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2009年1月16日 (金)

■NHKスペシャル 女と男。「違う」というのは面白いことなのだ。

NHKスペシャル 「 シリーズ 女と男 」をみた。

女と男との差、というものが思っているよりも大きなもので、どうやらその違いは数百万年前のご先祖様が狩猟・採集生活をしていた時代に形作られたものらしい。

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■NHKスペシャル シリーズ 女と男 番組HP(第一回)より

■第1回「惹かれあう二人 すれ違う二人」(1/11(日)放送)は、男女の恋愛において脳の中で何が起こっているのか、女と男が何故擦れ違うのか?についてだったのだけれど、これが結構おもしろい。

まずは恋におちている女と男。

このとき脳の中では、ドーパミンがドパーっと出ていて気分が高まり、相手に「夢中」になってしまう。その一方で批判とか判断力を司る部分の活動は抑制される。

つまり、「恋は盲目」というけれど、実際、脳のハタラキもその通りだったということだ。

さらには、そういった恋に「盲目」となる脳のハタラキには期限があって、それは大体18ヶ月から3年くらいなんだそうで、「長すぎた春」というのもまた正しいというのだから恐れ入る。

小ネタとしては、男は相手の女性を選ぶときに視覚に頼るのだけれど、どこを見ているかというと「腰のくびれ」で、太め好みのオトコも細め好みのオトコも、ウエストとヒップの比率が7:10の「くびれ」が好きだというのがあって、おっさん、いい年して何を研究してるのか、という話である(笑)。

■さて、3年の賞味期限の話。

直立歩行を始めたご先祖さまは骨盤の構造上産道が小さくなり、生まれてくる赤ちゃんが未熟なため、それを夫婦で協力して育てていくのには3年くらいの年月が必要だ、という説が紹介された。

子供が3歳くらいになれば、男はオサラバして新しい若い女を探しにいく、というちょっとうらやましい話である。

■けれど、80歳、90歳まで夫婦で一緒に生きていく現代においては、そうも言ってられない。

すると、夫婦はパートナーとしていかに上手くやっていくか、ということになるのだけれども、ここでは男の分が悪い。

何しろ狩猟で鍛えた男の脳は、時々刻々と変化していく状況に対して常に決断を迫られる分析力、判断力が身上なんだけど、それは夫婦円満の秘訣にはなかなかなりにくい。

■かたや女性の脳は、コミュニティーを維持する為に相手の気持ちを察する力や、集団を和やかにまとめる力を伸ばしてきた訳で、夫婦喧嘩に及んだときには男は劣勢に立たざるを得ない状況に追い込まれ、大人気なく「うるさい!」と感情を爆発させるか、別の部屋にすごすごと退散する以外に手がないのである。

社会で働いているときには有効であった判断力や分析力は、かえって奥さんの逆鱗にふれることになったりして逆効果。

定年を過ぎた男性がしょんぼりと元気をなくすのも無理はない。

   
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■NHKスペシャル シリーズ 女と男 番組HP(第二回)より

■第2回「何が違う なぜ違う?」(1/12(月)放送)は、女と男の頭脳のハタラキ方について驚くべき話を展開する。

男と女では脳の発達に違いがある。

男は「好き嫌い」「怖い」「危険」といった認識をつかさどる偏桃体が発達し、女は記憶をつかさどる海馬が発達する。

その差は15歳以降に顕著になり、どうやらそれぞれ男性ホルモン、女性ホルモンの分泌による影響で発達していくようである。

■そこで脳のハタラキ具合を調べてみると、個人差は当然大きいのだけれど、男は空間認知力に優れ、女はことばに関する能力に優れているという傾向が出る。

それは、狩猟、採集生活を送っていたときに、オスは逃げ惑う獲物をしとめたところから我が家にいかにして戻るかが問われたからであり、メスは木の実がなる場所に行き着くための目印とか、そういう言語的な能力が問われたからだという。

■で、ここからが面白いのだけれども、同じ問題を解決するときに男と女で答えが同じなのにも関わらず使っている脳の部分が異なっているというのだ。

男は左側頭部の空間認知をつかさどる部分を活性化させ、そこを基点にして脳全体が活動していく。

それに対して、女の脳ではブローカー野といわれる言葉をつかさどる部分を基点として脳が活動するというのだ。

つまり、男と女では思考のプロセス=「思考回路」がまったく異なる、ということだ。

■地図が読めない「女」、人の話を聞かない「男」なんていうけれど、今までの理解ではそうはいっても個人差が大きくて、一般論ではそうかもしれないが個々人のレベルで考えれば人それぞれ、と考えていた。

それが根本的に違う、といっている。

■女と男の境界線はうすらぼんやりしたものではなくて、

・男性ホルモンによって作られる「分析、決断」の脳
 (狩猟に適した脳)

・女性ホルモンによって育まれる「協調、コミュニケーション」の脳
 (集団での採集活動に適した脳)

というふうにハッキリ色分けされてしまうということだ。

これは実はものスゴイことなのかもしれない。

■女の考えることはよく分からん。

と、不満に思うのは自分の思考の延長線上で「女」を分かろうとするからで、「相手のことが理解できない」とか、「何で自分を理解してくれないのか」だとか、もうそういう考え方は無駄だからもうやめにしていいのではないか。

「女」と「男」は違うのだ。

そもそも自分の物差しで相手を測ろうとすること自体がナンセンスで、決して比べることが出来るものではない。

■家庭とか職場とか、男女の人間関係が固定されて逃げにくい状況の中では、相手を理解しようという思いが時として当惑とか怒りの感情に変化してしまうことがある。

自分の予想が裏切られたとき、人は驚き、不安を抱えたりするものだ。

けれどもそうではなくて、予想を超えた考え方を「面白い」と感じて、そこに興味を向けるとき、その人間関係は互いに貶め合う悲しいものから、創発的で楽しいものに変わっていくのではないだろうか。

「違う」というのは面白いことなのだ。

                           <2009.01.16 記>

■追記■
今度の日曜放送の「 女と男~最新科学が読み解く性~ 第3回 男が消える?人類も消える?」も見逃せないな。

      

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コメント

電気羊さんこんにちは。
ちょくちょくお邪魔してます。

この番組、見逃して残念に思っていたので、とてもわかりやすい概要&ご感想、ありがとうございました。

私は「メス」ですが、現代社会のモラルは確かに「オス」の皆さん(笑)にはやりにくいかな、と時々思います
オスメス関係なく、人として、いい関係性を持てるようになればいいですね

投稿: ねこきち | 2009年1月17日 (土) 20時52分

ねこきちさん、こんにちは。

>人として、いい関係性
・・・そうですね。
これまで「オス」と「メス」で曲がりなりにもうまくやってきたんだから、今さら難しく考えすぎることもないのかもしれません。

投稿: 電気羊 | 2009年1月18日 (日) 09時56分

こんにちは、電気羊さん。男と女、共通の部分もあるように思います。違うところがあってもいいと思います。普段、私たちは、どちらを重視しているのでしょうか?
それこそ、人それぞれですよね。

投稿: こうすけ | 2010年6月20日 (日) 06時41分

こうすけさん、
コメントありがとうございます。
久しぶりに記事を読み返してみました。

>それこそ、人それぞれですよね。
その通りで、正解というのは無いんだと思います。今回の話をまるまる信じる危うさというのもあるでしょう。
それでもなお、脳の働き方が根本的に違う、というのは私にとっては衝撃的だったのです・・・。

投稿: 電気羊 | 2010年6月21日 (月) 20時27分

お久しぶりです。

お元気でいらっしゃいますか。

きっと、お元気でいらっしゃるのだと思います^^

そろそろ、アウトプットに転換される頃ではないですか^^

電気羊さんの視点、楽しみにしています。

投稿: 福ちゃん | 2010年7月10日 (土) 10時45分

福ちゃん

お久しぶりです!
お元気そうで何よりです。

2週間ほど前にパソコンがぶっ壊れて、今日やっと新しいのを手に入れたところです。

というわけでレスが遅れて申し訳ありません!


んで、記事の方なのですが、少し芸風を変えるかもしれません。
ぐるぐる、考えたり、考えなかったり。
ま、再開までは、もうしばらくかかりそうですね。

投稿: 電気羊 | 2010年7月19日 (月) 23時22分

電気羊さん

お返事ありがとうございます♪

芸風が変わっても、表現方法が変わっても、電気羊さんは電気羊さんなので、引き続き楽しみにしています。

時間って、必要ですよね。

投稿: 福ちゃん | 2010年7月21日 (水) 23時38分

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