■緒形拳、死去。当たり前のように存在していたものもいつかは消え去ってしまうのが道理だとしても。
5日、緒形拳さんが亡くなった。
数年前に発病した肝がんを周囲に隠し通しながらも、亡くなる直前まで俳優であり続けた。
71歳であった。
■突然の訃報にしばらく意味が分からなかったのだけれども、
落ち着いて、緒形拳さんを代表するような作品って何だったかと考えたとき、何も浮かんでこないのにも驚いた。
そんなわけはない。
緒形拳さんは、テレビドラマでも映画でもCMでも、子供のときからずーっと「そこ」にいた存在なのだ。
■そう、いつでもそこにいた。
けれどもそれは、気がつけばそこにいるといったやわらかな存在などではなく
凛とした静かな笑みの奥に梃子でも動かない極太の情念を宿している、そういう一種独特の雰囲気が極めて強い存在感の役者さんであった。
■たぶん数多の名作で見た「緒形拳」は、その登場人物そのものではなく、その役柄を通して「緒形拳」自身を強烈に発散していたのではないだろうか。
思い浮かぶいくつもの映画のシーンでの拳さんは、あくまでも緒形拳のイメージなのである。
こういう役者さんは他にもいろいろ居そうだが、実際に想像してみると「自身」よりも役者としての器用さにどうしても目が行ってしまう。
そして、大きな存在を失ってしまったことに思い至るのだ。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
<2008.10.08 記>
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