■背中が伝えるものなのだ。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 航空管制官・堀井不二夫。
久々のプロフェッショナルは、航空管制官の堀井不二夫さん。
■空を守る、不動の男・航空管制官・堀井不二夫
<2009.02.17放送> (番組HPより)
■空港の管制官ほどストレスのかかる仕事はないだろう。
何しろ何百人も乗客を乗せた何機もの旅客機を相手に、刻一刻と変化する状況に対して常に適切な指示を出す。
そこに失敗は許されない。
■しかもパイロットは管制官のいうことを信じ、その指示に従うワケで、極めて重い責任がのしかかる。
少し前の話だったか、経路が交差する2機の旅客機に対して管制官が間違って互いに近づくような指示を出してしまい、あわや空中衝突、という危機的状況を作ってしまったというアクシデントがあった。
その時、それぞれの旅客機に搭載された接近警報装置は「正しい」回避行動を指示していたのだけれども、実際にはパイロットは管制官の指示を優先してしまった、ということがあって、そこから考えても如何に管制官の指示が絶対的なものなのかが分かるだろう。
■そんな管制官が手に汗握りながら次々と指示を出していく管制室というのは、さぞやピリピリと張り詰めているだろうと思っていたのだが、意外にフランクな空気が流れているのに驚いた。
どうやら、そういう空気を作り出すのが堀井さんの流儀らしい。
■連帯感を感じる、安心できる、頼れる。
というのがパイロットたちが抱く堀井さんの印象だ。
堀井さんは常に、それぞれのパイロットの気持ちに寄り添って、共に飛ぶ。
それが伝わるから、着陸に向けて緊張を強いられる進入のシークエンスでもパイロットの気持ちを和らげることが出来るのだ。
■けれど、それは並大抵のことではなくて、共に飛ぶ、というからには百戦錬磨のパイロットたちの判断力と同じ高みに身を置かねばならないということだし、しかも同時に何機もの機体の動き、それぞれに気持ちを向けなければならない。
何故、そんなことが出来るのか。
実地訓練をはじめたばかりの若い管制官に対する堀井さんの指導を見ていて、何となくそのヒントがつかめそうな気がした。
■「パイロットの気持ちになって、」と指導するのではなく、
実際にパイロットの気持ちに立った管制をしてみせる。
短く簡潔な交信の中にパイロットと堀井さんとの確かな「つながり」が見えて、ああ、こうありたいと思える背中を見せること。
そのコトバでは表現できない、「こうありたい」という姿をしっかりと自分のものとしてイメージできること。
それさえあれば、技術的な問題は経験を積めば自然と身についてくる。
■逆に「こうありたい」という理想の構え、骨格を持たずに、自分の能力にまかせて状況を処理するテクニックばかりを研ぎ澄ませてしまうと、いつかどこかで破綻をきたしてしまう。
そういうものではないだろうか。
そして、それはどんな仕事についても言えるのではないか。
■実にフランクな羽田の管制室も、いざというときには別の顔をみせる。
バードストライクしたかもしれない、と離陸した機体のパイロットから連絡、急ぎ、滑走路を閉鎖して異物の排除に取り掛かる。
管制室のいろいろな立場のメンバーそれぞれが、今すぐにやるべきことを自分で判断し、堀井さんの了解を得る。
その、あうんの呼吸が見事でゾクゾクしてしまった。
ああ、こういうチームが作れたら、という理想の姿がそこにある。
■自分を権力者にしない、
どの立場のメンバーも常に自分の考えを臆することなく言える空気を作り出す。
と、口で言うのはたやすいが、なかなか実際にそういうチームを作れるものではない。
■ここでも、やっぱり「背中」なのだと思う。
「おまえら、自分で主体的に動けよ」なんて気持ちが裏に透けて見えたら、その「命令」を意識して、逆に、ボスの顔色を覗うようになってしまう。
そうではなくて、本気でメンバーひとりひとりの言葉を真摯に受け止める、その日頃、皆にみせている背中が生み出す安心感、
それが、自分で考え行動していいのだ、という主体性の原動力になるのだと思う。
<2009.02.20 記>
■機長の一万日―コックピットの恐さと快感!
田口 美貴夫 著 (講談社プラスアルファ文庫)
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