■ドラマ『刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史』。「現場」と「人間」は時代を超えて通用するか。
ここまで引き込まれるドラマも久しぶりである。
■演出も脚本も美術もいいんだろうけれど、飛びぬけて役者がいい。
八兵衛の相棒を演じる高橋克実も、ふたりの上司を演じる柴田恭兵も素晴らしいのだけれども、キャスティングの妙と言えなくも無い。
そのなかで圧倒的に光るのが主演の渡辺 謙だ。
平塚八兵衛の火の玉のような生き様を内側から滲み出るように演じきる。
その迫力がその他きら星のような豪華キャストの各々の演技に良い影響を与え、さらに引き上げているように思える。
■土曜日放送の前編では、帝銀事件、警備員殺人事件について語り、吉展ちゃん誘拐事件担当に引き抜かれたところで終わる。
昭和38年のここまでは戦時中の匂いがまだそこここに漂っていて、八兵衛の火の玉が生きる土壌がまだあるのだけれど、昭和43年の三億円事件あたりから時代が高度成長期へと移っていく。
1970年の万博音頭が能天気に流れる中で、時代遅れといわれてしまいそうな八兵衛のやり方が一体どういう影響を受けるのか、とても興味深い。
それは「現場」と「人間」にこだわり続けるやり方が時代を超えて通用するのか、という問いであり、決して過去の問題ではなく、今現在の問題でもあるのだ。
<2009.06.21 記>
■追記■
■第2夜。
萩原聖人、よかったなあ。
取調べの時の心理戦の表情もよかったし、落ちたときの一気に噴出す感情の描写も迫力だった。
萩原聖人は久しぶりに見たのだけれど健在ですね。
あとは、病床で表彰をうける高橋克巳。
ベタだけど、つい泣けてしまった。
■ドラマの方は、ラスト近くの演出過剰は気になったけれど、吉展ちゃん誘拐事件のお話はその濃さに圧倒されました。
いやー、実に贅沢なドラマ、満足です。
<2009.06.22 記>
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■[原作] 刑事一代―平塚八兵衛の昭和事件史
佐々木 嘉信 著, 産経新聞社 編集 新潮文庫(2004/11)
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■STAFF■
監督: 石橋冠
脚本: 長坂秀佳、吉本昌弘
音楽: 吉川清之
制作:テレビ朝日
■CAST■
平塚八兵衛(警視庁捜査一課刑事) : 渡辺謙
石崎隆二(捜査一課刑事。八兵衛の相棒) : 高橋克実
草間毅彦(警視庁捜査一課刑事) : 山本耕史
尾藤和則(警視庁捜査一課課長代理): 大杉漣
加山新蔵(警視庁捜査一課主任) : 柴田恭兵
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平塚つね(八兵衛の妻) : 原田美枝子
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平沢貞通(帝銀事件の容疑者) : 榎木孝明
平沢咲子(貞通の娘) : 木村多江
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森川剛三(警備員殺人事件の容疑者) : 杉本哲太
森川八重子(剛三の妻) : 余貴美子
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小原保(吉展ちゃん誘拐殺人事件の容疑者): 萩原聖人
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岩瀬厚一郎(社会部新聞記者) : 小泉孝太郎
吉崎真由(新聞カメラマン) : 相武紗季
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