■木曜ドラマ 『 ありふれた奇跡 』、脚本・山田太一。淡々とした日常の底に流れるもの。
うーむ、たしかに山田太一だ。
■ぶっきらぼうで、細切れで、唐突なセリフ。
やりすぎじゃないというくらい細かく書き込まれていることが容易に想像できるト書き。
間違いなく山田太一であり、嫌でも期待が膨らんでしまう。
■けれども、少し様子が違う。
何だろう。
なんだか抑揚があまりなくて場面が淡々と進んでいく。
ああ、BGMが無いのだ。
ふぞろいの林檎たちの時のような、物語が大きく展開していくときに感情を盛り上げるサザンの曲みたいなものが無いのである。
衝撃的なラストシーンにかぶさるエンヤ以外は地の音だけで、結局、音楽が挿入されることは無かったんじゃなかろうか。
(いや、それは山田太一の最近の十八番だよ、なんてことだったらとっても恥ずかしいのでこっそり教えてやってください(苦;)。)
■冒頭のシーン、幸せそうな家族が遊ぶ公園のベンチに腰掛ける一人の男(陣内孝則)。ありふれた幸せの焦点がぼやけて、呆然と陣内がひとり座るベンチがぽっかりと浮き上がる。
その疎外感、現実から遊離した感じ。
第一話が終わったところでそのシーンを思い出し、その深みが後からじわじわと染み出してきた。
いいシーンである。
■そういえば陣内が出るドラマは久しぶりに見たのだけれど、自殺を止められた後、駅の事務所で「死ぬつもりなんか無かったんだよ!」と、仲間由紀恵と加瀬 亮に悪態をつく、そのギトギトの演技は相変わらずの陣内孝則で、なんだかホッと安心した。
変わらない、というのもいいものである。
■さて、ドラマを盛り上げるはずの仲間由紀恵と加瀬 亮の不器用な関係は不器用なままで進展をみせず、ラストの場面で陣内が最後にひとつだけ、と聞いた、
どうして自殺しようとしてたと分かったんでしょう、
もしかして、おふたりは死のうとしたことがあるんじゃないかと、
そのセリフがふたりの日常を淡々となぞっていたドラマに一撃を
加える。
これはインパクトがありました。
ああ、やっぱり山田太一だ。
これからの展開が楽しみなドラマになりそうである。
(注:上のセリフはうる覚えなので適当です、ハイ。)
<2008.01.11 記>
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■雪と氷の旋律
■ エンヤ 3年ぶりのニューアルバム。
主題曲 「ありふれた奇跡」収録。
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■STAFF■
脚本 : 山田太一
演出 : 田島大輔(FCC)、谷村政樹(フジテレビ)
音楽 : 海田庄吾
主題歌 : エンヤ 「ありふれた奇跡」( Dreams Are More Precious )
(アルバム「雪と氷の旋律」( And Winter Came... )収録 )
制作著作 : フジテレビ、FCC
■CAST■
中城加奈(29) : 仲間由紀恵
中城桂(50) 加奈の母 : 戸田恵子
中城朋也(54) 加奈の父 : 岸部一徳
中城静江(76) 加奈の祖母 : 八千草薫
田崎翔太(31) : 加瀬亮
田崎重夫(54) 翔太の父 : 風間杜夫
田崎四郎(77) 翔太の祖父 : 井川比佐志
藤本誠(50) : 陣内孝則
神戸幸作(42) 左官職人 : 松重豊
権藤(53) 警官 : 塩見三省
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■’まぁ、お茶でも’ さんの「《ありふれた奇跡》★01」
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