  PHP文庫 (2001/11)

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