■邯鄲の夢。『爆笑問題のニッポンの教養』 実験心理学、一川誠。
今回のテーマは、実験心理学。
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE076:「『時間』という名の怪物」 2009.6.23 放送
千葉大学文学部行動科学科准教授 実験心理学、一川誠。
■比較的すんなりと話が流れた感がある。
隔離された部屋で爆笑問題のふたりが雑談をする、その時間がどれくらいかをふたりに尋ねると、太田が5分で田中が3分、実際は4分と、まあ見事に分かれたのだけれど、それを太田は退屈してたんだろうな、とか田中の方が一生懸命話してたんだろうな、と考えるのはごく普通のことなのである。
■そこで爆笑のふたりがそうだよね、と納得してしまうから「え?」という展開が無い。
まあ、こういうこともあるでしょう。
そんななかで、浦島太郎の玉手箱の話についての太宰の言葉を紹介した太田の話がおもしろかった。
楽しく美しかった竜宮城の思い出は、玉手箱を開けて遠い過去のものとなって初めて完成する。
というのだ。
■実は、主観的時間というものは、今、この瞬間にしかないのかもしれない。
私が知っている「過去」が本当にあったことかなんて誰も検証することは出来ない。
あるのは、ただ、そういった過去の出来事が現在の意識に展開した影でしかないということだ。
■先の玉手箱の話でいえば、それは今とつながりのある竜宮城の記憶を断ち切って過去へとつなぎかえる作業であって、そうすることで「主観」から切り離された出来事として独立した相対的な「過去」が完成する、ということだろう。
・・・なんていうと、ただ文学的に味わえばいいものを、またこんなツマラナイ理屈をならべやがって、なんて野暮なヤロウなんだ、と笑われてしまうだろうか。
■だが、「時間」と「記憶」とを並べてみると、いろいろ面白いところがありそうな気もするのだ。
たいくつな時間は長く感じるが、思い出としては何も無い。
濃密な時間は早く流れるが、記憶として再生するときにはあれもこれもと膨大な量となる。
まさに邯鄲の夢。
じゃあ、夢なんかじゃない、
直(じか)に生きているってどういうことだろう。
ふと、そんなことをぼんやりと考えてみたくなった。
<2009.06.28 記>
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■ 大人の時間はなぜ短いのか
一川 誠 著 集英社新書 (2008/9/17)
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コメント
「時間」について、浦島太郎の話の引用で、「楽しく美しかった思い出は、玉手箱をあけて遠い過去のものになって初めて完成する」とは、切ないような奥深いような何とも言えない感慨のコメントでした。それと、番組の中で一川さんが言っておられた、「人間は死という個人的時間の限界に向かっているのに、それをみつめない自己防衛である」というのは、人間の生存本能のなせる技を感じました。いずれにしても、この一川さんが、今、感じておられる時間や過去の時間、未来の時間は、一川さんのもの以外のものの何者でもないんだな・・・と感じ乍ら番組をみました。要するに、時間は怪物かもしれないけど、その時間を使って感じる人、そのものに時間自体が支配されており、時間を支配する私たち一人一人が一番大事で肝心なんだなと感じた番組内容でした。ところで、番組の最後で、「セックスの時間」について爆笑問題が質問してましたけど、一川さんは「退社が同じだから感じる時間も一緒では・・・」と回答されてました。ん〜、これって・・・。一川さんご自身はそういう事なのかな?一川さんはご結婚されているのかな?どうでしょう?
投稿: | 2009年7月 2日 (木) 22時24分
こんにちは。コメントありがとうございます。
>人間は死という個人的時間の限界に向かっているのに、それをみつめない自己防衛である
そうなんですよね、ボケにもきっと意味があるに違いない。
>時間を支配する私たち一人一人が一番大事で肝心なんだなと
まったく同感です。時間に支配されるのではなくて、主体的に時間を支配するようでありたいです。
>「セックスの時間」
うーむ、難しすぎてオジサンには判りません(苦笑)。
投稿: 電気羊 | 2009年7月 5日 (日) 04時33分