■ゴキブリに意志はあるか?『爆笑問題のニッポンの教養』 ロボット工学、三浦宏文。
今回のテーマは、ロボット工学。
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE063:「ロボットの虫」 2009.2.24放送
工学院大学学長 機械システム工学科教授
ロボット工学 三浦宏文。
■ゴキブリ・ハイブリッドロボには魂消ました。
ボール紙の胴体にゴキブリの足をくっつけて、その神経に電気刺激をあたえるとノコノコ動き出す。
うーん、これってサイボーグ??
■三浦先生はNASAでアポロ計画に参画したほどの人なのだけれど、何故かそのキャリアを放り出してロボット工学の世界へ。しかも、当時黎明期を迎えていた産業用ロボットには見向きもせずに2足歩行ロボットにのめりこんだ。
へそ曲がり、というかきっと好奇心の人なんだろう。
で、2足歩行ロボットの基礎を作り上げてしまうと、
何だ、ロボットったって人間の打ち込んだコマンドの通りに動くだけじゃん、と見切ってしまう。
そんなとき、エサにありつこうとコソコソしているゴキちゃんと目があって、そこに「意志」を感じて「コレだ!」とひらめいた。
というのがゴキブリ・ロボットに至った切っ掛けなのだそうだ。
■けれど、そこで先生は断言する。
結局、ゴキブリに「意志」は無かった。
■人が現れるとコソコソッと素早く逃げるその仕組みは、おしりにあるセンサーが微妙な空気流れの変化を捉えて、走れ!というコマンドを励起する自律機械的なものであり、こちらの様子を伺いながらスリッパを構えた瞬間にササッと逃げる、そこにゴキちゃんの主体的「意志」は存在しないのだ。
太田も言うように、どうしても我々は対象を理解しようとしたときに、動物やら昆虫にまでも擬人化をしてしまうクセがある。
でも実際にそこにあるのは主体的意図のない自律反応なわけで、意志の虚像を生み出すのは常に我々の意識の方なのである。
■と、すると我々の「意志」も実は虚像なのであって、神の目で俯瞰してみれば我々もやはりタダの自律機械に過ぎない、という仮説も浮かんでくるだろう。
ダーウィン以降、人間だけが特別な理由なんてどこにも無くなってしまったのだ。
現在、「ヒトの意識」と等価であることを示すチューリングテストをパスするような機械は出現していないし、
またそれが生まれる予兆も無い。
けれども、三浦先生が作りだす自律機械の延長線上に、もしかするとネクサス6(*1)があるのでは、という気もしてくる。
それは同時に「人間の意識とは何か」という永遠の問いに一つの結論を与えることになるに違いなく、
その日は意外に近いのかもしれない。
*1) P・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(映画「ブレードランナー」の原作)に登場する自意識を持ったアンドロイド。ディックはこの小説の中で人間が人間である条件として共感能力を挙げている。
<2009.03.02 記>
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■ ロボット (岩波文庫)
カレル・チャペック 著
■ アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF) フィリップ・K・ディック 著
表紙が変わりましたね。何だか魔術書みたいです(笑)。
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