■NHKスペシャル 「日本海軍 400時間の証言 第二回 特攻 やましき沈黙」。それは口で言うほどたやすいことではなく。
特攻隊のパイロットたちの話はよく取り上げられるけれども、それを命じる側の話は今まであまり明らかにされてこなかった。
この番組は当時の将校たちの組織「海軍反省会」の膨大な録音テープからその靄を晴らそうという試みである。
■特攻隊の創始者といえば1944年10月の航空特攻を命じた大西中将の名が挙がるのだけれども、それ以前から「桜花」とか「回天」とかいった、人間を誘導装置としてあつかう特攻兵器の開発が進められていた。
圧倒的不利な戦局を打開し、故郷に残した家族を守るためにこの身を捧げる。その意志の発露としての’特攻’とは全く別の次元で、戦争遂行の中枢である軍令部では冷徹な論理として「特攻」が計画されていたのだ。
■戦争とは命を懸けて遂行するものである。
が、作戦とは目的を成し遂げた後に生きて帰る可能性をいくばくかでも残したものでなければならない。
従って、「特攻」は作戦ではない。
と、軍令部の元参謀はいう。
けれども、誰も「特攻」を止めることが出来なかった。
■過ちと分かりながら大勢、あるいは’空気’というものに飲み込まれてしまう。
番組は、それを「やましき沈黙」と呼んだ。
そして、それは過去の海軍の犯した過ちであるというだけでなく、今の我々にも突きつけられている課題なのだと結ぶのだ。
■確かにそうだ。
行き過ぎた自由化にしても、派遣の問題にしても、その問題が進行している時点では、どこかがおかしいと強く感じてはいても、人間というのはどうしても流されてしまう。
結局、それが過ちだと分かるのは事態が破綻を来たしたその後のことになる。
■しかしながら、番組の製作者が言うように我々は’大勢’とか’空気’というものに流されることなく、それに抗うことができるのだろうか。
特攻にしても現場の将校のなかで、その無謀さを批判し命令に攻しようとしたものもいるとう。
けれども、上官から国賊と罵られてしまってそれでおしまい。
その上官にしたって、心の中では’特攻’は無謀な作戦だと考えていたというに違いないのだ。
■この’大勢’とか’空気’とかいったものと戦うのは、口でいうほどたやすいものではないのだと思う。
もちろん問題提起としては重要だし、きっと本質をついている。
だからこそ、客観的な視点で’敵’の本質を見抜き、勝ち目のある作戦立案が必要なのだ。
たぶんそれは個人こじんが真剣に悩み考えるだけでなく、何らかの’支点’と’テコ’を見つけ出し、流れを変えていくことなのだろう。
今はまだ、そういう抽象的なことしか言えないのだけれども、常に考え、チャレンジしていくべき課題として胸に置いておこうと思う。
<2009.08.11 記>
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もう一度読んでみようかなと思う。
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