■新型インフルエンザ拡大。対応策がキツ過ぎるというけれど。
■関西でインフルエンザが拡大し始めた。
発生地と異なる地域で継続的に感染が拡がる、という要件からすればWHOがフェイズ6、パンデミック(世界的大流行)を宣言するのは時間の問題だろう。
■と、いっても今回の新型インフルエンザはバタバタと死者を出す【強毒性】ではなくて、幸いなことに致死率1%以下と普通のインフルエンザと変わらない【弱毒性】だ。
だから、「強毒性鳥インフルエンザを想定した行動計画」を適用するのはやり過ぎじゃないの?
という論がある。
■学校閉鎖、福祉サービスの休止、人が数多く集まるイベントの中止要請なんて聞くと、確かにやり過ぎの印象は拭えない。
けれど、それはミソとクソを取り違えた議論なのじゃなかろうか。
私は専門家でも何でもないのだが、頭の体操として、進行している事態をすこし整理してみようとおもう。
■「新型」が新型である所以は、人間がまだその免疫をもっていないということにある。
つまり感染したら発症する(体内でウイルスが大量に増幅する)確率が極めて高いということだ。
’不思議なのは、その感染の拡大の早さである’
なんてニュース番組でいっていたりするが、それが「新型」なのであって、不思議でもなんでもない。
■けど弱毒性なんでしょ?
というけれど、強かろうが、弱かろうが、感染力にその違いがないとするならば「感染拡大」を阻止する方法にその違いは無く、やはり強毒性鳥インフルエンザを想定した行動計画に拠らざるを得ない、というのが今の状況なのだろう。
■規制を緩めるということは爆発的感染を許す、ということであって、そこはデジタルに考えた方がいいのだと思う。
やっかいなのは感染から発症までの潜伏期間が1~7日であり、しかも他人への感染力を獲得するのは発症の1日前からだ、ということ。
発熱もセキもなく普通にしている人が実は発症直前の感染者で、既に大量の新型インフルエンザのウィルスを撒き散らしているかもしれないのである。
■週があけて、感染者が高校生以外にも拡がっていることが明らかになってきて、11時過ぎの時点で国内の感染者が130人を超えたと報道されている。
これからもっと増えるだろうし、神戸と同じことが東京で起きていても何の不思議もない。
■最も恐ろしいのは、その拡大の中でウィルスが突然変異を起こして【強毒性】を獲得することだ。
何しろ、強毒性と弱毒性の遺伝子的違いはDNAの塩基配列のたった一箇所の違いにあるという話があって、それが本当ならもうビクビクものなワケである。
■その突然変異を阻止する意味でも感染拡大は最大限の努力で防がねばならない。
弱毒性どうの、では無いのだ。
スペインでは感染者の周囲の人たちに対して、感染の有無を問わずタミフルの予防投与をして感染拡大に成功したようである。
その為にはスピードが要求される。
ちんたら下らない議論をしている時間は無いのだ。
<2009.05.18 記>
■関連記事■
■【書評】『H5N1型ウイルス襲来』新型インフルエンザから家族を守れ!岡田 晴恵。今できることは何か。<2008.01.31記事>
■Nスペ、最強ウイルス・ドラマ『感染爆発~パンデミック・フルー』。新型インフルエンザの前に成す術無く崩れ去る対策シナリオ。<2008.01.14 記事>
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■H5N1型ウイルス襲来―新型インフルエンザから家族を守れ!
■国立感染症研究所研究員 岡田晴恵■
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コメント
私も同感です。
今年のGWに渦中のニューヨークにバカンスに行った研究員のH女子
「今回の新型はタミフル飲めば大丈夫なんだし、夏のカナダもキャンセル料もったいないから、絶対行くわよ。」ですって!
おおげさに騒ぐ必要のない事は言うまでもありませんが、かりにも
医薬事業従事者としての認識の低さに、あきれるやら情けないやら
こういう人にかぎって、いざ非常事態になったときには、やれ警戒が甘いとか対応がなってないとか、まっさきにまくしたてるんですよね。
投稿: 臨床検査技師 | 2009年5月19日 (火) 17時57分
臨床検査技師さん、こんばんは。
この記事を書いたその晩に舛添さんが基準を緩めることを検討中。なんてニュースが流れて、これは勇み足だったかと顔を赤らめておりました。
けど話を聞いてみると緩和されそうなのは、感染者の自宅療養だとか、一般病院での診察だとかで、対策の本質的な部分はあまり変わらないようですね。
さらにプロフェッショナルの検査技師さんに同感してもらえたことで自信を回復いたしました(照笑)。
投稿: 電気羊 | 2009年5月19日 (火) 22時21分