■現実を受け止め、本気で実行することこそが人を目覚めさせるのだ。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 武装解除・瀬谷ルミ子。
今回は武装解除活動DDRのプロフェッショナル、瀬谷ルミ子さん。
■銃よ、憎しみよ、さようなら ・武装解除・瀬谷ルミ子
<2009.4.21放送> (番組HPより)
■32歳。笑顔がかわいらしい人である。
そんな彼女がアフリカや中東の紛争地帯での武装解除のスペシャリストだなんて、もう想像の域を遥かに越えてしまっている。
■国家規模の武装解除活動であるDDRとは、武装解除(Disarmament)・動員解除(Demobilization)・社会復帰(Reintegration)の3つの活動によって構成される。
政治的な和平合意が成されても、紛争地帯の現場ではなかなか平和が訪れるものではない。
銃が普通に行き渡っていて、軍や民兵組織も解体させず、たとえ解散したとしても職は無く生活、生きていくことが出来ない。
そういう難しく絡み合った現実・実態をひとつひとつ解きほぐしていくのが瀬谷ルミ子さんの仕事なのである。
■肌の色も、風習も、考え方も異なる異国の、しかも極限までの緊張状態が続く紛争地帯だ。
日本女性の柔らかさが、かえって相手のこころを開かせる、
とはいっても、少しでも踏み込む方向を間違えれば自分の命が危険にさらされることになることに違いは無い。
決して甘い世界ではないのだ。
■何が彼女を突き動かすのか、
その問いは私自身にとって未だに大きな謎であって、今回はそこは問うまい。
これは理屈でどうこう言えるものではないだろう。
■瀬谷さんのもつ人間としての強さとやさしさは、画面を通してしっかりと伝わってきた。
そのなかでも一番心を打たれたのは、両親を失い、叔父を殺され、少年兵として軍に入った19歳の青年の話だ。
■紛争は終結し、軍は警察の役割を担うようになったのだけれども、学校に戻って勉強をしたいという青年の除隊を上官は全く受け入れない。
瀬谷さんは彼のほんとうの気持ちを分かろうと試みるのだが、すっかり人生をあきらめてしまったかに見える青年はうなだれるばかり。
■すぐさま青年の所属する隊に向かうもまったく話がかみ合わない。これはダメだと、その方面を総括する准将に面会を求め、除隊が可能であるという発言を引き出した。
結局、除隊は無理だったのだが、軍に所属しながら学校で学ぶという道筋を作り出すことに成功する。
■デスクでパソコンと電話にしがみつき、早朝から深夜まで、ねじりハチマキで統計データを分析する。
いくら懸命にはたらいていたとしても、それでは本質的な問題解決にたどり着くことは出来ない。
極めて個人的な現実を見つめ、相手のこころの深いところに接することで見えてくるものは、実は全体としての問題解決の大きな糸口になるものなのである。
瀬谷さんが青年と真剣に向き合ったことで立ち現れてきたことは彼一人の悩みではなくて、その地域の軍全体がかかえている矛盾につながるものであり、ひとりの問題の解決は、多くの青年たちの苦しみを解放することにもつながるのである。
■が、感動を覚えたのは、そこではない。
自分の為に、雲の上の存在である准将と直接掛け合ってくれ、学ぶことにむけての道筋を示してくれた、その瀬谷さんの’本気’に目覚めた青年の瞳に感動したのである。
ここから先は自分の力で進んでいくんだよ、
という瀬谷さんに対して、
I know to do, now.
It's my life !
と、希望を取り戻したその瞳に感動したのだ。
そして、瀬谷さんの生き方の端っこの方にちょっとダケ触れることが出来たような気がして、じんわりと幸せな気分に浸ることが出来たのである。
<2009.04.29 記>
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