■サバイバル・テクノロジーという発想。『爆笑問題のニッポンの教養』 触媒化学、原亨和。
今回のテーマは、触媒化学。
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE069:「永久エネルギー誕生!」 2009.4.21放送
東京工業大学教授
機能セラミックス・触媒 原亨和(はらみちかず)。
■石油化学の領域で、触媒としての硫酸が欠かせないものだなんて初めて知った。
で、実際の処理工程を見てみると、反応前後で変化しないのがミソの触媒なのにも関わらず、目的の物質を取り出すためにわざわざ中和処理をして硫酸でなくしてしまうのは確かに賢くないなあと思う。
■そこで原先生が硫酸と’炭’とを混ぜてやって作り出したのが「カーボン固体酸」というやつで、これなら生成物をろ過してやるだけで分離でき、そのまま何度でも使えるスグレモノ。
こいつを使ってやれば、木屑とか雑草なんかを反応させて砂糖をつくり、そこから石油代替物質としてエタノールが手に入る、という’エコ’な時代が求める画期的技術なのだ。
■そこで胡散臭いと思わせないのは、原先生は決してこの技術で環境問題や石油危機の問題が根本的に解決できるなどと大風呂敷を拡げないからである。
そこには少年時代に体験した石油ショック(当時10歳くらい?)が切っ掛けで、なんとかこの豊かな生活を維持しながら生き延びたいという、今でいうサスティナビリティ(持続可能性)を先取りした強い思いがある。
根っから真面目なのである。
■より少ないエネルギーで求めるものを手に入れることが出来る技術、サバイバル・テクノロジーといっていたか、その考え方が印象深い。
確かに、我々はそこを見誤りがちなのである。
■使い捨ての牛乳パックと、リユースが出来る牛乳ビン。
どっちが’エコ’かといえば誰でも牛乳ビンだと思うだろう。
けれど、よく考えてみれば牛乳ビンは重いからその分輸送費は余計にかかるし、回収はもちろん、洗浄、消毒なんかの手間もかかる。
「消費者が牛乳を飲む」ということに対してどちらがトータルで消費エネルギーが少ないか、そうやって真面目に考えてみると、牛乳ビンが本当に’エコ’なのかどうなのか何だかあやしくなってくる。
■そう言うと、「いやいや、誰が何と言おうとリターナルビンはエコなのだ、これに反対する人は反エコなのだ」なんて自称・環境にやさしい人たちからマナジリを結して批判されそうなのだけれども、冷静に、トータルで考えることが必要だし、先生の仰るとおり、結論がスグには出ない問題だったりするものだから、常にアタマの柔軟さが求められる。
それはコンビ二袋の話であったり、割り箸の話であったり、ハイブリッドカーの話であったりするわけで、達成手段が目的化してしまい、根本的な議論がなおざりにされるのはヨロシイことではないのである。
■テクノロジーを生み出す立場人間がそういう広い視野と柔軟性をもっていること。
先生の真面目さと謙虚さを見ていて、しみじみと心に響いた。
サバイバル・テクノロジー。
技術屋の端くれとして、その思想、しかと心に刻み込みたいと思う。
<2009.06.06 記>
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■ Sustainable Design[サステイナブル・デザイン]
デザイナーと企業が取り組むべき環境問題
Aaris Sherin (著), 石原 薫 (翻訳) ビー・エヌ・エヌ新社 (2009/4/25)
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