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2009年8月

2009年8月31日 (月)

■【書評】『「空気」の研究』、山本七平。決して古びることのない本質的日本人論。

「空気」を読めない、

などと言われる「空気」について深く掘り下げることで日本人の本質を浮かび上がらせることに成功した名著だと思う。

30年以上昔の本でありながら、その鋭利さは少しも錆び付きを感じさせない。

Photo
■「空気」の研究 山本七平 著 文春文庫(1983/01)

   
■「空気」とは簡単に言えばその場の雰囲気である。

そう言ってしまえば簡単なのだけれども、山本七平氏の手に掛かるといきなり学術的な香りが漂いだす。

曰く、「臨在的把握」。

対象物そのものをそのまま把握するのではなく、そこに何か「恐れ」のようなものを感じることをいうらしい。

その根本にはアニミズム的な意識が色濃く残る日本を、一神教である西洋文明と対比させる意図があり、主題はやはり日本人論なのである。

■では何故、「空気」を取り上げるのか。

その問題意識は、戦前、戦中、戦後と状況は変われども、「空気」なるものが我々日本人の意思決定の目を曇らせている、というその点にある。

■「あの時は、そういうことをいえる「空気」では無かった」

などという発言は、あの無謀な戦争に突入しようとしていた時点でも、敗色濃厚な中でとても合理的とは考えられない作戦を遂行しようとしていた時点でも、当時の意思決定に関わった人たちの言葉として良く聞かれる文句なのである。

それを繰り返してはならない、その為の本書の研究なのだ。

■しかも問題なのは、戦後においてもその「空気」による意思決定は脈々と続いていることである。

この本が出版された昭和52年当時には「公害問題」が盛んに騒がれていたのだけれども、その論議においては排気ガスのNOxについても、イタイイタイ病のカドミウムについても、「絶対悪」の「空気」が蔓延していて純技術的・学術的な議論が出来ない状況にあったのだという。

■それは現代においても、80年代イケイケどんどんのバブル全盛時代や、この間の小泉改革の時代を考えれば、当たり前が当たり前でなくなる傾向は続いているように思える。

大正生まれの山本七平氏がいうには、幕末、明治のあたりまでは、「男子たるものその場の空気に左右されるような軽挙妄動は謹んで」みたいな思考方法があったようで、「空気」の問題は、この100年のことであるようだ。

じゃあ、この100年って何だというと、一部のエリートが無知な民草を守り導くという政治のカタチから、(一応の)民主主義体制への転換によって、一般庶民にまで情報が行き渡り「全体のムード」(即ち「空気」)が生まれやすくなった、ということだろう。

■どうも我々日本人は集団ヒステリーに罹りやすいようで、じゃあ、といって「空気」に惑わされない一部のリーダーにすべてを任せた士農工商の時代に戻れるわけもない。

では、どうするか。

というところで、山本七平氏は「水を差す」というアイデアを挙げる。

呑んでいる席でみんなで夢のような話で盛り上がっているところに、「でも先立つものが無いぜ」、と「水を差し」て現実に引き戻す、それである。

■けれどもそれも結局は「まあまあ、ここはそれとして」ということで、うやむやになってしまうのだ。

どうもそこが日本人と一神教の欧米人の違うところであるらしい。

そのあたりが、旧約聖書の世界に深く分け入った山本七平氏の真骨頂であるようで、その分析が非常に面白い。

■本書で「空気」への対抗手段が示されるか、というとそういうわけではない。

あるのはあくまでも分析であって答えではない。

その答えを導き出すのは我々への宿題というわけである。

自分のなかでは、「個人主義」とか、「自由」という方向にその答えがあるように思えるのだが、そういう西洋的な価値観が本当に「幸せ」につながるのかという疑問も大いにあって、ぐるぐると堂々巡りをしてしまうのである。

■2009年8月30日、今回の衆議院議員選挙での民主党の圧倒的勝利によって戦後初の本格的な政権交代がおこなわれることになった。

これもまたひとつの「熱狂」であって、その「空気」にまた取り込まれてしまうのではないか、という一抹の不安を感じる。

その一方で、何となくではなるものの、冷静な風がそこに流れているような気もする。

それは「空気に流されるのを潔しとしない」冷静さを我々一人ひとりが持つことであり、それが新しい日本流の「個人主義」につながっていくのじゃあないか、と思うのである。

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                         <2009.08.31 記>
   

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■「空気」の研究 山本七平 著 文春文庫(1983/01)
   
    

■関連記事■
■【書評】『悩む力』 姜 尚中。悩み抜いた果てにたどり着くであろう他者とのつながり。
 

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2009年8月29日 (土)

■極超音速実験機 X-51A 「ウェーブライダー」。スクラムジェットの実用化への更なる一歩。

この秋にもXー51Aの実験が開始されるようだ。

X51a_03

■X-51A・ウェーブライダーはアメリカ空軍が開発中のスクラムジェット実験機。

スクラムジェットとは、超音速で飛行することでエアインテークから入ってくる空気を圧縮して燃焼させる仕組みである。

X51a_06
X51a_01
オシリの部分がロケットで、機体下面にインテーク、機体両側面にラムジェット推進部、という構成だろうか。

■X-51AはB-52のパイロンにつるされて高度約1万メートルで発進、ロケット推進でマッハ4.5まで加速、そこからスクラムジェットで約4分間飛行して巡航速度マッハ6を目指すという。

先行していたX-43はマッハ9.8を記録しているが、ラムジェット推進の時間はたったの10秒間であり、スクラムジェット実験機としてのX-51Aは画期的なものだといえる。

■だが実用化はまだまだ先のことのようだ。

高校時代(25年くらい前)に読んだ本では、近い将来スクラムジェットが旅客機に採用されて東京ーニューヨーク間を1時間で飛行するなんて夢の世界が描かれていたけれど、果たして生きているうちに乗れるかな。

もっとも、それ以前に採算の問題で軍事利用だけになってしまうかもしれないが・・・。

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                           <2009.08.29 記>

 
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■静かな朝。

20090829_3

夜明け前の 静かな朝に 

カアと鳴く。

                      <2009.08.29記>
  

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2009年8月25日 (火)

■【映画評】『エンゼル・ハート』。「驚愕のラスト」の元祖なのだ。

好きなサスペンス映画って言われるとコレだなあ。

という一本です。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.31  『エンゼル・ハート
           原題: Angel Heart
          監督: アラン・パーカー 公開:1987年5月 米国
      出演:  ミッキー・ローク ロバート・デ・ニーロ 他

     Dvd

■ストーリー■
1955年のブルックリン、私立探偵ハリー(ミッキー・ローク)は、ある日謎の紳士サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から、失踪した歌手ジョニーを探してくれとの依頼を受ける。しかし、その調査の過程で次々と殺人事件が起きていき…。 (Amazonの解説より抜粋)

■まず、役者がいい。

ミッキー・ロークの私立探偵の雰囲気。

失踪した謎の男を追ううちにどんどんと深みにはまっていくハードボイルドな展開に、ミッキーロークのチョイ悪具合がピタリときている。

一方、謎の依頼者のロバート・デ・ニーロもいつにも増してはまっている。

ラストの方の薄ら笑いを浮かべた表情なんて、もう最高。

■もちろんストーリーも見事。

ニューヨークのハーレムでの前半部分のハードボイルドから後半のルイジアナでのオカルトチックな世界への転調がいい。

あれあれ、という間にドンドンひきずり込まれていく感じ。

途中に差し挟まれる暗示的なシーンのカットと編集のテンポがいいんだろうな。

決して後味のいい作品ではないのだけれど、ええっ?!ってのが好きな人にはお薦め出来る作品です。
 

■【DVD】 エンゼル・ハート

   

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                           <2009.08.25 記>

■STAFF■
監督・脚本: アラン・パーカー(『ミッドナイト・エクスプレス』、『ミシシッピー・バーニング』)
製作: マリオ・カサール
原作: ウィリアム・ヒョーツバーグ 『堕ちる天使』
音楽: トレヴァー・ジョーンズ
撮影: マイケル・セレシン
編集: ジェリー・ハンブリング


■CAST■
ハリー・エンゼル : ミッキー・ローク (あ、『レスラー』見なきゃね。)
ルイ・サイファー : ロバート・デニーロ
エピファニー   : リサ・ボネット
マーガレット・クルーズマーク  : シャーロット・ランプリング

    
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■雨が来る。

彼方から雨が近づいてくる。

通り雨ってやつだね。

20090825

                   <2009.08.25 記>

 
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■金魚を飼う。

娘がお祭りの金魚すくいで金魚をもらってきたので

早速DIYのお店で金魚飼育グッズ一式を買ってきた。

Img_4786_2
Img_4777

いやあ、かわいいです。金ととちゃん。

金魚を飼うのは小学生以来じゃなかろうか。

何だか娘より父親の方がはしゃいでる感じですな・・・(笑)。
 

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Photo ■金魚 飼い方・選び方―品種カタログ付き
  

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2009年8月22日 (土)

■【書評】『しのびよる破局 ― 生体の悲鳴が聞こえるか』、辺見庸。人間の尊厳の恢復は我々一人ひとりの中に。

人間とはいったいなにか。

人間とはいったいどうあるべきなのか。

著者の切々たる想いが込められた本である。

Photo_3
■しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか
辺見 庸 著 大月書店 (2009/04)
※2009年2月1日に放映されたNHK・ETV特集「作家・辺見庸 しのびよる破局のなかで」を基に再構成、大幅補充をしたもの。

■今、我々は複合的な破局に対峙している。

世界同時多発テロ、地球温暖化による気象災害、世界金融恐慌、格差の拡大、新型インフルエンザの流行。

それは決して単独であるものではなく、人間が人間らしさを喪失した、それがすべてをつなぐ伏流水として流れているのだと辺見庸は読む。

■キーワードは’マチエール(身体で実際に感じる質感)’と’慣れ’である。

テロにしても、異常気象にしても、格差の拡大にしても、身体で感じ取ることができない。テレビの、或いはパソコンの画面の中でしか接することができないが故に常に空虚であり、実感がない。

毎年3万人以上が自殺し、その何倍もの数の自殺未遂者がいる異常事態に対して何も感じることができない。

そして、そういった破局の中にあって、すべてのことがらに慣れてしまい、日常の中に消えていってしまう。

それは秋葉原事件を起こした青年の、パソコンや携帯を通してしか世界とつながることが出来なかった空虚さと同質のものなのである。

■その背景には、行き過ぎた資本主義、合理主義、グローバリゼーションが、ある。

「多様化な生き方を可能にする」という名目で改正された派遣労働法がいい例である。

口先ではかっこいいことをいいつつも、結局は人間を景気動向に対する調節弁としてしまった。そうでなければ企業はグローバルな過当競争を生き抜くことが出来ない、企業がつぶれてしまっては元も子もないでしょうと開き直る。

当時、人材を大切にする日本的経営を維持していくとカッコよく唱えた某巨大自動車メーカーが秋葉原事件と無関係ではなかったことの、この皮肉。

■100年に一度の大恐慌といいながら、あれから一年も経たぬうちに景気も底を打ったなどと浮かれた記事を目にしたりする。

もしかすると景気の回復は本当に近いのかもしれない。

けれど辺見さんはいう。

 
 本当に取りもどさなければならないのは、経済の繁栄ではないのではないのかとぼくはおもうのです。人間的な諸価値、いろいろな価値の問いなおしが必要なのではないか。でなければ、絶対悪のパンデミックは、いったん終息してもまたかならずやってくるだろう。もっとひどいかたちでくるかもしれない。(P74)
 

と、同時に

 
 誠実とか愛とか尊厳ということばを、商品世界のコマーシャルのみたいな次元に全部うばわれている、つまり悪は悪の顔をしていないというときに、やっぱり本来のマチエール、愛にせよ誠実にせよ人間の尊厳にせよ、言語の実質、実感というものを取りもどすことだとおもいます。(P117)
  

と語る。

まったく同感である。

そんな中で、

 
「私はかつておまえだった。おまえはやがて私になるだろう。」
 

という警句が、ひときわ響くのである。

 

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                          <2009.08.22 記>

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■しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか
辺見 庸 著 大月書店 (2009/04)

   

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■もの食う人びと
辺見 庸 著 角川文庫  (1997/06)

    

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■ボーイング787開発遅れ。混合チーム運営の難しさ。

ボーイング社が開発中の次世代中型ジェット旅客機、B787に構造的欠陥が見つかりデリバリーがかなり遅れそうな様子だ。

B787_2

■今回見つかったのは主翼と機体の接合部分の強度問題。

飛行機で一番負荷がかかるところで、なにやってんの?っていう感じなんだけれども、今回の開発は70社にも及ぶ国際的な合同プロジェクトなのだそうで、その前からの度重なる開発遅延を含めて、無関係では無さそうだ。

■最近の航空機開発では分業体制が当たり前だという話もあるが、多分、質の面でも量の面でも今まで類を見ない規模での共同事業なのだろう。

主翼の設計担当は三菱重工で、お得意の炭素系複合材の技術を見せ付ける立場にあったようだが、とんだ裏目に出てしまったことになる。

連係プレーが求められる接合部でミスったというのは、いわゆる三遊間ゴロというやつで、ちょっと情けない。

■と、いうのを通りこして今回の話は共同事業のもつ本質的な怖さを指し示している。

なにせ、この部分は加重が猛烈にかかる部分で、そこの耐久強度不足は10年後、20年後に主翼脱落による墜落という最悪の事態を招くからだ。

■そんな大事なところのミスを最後の最後まで見抜けなかったボーイング。混合チームがでかくなり過ぎると全体が見えなくなるというよい例である。

いずれにしても、全日空から矢の催促があろうがどうしようがジックリ綿密に見直しを行って、ゆめゆめやっつけで対応しないことを切に願う。

御巣鷹山は決して繰り返してはならない。

 

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                       <2009.08.22 記>

 
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■彗星から発見されたアミノ酸と空想にふける夏。

米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所は17日、米無人探査機スターダストが彗星(すいせい)から採取した試料の中からアミノ酸を初めて見つけたと発表した。<2009.08.19 読売新聞> 

Photo

■発見された物質はグリシン。

最も単純なアミノ酸の一種なのだそうだ。

知ってのとおり我々のカラダは主としてたんぱく質で構成されているが、そういったたんぱく質はいろいろなアミノ酸がつながりあって出来上がっている。

つまりは生命の材料が宇宙空間で発見されたということである。

■ビッグバンで宇宙が誕生したときに、宇宙には最も単純な元素である水素とヘリウムしか存在しなかった。

そのうち宇宙に広がった水素とヘリウムの偏って存在した場所で恒星が生まれ、そして超新星爆発で死を迎えるときのエネルギーでヘリウムより重い元素が生成したそうな。

■そうすると、今回見つかったアミノ酸のようなものはどうやって生まれたのだろうか。

古い恒星の死骸からなる星間物質である炭素、酸素、窒素なんかが水素とともに吹きだまって、というところまではありそうだけれど、そいつらはどうやって化学結合に至ったんだろうね。

不思議です。

もしかしたらヘリウム以上の元素がそうだったように、初期の太陽系の中で生命が発達していて、その名残りが宇宙に漂っているのかもしれない。

■いずれにしても、見つかったのはあくまでもアミノ酸で、生命そのものではない。

’彗星からアミノ酸、生命の宇宙起源説裏付け’

なんて読売新聞は見出しに掲げているけれど、あくまでも生命の材料のそのまた材料が発見されたに過ぎない。

とはいえ、今回の発見はその’記念すべき第一歩’の可能性を指し示すことであって、殺伐としたニュースばかりが流れる中で、なんだかため息が出てしまうくらい壮大な空想を引き出してくれるのであった。

 

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                           <2009.08.22 記>

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■マインド・イーター 水見 稜  著ハヤカワ文庫 JA  (1984/10)
■こちらは命を運ぶどころか人間の精神を喰ってしまう彗星を巡るオムニバス作品。大好きな日本SFの一つです。

  

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2009年8月11日 (火)

■NHKスペシャル 「日本海軍 400時間の証言 第二回 特攻 やましき沈黙」。それは口で言うほどたやすいことではなく。

特攻隊のパイロットたちの話はよく取り上げられるけれども、それを命じる側の話は今まであまり明らかにされてこなかった。

この番組は当時の将校たちの組織「海軍反省会」の膨大な録音テープからその靄を晴らそうという試みである。

N

■特攻隊の創始者といえば1944年10月の航空特攻を命じた大西中将の名が挙がるのだけれども、それ以前から「桜花」とか「回天」とかいった、人間を誘導装置としてあつかう特攻兵器の開発が進められていた。

圧倒的不利な戦局を打開し、故郷に残した家族を守るためにこの身を捧げる。その意志の発露としての’特攻’とは全く別の次元で、戦争遂行の中枢である軍令部では冷徹な論理として「特攻」が計画されていたのだ。

01 人間魚雷「回天」
01_2
人間爆弾「桜花」

■戦争とは命を懸けて遂行するものである。

が、作戦とは目的を成し遂げた後に生きて帰る可能性をいくばくかでも残したものでなければならない。

従って、「特攻」は作戦ではない。

と、軍令部の元参謀はいう。

けれども、誰も「特攻」を止めることが出来なかった。

■過ちと分かりながら大勢、あるいは’空気’というものに飲み込まれてしまう。

番組は、それを「やましき沈黙」と呼んだ。

そして、それは過去の海軍の犯した過ちであるというだけでなく、今の我々にも突きつけられている課題なのだと結ぶのだ。

■確かにそうだ。

行き過ぎた自由化にしても、派遣の問題にしても、その問題が進行している時点では、どこかがおかしいと強く感じてはいても、人間というのはどうしても流されてしまう。

結局、それが過ちだと分かるのは事態が破綻を来たしたその後のことになる。

■しかしながら、番組の製作者が言うように我々は’大勢’とか’空気’というものに流されることなく、それに抗うことができるのだろうか。

特攻にしても現場の将校のなかで、その無謀さを批判し命令に攻しようとしたものもいるとう。

けれども、上官から国賊と罵られてしまってそれでおしまい。

その上官にしたって、心の中では’特攻’は無謀な作戦だと考えていたというに違いないのだ。

■この’大勢’とか’空気’とかいったものと戦うのは、口でいうほどたやすいものではないのだと思う。

もちろん問題提起としては重要だし、きっと本質をついている。

だからこそ、客観的な視点で’敵’の本質を見抜き、勝ち目のある作戦立案が必要なのだ。

たぶんそれは個人こじんが真剣に悩み考えるだけでなく、何らかの’支点’と’テコ’を見つけ出し、流れを変えていくことなのだろう。

今はまだ、そういう抽象的なことしか言えないのだけれども、常に考え、チャレンジしていくべき課題として胸に置いておこうと思う。
 

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                         <2009.08.11 記>

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■「空気」の研究 山本七平 著 文春文庫 1983/01
■「空気」とは何かについて思索を深める一冊。
もう一度読んでみようかなと思う。

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2009年8月10日 (月)

■土曜ドラマ「リミット―刑事の現場2」最終回。いいドラマ、というのはこういうものなのかもしれない。

これがドラマなんだな、と思う。

Simple

■18年前に梅木(武田鉄矢)の恋人を殺した黒川(ARATA)が、今度は啓吾(森山未來)の恋人の茉莉亜(加藤あい)を誘拐する。

前の恋人を轢き逃げした犯人に対して抱いている茉莉亜のこころのなかのわだかまりを利用して彼女を憎しみの世界へ引き込もうとする、その試みは18年前に満たされなかった黒川の心の闇の再演なのである。

黒川にとってこの世界は、憎しみこそ何よりも勝るのであって、愛だとか優しさいったもので何とかなるものではない。

そう信じることでしか己の不幸な生い立ちに折り合いをつけることが出来なかったのだ。

■茉莉亜の救出に成功し、黒川を屋上に追い詰める梅木と啓吾。

そこで演じられる啓吾の黒川に対する憎しみも、梅木の18年間の苦しみも、実は黒川の世の中に対する憎しみと同質のものなのである。

■18年の苦しみに決着をつけるべく黒川のこめかみに拳銃を突きつける梅木に対する啓吾の叫び。

嗤われてもいい、愛を信じたい。

この場面、涙をこらえるのにやっとでありました。

■そこまでの不自然な偶然の積み重ねやらご都合主義などというものは全くもって気にならない。

その次元のもっと上の高みでドラマが進行している感じなのだ。

いいドラマ、というのはこういうものなのかもしれない。

■最後の方で啓吾が茉莉亜にいう。

 結婚って、お互いに不幸せになることなんだって。

というそのセリフにもやられました。

それはお互いの不幸を背負い合う覚悟をもつこと。

その二人の背中にもまた、ジンときてしまったのである。

 

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                        <2009.08.10 記>

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■[DVD検索] ’リミット 刑事の現場’

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■STAFF■
原作・脚本 : 遊川和彦 (『女王の教室』、『さとうきび畑の唄』)
演出     : 渡辺一貴
製作     : 磯 智明

  
■CAST■
梅木拳     :武田鉄矢(中央署の一匹狼)
加藤啓吾    : 森山未來(若手3年目の刑事) 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
青井茉莉亜   : 加藤あい(啓吾の婚約者)
東野恵一    : 杉本哲太(刑事課長)
筒井薫      : 若村麻由美(庶務係)
太宰満      : 伊武雅刀(課長代理)
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
黒川真治    :ARATA

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■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

■リミット 刑事の現場2 番組HP

■トラックバックさせていただきます■
’まぁ、お茶でも’ さんの「《リミット~刑事の現場2》#05」
 

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2009年8月 9日 (日)

■【書評】『図解雑学 ゲーム理論』渡辺隆裕 著。他者とのやりとりで迷ったときに選択すべき道はどれか。

数学っぽくて、どうもとっつきにくいと思っていたゲーム理論なのだけれども、意外にあっさり読めました。

Photo
■ゲーム理論 (図解雑学) 
渡辺 隆裕 著 ナツメ社 (2004/08)

■何故とっつきやすいか、というと数式がほとんど載っていないから(笑)。

よって実際に高等なゲーム理論を駆使して複雑な交渉事にかかわる問題解決を図ろう、という高級な人には会わないだろう。

けれど、ゲーム理論って何じゃらほい、という私のような初心者にはとてもいい本だと思う。

■と、いっても内容は実践的。

他者とのやりとりで迷ったときに選択すべき道はどれか、というときに相手の行動を読みながら最適解(ナッシュ均衡)を導き出す「利得行列」だとか「ゲームの木」だとかの基本ツールの使い方がジックリ丁寧に語られている。

特に図とか表が駆使されていて、それがとても分かりやすい。

■何だか判ったような気になってしまったが、じゃあ、迷ったときの解決ツールとしてすぐ使えるか、というとあまり自信は無い。

けれど、答えを出すところまで行かなくても、仕事上の意思決定や日々の悩み事について、その構造を把握するにはいいツールだと思う。

■また「モラルハザード」だとか「インセンティブ」とか新聞とかでよく目にする用語も知ってるつもりでいたのだけれど、まったく分かっていなかったことに赤面の至り。

やっぱり言葉の定義はあやふやのままではいけない。

勉強、勉強。

なのである。

 

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                        <2009.08.09 記>

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■花火。

近所の花火大会に行ってきました。

いつもながら、最後の乱打は盛り上がります。

2009080802_2

                        <2009.08.09 記>

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2009年8月 7日 (金)

■【ドキュメンタリー】『妖怪 水木しげるのゲゲゲ幸福論』、食って、笑って、クソして寝るのが幸せの根本なのだ。

水木しげるサンは人生の天才なのである。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.30  『妖怪 水木しげるのゲゲゲ幸福論
           ― そりゃアンタ、
        何か根本的に覆さんと
          人類は幸せになりませんヨ ―
         
      主演:水木しげる 朗読:和久井映見 放映:2006年3月
       出演: 荒俣宏、呉智英、南伸坊、京極夏彦 他

     Dvd
           ■ 妖怪水木しげるのゲゲゲ幸福論
           ■ 2006年/日本/テレビマンユニオン・BS JAPAN/120分

■本作は2006年にBS JAPANで放映された水木サンの異色のドキュメンタリーであって、テレビ界の日本アカデミー賞ともいえる、ギャラクシー賞を受賞した作品である。

内容としては、水木サンの日常とニューギニア訪問、水木サンを良く知るひとたちによる座談会で構成されているのだけれど、本編1時間半、まったく飽きることのないうまい作り方をしている。

■タイトルの通り、テーマは「幸福」。

これがなかなか一筋縄ではいかない独特の幸福論で、観る者はその幸福菌に感染してとても幸せな気分に浸れるのである。

■幸福論、なんていう場合、生きる意味だとかなんだとか小難しい話に陥りがちなのだけれども、水木サンの場合は単純至極。

生きること、そのものなのである。

■食うことを楽しみ、面白いものや面白いひとに出くわしては楽しく笑い、銭をもらってはにんまりし、素晴らしくよいカタチのクソをして、こころゆくまで寝るのを楽しむ。

その行動とか発言は極めて自己肯定的であって、他のひとがどうだとかいうことは一切関係ない。

それでいてその天真爛漫さゆえに嫌味がなくて誰からも愛され、その幸福菌を周囲にばら撒き感染させていくのである。

■ニューギニアの戦地で生死のギリギリの場面に幾度も遭遇し、爆撃で左手を失い、戦後は紙芝居や貸しマンガで生計をたてようとするも全く売れず腐りかけのバナナで飢えをしのいだ。

その迫力。

それでいて「不幸」という文字は水木サンの背中には一切感じさせることはない。

自らが生き残る、ということが最重要課題であって、それさえあれば「幸せ」なのである。

■小難しいことは考えない。

そうしたとき、食うということ、寝るということ、それそのものが即ち幸せなのであって、ああ、本当にうらやましい生き方だなあ、と思う。

それもまた水木サンの才能なのだと思うのだけれど、水木さんの生き方を感じることでほんの少しだけおすそ分けを頂けるような気もする。

そういう意味で、繰り返し眺めてみたい作品である。

特に特典映像の座談会特別版は、生き方についての眼からウロコな内容であって、体内の幸せ菌が減ってきて心が疲れてしまったときの特効薬になるだろう。

  

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                           <2009.08.07 記>

■ 妖怪水木しげるのゲゲゲ幸福論
■ 2006年/日本/テレビマンユニオン・BS JAPAN/120分

    
   

■関連記事■
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■夜明けの黄金。

2009080710img_4276

キラキラと朝焼けが光っていた。 

                                                          <2008.08.07記>

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2009年8月 1日 (土)

■【書評】『フランケンシュタイン』、メアリ・シェリー著。それでも生きていく理由。

フランケンシュタインの原作が面白いと聞いて読んでみた。

2
■フランケンシュタイン
メアリ・シェリー 著 創元推理文庫 (1984/01)

■主人公は若き天才科学者ヴィクター・フランケンシュタイン。

生命の根源とは何か、という問いの果てに生命そのものを作り出すことに熱中し、ついには’それ’を完成させる。

だが、彼は無責任にも己の所業に恐れおののき、生命が吹き込まれた’それ’を放置して逃げ出してしまう。

さて、研究室でひとり目覚めたその’怪物’は一体どういう運命をたどり、ヴィクター・フランケンシュタインの人生にどう関わっていくのか、

というお話。

■メアリ・シェリーがこの本を発表したのが1818年。

チャールズ・ダーウィンの「種の起源」が刊行される40年以上も前の話であって、人間は神の創り賜いしもの、という世の中である。

そういう中で、’人間らしきもの’を人間が作り上げてしまうという話は極めてショッキングであったに違いない。

しかしながら、この作品はそういうショッキングな面を強調した単なるホラーではなく、人は何故生きるのか、というテーマを深く掘り下げた作品なのである。

■作品の中盤、’怪物’がヴィクターに語りかける。

目覚めてから自然を理解し、人間を観察し、言葉を覚え、人間らしい思考を手に入れた。

けれどそれが悲劇であって、そこには、その醜悪な外見ゆえに人間と認めてもらうことができない圧倒的な悲しみと絶望があったのだ。

■何故、こんな私を作ったのか?

それが’怪物’の創り主に対する鋭い抗議である。

それは何もフランケンシュタインの怪物だけの苦悩ではなく、その問いを

  私は何故、生まれてきたのか、 

  私は何故、生きていくのか、

と読み替えたとき、

まさにそれは我々の苦悩そのものなのである。

     

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