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2009年3月 6日 (金)

■NHKドラマスペシャル、白洲次郎。極上のレシピと、素材と、料理人。

白洲次郎。

戦後政治の中枢にいて貿易立国としての日本の青写真を描き、それを通産省(現:経済産業省)として結実させた実力者。

その一方で「粋(いき)」という言葉を調べると、必ずといっていいほど妻の正子とともに凛と立ち上がってくる伝説的なその名前。

ただ単に、カッコいい、というだけでなく、自信とヴィジョンを失って漂うばかりの今の日本において、まさしく最も着目すべき男なのである。

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■とはいっても、イメージとしての「白洲次郎」というのは強くあるのだけれど、己の不勉強は置いておくとしても、その実像はぼんやりとしてハッキリとした形を結ばない。

だから、こういうドラマ仕立てで「白洲次郎」に迫る試みはとても意味のあることなのだと思うし、実際、かなりの勢いで好奇心をくすぐるのである。

■また、ドラマという枠を大きくはみ出す演出が「白洲次郎」というカリスマに負けない力を発揮している。

俯瞰、あおり、大きな余白、

といった思い切ったカットにアザとさがなくて、しっかりとその場面での心情が伝わってくる。

■自分の頭で考え、やるべきことを実行する、Gentlemanとしてのprinciple(原理原則/信条)をケンブリッジの教授から叩き込まれるシーンがあって、おお、と思うまもなく、その後の英国での日々がモノクロームの写真と歌で語られ、学生戦没者慰霊碑と向き合う次郎で終わる。

何よりも、このシーンにヤラレテしまった。

いや、手法としてはどこかに既にあるのかもしれないけれど、その地で白洲次郎が胸に刻んだであろう、そして彼のこれからの人生の骨格になっていくであろうものが、観る者の中に深く構築される。

説明を一切省く思い切り、

その効果にしびれるのである。

■さて、その白洲次郎を演ずるのは伊勢谷友介。

ファッションモデルで、映画俳優で、東京藝大の院まで出てて、異母兄弟に山本寛斎がいるなんていう経歴は、今、ググッて調べたんだけども、それ以前に白洲次郎を張るだけの目ヂカラと面構えがあって役柄に決して負けていないのが素晴らしい。

あとは、近衛文麿を演ずる岸辺一徳の味わい深さも良かったのだけれども、吉田茂が良かったなあ。

■始めは誰だか分からなかったんだけど、しゃべり方をよく聞いてみれば、なんと原田芳雄さんじゃないですか。

いつものボサボサ頭じゃないから気付かなかったけど、いや、これほど真に迫った吉田茂は見たことが無い(もちろん本物と面識があったわけじゃないけれど(笑))。

■一つのところに止まると書いて、正しい、

なんて気の利いたセリフも多くて存分に楽しめた第一話なんだけれども、次回から核心の敗戦直後の政治の世界に入っていくようで、ますます面白くなっていくだろう。

何しろ、レシピも素材も料理人も一級品。

これは名作になる雰囲気がプンプンと漂っているのである。

    

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                             <2009.03.06 記>

■追記■
第3話って8月放送予定なんだそうな。

え?なんで!?と調べたら
原田芳雄さんが11月に大腸がんの手術を受けていたんだそうで、知らんかったなぁ。
でも、早期の大腸がんで術後も順調に回復して12月末には撮影に復帰されたようで何よりである。

もともと年始に放映する予定が3月にずれ込んだのはそれが理由のようだけど、第3話の撮影が4月から開始ってのは、ちと解せない。

実は予算をオーバーしちまったっていうウワサもあって、第1話の完成度を見る限り、さもありなんなわけだけれども、

まー、ちょっと気が長いハナシですな。

そういう「伝説」らしきところも含めて、

「名作」としての資格十分ってことだろうか。
   

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■ プリンシプルのない日本 (新潮文庫) 白洲次郎 著

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■STAFF■
原案: 北康利 「白洲次郎 占領を背負った男 (講談社文庫) 」、
     牧山桂子 「 次郎と正子―娘が語る素顔の白洲家
制作統括  : 鈴木圭
脚本・演出  : 大友啓史 
音楽          : 大友良英
美術          : 都築雄二
スチル        : 若木信吾

  
■CAST■
白洲次郎     : 伊勢谷友介(少年:高良健吾 晩年:神山繁)
白洲正子 (妻)  : 中谷美紀
白洲文平 (父)  : 奥田瑛二
白洲芳子 (母)  : 原田美枝子
ミヨシ (白洲家宮大工): 塩見三省
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吉田茂      : 原田芳雄
近衞文麿          : 岸部一徳
広田弘毅     : 世古陽丸
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マッカーサー    :ティモシー・ハリス
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牛場友彦 (幼馴染)  : 石丸幹二
辰巳栄一 (駐英武官) : 高橋克実
河上徹太郎 (文芸・音楽評論家) : 田中哲司
青山二郎 (骨董の目利き)     : 市川亀治郎
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ロビン (留学時代の親友):ED SPELEERS

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