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2009年1月

2009年1月30日 (金)

■NHKスペシャル 女と男。人類は生命の仕組みを越えてゆくことが出来るのか?

やっと見たんだけど、結構深刻な話でした。

Photo
■NHKスペシャル 女と男~最新科学が読み解く性~
第3回 男が消える?人類も消える?2009.01.18放送

■人類存亡の危機が迫っているという。

①「男」を作り出すY染色体が滅びつつある。

②男性が作り出す精子の劣化が激しい。

この2点である。

■①滅びつつあるY染色体

一般の染色体やX染色体は、父母から受け継いだ2つの染色体を持つことによって、遺伝子の劣化や突然変異を修復可能になっている。

それに対して「男性」であることを決めるY染色体は対になる相手の染色体を持たない。

故に、Y染色体は父から息子へとコピーを繰り返すことによって遺伝子の劣化が積み重なってゆく。

それら意味を成さないエラーが失われていくことによって、今やY染色体が持つ遺伝子の数はX染色体の14分の1になってしまっているのだそうだ。

■Y染色体の消滅、つまり’男性’の消滅が500万年以内に起きる、それが明日起きたとしてもおかしくないという学者もいるらしい。

しかも哺乳類は男性の遺伝子にしか「胎盤」を作る遺伝子がなく、’男性’の消滅は即ち、人類が通常の方法では子供を作れなくなるということだ。

■まあ、ショッキングなことではあるけれど、「明日起きたとしてもおかしくない」のは、「Y染色体だけしか持たない子供」が生まれてくるということだろうから、それが急速に人類の主流を占めることは無かろうという意味で、まだまだ先の「危機」なのだ。

それよりも恐ろしいのは’精子の劣化’である。

②急速に進行しつつある精子の劣化。

チンパンジーと人間の精子を比較した映像があったのだけれども、これが見事に様子が違う。

精子の濃度、元気度ともにチンパンジーの方が圧倒的に凄いのだ。もう、うじゃ~ってな感じで、さすがサル、精子の密度がケタ違いなのである。

■チンパンジーは発情期に乱交があって、いろいろなオスの精子同士の競争原理がはたらいて、濃くて元気のいい「選りすぐりの精鋭」が生き残っていく。

それに比べて一夫一婦制を選んでしまった人類は、他のオスの精子との競争が無い為に淡白でおっとりした精子の持ち主であっても、そこそこの’濃さ’があればオスとして生き残っていけるのである。

■やっぱしそのうち地球は「猿の惑星」になっちゃうのかね、

なんてお気楽なことを言っていられないのは、どうやら「一夫一婦制」説では説明のつかない事態が急速に進行しているからなのだ。

2001年のデンマークの調査によると、「1ml中の精子が2、000万個以下」という不妊相当の低濃度の男性が全体の2割、「4、000万個以下」の予備軍を含めると実に4割にも及ぶ。

全体の平均値も予備軍に極めて近い値にあり、日本での調査もそれと同等で、さらにフィンランドのデータでは1997年からの5年間に’必要な濃さ’の男性の割合が27%も減少したというのだ。

■その原因は未だ不明で、近い将来、我々が生きているうちに普通の妊娠が望めなくなってしまうことも十分にありえる話なのである。

とするなら、我々は生殖医療に頼っていかざるを得ないのかもしれない。

それは神の創り賜いし生命の仕組みに人間が本格的に介入していくということであり、同時に人類は新たなフェーズに入るということだろう。

■そこで思い出したのがリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」である。

生命の本質は遺伝子であって、生物は遺伝子の乗り物であり、我々は遺伝子によって操られ、生かされている「もの」なのだ。

少し記憶はあいまいだけれども、こんな話だったように覚えている。

■けれども、ドーキンスはその締めくくりに「ミーム」という概念を提示し、我々に救いの余地を残している。

われわれ人間がその短い生涯の中で作り出した「もの」、そして人から人へと脈々と受け継がれていく「もの」。

ミームとは、人間が意識とコトバを手にすることによって可能になった、遺伝子に頼らずに、成長し、受け継がれ、進化する’文化’や’科学技術’という新しい生命のカタチなのである。

■つまり、進化したミームは遺伝子の支配に抵抗し、ついにそのくびきから逃れるところまで来たということだ。

そのとき、自らが生み出したミームに逆に支配されているというベタなオチにならないように、われわれは’意識’をしっかりもってミームを制御していかなければならない。

もし、手遅れでなければ。

                            <2008.01.30 記>

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Photo ■利己的な遺伝子 <増補新装版>
■ リチャード・ドーキンス 著 紀伊國屋書店; 増補新装版版 (2006/5/1)  

   
   
  
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’煩悩是道場’ さんの「NHKスペシャル「女と男」-Y染色体は消滅するらしいんだけど」
 

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2009年1月28日 (水)

■お山の夕焼け。

2009_01_27_

今度は夕焼け。

最近、カメラが壊れてしまって、修繕するか・・・と思っていたら、キャノンIXYの去年のモデルが17Kと破格の値段でアマゾンにあったので、つい買ってしまいました。

IXY、いいですね。ぶれないし、賢いし。

前のカメラだと夕焼けの橙色が上手くでなくてイマイチだったんだけど、フルオートでもきれいな色が出てくれました。イケてます。

で、うれしくなってしまったので、空の写真の連続UPです(笑)。

                          <2009.01.28 記>

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■ Canon デジタルカメラ IXY (イクシ) DIGITAL 25IS
↑これです。
最新画像エンジンDIGIC4搭載のIXY 920ISと迷ったんだけど、25ISの方が小さくて軽いので道端写真ならこれでいいかっていうので選びました。けど、デビュー1年足らずこの価格。デジカメ業界も厳しいですね。

 
■■■ 空の写真 ■■■  
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2009年1月27日 (火)

■朝の羽衣。

2009_01_27_

朝の空気は まだまだキリリと冷たいですが、

陽がさしてくると その光があたたかく

少しずつ 春が近づいてくる気配を感じます。

 
■■■ 空の写真 ■■■  
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2009年1月24日 (土)

■【書評】『あっかんべェ一休』、坂口 尚。認めるより仕方ないじゃないか、それが今の’私’なのだから。

このマンガは何かに突き当たった時に開く、私にとっての大切なバイブルなのだ。

※大幅に加筆修正しました。(2009.01.26)

Photo Photo_2 ■ あっかんべェ一休

■今から600年ほど昔、

南北朝が統一され、武家が権力を握る時代。

後小松天皇の御落胤である千菊丸は、その母が南朝の出だということで在らぬ疑いを掛けられるのを避ける為に齢六歳にて臨済宗安国寺へ出家した。

周建と名付けられたその小坊主が後の一休宗純、あの「一休さん」なのである。

■「あっかんべェ一休」は、いとしい母から引き離されて禅寺に放り込まれた周建が、風狂と漂泊の果てに八十八歳で「死にとうない・・・」と呟いて逝ったその人生を、独自の哲学的かつ詩的な表現で描ききった作品。

作者・坂口 尚は、手塚治虫の愛弟子にして後継者と目された人だが、心不全に倒れ、49歳の若さでこの世を去った。

この作品はその坂口 尚が死の直前に書き上げた遺作であり、そのことを考え合わせると、一休さんの人生をなぞりながら坂口尚はそこに何を見ていたのだろうか、とさらなる想いが湧き上がる。

■何しろ破天荒に生きた八十八年である。

胸に迫る場面はいくつもあるのだけれど、やはり「悟り」の前後での一休さんの心の動きがしみじみとくる。

■一休さんが悟りを得る少し手前で、師匠の華叟宗曇(かそう そうどん)から出された『洞山三頓の棒』という公案に答えて詠んだ歌がある。

   
有漏地(うろじ)より 無漏地(むろじ)に帰る 一休み

雨ふらば降れ 風ふかば吹け
  

宗曇師から道号’一休’を頂く由来となった歌である。

■有漏地(うろじ)とは、漏(煩悩)の有る世界。

無漏地(むろじ)とは、煩悩の無い世界。

’私’は己の煩悩を消そうと修行をし、けれども見つめれば見つめるほどに強くなり、ますます逃れられなくなる煩悩に悩まされ、嘆き、悲しんできた。

「嘆く」のは’私’

「悲しむ」のは’私’

そしてこの世の中を、自分の境遇を「嘆くべきもの」「悲しむべきもの」としていたのは他ならぬ自分自身、’私’そのもの。

’私’という牢獄に囚われて、その自分で作り上げた檻のなかで「うろうろしていた(有漏々々していた)」、それが’私’だったのだ。

雨を「冷たい」と感じる自分、風を「きびしい」と感じる自分、そう「思い込んでいた」’私’の外側に立つならば、それはただの’雨’、ただの’風’なのであり、それ以上でもそれ以下でもない。

■その一休さんの視線に沿わせてみると、見えてくる’私’がある。

自分の思い通りにならないことに対して不満を抑えられないわがままな’私’。

自分の考えを否定された時に、あたかも自分の存在自体を否定されたかのように攻撃的になる’私’。

まわりの人たちに受け入れられていないと疎外感を感じて心を開こうとしない’私’。

そういう’私’が嫌で、過去の苦い記憶を掘り起こしては自己嫌悪に陥る’私’。

■そこには【わがままで無い自分】、【冷静な自分】、【まわりと打ち解けている自分】という理想像があって、そうじゃない自分が許せない。

しかも、性質(たち)が悪いことに、そんな自分勝手な価値観をまわりの人たちにも期待して、そうでないことに失望し、不満を抱いてしまったりするわけである。

■物事や出来事を評価して、「良い」とか、「悪い」とか、「正しい」とか、「間違ってる」とか、レッテルを張って、それにこだわる心。

自分自身を「甘えている」だとか、「これではダメだ」とか、決めつけてしまう心。

「良く思われたい」とか、「認められたい」、「愛されたい」という気持ちと、その期待が満たされないことで生まれる「悲しみ」とか、「怒り」とかいった心。

その【差別する心】が苦しみを生むのであって、【差別する私】の外側に立ってみるならば、ただ目の前の現実そのものが在るだけなのだ。

■「それではダメなんだ」と目の前の現実を批判したところで、何が変わるわけではない。

現実を、現実として受け止める。

悲しい、悔しい、腹が立つ。

それでいいじゃないか。

認めるより仕方ないじゃないか、それが今の’私’なのだから。

’雨’に打たれるのを味わうも良し、

’雨’が通り過ぎるまで一休みするのも良し、

’風’もまた然り。

■一休さんの「気付き」に最近ようやく近づけた気がする。

けれど、所詮は俗世にどっぷり浸かった凡夫であることには違いなく、気が付けばまた現実を歪め、差別する心に捉われていることだろう。

だから、

何度も何度も、繰り返し【気付く】ことにしよう。

その度に少しずつ【気付き】が本物の血や肉になっていくだろう。

そうすれば、もう少し楽に生きられるかもしれない。

    

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                           <2009.01.24 記>

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Photo Photo_2
■ あっかんべェ一休 (上) (下)
坂口尚 著 講談社漫画文庫【上下巻】(1998/10)
  
   

Photo_3 ■ 石の花 (1)
坂口尚 著 講談社漫画文庫【全5巻】(1996/7)
■1941年のナチス侵攻に始まるユーゴスラビア内戦に巻き込まれた少年と少女の物語。生き抜くということ、その苦悩、苦闘に満ちた世界の奥に広がる「永遠」がもたらす感動。
「あっかんべェ一休」、「バージョン」と共に坂口尚、長編3部作をなす作品であり、代表作である。
   
    

Photo_4 ■ バージョン (上)  
坂口尚 著 講談社漫画文庫【上下巻】2000/12
■「あっかんべェ一休」では戦国の世、「石の花」では現代史、そして、この「バージョン」では近未来が舞台となる。
世界のありとあらゆる情報を獲得し、その混沌の中から「意識」を獲得したバイオチップ・コンピューターをめぐる物語。SFというカタチをとってはいるけれど、その根底にあるテーマは「あっかんべェ一休」、「石の花」と共に変わることはない。   
   

    
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2009年1月20日 (火)

■ドラマ『銭ゲバ』。貧しいって悔しいね、同じ人間なのにね。

期待以上。こりゃ、本物だわ。

__2

カネのためなら、なんでもするズラ。

という風太郎にしてしまったその幼少期の出来事と、平成大不況の閉塞を生きる日雇い派遣の現在がオーバーラップしながら進行する。

見るものをぐいぐいと引きずり込む力みなぎる第一話であった。

そのやりきれなさは、「銭ゲバ」が今の時代に対して非常にタイムリーな作品であることを再確認させる。

■毎朝のロッカールームで今日、解雇を言い渡されるのは自分なのではないかとびくびくしながらも、それに気付かぬように黙々と着替える日雇い派遣の男たち。

仲間意識があるように見えて、カネを貸してくれという話になるとスッと離れていく孤独感。

多少の脚色はあるにしても、現場の空気が生々しく活きている。

■お前らはいくらでも代わりが利くんだ、人間だと思っちゃいねーんだよ、という石丸兼二郎の現場監督はちょっとやりすぎかもしれないが、

貧しいって悔しいね、

何が違うんだろうね、あの家の人たちと。

同じ人間なのにね。

と、つぶやく風太郎の母の回想シーンと共鳴して、暗く湿った重たいものが心に沈みこんでいくのだ。

カネが無いからお母さんは死んでしまった。

風太郎の左目の傷に深く刻み込まれたその怨嗟は、自分を弟のようにかわいがってくれた新聞屋の青年を撲殺し、そして今日、貯め込んだカネを持ち逃げしようとした男を撲殺する。

ただ、カネが無かった、たったそれだけのことで、これほどまでの地獄に堕ちてしまうものなのか。

■それとは対照的に三國造船のお嬢様として何不自由なく育った緑(ミムラ)。

一見、わけへだてない優しいこころをもったお嬢様に見えるのだが、その正義感は、出された菓子をランドセルにつめて母親のためにもって帰ろうとする「窃盗行為」を断じて許さない、その幼少期の出来事で語られるように、彼女は極めて自分本位で、その本質は自己満足を得るための偽善に過ぎないのである。

だから、風太郎は緑を許さない。

■さて、第一話で状況設定が出来て、早くも風太郎は緑に接近。

顔のあざにコンプレックスを抱いている緑の妹の茜(木南晴夏)も巻き込んで、ドラマはハイスピードで進行していく予感がする。

これは楽しみだ。

   

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                           <2009.01.19記>
■追記■
松山ケンイチ、変な役をやらせたら最高だね。やっぱ上手い。
森迫永依の天才ぶりも相変わらずだけれども、
それにも増して、風太郎の父親を演じた、椎名桔平!
あの最低最悪の「人でなし」っぷりは100点満点でしょう!
   

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■ かりゆし58 さよなら (初回限定盤)(DVD付)
■このテーマ曲、いいねぇ。ぐっとくるねぇ。

   
■【原作】

Photo ■ 銭ゲバ 上   ジョージ秋山 著 幻冬舎文庫(上/下)
■早速、読んだズラ。
ここまで突き抜けた物語を他に知らんズラ。
 
この作品が描かれてから40年も経つのに
世の中まったく変わってない、どころか
どろどろの中身はおんなじなのに、
表面上は’清潔’になっているように見せかけている分、
今のニッポンの世の中は性質が悪いズラ。

     
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■STAFF■
原作 : ジョージ秋山『銭ゲバ』(幻冬舎文庫)
脚本 : 岡田惠和
演出 : 大谷太郎、狩山俊輔
   
音楽 : 金子隆博
主題歌 : かりゆし58 「さよなら」
   
プロデューサー : 河野英裕、難波利昭
制作 : 日本テレビ


  
■CAST■
蒲郡風太郎     : 松山ケンイチ
             : 齋藤隆成(幼少期)
   
三國緑(三國家長女): ミムラ
             : 森迫永依(幼少期)
三國茜(三國家次女): 木南晴夏
三國譲次(三國造船社長): 山本圭
桑田春子(三國家の家政婦): 志保
   
荻野聡(刑事)    :  宮川大輔
菅田純(刑事)    :  鈴木裕樹
  
蒲郡桃子(風太郎の母): 奥貫薫
蒲郡健蔵(風太郎の父): 椎名桔平
  
野々村保彦(伊豆屋店主): 光石研
野々村祥子(保彦の妻) : りょう
野々村晴香(保彦の妹) : たくませいこ
野々村香(保彦の姪)  : 石橋杏奈

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■TVドラマ雑感・バックナンバー

■ 銭ゲバ 番組HP

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’まぁ、お茶でも’ さんの「《銭ゲバ》★01」
’子育ちP's 航生L(気分は冥王星)SQ’ さんの「松山ケンイチ『銭ゲバ』第1回…インパクトが強烈ズラ」
 

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2009年1月18日 (日)

■【書評】『航空機事故50年史』、加藤寛一郎。根っからの飛行機好きに向けたメッセージ。

飛行機好きのみならず、機械技術者には是非とも薦めたい本である。

Photo_4
■【文庫】 航空機事故50年史 ―第一人者がはじめてすべてを明かす
■加藤 寛一郎 著 (2008/4/17 講談社+α文庫 )

■航空機事故研究の権威、加藤寛一郎先生が自ら選んだ特徴的な88件の飛行機事故をもって、旅客機50年の歴史を俯瞰する試みである。

88件の事故のひとつひとつは2ページほどの中で簡潔かつ丁寧に語られ、読む者はその怒涛のようなシャワーを浴びることになる。

それぞれの事例がまた興味深く、その要因も機体自体が抱える問題や乗員の操縦の問題、整備、管制、気象、人間関係にまで及ぶ多岐に渡るもので、ちょっとしたショート・ミステリーとして味わうことが出来る。

■旅客機の歴史は、1950年代半ばから80年代前半にかけての「前期」に信頼性が確立し、1980年代後半から90年代前半の「中期」に弱点が露呈し始め、1990年代後半から現在(2008年)に至る「後期」に完成期を迎える。

航空業界は、その50年の歴史を通して数多くの事故を経験し、その原因を取り除くことで空の安全を確立してきた訳だが、それでもなお事故は無くならない。

それは「予想もしない」ことが起きるからである。

■例えば、

燃料を補給するときにキロ・グラムとポンドを間違えて、本来の半分程度の燃料で出発してしまい、1万メートルの上空で燃料切れになってしまった(1983年 B-767 カナダ)とか、

事故が起きても翼内の燃料タンクに突き刺さらないように設計されたパイロンが疲労破壊してエンジンが脱落、安全の為の構造が逆に事故を引き起こした(1992年 B-747 オランダ)とか、

与圧機能が故障し、警報が鳴って酸素マスクが降りてきたにも関わらず、機長を初めとした乗員はそれが機内の減圧によるものだと考えず、結局、酸欠で意識不明になり墜落した(2005年 B-737 ギリシャ)とか。

■加藤先生は「まさかの事故」は起こるけれども心配し過ぎることはない、という。

航空機の年間平均死亡者数294名に対して、自動車は日本だけで年間約7000名が死亡している。

確率論で考えれば、航空機は「十分に安全な」乗り物だとうことである。

■そうは言っても、走行速度が低くなれば低くなるほど自動車の「曲がる」、「止まる」という操縦性、安定性は安全サイドに動いていく。

一方、航空機は一定以上の対気速度と姿勢を維持していないと空中に浮いていることが出来ない。

特に高度が取れていない離発着時でのトラブルは致命的なことになりかねない。

航空機はその根本において危険をはらんだ乗り物なのである。

■もちろん加藤先生もそんなことは百も承知である。

むしろ、だからこそ操縦の自動化による操縦、整備のブラックボックス化や航空従事者の増加、担当の再分化による人的「質」の低下が進む現状を憂い、航空機を全体として捉えることの出来る「飛行機が好きで好きでしょうがない」人に是非ともこれからの航空業界を背負っていってもらいたい、という想いが溢れているのである。

加藤先生は根っからの飛行機好きなのだ。
    

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                          <2009.01.18 記>

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■【文庫】 航空機事故50年史 ―第一人者がはじめてすべてを明かす
■加藤 寛一郎 著 (2008/4/17 講談社+α文庫 )

     

Photo_4 ■ 飛行のはなし
■加藤 寛一郎 著 技報堂出版 (1986/10)
■零戦のエース・坂井三郎の必殺、左ひねりこみを航空力学で解明する!

  
   

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■【書評】『ジョーカー・ゲーム』、柳 広司。影なき男たちのヒロイズム。

スパイものの連作集なのだけれども、これは面白い。一気に読んだ。

Photo_2 ■ ジョーカー・ゲーム

■太平洋戦争前夜。謎の多い男、結城中佐が発足させたスパイ養成学校”D機関”。

天皇の赤子として喜んで戦地に果てる陸軍の信条を、その内部機関でありながらも非合理的と切り捨てる結城中佐。そのもとで肉体的、精神的に鍛え抜かれた若き精鋭たち。

騙し騙され、誰が敵か味方かも分からない諜報の世界で、決して誰にも知られることの無い静かな戦いを繰り広げる’姿なき’男たちの物語。

■そう聴いて誰もが想像するとおり、本作は陸軍中野学校がモデルになっている。

少し調べてみる限り、長髪、背広姿に、天皇の存在意義を議論する、とても陸軍の組織とは考えられない中野学校の校風がうまく再現されているようだ。

■さて、その中身であるが、5つの短編による連作として構成されている。

結城中佐とD機関の異様さを浮かび上がらせる「ジョーカー・ゲーム」、要人暗殺テロの計画の真偽を確かめるべく英国総領事のもとに潜り込む「幽霊(ゴースト)」、敵地で囚われの身になる「ロビンソン」、上海共同租界に跋扈する魑魅魍魎を描く「魔都」、D機関の卒業試験として独ソの二重スパイの正体に迫る「XX(ダブル・クロス)」。

いずれもスピーディーで淀みが無く、緊張感を途切れさせない良質のサスペンスである。

■それぞれの主人公は、D機関の人間であったり、そこに関わる陸軍の人間であり、それを描くことで「魔人」(というよりスパイマスター)結城中佐の人物像を多面的に描いていく。

結城中佐の口ぐせは「自死や殺人はスパイとしては最悪の選択肢だ」であるのだけれど、それは人道的な考えとは真逆のもので、スパイは人の目についてはいけないという観点から、周辺の耳目をいやでも集めてしまう「死」というものを出来るだけ遠ざけよ、ということである。

■人にその存在を知られてしまう、いや疑いを持たれた時点でスパイ活動は失敗となる。

10年、20年、たった一人で敵地に身を沈め、ごく当たり前の一市民の仮面をかぶりながら、密かに本国に情報を送り続け、一瞬の気の緩みも許されない。

その人生は常にフェイクであり、そこで得た家族も友人も偽りのものであり、その仮面の下の「自己」を表に出すことはなく、その本当の目的を誰に知られることもなく静かに消える。

■そんな男たちが、極めて優秀な知性と能力を持ちながらも「見えない存在」であることに徹し、自己を表現することも認められることもなく、どうやって「自分」を維持して生きていけるのか。

この作品集のテーマは、その点にある。

精神的、肉体的限界を超え、拷問を受けることですら「苦痛には限界があり、それ以上の苦痛は失神に至る」と相対化してしまう男たち。

一生誰も愛さず、何ものも信じないで生きていく。

それを可能にするのは、結局のところ「この程度のことが俺に出来ないはずがない」という恐ろしい程の自負心だけである。

と作中では語られる。

■けれども、そんな非人間的な存在として描かれる結城中佐とD機関の男たちなのであるが、「XX(ダブル・クロス)」という最後の一篇において’ジョーカー・ゲーム’から降りた人間に対する抑えがたい優しさが垣間見えて、「甘い」という見方もあるだろうけれども、やはりホッとしてしまう自分がいる。

それは、そうあって欲しい、という願いが生み出した錯覚なのかもしれないが、その高みに無縁の存在にとってするならば、それでいいのだとおもう。

この続編を是非とも期待したい。

       

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                          <2009.01.18 記>

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Photo_3 ■ ジョーカー・ゲーム
■柳広司 著  角川書店 2008/8/29刊
2008年の「このミス」で2位、「文春ベスト」で3位にランクイン。
   

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’今日はちょうどよい日和だから ’ さんの「[読書2008]柳広司『ジョーカー・ゲーム』」
 

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■金曜ナイトドラマ 『歌のおにいさん』。こんな時代に生まれた可哀想な子供たちへ。

タイトルにつられて久しぶりにこの枠を見た。

Photo
■金曜ナイトドラマ 歌のおにいさん 

■ロックバンド『ジゼル』のヴォーカリストだった矢野健太(大野智(嵐))は、ある日突然メンバーに解散宣言をされ、決まっていた就職先からは内定取り消しを受けて茫然自失。ニートになるのだけは勘弁と仕事を探しまくるのだが見つからず、ワケも分からずにやっとつかんだ仕事がなんと「歌のお兄さん」だったのだ。

で、仕方なくお仕事をしにいくのだが、ベテランお兄さんの氷室洋一(戸次重幸)が牛耳る老舗こども番組『みんなでうたお!パピプペポン』の製作現場があまりにも馬鹿馬鹿しくて、矢野健太はその場を逃げ出してしまう・・・。

■何故、いま「歌のおにいさん」なのか。

派遣切りだとか、内定取り消しだとか、若者の生きにくい時代にあって、そこに不満を抱えている矢野健太。

けれども、それでも歯を食いしばって自分のやりたい事を諦めない情熱だとか、一生懸命だとか、そういった泥臭い道を避けることは出来なくて、それが生きているということなのだ。

■「裏切った」ジゼルのメンバーにしても、一流音大出であるにも関わらず動物の着ぐるみをかぶって踊ることを良しとする斉藤守(丸山隆平、関ジャニ∞)にしても、自分の夢に対して本気で向き合っていて、傍からみれば道化にしか見えないベテランお兄さんの氷室にしても、それは同じなのだ。

「こんな世の中じゃ、どうにもなんねー」と斜に構えてみても、ベテランお兄さんの道化ぶりを嗤ってみても、何事に対してもシッカリと向かい合うことを避けてきた矢野健太自身に跳ね返り、突き刺さる。

■そこに矢野健太が気付くところまでが第一話。

「深い」とか「展開が読めない」とか、そういう質の高いドラマではない。

あまり考えずに楽しむドラマなのである。

けれど、『みんなでうたお!パピプペポン』という脳みそが溶けそうな場面設定が「深さ」の対極にあるからこそ、浮かび上がってくる本質というものもある。

 ’何故、いま「歌のおにいさん」なのか。’

という問いの答えがそこにあるのだと思う。

■第一話のラスト、歌のおにいさんのオーディションの場面で、「子供は好き?」と番組プロデューサー(木村佳乃 )に聞かれた矢野健太が答える。

    
こんな世の中に生まれた今のこどもたちがかわいそうだ。
  

「歌のおにいさん」として成長していく矢野健太が、こどもたちに対して感じる思いがこれからどう変わっていくのか、そして自分自身の生き方をどう捉えなおすのか。

技巧に走ってこねくり回すような作品ではないだけに、きっと心地良いストレートが来るだろう。

こういう素直なドラマもいいものである。

      

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                         <2008.01.18 記>

■追記■
■あまりにも「ピンポンパン」なんで驚くやら懐かしいやら。ちゃんと後ろに’おもちゃの木’はあるし、おにいさんのコスチュームも似てるし。
敏腕ディレクター役の木村佳乃もいいんだけど、ここまでやるんだったら’酒井ゆきえ お姉さん’でもよかったかも。あと、カータンもいいね。
けど、「ピンポンパン」って確かフジテレビだったような気が・・・。
     

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■STAFF■
脚本 : 永田優子
演出 : 長江俊和、髙橋伸之、梶山貴弘
音楽 : 辻陽
音楽協力: テレビ朝日ミュージック
制作 : テレビ朝日、泉放送制作


  
■CAST■
矢野健太  (主人公)          : 大野智(嵐)
美月うらら (歌のおねえさん)     : 片瀬那奈
氷室洋一 (ベテランおにいさん)    : 戸次重幸
斉藤守   (新人兄さん、健太の同期) : 丸山隆平(関ジャニ∞)
    
真鍋杏子 (番組プロデューサー) : 木村佳乃
住吉一博 (番組ディレクター)   : 前田健
中村洋子 (製作スタッフ)     : 永池南津子
清水さやか(メイクさん)        : 滝沢沙織
     
水野明音 (健太の元カノ、元ジゼル)  : 千紗(GIRL NEXT DOOR)
安斉遼二 (明音についたプロデューサー?) : 吹越満
   
矢野光雄 (健太の父)        : 小野武彦
矢野さくら (健太の姉)         : 須藤理彩
小山克己 (健太の理解者)      : 金児憲史

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■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

■金曜ナイトドラマ 「 歌のおにいさん 」 番組HP

■トラックバックさせていただきます■
’時流を聴く’ さんの「『歌のおにいさん』がいいかもしれない」
 

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2009年1月17日 (土)

■ハドソン川の奇跡。エアバスA320、離陸上昇時バードストライクによるエンジン損傷からの生還。

15日午後3時半ごろ、ニューヨーク市のラガーディア空港を離陸直後のUSエアウェイズのエアバスA320型国内線旅客機(乗客150人、乗員5人)が、マンハッタン西側を流れるハドソン川に不時着水した。機体は川に浮いた状態となり、ニューヨーク市消防当局や沿岸警備隊が救助船を派遣。USエアウェイズ社は約1時間20分後、乗客乗員全員が救助されたと発表した。<yomiuri記事より抜粋>

Photo

■これは凄い。神技である。拍手喝采である。

現時点での報道によると、A320は離陸30秒後くらいに鳥の群れに遭遇しエンジンを2発とも損傷、ほぼ出力が出ない状態に陥ったようだ。

離陸時は急角度で上昇する為、この時点での急な出力低下は致命的。高度も取れていないので失速から回復する余裕も無く、中途半端な対応は即、墜落につながってしまう。

■ドン、という衝撃を受けた時にバードストライク(鳥との衝突)によるエンジン損傷だと機長がすぐに理解できていたかどうかは分からない。

けれども、即座に上昇を中止し失速に入るのを防いだ、もしくはすぐに回復させた(たぶん無意識的な)対応がまず一点。

そのときの高度と位置と機体の向きから、どこに機体を降ろすかを瞬時に決意して、同時にキャビンにいる乗客乗員に対ショック体勢をとることを指示した冷静さが一点。

そして実際に、この馬鹿でかくて重い機体をハドソン川に対して滑らかに着水させた超人的な技量が一点。

そのどれが欠けたとしても乗員・乗客155名を無傷で生還させる奇跡を起こすことは出来なかったであろうことは確かである。

Photo_3

■エンジンの破損が進行せずに機体や操縦系統の損傷に至らなかったこと、すぐそばに長い直線が取れ、かつ水面が安定した大きな川があったこと、船や橋などの障害物がなかったこと、周りの状況が良く分かる日中であったこと。

こういった「幸運」に恵まれたのも確かだけれど、何よりもかによりもベテラン機長の資質と能力と経験があったればこその奇跡なのである。

■着水後、氷点下6度を下回る外気温のもと、機体が沈没する前に救助を完了させた沿岸警備隊や消防局の迅速な対応も素晴らしい。

また、周辺にいた遊覧船なんかも救助に参加したようで、四の五の言わずにすぐ助けに入るところは、9.11でニューヨーク市民が体験したことがまだ生きているのかもしれない。

Photo_2

■離陸上昇中のジェット旅客機はものすごい勢いで空気を吸い込んでいるので、海鳥の群れに遭遇したときには、これも吸い込みやすいのも理屈である。

実際にバードストライクはかなりの頻度で発生しているようだ。

かつては1975年ケネディ国際空港でのDC-10のエンジン破壊、脱落事故のようなものもあったが、現在では鳥を吸い込んだ時の基準も確立され、大きな墜落事故はなかったように記憶している。

世界中で一日に何千回もの離発着があって、この事故一件だけで急に怖がる必要は無いけれども、致命的な事故が発生する確率がゼロではないということだ。

今回の事故を教訓に「その時」の対応について航空各社で共有し、操縦士の技量向上に活かしてもらいたいところである。

                          <2009.01.17 記>

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■【文庫】 航空機事故50年史 ―第一人者がはじめてすべてを明かす
■加藤 寛一郎 著 (2008/4/17 講談社+α文庫 )
■ちょうどこの本を読み終えたところだった。共時性ってやつだろうか。

    
■関連記事■

■【書評】『航空機事故50年史』、加藤寛一郎。根っからの飛行機好きに向けたメッセージ。

 
■過去の記事■ 飛行機、宇宙の話など  
    

■トラックバックさせていただきます■
’大石英司の代替空港’ 「The War Within」
 

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2009年1月16日 (金)

■NHKスペシャル 女と男。「違う」というのは面白いことなのだ。

NHKスペシャル 「 シリーズ 女と男 」をみた。

女と男との差、というものが思っているよりも大きなもので、どうやらその違いは数百万年前のご先祖様が狩猟・採集生活をしていた時代に形作られたものらしい。

Photo_3
■NHKスペシャル シリーズ 女と男 番組HP(第一回)より

■第1回「惹かれあう二人 すれ違う二人」(1/11(日)放送)は、男女の恋愛において脳の中で何が起こっているのか、女と男が何故擦れ違うのか?についてだったのだけれど、これが結構おもしろい。

まずは恋におちている女と男。

このとき脳の中では、ドーパミンがドパーっと出ていて気分が高まり、相手に「夢中」になってしまう。その一方で批判とか判断力を司る部分の活動は抑制される。

つまり、「恋は盲目」というけれど、実際、脳のハタラキもその通りだったということだ。

さらには、そういった恋に「盲目」となる脳のハタラキには期限があって、それは大体18ヶ月から3年くらいなんだそうで、「長すぎた春」というのもまた正しいというのだから恐れ入る。

小ネタとしては、男は相手の女性を選ぶときに視覚に頼るのだけれど、どこを見ているかというと「腰のくびれ」で、太め好みのオトコも細め好みのオトコも、ウエストとヒップの比率が7:10の「くびれ」が好きだというのがあって、おっさん、いい年して何を研究してるのか、という話である(笑)。

■さて、3年の賞味期限の話。

直立歩行を始めたご先祖さまは骨盤の構造上産道が小さくなり、生まれてくる赤ちゃんが未熟なため、それを夫婦で協力して育てていくのには3年くらいの年月が必要だ、という説が紹介された。

子供が3歳くらいになれば、男はオサラバして新しい若い女を探しにいく、というちょっとうらやましい話である。

■けれど、80歳、90歳まで夫婦で一緒に生きていく現代においては、そうも言ってられない。

すると、夫婦はパートナーとしていかに上手くやっていくか、ということになるのだけれども、ここでは男の分が悪い。

何しろ狩猟で鍛えた男の脳は、時々刻々と変化していく状況に対して常に決断を迫られる分析力、判断力が身上なんだけど、それは夫婦円満の秘訣にはなかなかなりにくい。

■かたや女性の脳は、コミュニティーを維持する為に相手の気持ちを察する力や、集団を和やかにまとめる力を伸ばしてきた訳で、夫婦喧嘩に及んだときには男は劣勢に立たざるを得ない状況に追い込まれ、大人気なく「うるさい!」と感情を爆発させるか、別の部屋にすごすごと退散する以外に手がないのである。

社会で働いているときには有効であった判断力や分析力は、かえって奥さんの逆鱗にふれることになったりして逆効果。

定年を過ぎた男性がしょんぼりと元気をなくすのも無理はない。

   
Photo
■NHKスペシャル シリーズ 女と男 番組HP(第二回)より

■第2回「何が違う なぜ違う?」(1/12(月)放送)は、女と男の頭脳のハタラキ方について驚くべき話を展開する。

男と女では脳の発達に違いがある。

男は「好き嫌い」「怖い」「危険」といった認識をつかさどる偏桃体が発達し、女は記憶をつかさどる海馬が発達する。

その差は15歳以降に顕著になり、どうやらそれぞれ男性ホルモン、女性ホルモンの分泌による影響で発達していくようである。

■そこで脳のハタラキ具合を調べてみると、個人差は当然大きいのだけれど、男は空間認知力に優れ、女はことばに関する能力に優れているという傾向が出る。

それは、狩猟、採集生活を送っていたときに、オスは逃げ惑う獲物をしとめたところから我が家にいかにして戻るかが問われたからであり、メスは木の実がなる場所に行き着くための目印とか、そういう言語的な能力が問われたからだという。

■で、ここからが面白いのだけれども、同じ問題を解決するときに男と女で答えが同じなのにも関わらず使っている脳の部分が異なっているというのだ。

男は左側頭部の空間認知をつかさどる部分を活性化させ、そこを基点にして脳全体が活動していく。

それに対して、女の脳ではブローカー野といわれる言葉をつかさどる部分を基点として脳が活動するというのだ。

つまり、男と女では思考のプロセス=「思考回路」がまったく異なる、ということだ。

■地図が読めない「女」、人の話を聞かない「男」なんていうけれど、今までの理解ではそうはいっても個人差が大きくて、一般論ではそうかもしれないが個々人のレベルで考えれば人それぞれ、と考えていた。

それが根本的に違う、といっている。

■女と男の境界線はうすらぼんやりしたものではなくて、

・男性ホルモンによって作られる「分析、決断」の脳
 (狩猟に適した脳)

・女性ホルモンによって育まれる「協調、コミュニケーション」の脳
 (集団での採集活動に適した脳)

というふうにハッキリ色分けされてしまうということだ。

これは実はものスゴイことなのかもしれない。

■女の考えることはよく分からん。

と、不満に思うのは自分の思考の延長線上で「女」を分かろうとするからで、「相手のことが理解できない」とか、「何で自分を理解してくれないのか」だとか、もうそういう考え方は無駄だからもうやめにしていいのではないか。

「女」と「男」は違うのだ。

そもそも自分の物差しで相手を測ろうとすること自体がナンセンスで、決して比べることが出来るものではない。

■家庭とか職場とか、男女の人間関係が固定されて逃げにくい状況の中では、相手を理解しようという思いが時として当惑とか怒りの感情に変化してしまうことがある。

自分の予想が裏切られたとき、人は驚き、不安を抱えたりするものだ。

けれどもそうではなくて、予想を超えた考え方を「面白い」と感じて、そこに興味を向けるとき、その人間関係は互いに貶め合う悲しいものから、創発的で楽しいものに変わっていくのではないだろうか。

「違う」というのは面白いことなのだ。

                           <2009.01.16 記>

■追記■
今度の日曜放送の「 女と男~最新科学が読み解く性~ 第3回 男が消える?人類も消える?」も見逃せないな。

      

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■ 話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く

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2009年1月14日 (水)

■森 進一だよ、おふくろさん。

先週の金スマで森 進一の話をやっていた。

「いつみても波瀾万丈」風の構成だったんだけど、森進一の半生って意外と知らなかったんだなぁ。

Photo_2

■小学校低学年のとき、母に連れられて小さい弟と妹と一緒に、ろくでなしの父親から逃げだした。

その後、子供を3人抱えた母の苦労を見て育った森進一は、カネをいっぱい稼いで楽をさせてあげようと中学を出たときに上京、努力と強い思いと少しの運で売れっ子の演歌歌手になり、家族を東京に呼び寄せ、ついに念願を果たすことができた。

ここまではいわゆる「いい話」。

■けれど、運命というものは残酷なものである。

売れっ子になった森進一のコアなファンの一人が、森進一と結婚の約束をした、子供も生まれたがマネージャーに奪い取られた、という根の葉も無い妄想に囚われ、それを鵜呑みにした無責任なマスコミにもみくちゃにされ、しまいには妄想女から裁判まで起こされてしまう。

その女に勘違いの切っ掛けを与えてしまったのが母親からそのファンへのお礼状だったことで森進一の母は思いつめ、そして、ついには自殺に及んでしまったのだ。

■「おふくろさん」を川内康範が書き上げて森進一が歌い出したのは、母の自殺の前なのだけれど、その後の森進一にとってのこの歌は特別なものになり、「おふくろさん」を歌うことが、コトバでは言い尽くせない想いを’空にある’母へ伝える唯一の道になったのだという。

・・・泣ける話だ。

「おふくろさん」は子供のときから聞いてきて、あの独特の声と表情にばかり気がいっていたのだけれど、四十になって改めて聞くと感動的な歌である。

ましてや、こんな話を聞いたあとではなおさらだ。

■森進一を息子のように思っていたはずの川内康則が「おふくろさん」を歌うことを禁じたのは何故か分からない。

当時、川内康則が主張していた「私の歌詞の前に勝手にセリフを入れやがったのは断じて許せん」というのは変な話で、その「セリフ」というやつは何十年前から付け加えて歌われてきたものだ。

番組の最初に鳥越俊太郎がなんとなくぼやかした本当の理由は、やっぱり明かされず、まあ、それはこの手の番組で期待することではないだろう。

■そんなゴタゴタ話なんてのはどうでも良くて、要は、森進一が川内康則の遺族と和解して「おふくろさん」が解禁になったことが大切なのである。

紅白での「おふくろさん」を見たときにはあまり深く考えなかったけれど、いや~、森進一の「おふくろさん」を聞くことが出来るようになって本当によかった。

川内康則は、その国の心を代表する「ナショナルソング」なるものを意識していたようだけど、確かに心に沁みるいい歌で、’ニッポンのこころ’として歌い継がれていい歌だとおもう。

                            <2009.01.14 記>

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Photo ■ ファンが選んだ森進一 ベストアルバム

      

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2009年1月12日 (月)

■月明かりに浮かぶ夜の雲。

2009_01_10__iso400_02

夜空に白い雲が広がっていた。

月の光はここまでも明るかったのか、

   

静かな夜だ。

                            <2009.01.11 記>

 
■■■ 空の写真 ■■■  
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2009年1月11日 (日)

■木曜ドラマ 『 ありふれた奇跡 』、脚本・山田太一。淡々とした日常の底に流れるもの。

うーむ、たしかに山田太一だ。

Photo
■木曜ドラマ 『ありふれた奇跡 』第1話より。

■ぶっきらぼうで、細切れで、唐突なセリフ。

やりすぎじゃないというくらい細かく書き込まれていることが容易に想像できるト書き。

間違いなく山田太一であり、嫌でも期待が膨らんでしまう。

■けれども、少し様子が違う。

何だろう。

なんだか抑揚があまりなくて場面が淡々と進んでいく。

ああ、BGMが無いのだ。

ふぞろいの林檎たちの時のような、物語が大きく展開していくときに感情を盛り上げるサザンの曲みたいなものが無いのである。

衝撃的なラストシーンにかぶさるエンヤ以外は地の音だけで、結局、音楽が挿入されることは無かったんじゃなかろうか。

(いや、それは山田太一の最近の十八番だよ、なんてことだったらとっても恥ずかしいのでこっそり教えてやってください(苦;)。)

■冒頭のシーン、幸せそうな家族が遊ぶ公園のベンチに腰掛ける一人の男(陣内孝則)。ありふれた幸せの焦点がぼやけて、呆然と陣内がひとり座るベンチがぽっかりと浮き上がる。

その疎外感、現実から遊離した感じ。

第一話が終わったところでそのシーンを思い出し、その深みが後からじわじわと染み出してきた。

いいシーンである。

■そういえば陣内が出るドラマは久しぶりに見たのだけれど、自殺を止められた後、駅の事務所で「死ぬつもりなんか無かったんだよ!」と、仲間由紀恵と加瀬 亮に悪態をつく、そのギトギトの演技は相変わらずの陣内孝則で、なんだかホッと安心した。

変わらない、というのもいいものである。

■さて、ドラマを盛り上げるはずの仲間由紀恵と加瀬 亮の不器用な関係は不器用なままで進展をみせず、ラストの場面で陣内が最後にひとつだけ、と聞いた、

   
 どうして自殺しようとしてたと分かったんでしょう、

 もしかして、おふたりは死のうとしたことがあるんじゃないかと、

 
そのセリフがふたりの日常を淡々となぞっていたドラマに一撃を

加える。

   
これはインパクトがありました。

ああ、やっぱり山田太一だ。

これからの展開が楽しみなドラマになりそうである。

(注:上のセリフはうる覚えなので適当です、ハイ。)

    

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                           <2008.01.11 記>

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Photo_4 ■雪と氷の旋律
■ エンヤ 3年ぶりのニューアルバム。
主題曲 「ありふれた奇跡」収録。

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■STAFF■
脚本    : 山田太一
演出    : 田島大輔(FCC)、谷村政樹(フジテレビ)
音楽    : 海田庄吾
主題歌   : エンヤ 「ありふれた奇跡」( Dreams Are More Precious )
        (アルバム「雪と氷の旋律」( And Winter Came... )収録 )
制作著作 : フジテレビ、FCC

  
■CAST■
中城加奈(29)          : 仲間由紀恵
中城桂(50)   加奈の母   : 戸田恵子 
中城朋也(54) 加奈の父   : 岸部一徳
中城静江(76) 加奈の祖母  : 八千草薫  

田崎翔太(31)                    : 加瀬亮 
田崎重夫(54) 翔太の父      : 風間杜夫 
田崎四郎(77) 翔太の祖父  : 井川比佐志

藤本誠(50)           : 陣内孝則
神戸幸作(42) 左官職人      : 松重豊
権藤(53)        警官             : 塩見三省

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■ありふれた奇跡 番組HP

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’まぁ、お茶でも’ さんの「《ありふれた奇跡》★01」
 

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2009年1月10日 (土)

■【映画】『パンズ・ラビリンス』。あまりにもやるせない、人生という名の迷宮。

ファンタジーだと思って見始めたら、もう深いのなんの、理不尽に溢れたこの世で生きていくということはどういうことなのかしみじみと考えさせられる実に深い深い作品なのであった。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.22  『 パンズ・ラビリンス
           原題: El laberinto del fauno
             メキシコ・スペイン・アメリカ合作映画
             監督・脚本: ギレルモ・デル・トロ  公開:2006年 (日本:2007年)
       出演:イヴァナ・バケロ セルジ・ロペス 他

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■ストーリー■
1944年、内戦下のスペイン。独裁者フランコに心酔するビダル大尉と母が再婚することになり、オフェリアは大尉の駐屯地である山奥へやって来る。途中の山道で奇妙な昆虫と出会ったことをきっかけに、彼女は現実とは思えない体験をすることになる。

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■のっけから衝撃的な場面がある。

ゲリラと間違われて捕えられた親子がいて、その息子の方が無実を訴えた瞬間に、ビダル大尉は躊躇なくビンの底でその顔面を叩き潰し、すぐさま父親の方も射殺する。

そこには哀れみとか同情とかそういった甘ったるい感情の入り込む余地はまったく無い。

このシーンはビダル大尉がフランコ独裁政権の理不尽さと恐怖が実体として目の前に現れた動かしがたい存在であると告げると同時に、この作品があくまでも現実世界の物語であることを宣言しているのだ。

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■その一方でオフェリアのもとにあらわれる妖精もガシャガシャと不快な音で飛び回る恐ろしげな昆虫の姿であって、とてもじゃないが夢見がちな少女が嫌な現実から逃れようとして生み出した空想の産物とは思えない。

そこに生まれる生々しい現実感は単なるファンタジーであることを拒絶し、屋敷の森の奥にある迷宮に棲む牧羊神(パン)の存在や、彼女が地下にある永遠の王国の王女の魂の生まれ変わりだというおとぎ話を現実の世界と地続きなものとして感じさせることに成功している。

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■この作品はオフェリアが王女として永遠の王国に戻るべく対峙する3つの試練の物語なのだけれど、ビダル大尉の率いる政府軍とレジスタンスの戦いの物語も併走し、それが実に見事に重なり合ってドラマとしての厚みが生まれていてそこが素晴らしい。

そしてラストシーンにおいて、この物語には実はもうひとりの主人公がいたのだと理解したとき、人生の意味というものを深く考えさせられてしまうのである。

Photo ■【DVD】 パンズ・ラビリンス

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■

■さて、あのラストシーンである。

第3の試練として生まれたばかりの弟の血をささげよ、とオフェリアに強く迫る牧羊神(パン)。

けれど彼女には、いたいけな弟を傷つけることがどうしても出来ない。

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■牧羊神は去り、王国への道は閉ざされる。

そこに彼女を追ってビダル大尉が現れ、オフェリアを射殺し、自分の存在を受け継ぐべき息子を取り戻す。

そして場面はオフェリアが身を横たえながら血を流すオープニングカットにつながり、彼女は本当に死んでしまうのだという受け入れがたい事実が突きつけられるのだ。

■実は、自分の身を犠牲にしても無垢な赤ん坊を守り抜く純粋さを貫き通せるかどうかが最後の試練で、オフェリアの血が井戸に滴り落ちることで王国への門が開き、彼女の魂は永遠の王国で待つ父と母のもとに還っていく。

ここで観る者は少しほっとするのだけれど、どこか割り切れない気持ちが残ってしまう。

これは果たしてハッピーエンドなのだろうか。

■この世界での唯一の理解者であったメルセデスの腕の中でこと切れるオフェリア。

それは単なる抜け殻であって本当のオフェリアは永遠の幸せに包まれているのだ、なんて割り切りが出来るはずもない。

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■そこで提示された結論は、この世界では生まれた時の純粋さを保ったまま生きていくことは出来ない。

人としての自分の気持ちを純粋に貫こうとするならば、時として死をも覚悟しなければならない。

ビダル大尉の手に落ちた吃音の青年を医師として解放せずにはいられなかったドクター・フェレイロにとっての人生とはいったい何だったのか。

■迷宮の前でビダル大尉を待ち構えていたレジスタンスたち。

その息子はメルセデスの手に受け取られ、大尉は自分の死んだ時刻を息子に伝える懇願を聞き入れられることなく射殺される。

父の存在を受け継ぎ、その冷たく重いカセに苦しむ心を押し殺して生きてきたビダル大尉の不幸がその息子へとさらに引き継がれる悲劇、狂気の連鎖を永遠に断ち切る。

監督の強い意志が伝わってくるシーンである。

■ビダル大尉をファシズムの比喩とするならば、その狂気に取り込まれた者はその牢獄の囚人なのであって、冷え切ったその心の奥にしまわれた魂は、「’自分自身’からは決して逃れることは出来ない」という意味で、抑圧される側よりもむしろ悲劇的なのかもしれない。

そう考えると実はこの映画のもうひとりの主人公はビダル大尉なのであって、同時にそれは程度の差こそあれ、理不尽さに充ちあふれたこの世の迷宮に囚われた我々自身の姿なのである。

そこから逃れる道は「死」のみであり、つまりはこの世に安息の場所などは無いということになる。

■けれど、たとえそう捉えたとしても作品全体が決してシニカルに感じられないのは、そんな世の中でも歯を食いしばって生きていくレジスタンスたちの強さが深く描かれているからだ。

汚されることを拒んだドクター・フェレイロの道も、たとえ汚れても這ってでも生き抜こうとするレジスタンスたちの道も、自らの強い意志で選び取ったという意味に違いは、無い。

      
理不尽な運命に流されない強い意志がある限り、

永遠の王国へつづく道は、常に開かれているのだ。

    
だから、この映画はやっぱりハッピーエンドだったんだなと思うのだけれど、どうかな。

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                           <2009.01.10 記>

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■【DVD】 パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

■【DVD】 パンズ・ラビリンス DVD-BOX

   
   
■ギレルモ・デル・トロ 監督作品■
デビルズ・バックボーン / ミミック / ブレイド2
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■蛇足■  
■この映画の魅力はそのテーマの深さだけではなくて妖精や怪物たちの造形の素晴らしさにもある。

オフェリアの本の挿絵を見ていわゆる妖精の形に変身するオバケトビナナフシも、母親のベッドの下で蠢くマンドラゴラ(マンドレイク)も秀逸なのだけれど、第2の試練であらわれる目の無い怪物のデザイン、これはもう圧倒的。

■未だかつてこれほど生理的恐怖を感じる怪物造形に出会ったことがあっただろうか。この造形だけを取ってみれば、もしかするとH・R・ギーガーを超えてしまっているのではないだろうか。

そのためだけにDVDーBOXを買おうとしている怪物フリークな私は興奮気味で少し冷静さを失っているのである(苦笑)。

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■目の無い怪物の不気味なこと!子供を喰らうこの怪物の名前は’ ペイルマン’というのだそうです。そういや、「手の目」なんて妖怪もいましたね。
 

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■あ、オフェリア!それを食べてはいけない!怪物が動き出したぞ!
 

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■この恐ろしさは夢に出る。絶対に子供には見せてはいけないのだ。
 

    
■過去記事■

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■STAFF■
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ
 
撮影:ギレルモ・ナヴァロ
編集:ベルナート・ヴィラプラナ
美術:エウヘニオ・カバイェーロ
セットデザイン:ピラール・レヴェルタ
音楽:ハビエル・ナバレテ
音響:マーティン・ヘルナンデス、ミゲル・ポロ
 
特殊効果:レイエス・アバデス
視覚効果:エヴェレット・バレル
衣装デザイン:ララ・ウエテ、ロシオ・レドンド
 
製作:ギレルモ・デル・トロ、ベルサ・ナヴァロ、アルフォンソ・キュアロン、他



■CAST■
オフェリア   (主人公の少女)        : イヴァナ・バケロ
パン (迷宮の番人)/ ペイズマン       : ダグ・ジョーンズ
ビダル大尉 (ゲリラ掃討の指揮官)     : セルジ・ロペス
カルメン    (オフェリアの母)        : アリアドナ・ヒル
Dr.フェレイロ  (ゲリラに内通した医師)    : アレックス・アングロ
メルセデス  (大尉の使用人)         : マリベル・ヴェルドゥ
ペドロ     (ゲリラの頭目、メルセデスの弟): ロジェール・カサマジョール


   
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2009年1月 9日 (金)

■【書評】 『 アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない 』 町山智浩。アメリカの良心としてのジャーナリスト魂。

タイトルに惹かれて読んでみた。

著者の町田智浩さんはアメリカ在住の映画評論家なのだけれど、なかなか読ませるコラムの書き手なのである。

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■アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

■序盤から、いかにアメリカ人が無知であるかをまくしたてる。

●18~24才の63%がイラクの場所を知らない。

●約5割がニューヨーク州の場所がわからない。

  <18~24才、2006年ナショナル・ジオグラフィック調査>

●41%がイラク戦争は9.11テロの報復として必要だったと考えている。

  <2007年ニューズウィーク誌調査>

●18~34才で新聞を読むのは3割以下、ネットで時事ニュースをチェックする者も1割程度。

  <「何故40歳以下のアメリカ人は時事ニュースを知らないか」 2005年>

●アメリカ成人の2割は太陽が地球の周りを回っていると信じている。

  <ノースウエスト大学 ジョン・D・ミラー博士の調査’2005年>

●自分たちの国が日本に原爆を投下した事実を知っているアメリカ人は49%に過ぎない。

  <「我々はどこまでバカか?」リック・シェンクマン 2008年>

■けれど本書は「無知なアメリカ人」をお笑いの対象としてあげつらうだけの本ではない。

その目的は、アメリカに蔓延する「無知であることをよしとする文化」をあぶりだすことにある。

その根幹にあるのが全米の人口の3割を占める「キリスト教福音主義」だ。

彼らにとって、聖書に書いてあることすべてが正しく、知識や知性は余計なものなのである。

そして、その福音主義を背景に大統領選に勝利したのがブッシュ現大統領であり、それ以降のブッシュ政権が如何にアメリカを混乱に陥れたかを具体的に語っていく。

■曰く、イラク戦争が如何にでたらめなものだったか。

曰く、住宅バブルが如何に馬鹿らしい仕組みによって成り立っていたか。

曰く、社会補償制度の民営化が如何に中流家庭を崩壊させ、格差社会を拡大させていったのか。

未だに引きずるイラク戦争の一方で泥沼化していくアフガニスタン、その足元をみる北朝鮮。バブルはふくらみ、年金は崩壊し、財政赤字は史上最大にまで膨張し、クリントン時代に持ち直した犯罪発生率も逆戻りしてしまった。

■09年1月現時点、ブッシュ大統領が如何ににアホであったかは、今や世界中60億人の知るところであるが、本書の内容が実際に記事として雑誌に掲載されたのは06年から07年頃であり、その時点でブッシュ政権の矛盾とその結果を見通している眼力は素晴らしい。

米国内のニュース報道はイラク戦争勃発時にその実態を伝えなかったといわれるのに対し、町田さんがニュースソースとしている書籍やドキュメンタリー映画はアメリカの良心としてのジャーナリスト魂をまだ失っていないようだ。

■対日戦争にしても、レッドパージにしても、今回のテロとの戦いにしても、自由の国アメリカは時として全体主義的な恐慌と熱狂に陥ることがある。

その単純な国民性こそが「無知なアメリカ人」のダークサイドなのだ。

だからこそ、この「100年に一度の危機」においてアメリカのジャーナリスト魂が健全であることの重要さを思うのである。

  

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                       <2009.01.09 記>
■追記■
恥ずかしながら実はアメリカには行ったことが無くて、これはちゃんと現地の空気を肌で感じたほうがいいなと実感した次第。上手く出張の理由をつけられないかな・・・。
     

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■アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない
町山 智浩 著 文藝春秋 (2008/10/9)
  

   
■関連記事■
■【書評】『 ルポ 貧困大国アメリカ 』。国家の病理は個人的つぶやきに現れる。
        

■過去記事■
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2009年1月 6日 (火)

■やる気をくじく、8つの方法。出来ないことより出来たことを見つめよう。

正月休みにネットを眺めていて面白い記事にぶつかった。 

■”やる気”のくじき方入門

ビジネスマン向けの記事なのだけれども、元気な組織を作る、というだけでなく、子育てとか家庭円満にもつながる内容だと思う。

何しろ ”やる気”のくじき方、っていう人を食ったタイトルの付け方からして面白い。

■やる気をくじく、8つの方法。

●①「高すぎる目標」は、やる気をくじく

――“絶対”、“100%”、“いつでも”、“どんなときでも”、“1日も欠かさず”、“必ず○人”、といった瞬間に、やる気はくじける。

●②「自分を低く評価する」ことは、やる気をくじく

――他人からの評価でも、自分についての評価でも、10のうち一つでも”悪い評価”を与えられると、そこばっかり気にしてしまって、”オレはダメだ!”と思ってしまうのが人のこころの特性なのだ。

●③「不安を煽る」と、やる気がくじかれる

――やばい、やばい、と不安を煽り続けると夢も希望も無くなって、「ああ、もう、なんかどうでもいいや」みたいな感じになってくる。

●④「細かいことにこだわる」と、やる気をなくす

――例えば日本史を学ぼうとするとき、全体の概要から入らずに、最初から全部丁寧に細かくやっていくから、歴史全体、日本史全体が何なのかよく分からなくなって、興味も湧かなくなってしまう。

●⑤「競争が強すぎる」と、やる気がくじける

――自分が相手に勝てると思ったときはすごくがんばるのだが、「勝てないな」と思った瞬間に、急にやる気がなくなって生産性が低くなる。常に競争では疲れてしまう。

●⑥「自分の居場所がなくなる」ことは、やる気をくじく

――みんなから愛される、尊敬される、自分の居心地のよさにつながらないことに対しては、やる気が出ない。

●⑦「個人の努力に期待」しても、やる気は出ない

――放っておいても、やる気は出ない。

●⑧「理屈だけで、現場に出ない」と、やる気がくじける

――目の前の仕事をこなすだけではやる気は出ない。純粋な好奇心で、どんなふうに使っているか、喜ばれているかを体験すると仕事に対する見方が変わる。

■どれも、耳が痛い話ばかりである。

  
出来ないことより出来たことを見つめよう。

そして、その出来たことが、

どれだけちっぽけなことであっても

実は、

そのちっぽけが世の中全体につながっていて、

私はそこに貢献している。

それが、生きていくことの駆動力なのだ。

   
   
つまりは、そういうことだと思う。

8つも気にすることがあると大変だから、まあ、気になった2つ3つを心にとめて、今年もボチボチやっていこうか。

                        <2009.01.06 記>

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