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2008年11月14日 (金)

■【映画評】『おくりびと』。愛しい肉親の死もいずれ必ずやってくるのだ。

とても朴訥で静かで、それがまた心に深く響く映画であった。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.20  『 おくりびと
          監督 滝田洋二郎 脚本 小山薫堂 公開:2008年 9月
       出演: 本木雅弘 広末涼子 山崎努 笹野高史、他

01

■ストーリー■
楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。

面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収める仕事。

当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。
(シネマトゥデイ)

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■笹野高史がいい。

吉行和子が一人で切り盛りする銭湯があって、笹野はそこの常連客を演じているのだけれども、

ふたりのさらりとした優しさが滲み出るやりとり。

それが終盤の場面での

   
 達者でのう、また逢おうのう。
  

というセリフとなって静かで穏やかで温かい涙を誘うのだ。

■本木雅弘も素晴らしく良かった。

失意の中で故郷に帰り、みつけた仕事が納棺師。

山崎 努と余貴美子に見守られながらいくつもの「死」に立ち会い、時に親族の感情の動きに心を揺らし、時に場違いな出来事にクスりとする。

そうやって、ゆっくりとした山形の時の流れの中で、納棺師として成長していく主人公。

その成長した納棺師としての本木の演技、そこにシビれたのだ。

■遺族を前にして、遺体を清め、生前の幸せを思い起こさせる化粧を施す。

その切れのいい所作。

その静かで透明な眼差し。

「感情」はキレイに削ぎおろされ、「死」に対して真摯に丁寧に向き合う。

そこに張り詰めた、凛とした空気が感動的なまでに美しい。

■「死」からは誰も逃れることは出来ない。

愛しい肉親もまた、いつかは死を迎えることになる。

それ故に、われわれはそれを忌み、排除し、見ないことにして日常を過ごしている。

けれど、こころのどこかに、その逃れられない事実が残っているために、納棺師などの「死」に関わる仕事からできる限り遠ざかっていようとするものだ。

そして、「その時」が訪れたときに初めて、死別の不条理を否が応でも思い知らされることになる。

無念、後悔、無力感、といった生々しい感情が一気に噴き出してくるだろう。

それを無理に押しとどめることは無い。

それは極めて自然なことなのだ。

■焼却係として延々と仏さまを見送ってきた笹野高史。

深く想いを寄せていた吉行和子の遺体が燃え盛る炎に包まれる光景に目を向けながら、こうつぶやく。

  
 「死」というのは そこで終わりというのじゃなくて

 くぐり抜ける「門」、みたいなものじゃないでしょうかね。
   

そうだよね、そうかもしれない。

だって、そうじゃなかったら あまりにも切ないもんな。

   

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                           <2008.11.14 記>

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■STAFF■
監督:滝田洋二郎
脚本:小山薫堂
音楽:久石譲
撮影:浜田毅
照明:高屋斎
録音:尾崎聡
美術:小川富美夫
編集:川島章正
衣装監修:北村勝彦
ビューティー・ディレクター:柘植伊佐夫
イメージソング:AI (AI+EXILE ATSUSHI)
                    「おくりびと/So Spacial-Version AI-」
製作: おくりびと製作委員会
TBS、セディックインターナショナル、松竹、電通、テレビユー山形、他




■CAST■
小林大悟 (元チェロ奏者、納棺師)     :本木雅弘
                                                      (幼少時:井桁雅貴)
小林美香    (大悟の妻)                   :広末涼子
      
佐々木生栄 (NKエージェント社長)     :山崎努
上村百合子 (NKエージェント事務員)  :余貴美子
    
山下ツヤ子 (銭湯「鶴の湯」主人)      :吉行和子
山下       (大悟の同級生)      :杉本哲太
平田正吉    (「鶴の湯」の常連客)      :笹野高史
      
小林淑希    (失踪した大悟の実父)   :峰岸徹

    
■過去記事■

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