■neoteny japan ネオテニー・ジャパン ―高橋コレクション。クール・ジャパンの本質は、ポップな甘さの奥にある生々しい思想とそれを支える超絶技巧にあるのだ。
根津から上野まで歩いた。
目的は、上野の森美術館で7/15まで開催しているネオテニー・ジャパン。
またしても、終了間際の駆け込みなのである。
■neoteny japan ネオテニー・ジャパン ―高橋コレクション
@上野の森美術館 2009/05/20(水) ― 07/15(水)
※ネオテニー:幼形成熟、ウーパールーパーみたいなもの。幼さと成熟を併せ持つ現代日本のサブカルチャーを上手く言いあらわしている。
■”世界が注目するニッポン現代アートの基礎知識!”
と、銘打たれたこの展示は、高橋龍太郎さんという精神科医の方の個人的なコレクション、33名の作家の作品から選りすぐられた80点。
確かに、さらりと通り過ぎさせてくれる作品はほとんど無く、どこか、うーむと引っかかる曲者ぞろいだ。
■数点に絞って感じたことを記してみたい。
■鴻池朋子 惑星はしばらく雪に覆われる 2006
■鴻池朋子 knifer life(部分) 2000-2001
■黒い垂れ幕で仕切られた会場に入るといきなり目に飛び込んできたのがキラキラと輝く6本足のオオカミ。
最初からドーンと来ました。やられました。
続いて長さ5メートルくらいありそうな大作、knifer life。
これもすごい。
■6本足のオオカミと小さなナイフの群れが少女の上半身に群がり、覆い隠す。
すさまじいエネルギーである。
少女の足だけが見えるという演出がとても効果的だ。
二足歩行の足。
それさえ見えれば観る者の想像力は隠された部分と、そこにある魂を補完してくれるのだ。
その時に生まれる感情は、むしろ全身が見えてしまうよりも圧倒的に強いインパクトを与えてくれる。
■単なるビー玉細工かと思いきや、透明な玉に覆われたその下に、本物の鹿の剥製が埋まっている。
それに気が付いたときのギョッとする感覚がいい。
■ポップな見かけをまといつつ、その下に激しくリアルなものがある。
そこには現代ニッポンのサブカルチャーの本質が象徴的に現れているのかもしれない。
■これである。
本日一番のお気に入り。
この絵に出会えただけでも来た甲斐がある。
■大きく揺れる波間に浮かぶ島、
と思いきや、巨大なカニ。
それが領域(テリトリー)を侵した哀れな船を巨大なハサミで引きずり込もうとしている。
■木を見て森を見ない、
なんていうけれど、この作品は逆で、超細密に描かれたペン先を丹念に追っていくうちに、その巨大な存在に気付く、という寸法だ。
その、うわぁ~、という感覚がたまらない。
そして、ため息。
■エロである。
しかもロリコンである。
クール・ジャパンだなんだといってもその根底に実は、公衆の面前にさらされることには耐えかねぬ、この二つの禁断が淀んでいたりするのである。
■このタブーをぶち破る挑発的態度はどうだ。
そしてそれを冷静に支える超絶技巧。
コレハ、イケナイ、
と、目を背けたくなる作品なのだけれども、その時点ですでに作家の罠にはまってしまっているようで何か悔しい。
■この展覧会の締めくくりがこれ。
なんだこりゃ、
なのである。
ポップもここまでくるとなかなか追いつくのが難しい。
■バスローブの下にキャスター付きの暖房器具らしきものが見え隠れするとってもチープなルーク・スカイウォーカー。
巨大なマスクが崩壊寸前のダース・ベイダー。
快獣ブースカと間違えてしまいそうな可愛らしいC3PO。
模造紙をつないで、うま下手調で埋め尽くされた背景の作品。
■何がすごいって、この文化祭レベルの作品に金を払ってしまう高橋さんが一番すごい。
確かに楽しいんだけどね、どうしても「作品」という枠組みに囚われてしまって、つい、その素直な楽しさに違和感を覚えてしまう。
美術って、ホントは高尚なものなんかじゃなくて、つくることが楽しい、ただそれだけのものなのかもしれない。
けれど、自分のなかで強く固定されてしまった「美術」というものがあって、それを突き破るのも結構難しいものだなあ、としみじみ感じた次第である。
ひさしぶりに西郷さんに会いました。
<2009.07.10 記>
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■ネオテニー・ジャパン──高橋コレクション
日本現代美術総覧といった感じでうまくまとまっている。
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