■金曜ナイトドラマ 『歌のおにいさん』。こんな時代に生まれた可哀想な子供たちへ。
タイトルにつられて久しぶりにこの枠を見た。
■ロックバンド『ジゼル』のヴォーカリストだった矢野健太(大野智(嵐))は、ある日突然メンバーに解散宣言をされ、決まっていた就職先からは内定取り消しを受けて茫然自失。ニートになるのだけは勘弁と仕事を探しまくるのだが見つからず、ワケも分からずにやっとつかんだ仕事がなんと「歌のお兄さん」だったのだ。
で、仕方なくお仕事をしにいくのだが、ベテランお兄さんの氷室洋一(戸次重幸)が牛耳る老舗こども番組『みんなでうたお!パピプペポン』の製作現場があまりにも馬鹿馬鹿しくて、矢野健太はその場を逃げ出してしまう・・・。
■何故、いま「歌のおにいさん」なのか。
派遣切りだとか、内定取り消しだとか、若者の生きにくい時代にあって、そこに不満を抱えている矢野健太。
けれども、それでも歯を食いしばって自分のやりたい事を諦めない情熱だとか、一生懸命だとか、そういった泥臭い道を避けることは出来なくて、それが生きているということなのだ。
■「裏切った」ジゼルのメンバーにしても、一流音大出であるにも関わらず動物の着ぐるみをかぶって踊ることを良しとする斉藤守(丸山隆平、関ジャニ∞)にしても、自分の夢に対して本気で向き合っていて、傍からみれば道化にしか見えないベテランお兄さんの氷室にしても、それは同じなのだ。
「こんな世の中じゃ、どうにもなんねー」と斜に構えてみても、ベテランお兄さんの道化ぶりを嗤ってみても、何事に対してもシッカリと向かい合うことを避けてきた矢野健太自身に跳ね返り、突き刺さる。
■そこに矢野健太が気付くところまでが第一話。
「深い」とか「展開が読めない」とか、そういう質の高いドラマではない。
あまり考えずに楽しむドラマなのである。
けれど、『みんなでうたお!パピプペポン』という脳みそが溶けそうな場面設定が「深さ」の対極にあるからこそ、浮かび上がってくる本質というものもある。
’何故、いま「歌のおにいさん」なのか。’
という問いの答えがそこにあるのだと思う。
■第一話のラスト、歌のおにいさんのオーディションの場面で、「子供は好き?」と番組プロデューサー(木村佳乃 )に聞かれた矢野健太が答える。
こんな世の中に生まれた今のこどもたちがかわいそうだ。
「歌のおにいさん」として成長していく矢野健太が、こどもたちに対して感じる思いがこれからどう変わっていくのか、そして自分自身の生き方をどう捉えなおすのか。
技巧に走ってこねくり回すような作品ではないだけに、きっと心地良いストレートが来るだろう。
こういう素直なドラマもいいものである。
<2008.01.18 記>
■追記■
■あまりにも「ピンポンパン」なんで驚くやら懐かしいやら。ちゃんと後ろに’おもちゃの木’はあるし、おにいさんのコスチュームも似てるし。
敏腕ディレクター役の木村佳乃もいいんだけど、ここまでやるんだったら’酒井ゆきえ お姉さん’でもよかったかも。あと、カータンもいいね。
けど、「ピンポンパン」って確かフジテレビだったような気が・・・。
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■STAFF■
脚本 : 永田優子
演出 : 長江俊和、髙橋伸之、梶山貴弘
音楽 : 辻陽
音楽協力: テレビ朝日ミュージック
制作 : テレビ朝日、泉放送制作
■CAST■
矢野健太 (主人公) : 大野智(嵐)
美月うらら (歌のおねえさん) : 片瀬那奈
氷室洋一 (ベテランおにいさん) : 戸次重幸
斉藤守 (新人兄さん、健太の同期) : 丸山隆平(関ジャニ∞)
真鍋杏子 (番組プロデューサー) : 木村佳乃
住吉一博 (番組ディレクター) : 前田健
中村洋子 (製作スタッフ) : 永池南津子
清水さやか(メイクさん) : 滝沢沙織
水野明音 (健太の元カノ、元ジゼル) : 千紗(GIRL NEXT DOOR)
安斉遼二 (明音についたプロデューサー?) : 吹越満
矢野光雄 (健太の父) : 小野武彦
矢野さくら (健太の姉) : 須藤理彩
小山克己 (健太の理解者) : 金児憲史
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