■【映画評】『ブロークバック・マウンテン』、アン・リー監督。ダンナの「釣り旅行」には注意せよ!
正直、ホモセクシャルの人の気持ちは分からないのだけれども、
うーん、この映画のラストについ、やられてしまったのである。
これを見たのはちょうど一年前。
消化するのにずいぶんと時間がかかってしまった。
●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
No.25 『ブロークバック・マウンテン』
原題: Brokeback Mountain
監督: アン・リー アメリカ公開:2005年12月
出演: ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール 他
■美しいんだよね、大自然が。
壮大な山々、みどりに広がる牧草地とそこを流れる羊たち。
それに対比して、人生のなんと’汚れつちまつた’苦しいものか。
■ストーリー■
美しいワイオミング州の山々。ふたりのカウボーイが羊を放牧している。ワイルドで牧歌的な風景に奏でられるのは、彼らの愛の物語。男同士の関係を描きながら、これほどまでに万人を感動させる映画は、過去になかったかもしれない。
イニスとジャックは、ブロークバック・マウンテンで燃え上がった愛を、その後、失うことはなかった。ともに妻を迎え、子どもを授かっても…。
物語は1963年に始まり、舞台は保守的な中西部なので、当然、厳しい現実が待っている。そして、妻たちの悲しみもある。アン・リー監督は、それらすべてを過不足なく描き、主人公ふたりの愛を際立たせていく。
(Amzaon 紹介文より抜粋)
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■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■
■同性愛を否定はしないが、生理的に受け付けない。
ジャックは元々なんだろうけどイニスは何でそこで目覚めちゃうのさ。
何しやがるんだ、コンチクショウメ!
と殴りかかるでしょう、ふつう。
けど、イニスはジャックを受け入れるばかりか、いつしか彼がいなくては生きていけない自分になってしまっているのに気付くのである。
■ジャックとイニスは、お互いそれぞれの生活を持ち、妻もいて、それでも延々と想いを募らせる。
20年。
そこまで恋焦がれるのならば、もう、男同士だとかなんだとかどうでも良くなってしまう。
むしろ、伝統的な価値観が骨の髄まで沁みこんだ中西部の暴力的なまでの排他主義(「ボウリング・フォー・コロンバイン」を思い出そう!)がふたりの間に影を落とすことによって、その’許されざる愛’はどうしようもなく純化されるのだ。
■その許されざるが故の純度の高さが不幸を生み、イニスの妻を絶望へと落とし込める。
・・・だって端っから勝ち目が無いじゃないか、
そんなイニスの奥さんがあまりにも可哀想なのである。
■結局、奥さんはイニスと別れることになる。
そりゃ、そうだよな。
心底やさしさにあふれた奥さんにしても、アメリカの古い価値観にどっぷり浸かって生きてきたのだもん。
問題は娘の立場である。
お父さんっ子なんだよな、この子が。
だから凄く切なくなってしまう。
■ジャックが死に、たぶん「それ」が原因で’排除された’のだと匂わされるのだけれど、イニスも、ジャックの両親も口には出さずとも、それを了解している。
ジャックの両親から彼がイニスと牧場を経営するのを夢見ていたことを聞かされ、彼のクローゼットに、あの夏に殴りあった血痕の跡の残るシャツが大切に残されているのを目にしたとき、大きなおおきな穴がイニスの心の底にドンと開く。
■ジャックはずっと純粋にイニスを見つめて生きてきたのだ。
イニスが愛する妻と娘と別れなければならなかったことを悔やみ、幼少期に刷り込まれた’許されざる行為’に対する罰の恐ろしさのトラウマに襲われて、ジャックへの抑え切れない想いを疎ましく思ってしまった自分自身。
ジャックの純粋さに気付いた、その瞬間に、イニスのなかのわだかまりがすーっと消えていく。
いろいろあったけれども、俺には、俺を大切に思ってくれている娘もいる。決して不幸なんかじゃない。
もう隠れることはない。
そして娘の結婚式に出る決意をするイニス。
クローゼットを開けれあば、その扉にはあの頃に着ていたふたりのシャツが重ねてかけてある。
ジャック、これからはずっと一緒だよ。
<2009.05.13 記>
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■STAFF■
監督 : アン・リー
脚本 : ラリー・マクマートリー
ダイアナ・オサナ
音楽 : グスターボ・サンタオラヤ
撮影 : ロドリゴ・プリエト
編集 : ジェラルディン・ペローニ
ディラン・ティチェナー
■CAST■
イニス・デル・マー : ヒース・レジャー
ジャック・ツイスト : ジェイク・ギレンホール
(お、飯田橋かっ!・・・って、それはギンレイホールでしょ(苦;))
ラリーン・ニューサム(ジャックの妻) : アン・ハサウェイ
アルマ・ビアーズ(イニスの妻) : ミシェル・ウィリアムズ
アルマJr. (イニスとアルマの娘) : ケイト・マーラ
■過去記事■
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