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2008年12月28日 (日)

■ドラマ 『あの戦争はなんだったのか 日米開戦と東条英機』、昭和も歴史になりにけり。

日米開戦に至るまで、日本の中枢で何が起きていたかを東条英機に焦点をあてて描いたドラマなのだけれども、これがなかなか予想以上に見せる作品であった。

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■東条英機をビートたけしが演じたのだけれども、どこからどうみてもビートたけしであって、ハゲのづらをかぶって軍服を着た日にゃ、もうコントにしか見えなくて笑いをかみ殺していたのだけれども、ドラマが進むに連れてすっかり東条英機に見えてしまうのだから、たけしはやっぱりスゴイ人である。

■陸軍は昭和12年の盧溝橋事件に始まる中国進出の拡大から抜き差しならない状況に自ら嵌まり込んでいき、昭和16年7月の南部仏印進駐が英米の虎の尾を踏み、資源供給を止められた日本は、英米の言いなりとなる’4等国’への後退か、対米開戦かの選択を迫られる状況に追い込まれる。

その究極の状況の中で、戦争回避を望む昭和天皇の意を受け、外交による解決の道を探ろうとする東条英機の苦悩が描かれる。

■それに対して、状況打開のために対米英開戦を早めたい陸軍と、陸軍の尻拭いのための開戦に積極的でない海軍と、米国に裏を見透かされ打つ手が無い外務省。

外交の継続による状況打開か、開戦かの議論は紛糾するも、英米の資源封鎖によって既に開戦が避けられない状況に追い込まれていたわけで、東条英機の苦悩はある意味、昭和天皇に戦争が避けられないと伝える、その帝の意志に反する上奏をせざるを得ないその内的な苦しみにあったといえる。

■その真面目で器の小さな東条英機の人間っぽさをうまく醸し出していたビートたけしの演技のそこが、実にしっくりときたのである。

そして東条英機の人間的側面に光をあてたその点が、開戦に至る道を描く幾多の作品と一線を画するところであったように思うのだ。

■その為には東条英機が向き合う昭和天皇を描かねばならない。

今まで日本の映画やドラマで、裕仁・天皇陛下を役者が演ずるものとしてハッキリと描いた作品はほとんど無かったのではないだろうか。

陛下を画面に出すにしてもその後姿であったりして、ハッキリ正面から言葉を発する作品は記憶には無い。

それを描いた。

■実は、何よりもそこが衝撃的であった。

戦後生まれにとっても「天皇陛下」は特別なものであって、俗世にさらすべからざる存在であったという自分の中の意識に改めて気付いた、その気付きがまた衝撃であったのだ。

崩御があり、平成の世になって20年。

本当の意味で’戦後’が終わったのだ、

’昭和’が歴史になったのだ。

その現実が心に染み渡ったのである。

■戦前と戦後をつなぐ’昭和’という時代は’裕仁’という存在抜きには語れない。

今上天皇にはその特別さは無く、明らかな断層がそこに横たわっていたのだと今になって気付く寂しさといった感情があって、平成20年の暮れを味わってみるのである。
  

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                          <2008.12.28 記>

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■開戦、東條英機が泣いた―昭和史の大河を往く〈第2集〉
保阪正康 著 (2007/06)

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■STAFF■
演出 : 鴨下信一
脚本 : 池端俊策
オリジナルテキスト : 保阪正康
プロデューサー : 八木康夫 堤 慶太 那須田 淳
制作 : TBSテレビ ドラマ制作センター・報道局

  
■CAST■
東条英機(総理大臣・陸軍大臣)ビートたけし
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東郷茂徳(外務大臣) 橋爪 功
近衛文麿(前総理大臣) 山口祐一郎
木戸幸一(内大臣) 風間杜夫
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武藤 章(陸軍省軍務局長) 高橋克実
佐藤賢了(陸軍省軍務局軍務課長) 木村祐一
石井秋穂(陸軍省軍務局軍務課高級課員)阿部 寛
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杉山 元(参謀総長) 平野忠彦 塚田 攻(参謀次長) 目黒祐樹
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嶋田繁太郎(海軍大臣) 伊武雅刀
永野修身(軍令部総長) 六平直政
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賀屋興宣(大蔵大臣) 益岡 徹
鈴木貞一(企画院総裁) 大杉 漣
豊田貞次郎(前外務大臣) 平泉 成
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石井キヨ子(石井秋穂 妻) 檀れい
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昭和天皇 野村萬斎

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吉原政一(東都新聞記者) 高橋克典
徳富蘇峰 西田敏行
 
■物語にさしこまれる高橋克典の新聞記者と徳富蘇峰の二人のシーンはかたはらいたく、まさに蛇足であった。変なことしなきゃいいのに・・・。
  

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