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2009年1月 9日 (金)

■【書評】 『 アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない 』 町山智浩。アメリカの良心としてのジャーナリスト魂。

タイトルに惹かれて読んでみた。

著者の町田智浩さんはアメリカ在住の映画評論家なのだけれど、なかなか読ませるコラムの書き手なのである。

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■アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

■序盤から、いかにアメリカ人が無知であるかをまくしたてる。

●18~24才の63%がイラクの場所を知らない。

●約5割がニューヨーク州の場所がわからない。

  <18~24才、2006年ナショナル・ジオグラフィック調査>

●41%がイラク戦争は9.11テロの報復として必要だったと考えている。

  <2007年ニューズウィーク誌調査>

●18~34才で新聞を読むのは3割以下、ネットで時事ニュースをチェックする者も1割程度。

  <「何故40歳以下のアメリカ人は時事ニュースを知らないか」 2005年>

●アメリカ成人の2割は太陽が地球の周りを回っていると信じている。

  <ノースウエスト大学 ジョン・D・ミラー博士の調査’2005年>

●自分たちの国が日本に原爆を投下した事実を知っているアメリカ人は49%に過ぎない。

  <「我々はどこまでバカか?」リック・シェンクマン 2008年>

■けれど本書は「無知なアメリカ人」をお笑いの対象としてあげつらうだけの本ではない。

その目的は、アメリカに蔓延する「無知であることをよしとする文化」をあぶりだすことにある。

その根幹にあるのが全米の人口の3割を占める「キリスト教福音主義」だ。

彼らにとって、聖書に書いてあることすべてが正しく、知識や知性は余計なものなのである。

そして、その福音主義を背景に大統領選に勝利したのがブッシュ現大統領であり、それ以降のブッシュ政権が如何にアメリカを混乱に陥れたかを具体的に語っていく。

■曰く、イラク戦争が如何にでたらめなものだったか。

曰く、住宅バブルが如何に馬鹿らしい仕組みによって成り立っていたか。

曰く、社会補償制度の民営化が如何に中流家庭を崩壊させ、格差社会を拡大させていったのか。

未だに引きずるイラク戦争の一方で泥沼化していくアフガニスタン、その足元をみる北朝鮮。バブルはふくらみ、年金は崩壊し、財政赤字は史上最大にまで膨張し、クリントン時代に持ち直した犯罪発生率も逆戻りしてしまった。

■09年1月現時点、ブッシュ大統領が如何ににアホであったかは、今や世界中60億人の知るところであるが、本書の内容が実際に記事として雑誌に掲載されたのは06年から07年頃であり、その時点でブッシュ政権の矛盾とその結果を見通している眼力は素晴らしい。

米国内のニュース報道はイラク戦争勃発時にその実態を伝えなかったといわれるのに対し、町田さんがニュースソースとしている書籍やドキュメンタリー映画はアメリカの良心としてのジャーナリスト魂をまだ失っていないようだ。

■対日戦争にしても、レッドパージにしても、今回のテロとの戦いにしても、自由の国アメリカは時として全体主義的な恐慌と熱狂に陥ることがある。

その単純な国民性こそが「無知なアメリカ人」のダークサイドなのだ。

だからこそ、この「100年に一度の危機」においてアメリカのジャーナリスト魂が健全であることの重要さを思うのである。

  

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                       <2009.01.09 記>
■追記■
恥ずかしながら実はアメリカには行ったことが無くて、これはちゃんと現地の空気を肌で感じたほうがいいなと実感した次第。上手く出張の理由をつけられないかな・・・。
     

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■アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない
町山 智浩 著 文藝春秋 (2008/10/9)
  

   
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