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2009年8月 1日 (土)

■【書評】『フランケンシュタイン』、メアリ・シェリー著。それでも生きていく理由。

フランケンシュタインの原作が面白いと聞いて読んでみた。

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■フランケンシュタイン
メアリ・シェリー 著 創元推理文庫 (1984/01)

■主人公は若き天才科学者ヴィクター・フランケンシュタイン。

生命の根源とは何か、という問いの果てに生命そのものを作り出すことに熱中し、ついには’それ’を完成させる。

だが、彼は無責任にも己の所業に恐れおののき、生命が吹き込まれた’それ’を放置して逃げ出してしまう。

さて、研究室でひとり目覚めたその’怪物’は一体どういう運命をたどり、ヴィクター・フランケンシュタインの人生にどう関わっていくのか、

というお話。

■メアリ・シェリーがこの本を発表したのが1818年。

チャールズ・ダーウィンの「種の起源」が刊行される40年以上も前の話であって、人間は神の創り賜いしもの、という世の中である。

そういう中で、’人間らしきもの’を人間が作り上げてしまうという話は極めてショッキングであったに違いない。

しかしながら、この作品はそういうショッキングな面を強調した単なるホラーではなく、人は何故生きるのか、というテーマを深く掘り下げた作品なのである。

■作品の中盤、’怪物’がヴィクターに語りかける。

目覚めてから自然を理解し、人間を観察し、言葉を覚え、人間らしい思考を手に入れた。

けれどそれが悲劇であって、そこには、その醜悪な外見ゆえに人間と認めてもらうことができない圧倒的な悲しみと絶望があったのだ。

■何故、こんな私を作ったのか?

それが’怪物’の創り主に対する鋭い抗議である。

それは何もフランケンシュタインの怪物だけの苦悩ではなく、その問いを

  私は何故、生まれてきたのか、 

  私は何故、生きていくのか、

と読み替えたとき、

まさにそれは我々の苦悩そのものなのである。

     

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                          <2009.08.01 記>

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■フランケンシュタイン
メアリ・シェリー 著 創元推理文庫 (1984/01)
 

 

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