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2008年10月

2008年10月30日 (木)

■【映画】『クワイエットルームにようこそ』。人生に出口は無い、だからこそ明るくひとりで歩いていくのだ。

なんとなーく予備知識もなく見たのだけれど、そういうとき、「イイ映画」に出会う確率が妙に高いように思うのは気のせいだろうか。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.19  『クワイエットルームにようこそ』
          監督・脚本: 松尾スズキ 公開:2007年10月
       出演: 内田有紀 宮藤官九郎 蒼井優 他

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■え!、これはナニ?ワタシ、一体どうなっちゃったの?

という始まり方をする映画は好きである。

主人公といっしょに「事態」に巻き込まれ、次第にあかされる真相に愕然とする。

「クワイエットルームにようこそ」も、そのたぐいの映画なのだけれども、その愕然の先にある感情の行く先を描いているところがとても素敵なのである。

■ストーリー■
■バツイチのフリーライター佐倉明日香は目覚めたら真っ白な部屋で手足を拘束されている自分に気がついた。
そこは精神病院の閉鎖病棟。どうやら睡眠薬ののみ過ぎで担ぎ込まれたらしい。
いったい何が起きたのか? 果たして彼女は閉鎖病棟から無事に出られるのか?

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■DVD 『 クワイエットルームにようこそ 』 特別版

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

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■ワタシは普通。なんでもない。

ただ酔っぱらって睡眠薬を飲みすぎただけ。

そう思う明日香(内田有紀)にとって、精神科隔離病棟は自分がいるべきでない「異界」であることは明らかだ。

けれど同棲している構成作家の男(宮藤官九郎)は担当番組の罰ゲームで肩にオウムを乗っけてビルマへ。

唯一頼りに出来る引き取り手を失って、明日香は隔離病棟に取り残されてしまう。

■扉の影からそーっと覗いていて、何かをつぶやいている女、

自分の髪の毛に火をつけてギャーと叫ぶ女、

そういう混乱に乗じて、それではワタクシ失礼します、とさりげなく脱走を図る和服のおばさんさん。

■しばし呆然とする明日香だったが、退院していく栗田さん(中村優子)を見送り、軽度の拒食症だというミキ(蒼井優)と仲良くなったりして、次第にその生活にも馴染んでいく。

そこに「事件」が発生する。

■次第に明らかになっていく大量服薬の状況。

「つまらない」夫との離婚。

流産。別れた夫の自殺。

彼の遺した「残念だった」という言葉。

そんなとき、

流れ着いた風俗店で「面白い」を与えてくれた今の同居人。

けれど、その「面白い」日々は彼女が背負ってしまったものを覆い隠して楽にするようなことは決してなく、

むしろその空虚な面白さの間隙を縫って、苦しさは、さらに深々とその胸に深く突き刺さっていくのだ。

■ワタシは「ちょっと睡眠薬を飲みすぎちゃった」のではない。

人生に絶望して死のうと思ったのだ。

それを西野(大竹しのぶ)に大声で指摘され、なんとかカタチを保っていた『彼女』はガラガラと音を立てて崩れていく。

半狂乱になった明日香を止めようとするミキ(蒼井優)を突き飛ばして言い放つ。

この、バケモノ!!
  

■なんて、やるせないシーンなんだろう。

残酷で、強烈で、いままでのドラマのすべてを吹き飛ばしてしまうような、そんな破滅的なシーンである。

■そこで明日香を見上げるミキの瞳。

信頼していた友に裏切られたというような単純な悲しみではない。

自分が「正常」では無いことは痛いほど理解している。

その黒くゆれる瞳には、むしろ、

「あなたもコッチの人間だったのね」

という明日香に対する深い哀れみの感情が込められているのである。

・・・蒼井優、凄すぎる。

■クワイエットルームのドアを少しだけ開いて拘束された明日香に向けてミキが何かをつぶやく。

それは聞こえない微かな声なのだけれども、

「クワイエットルームにようこそ」

と語りかけたのだと思う。

それは明日香が初めてクワイエットルームで意識を戻したシーンの再現なのだが、今回は、本当の意味での『ようこそ』なのである。

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■そこには、人は誰でも「正常」とは言い切れない。

なんていうありきたりな表現では収まりきらない深い心の動きがある。

人生そのものが突きつけられる、そういう深さなのである。

■ようやくビルマから帰還した同居人(宮藤官九郎)に退院の手続きをとってもらう明日香。

けれど明日香はその場で彼を「解放」してあげる。

彼女が彼に求めていたものは愛ではなく、自分のつらさを隠すための「面白い日々」であったことに気がついたのだ。

ここで、「そんなことないよ、もう一度一緒に頑張ろう」なんて言い出したりせずにどこかホッとした表情をみせる宮藤官九郎の芝居が素敵であった。

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■ひとり病院を去ろうとする明日香は患者たちがくれた寄せ書きと拒食症の少女サエの心のこもった似顔絵をゴミ箱に放り込む。

もう、こことはオサラバなのだ。

そこへ救急車が滑り込み、ここからオサラバしたはずの栗田さんが意識不明で担ぎこまれる姿を目撃してしまう。

結局、ここからは逃れることは出来ないのか。

■病院から日常へ向かうタクシーの中。

シャバに戻ったら連絡して、と栗田さんに渡されたメルアドのメモをもてあましていた明日香は、思い切ってそれを窓の外を吹き抜ける強い風の中へ投げ捨てる。

あなたにだけ、とメルアドを渡した栗田さんもまた「依存する」人間であったのだ。

わたしもこの自分の人生から逃れることは出来ないのかもしれない。

けれど、それでも行けるところまで行ってみよう。

そこに生まれた爽やかな意思が心地いい。

■エンディングテーマが流れるなかで、ロードサイクルの若者たちの列がタクシーを追い越していく。

と、その列の一番うしろにママチャリを必死に漕いでついていくのは、いつの間にか隔離病棟からの脱出に成功した和服姿の金原さん。

腹がよじれるほどに笑い転げてしまった。

■そう、そうなのだ。

いつでも必死で真剣で、それでいて笑っちゃうほど可笑しいのが人生なのだ。

とっても重たいテーマを突きつける映画なのに、それを突き抜けて清々しい気分にさせてくれる。

いやー、本当にいい映画でした。

   

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                           <2008.10.30 記>

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■「それでは、ワタクシ、これで失礼させていただきます」と混乱に乗じてさりげなく脱出を図る金原さん。こういうの、大好きである。

   

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■DVD 『 クワイエットルームにようこそ 』 特別版
       

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■【原作本】 『 クワイエットルームにようこそ 』 (文春文庫 2007/08)
   

■STAFF■
原作     :松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」(文藝春秋刊)
監督・脚本 :松尾スズキ
プロデューサー :今村景子、菅原直太
撮影     :岡林昭宏
照明     :山崎公彦
美術     :小泉博康
編集     :上野総一
音楽     :門司肇、森敬
主題歌:「Naked Me」LOVES.(Ki/oon Records Inc.)


■CAST■
佐倉明日香  :内田有紀
焼畑鉄雄   :宮藤官九郎
     *  *  *  *  *  *  *
栗田            :中村優子
ミキ       :蒼井優

サエ             :高橋真唯
西野            :大竹しのぶ
金原さん   :筒井真理子

     *  *  *  *  *  *  *
ナース・江口      :りょう
ナース・山岸      :平岩紙
婦長       :峯村リエ
白井医師    :徳井 勝
白井医師(声)  :伊勢志摩       
     *  *  *  *  *  *  *

明日香の元旦那   :塚本晋也
     *  *  *  *  *  *  *   
コモノ               :妻夫木聡
松原医師          :庵野秀明
   

    
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2008年10月28日 (火)

■太田的空想と科学的空想に境目はあるのか。『爆笑問題のニッポンの教養』 X線天文学、小山勝二。

今回のテーマは、X線天文学。

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■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE051:「宇宙を駆けるX」 2008.10.21放送
京都大学大学院理学研究科教授、
宇宙総合学研究ユニット長、X線天文学 小山勝二。

■今年の3月、京大での公開討論会。

いつだって若い奴らの「空想」が従来の考えを打ち破ってきたのだろうとする太田の論に、現実的な論議じゃないと対立した天文学の大御所、小山勝二さんが今回の先生である。

■小山先生はX線天文学のオーソリティで、銀河の中心には巨大なブラックホールがあるのではないか?という仮説を裏付ける観測をおこなってそれを実証するなど、大きな成果をあげてきた方なのである。

で、ばりばりの実証主義者かというと、どうも少し様子が違う。

■先生が爆笑問題の二人を出迎えたのは平安時代の陰陽師、安倍晴明を祭った晴明神社。

今、研究者たちがX線でその姿を調査している超新星爆発残骸(AN1006)は、はるか1000年前に安倍晴明の次男が観測した超新星爆発(スーパーノバ)のその後の姿なのである。

こういうあたり、ロマンチストであることを隠せない小山先生なのだ。

■宇宙が生命だったら、とか、誰かの脳みそだったら、なんていう空想を繰り出す太田に対して

「理性的になって欲しい」という割に、

先生は、太田の説は「直感」的におかしい、という。

 
自然は人間の想像力など遥かに超えて豊かかもしれない

 
という、師匠のブルーノ・ロッシの言葉をあげたあたりで、先生自体も実は「空想好き」であることが遂に明らかになる。

■では、太田の空想と小山先生の空想との違いは何か。

小山先生自身は、「勝算のある空想にしか興味が無い」

という。

直感的に、こうじゃないかな、と思った宇宙の姿を観測によって実証する、それが小山先生の喜びなのである。

■たぶん、その前に「これは面白い、どうなってるんだろう?」という強烈な好奇心が先行しているのではないだろか、とおもうのである。

超新星の爆発の後の暗闇には何かがあるに違いない。

そういった「実際の現象に対する好奇心」が起点になって、空想を働かせ、観測し、実証する。

そこには確かに自然・現実との「対話」がある。

そこが太田の空想との決定的な違いなのだと思う。

■宇宙が生命だったら、とか、誰かの脳みそだったら、というイメージは決してつまらないものではなくて、それは手塚治虫が火の鳥で見せてくれた目くるめくファンタジーと同質のものである。

だが、そこには現実の自然とのあいだの会話があるわけではない。

それは、自然から受けた印象を脳という「自己の宇宙」の中で成長させ、拡げていったモノローグなのである。

空を見上げて、その雲のカタチから物語を紡ぎ出す詩人のこころなのである。

■だから小山先生の空想も太田の空想も、ともに感動的なものになりうるのだけれど、かたや現実世界との繋がりを重要視し、かたや現実世界からの跳躍を重要視する。

その意味で、両者は決定的に異なる性質をもっているのであって、話がかみ合わないのも当たり前のことなのだ。

■惑星の不可思議な動きを好奇心の起点としてコペルニクスの地動説が誕生し、光の速度が不変であるという観測結果に好奇心を抱いたアインシュタインによって相対性理論が誕生した。

というところからすると、科学における「発想の跳躍」は単なる空想から生まれるものではなく、現実における不思議な現象に対する好奇心から出発するもののようにも見える。

■ここから先の時代の「跳躍」において、太田流の詩人的脳内空想が切り札になる日が来ないとは言い切れない。

けれど、まあ、そんなに大上段に振りかぶらずとも、

その空想は科学ではないが芸術である。

それでいいんじゃないかと思うのだが、如何?

                          <2008.10.28 記>    

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■宇宙の事典―140億光年のすべてが見えてくる
■買っちゃいました。
写真だけでなく、きれいなイラストが満載でとても美しい本です。
小学生の頃に学級文庫で読んだ「うちゅうのなぞ99」みたいな本の時代から随分と進化してしまった最新の宇宙の姿に驚いた。自然は人間の想像力など遥かに超えて豊かもしれない、というブルーノ・ロッシの言葉には強くうなづけます。

     
■JAXA宇宙研・X線天文グループ・記事
■藤原定家の超新星残骸は、宇宙線加速の実験室(2008.06.05)
■1000年前に安倍晴明の次男が観測した史上最も明るかった超新星爆発(スーパーノバ)、その超新星爆発残骸(SN1006)の観測についての記事です。

■JAXA X線天文衛星・すざく速報 

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2008年10月27日 (月)

■朝のさざなみ。

20081027

しずかな朝です。

                          <2008.10.27 記>

 
■■■ 空の写真 ■■■  
↑カテゴリー・【空の写真】へのリンクです。

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2008年10月25日 (土)

■『流星の絆』 第2話。アリアケ3、封じ込め作戦。

第二話、「傘と似顔絵と謎の女」。

■14年前の事件前後の物語と、現在進行中の物語の2本立て。

少しずつ語られていく過去の出来事と、そこから地続きになっている3兄弟の現在。

そして3兄妹がおこなう詐欺という「虚構」を劇中ドラマというカタチでパッケージして完璧に封じ込めてしまう。

そう来ましたかー。

どこまで原作に沿っているか全くわからないけど、これはこれで面白いと思う。

■いやーそれにしても、14年前編に力を入れてくれたおかげで寺島進とりょうの夫婦に毎回会えてとってもうれしい。

’百年の歴史’『アリアケ』のハヤシライス、無茶苦茶うまそうだったなー。

少年時代に父親からレシピを教え込まれるシーンと、そのノートを見ながら現在の功一が久しぶりに(もしかすると事件以来?)ハヤシライスをつくるシーンのオーバーラップが泣けました。

そのいい雰囲気からくる期待感を、要潤にあっさりと裏切らせるクドカンの脚本が本当にイマイマしい!

■ところで公式サイトの「人物相関図」。

ハヤシライスの男(要潤)が○○の××だったなんて、ネタバレ過ぎじゃないかな~。

気になる方は下のリンクからどうぞ。

■金曜ドラマ 『流星の絆』公式サイト/「人物相関図」

     
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                          <2008.10.25 記>
      

■関連記事■
■金曜ドラマ 『流星の絆』 第1話。思い出したくない過去を明るい日常に埋没させようとする努力は、かえって不幸を重く際立たせてしまうのだ。

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’子育ちP's 航生L(気分は冥王星)Q2.8’ さんの「「流星の絆」第2話…妄想係長・高山に爆笑!!」
・・・そうか!「朝からそんな重いもの食えるか」ってツッコミだったんですね。なーるほどー。

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2008年10月24日 (金)

■人の話を聞くということ。傾聴を楽しくするコツ。

世の中、人の話を聞かないやつが多すぎる。

こっちがまだしゃべっている最中なのに、

ああ、そういうことか、と早合点して一気に自説をまくし立てる。

 
最悪である。

俺の、俺の、俺の話を聞けぇ!!!

クレイジーケンバンドならずとも、

こういう心の叫びをあげているに違いない。

なんていう自分自身も、無意識にそんなことをやっていたりするので、どういうことかと少し考えてみることにした。

■「人の話を聞く」というのは、

   
相手を尊重すること。

しっかりと、相手を受け止めること。

   
と、いう教科書的な答えだけで語りきれるものではないように思う。

むしろそういう姿勢には、シッカリ受け止めて’あげよう’という「保護者然」とした嫌味な感じさえ漂いかねない。

■そうではなくて、人の話を聞くということは

100%、オノレのためなのではないか、と思うのだ。

■相手が入りたての新入社員であろうが事務派遣のお姉さんであろうが、自分とは違う人生を歩んできて、自分とは違う景色を眺めてきた私とは異なる存在なのである。

だから、そこには自分にとっての新しい何かがあるはずなのだ。

そこに貪欲でありたい。

「ふん、ふん、ナルホド、タイヘンダッタネー」

なんていうふうな傍観者的受け止めも時には必要なのだけれども、それだけでは何だかツマラナイ。

■傾聴を楽しくするコツは

へぇー、

と驚くことなのじゃないか。

最近そう思うのである。

■そこには年齢も、職歴も、肩書きも何も関係なく、

たとえ相手が3歳児であろうが、 会社の役員であろうが、

その「へぇー、」という驚きの場においては、

お互いに対等の立場に立っている。

上から「教わる」のでもなく、

下のために「聞いてやる」のでもなく、

純粋に「驚く」、「感心」する。

■会話をするとき、

かならずそこには「へぇー」があるはずなのだ。

だって、相手は「私」ではないのだから、そこには私の知らないことや想像したこともないものの見方、考え方があるはずなのだ。

■そこに好奇心をもって相手に望むとき、

受け止めた「へぇー、」は、私の中の人生体験と化学反応を起こして、楽しさや悲しみや怒りといった感情が立ち上がってくる。

それは、「そんな話は分かっているよ」という態度では決して味わうことの出来ない、新たな経験であり、自分のモノの見方に新たな切り口を与えてくれる絶好のチャンスになるかもしれないのだ。

■「そんな話は分かっているよ」という考えはこれまで生きてきた自己に対する肯定からくるのだろうけれど、むしろ「私はそれくらいわかっていなければイケナイ」という強迫観念にかられたものとも考えることができる。

何度も繰り返すが、3歳児だろうが新入社員だろうが、相手が「私」でない限り、「聞く前から分かっている」なんてことはありえない。

そして「そんな話は分かっているよ」と思った時点で、その自己弁護は、逆に自分の成長を疎外し放棄してしまっている。

そういうことではないかと思うのだ。

 
人の話を聞く、ということは、本当に難しい。

                          <2008.10.24 記>

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2008年10月23日 (木)

■金曜ドラマ 『流星の絆』 第1話。思い出したくない過去を明るい日常に埋没させようとする努力は、かえって不幸を重く際立たせてしまうのだ。

さすが、クドカン!と 唸らされた第一話であった。

■1993年、両親に内緒で夜中に獅子座流星群を見に行った小学生の3兄妹。

彼らが雨上がりの夜空を横切る流星に感動していたそのとき、自宅で眠っているはずの両親を不幸が襲っていた。

ドラマは事件の14年後、残された3兄妹の犯人に対する復讐劇として進行していく。

■如何にも東野圭吾らしい、やるせない物語のようなのだけれど、話が現在に移った途端にクドカン的ドタバタ喜劇の世界へと容赦なく押し流されていく。

ちょっと待て。こんな話なのか?

というくらいに突っ走る。

末の妹、静奈 (熊田聖亜)が苦手とするポストイットでしかコミュニケーションがとれない上司なんかは序の口で、最後はベンツとホストとゴスロリ(?)とウサギなのである。

意味わかんね(笑)。

■まさに、クドカン節炸裂なのだけれども、今回「ヤラレタ!」と思ったのは、そのドタバタが面白くハチャメチャであればあるほどに現実としての「ツライ過去」が深く、重く、際立って胸に突き刺さったということだ。

ハチャメチャとのコントラストで悲劇の「やりきれなさ」を強調し、浮かび上がらせる。

これがクドカン流の「東野悲劇」の調理法なのである。

■資格商法で騙し取られた金の奪還に成功した3兄妹。そこで静奈が会社を辞めた本当の理由を語り始める。

その瞬間、ドラマは唐突に東野圭吾の世界へと戻ってくる。

まるで手品だ。

■ポストイット上司も資格詐欺のオバハンも少女マンガ的奪還劇も、すべては宮藤官九郎の「ほら話」に違いない。

けれどこのさい、そんなことはどうでもいい。

直視することが出来ない、あまりにもツライ記憶を呼び覚ましたくなかっただけなのだ。

なのに、かえって「あの事件」の闇は黒々と3兄妹を包み込んでいく。

彼らは決してそこから逃れることは出来ないということだ。

■あまりにも切ないクドカンのやり口にまんまと嵌められてしまった。

もう、この初回スペシャルだけでお腹いっぱい。

これは独立した一つの作品として十分成立していて、しかも滅多にお目にかかれない「名作」、といっても過言ではないだろう。

時には伝説と呼べるような素晴らしい作品に出会えるものである。

■さて、問題は2話以降。

このフォーマットで話を続けたら、もちろんアホタンなわけで、この先のクドカンの手腕がまた非常に楽しみなのである。
   

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                         <2008.10.23 記>

   
■【原作本】
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■『 流星の絆 』 東野圭吾 著 (2008年3月初版)

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■STAFF■
原作  : 東野圭吾 「流星の絆」脚本   : 宮藤官九郎
演出 : 金子文紀、石井康晴
プロデューサー : 那須田淳、磯山晶
音楽 : 河野伸
主題歌 : 『Beautiful days』 嵐
●Beautiful days(DVD付)(初回限定盤)●

  
■CAST■
有明 功一(3兄妹・長男)  :二宮和也(嵐)
                  (幼少時代:齋藤隆成)
有明 泰輔(3兄妹・次男)   :錦戸亮(NEWS/関ジャニ∞)
                  (幼少時代:嘉数一星)
有明 静奈(3兄妹・末の妹) - 戸田恵梨香
                  (幼少時代:熊田聖亜)
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林 ジョージ(カレー店店長、元孤児院の院長)  :尾美としのり
柏原 康孝(強盗殺害事件を担当した刑事)    :三浦友和
  * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
有明 塔子 (3兄妹の母)   :りょう
有明 幸博 (3兄妹の父)   :寺島進
  * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
戸神 政行(犯人と思しき男)  :柄本明
     

■尾美としのりの演技の上手さはいうまでもないが、二宮和也も意外に上手くて、なんだか昔の尾美としのりを見ているようだった。なんだかファンになりそう。

軽口を叩く三浦友和は味わい深くて結構いい感じ。これから3兄妹とどう絡んでいくのか、とっても期待してしまいます。

寺島進とりょうの夫婦がいい味出してましたね。何だか初回で終わってしまうのがもったいない気がします。

柄本明・・・、顔出し早や過ぎないか?というか、似顔絵が全然似て無い(爆)!
  

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’まぁ、お茶でも’ さんの「《流星の絆》☆01」
 

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■『夢をかなえるゾウ』、第3話「合コンでモテる」。 水川あさみ絶好調だね!

先週分をやっと見た。

ばかばかしくて引いてしまう一歩手前の微妙な感じが面白い。

   
 そこにいる全員を好きになれ。

 念のためいうとくけど、女の子も含めてやからね。

 本心からやぞ!

  
 そんなに好きじゃなくても、好き!って抱きしめたら

 意外に好きになっちゃうもんじゃん?
  

今回のこの課題は結構深いところを突いているかもしれない。

もちろん、合コンの話じゃなくて、普通の飲み会でも、

仕事の打ち合わせとかでも、

要するにいろんな人がいる場でのコミュニケーションについて、「楽に」過ごすことができるテクニック、というか心得のような気がする。

まさに、一期一会。

嫌だなーとか、苦手だなーとか、思っているとき誰がいちばん不幸せかっていうと、自分がいちばん不幸せなわけで、

その時のその場にしなかい、折角の楽しさをむざむざ自分から捨ててるようなもので、もったいないなー、ということである。

そうそう教科書どおりにいかないのが実際ではあるのだけれど、こころにとめておいてもいい言葉かな、と思った次第です。
   

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                        <2008.10.23 記>

■ドラマ『夢をかなえるゾウ』。ガネーシャ、自分、インチキっぽいくせに意外といいこと言うやん!

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2008年10月21日 (火)

■『古代文明と気候大変動―人類の運命を変えた二万年史 』 ブライアン・フェイガン。巨大なシステムが崩壊するとき。

地球温暖化による気候変動は社会問題としてようやく世の中に定着してきたが、どうやらそれは、何も現代になって初めて我々人類が直面する事態ではないようだ。

遠く1万8千年前のクロマニヨン人の時代からずーっと我々は気候の変動に晒され続け、その後に築き上げた文明の盛衰も、その気候変動に大きく左右されてきたのである。

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■古代文明と気候大変動―人類の運命を変えた二万年史
ブライアン・フェイガン 著 

■南極大陸ボストーク湖の氷床コアを調べると、約42万年前からだいたい10万年の周期で氷期と温暖期が繰り返されてきたことが分かる。

現代は、そこから4回の氷期を越え、約1万5千年前に始まった温暖期にあたる。

■温暖期の初め。しばらく気候は安定せず、あたかも呼吸をするかのように寒冷な地域が広がったり狭まったりする状態が続いていた。

その「呼吸」に合わせて行ったり来たりの移動を繰り返しながら人類の生息域は拡がっていき、アフリカから出発した人類は約1万4千年前に南米チリにまで到達する。

この時代の人類は狩猟によって生活をしており、食料となる獲物とともに移動し続けることで激変する気候に適応していたのである。

■ところが約1万年前になると地球をとりまく海流の大きな流れが安定し、気候の変動が小さくなった。

すると人々は河のほとりに拡がる森林の縁での採集生活から、小麦などの作物の栽培をするようになり、そこで必要となる脱穀などの重労働は「移動する生活」から「一つの場所に定住する」という新たな生活スタイルを生み出した。

農耕の進歩とともに小さな村落は地縁、血縁や宗教的つながりが強化され発展し、街となり、都市となった。

■けれど、比較的安定した、とは言っても気候の変動が全く無くなったわけではなく、相変わらず人類はその影響を受け続けた。

けれど移動する能力を失ってしまった人類にとって、気候変動は時として致命的なものとなる。

約1万2000年前、カナダの氷床の大規模な融解がメキシコ湾に流れ込み、「大規模な海流」を動かすポンプ機能が弱まったこと(ヤンガー・ドライアス・イベント)で引き起こされた旱魃はシリアのユーフラテス川沿いに生まれた「初めての定住集落」を散り散りにさせ、

約6000年前、地球の自転軸が変化したことで日射量が増加して1000年以上続いた大規模な旱魃はメソポタミアの世界最古の都市を崩壊に導き、

約1000年前の欧州に温暖化をもたらし文明を復興させた海流の変化は、地球の裏側の南米西岸では乾燥化を進行させ、マヤ文明を衰退させた。

■文明が進むにつれ、都市の規模拡大は気候変動に対応して移動する能力を奪い、都市生活における職業の分化は、荒野へ分散して自活する力を個人から剥ぎ取っていった。

狩猟、採集によって移動し続けた時代に我々が持っていた環境対応能力は失われ、旱魃などの気候変動によって大量の餓死者を生み出すことになった。

そして、都市の規模や人口が拡大していくにしたがって、その被害はさらに甚大なものになっていくのだ。

■地球温暖化問題を解決すべくCO2排出量を削減しようという世界的な動きは、気候変動のスピードと規模をやわらげるハタラキが得られるかも知れず、それはそれで大切なことだと思う。

けれど、CO2を削減したところで気候変動は確実に大きな波としてやってくる。

産業革命以降のCO2濃度の上昇は恐ろしいスピードで進んでいるが、先に挙げたように、それ以前にも地球レベルでの大規模な気候変動は何度となく我々を襲っている。

それは避けられないことなのだ。

■この危機の本質はマスコミが煽り立てるような「氷が溶けてシロクマが困る」ということには無い。

現実として直視すべきなのは、目前に迫った我ら同胞の「大量餓死」なのである。

食糧は今や完全にグローバル経済に取り込まれ、一部の国の大規模農業に集約されてしまった。

しかも、CO2削減はバイオ燃料の「成長」を予測させ、投機マネーが食糧相場を不当に跳吊り上げて穀物の世界的な流通が滞るという皮肉まで発生している。

■そんな状況の中で、われわれが肌身に感じているように、気候変動の波は大きく振れ始めている。

それは水害や熱波などの直接的被害をもたらすだけではなく、いままで安定的な収穫を約束されてきた農作物の生産に大きなダメージを与えることになる。

集約化された穀物生産がかかえるリスクは大きく、このまま座していれば世界的な「飢饉」が我々を襲う可能性だって否定できないのだ。

■アフリカや東南アジアでは、今、この瞬間にも子供たちが飢えと栄養失調で亡くなっていく。

世界的な食糧不足の犠牲になるのは、グローバル経済によって穀物生産能力を奪われ、高騰した穀物を購入する資金のない貧しい国の人々である。

CO2削減に盛り上がるのいいけれど、気候変動の結果として確実に発生するであろう悲劇に対して何らかの対策を考えておくべきだろう。

■それは単なるヒューマニズムの問題ではない。

21世紀に入って帝国間の抗争が終焉を迎え、9.11の狼煙とともにその引き潮の中から現れてきた新たな矛盾。

それは「ゲームの勝者」と「ゲームに参加できない者」、或いは「ゲームに参加することを拒む者」とのあいだに生じる軋轢であり、21世紀の新たな戦争のカタチである。

そして気候変動による大規模な食糧危機と「持つ者」と「持たざる者」との格差の拡大は、その軋轢をさらに強化していくだろう。

だから、子供たちや孫たちが安心して生きていける世の中を維持していくためにも、必要な準備はあるのだと思う。
   

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                          <2008.10.21 記>
   

■古代文明と気候大変動―人類の運命を変えた二万年史
ブライアン・フェイガン 著 (単行本2005/6月 文庫2008/6月)
■単行本を買って積読しているうちに文庫版が出てしまった・・・(涙;)。
   
   

■ 参考 ■
NHKスペシャル 2008.10.19(日)放送 
世界同時食糧危機(2)食糧争奪戦 ~輸入大国・日本の苦闘~

    
■過去記事■

■【書評】ひつじの本棚 <バックナンバー>
 

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大石英司の代替空港、「耕作地というリソース」
 

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2008年10月20日 (月)

■朝日だ、姿勢をさわやかに!

■一年ほど前から自分の姿勢の悪さを気にしていて、つま先立ち運動とかストレッチとかいろいろ試してみている。

多少は背筋をすっと立てて前を向いて歩けるときが増えてきたような気もするのだが、最近腰骨のあたりが気になってきた。

■街を歩く女の人とかをみると、おしりがきゅっと小気味良く上がっていて腰骨が前に凹んでいる。

はて、と自分の腰骨に手を当ててみると棒のように硬直し、上手く前に曲がってくれない。

無理に曲げようとするとオナカごと突き出てしまい、なんとも無様なかっこうになってしまう。

■と、大学時代に剣道に青春を燃やしていた友人のNくんを思い出した。

彼の姿勢の良さは折り紙つきで、飲み会の席でもそのしなやかな軸線は常に真っ直ぐ天に引かれているようである。

なるほど、そうか、と剣道でやる蹲踞の姿勢をとってみた。

つま先を立て、ひざを開いた上体でしゃがんでスッと背筋を伸ばす、あの姿勢だ。

やってみると、確かに腰骨が前に引き込まれる。

これはいい。

久しぶりの蹲踞の姿勢にアキレス腱がつりそうになってしまったが、これは試してみる価値はありそうだ。

早速、朝のストレッチのメニューに取り入れてみようと思う。

                          <2008.10.20 記>

■関連記事■
■自然な姿勢で立つということ。<2007.01.04 記>

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2008年10月19日 (日)

■『ブラッディ・マンデイ』、第2話。展開、早やっ!

■ブラッディ・マンデイ■ <第2話>

テロリスト先生、あっという間に追い込まれちゃいました。
男子高校生と美人女教師のやりとりをもっと楽しみたかった気もするな。妙に高いアングルで強調された折原先生の胸元に、オジさんドキドキしちゃったよ。

今回の助演女優賞は第一感染者の’サネイエさん’(江口のりこ)かな。切なかったねぇ。でも彼女に注射針を突き立てられた看護師は発症せず、サネイエ死してワクチンを残す、というところか。

レクター博士っぽい嶋田久作と「SP」で味のある公安のデカを演じた野間口 徹のやりとりも面白いし、ああ、目が離せない。

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                           <2008.10.18 記>

■第1話 2時間スペシャル■
■ドラマ 『ブラッディ・マンデイ』。完璧な初回スペシャルには気をつけろ!

■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

   
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2008年10月18日 (土)

■地球がとっても青いから。月周回衛星「かぐや(SELENE)」から見た「満地球の出」。

「かぐや」から’地球の出’の映像が送られてきた。

20081009_kaguya_01
■2008年9月30日、月軌道上、
高度約100kmから「かぐや」が撮影した「’満地球’の出」 (JAXA/NHK)

■満月ならぬ、’満地球’を撮影できるのは、太陽と地球の間に月が入り込んで「かぐや」を含めてそれらみんなが一直線に並んだときだけで、それは年に2回しかない貴重なタイミングなのだそうだ。

それにしても美しい。

月面と、漆黒の宇宙と、青い地球・・・。

♪月の砂漠を~ は~る~ばると~、

なんて、思わず歌いだしてしまいそうな風景だ。

あと100年くらいしたら、

僕らの孫かひ孫が月面でそれを拝むような日がくるのだろうか。

■そういえばこの間NHKスペシャルで、月と地球の歴史と成り立ちについて、「かぐや」が一年かけて調査したことから分かってきたことをやっていた。

46億年前。火星ほどの大きさの天体が地球に激突し、それによって砕け散った破片が地球の周りを周回しているうちにひとつに集まって「月」になった、という「ジャイアント・インパクト」説。

難しくてよく理解できなかったのだけれど、「水」分子が月面で広く発見されたことがジャイアント・インパクト説を裏付けているかのような内容であった。(間違ってたらごめんなさい!)

■それよりも、

「月は常に地球に対して同じ面を見せ続けている」

という不思議が説明付けられたことにびっくり。

「かぐや」の軌道を観測すると、その高度の違いから、月の各部での重力分布を計算できる。

その結果、月のウサギがもちをついている、我々の方に向いている面の方が月の裏側よりも重力が強いことが分かった。

つまり月の「重心」は「うさぎ」の方に偏っていて、その結果、地球の重力に引っ張られて、常にうさぎのいる重い面が地球の方向を向いているということだ。

■ものすごい「偶然」からそうなっていると思い込んでいたのだけれど、理由がちゃんとあったんだね。

聞いてみるとナルホドなーと、それが当たり前のことのように感じてしまうのだから、人のアタマというのも不思議なものである。

                          <2008.10.18 記>

Photo
■科学理論ハンドブック50<宇宙・地球・生物編>
―太陽系生成の標準理論から膨張宇宙論、人間原理、地球凍結説、RNAワールドなど―

     

■【動画】 JAXA HP 「満地球の出」
   

■NHKスペシャル■ (2008.10.13(月) 22:00 初回放映)
月と地球 46億年の物語 ~探査機かぐや 最新報告~

   
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■関連記事■
■2007:08:16 日本標準時 09:30:48 月へ。

 
■過去の記事■ 飛行機、宇宙の話など  
    

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2008年10月16日 (木)

■ただよう感情。エモーショナル・ドローイング ―現代美術への視点6― 奈良美智 ほか、東京国立近代美術館。

奈良美智の作品がいっぱいあるらしいというミーハー感覚で、国立近代美術館に会期終了間際の「―現代美術への視点6― エモーショナル・ドローイング」展を見に行った。

Photo
■東京国立近代美術館「エモーショナル・ドローイング」展 2008.8.26-10.13

■現代アートには感情移入を拒むような近づきがたい印象があったのだけれど、「エモーショナル」というタイトル通り、今回の展示は比較的受け止めやすい作品が多く、余り頭をひねるようなこともなくて安心して鑑賞することが出来た。

■レイコイケムラ (1951- )
Photo_3 ■シリーズ「樹の愛」 2007より

まず会場に入って出迎えてくれるたのがレイコイケムラのパステル、水彩による作品群。

こころの中の感情をイメージに、或いは顔の表情に写し取ったその言葉を介さない生の感覚がダイレクトに伝わってくる。

■キム・ジュンウク (1971- )
2006 ■無題 2006

何だか「ホラー」な雰囲気である。

きらきらな光が映りこむ大きな瞳、宇宙の闇のような漆黒の眼。

そこに感情がある、というよりは見ている方の「感情の奥底にある得体の知れない恐怖」が引きずり出されるような、そういう恐ろしさがある。

■ミトゥ・セン (1971- )

インド生まれの彼が今回の日本滞在中に製作した、《翻訳で失われるものはなにもない》。

巨大な和紙にアキバ系(?)の巨乳少女のイラストを配し、そこに唇、骨、魚、嬰児の血管透視図といったリアルでグロテスクな写真を加えた、非常に居心地の悪い作品。

それは日頃われわれが目を背けている、日本の一部に蔓延するグロテスクな現実をドーンと目の前に提示されたような、そういう痛烈な居心地の悪さなのである。

■そのほか、フィリピン、マレーシア、エジプトといった各国の作家のヴィヴィッドな作品や、坂上チユキの超絶・極細密画など色とりどり。

その中でも展示のラストを飾ったアディティ・シン(1976- )の『鳥の言葉』という40点組の作品の、全体が紡ぎだす物語が印象的だった。

また今回の展示のなかにはアニメーション作品もあって、これもなかなか侮れない。

■アヴィシュ・ケブレザデ (1969- )
Photo_5 ■裏庭 2005

ギーコ、ギーコ、というチェロ(?)の音が印象的な曲とともに、どこか懐かしい感じの絵が浮かんでは消えていく。

家族の記憶なのだろう、たぶん。

1、2分程度の短い作品なんだけれど、くりかえし眺めているうちに一本の外国映画を見終わったような不思議な感覚にとらわれた。

■辻 直之 (1972- ) 
Photo_4 ■エンゼル 2008(約6分)

若い夫婦のもとに「エンゼル」がやってくるまでのお話。

意表をついて飛んでいくイメージの展開が面白い。

とってもほのぼのしていて、幸せな気分にさせてくれる。

  
さて、     

■奈良美智 (1959- )
04
■untitled 2008 (胸の中にある気持ちを決して恥じる事はない)

この、カワイらしさの中から突き出てくる断固たる意思。

群れることを良しとしないそのエッジは、

戦争も貧困も知らない我ら戦後世代が「ワタシ」として生存していくための存在証明なのだ!

   
でも、そんな理屈にこだわるのは野暮天っていうもので

とっても楽しい、

単純に、そんな気分にさせてくれる131の作品群なのであった。

Slash_with_a_knife ■Slash with a Knife 改訂版
■この「デコチン」がうちのチビ助にそっくりなもんで、
思わず買っちまったゼイ。ウヒヒ。

                                                      <2008.10.16 記>

■小山登美夫ギャラリー
奈良美智 
東京国立近代美術館「エモーショナル・ドローイング」展
 

■奈良美智さんの作品展示の様子がわかります。
展示の真ん中に建てられたドローイング・ルームの雰囲気は最高!

Photo_2
01_2 02
《My Drawing Room 2008, bedroom included》

              
■東京国立近代美術館 HP
―現代美術への視点6― エモーショナル・ドローイング

       
Photo
■DVD 『 ロッタちゃん はじめてのおつかい 』

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2008年10月13日 (月)

■ドラマ 『ブラッディ・マンデイ』。完璧な初回スペシャルには気をつけろ!

■思いっきり引きずりこまれた2時間であった。

高校生の天才ハッカーが警察の特殊チームと協力してバイオテロをたくらむ謎の組織と戦うという話。

テンポが非常に速くて一気に後半の「事件」へと突入する。

面白いストーリーとしては、主人公たちがこれはもうダメじゃないかという状況に追い込まれるのが鉄則なのだけれども、それにしても絶望度が強烈過ぎる。

その状況のなかで加納刑事(松重豊)が吐く台詞がまた効いている。

「こりゃ~、ほんもんだぞ~」

■当然のことながら、初回スペシャルで主役級が全滅なんてことはないんだけれども、そのトリックがありがちなハイテクではなく心理的なものである意外性が新鮮。

さらに、その結果引き起こるだろう「最悪の事態」によって更なる絶望を演出しようというテロリストの知的センスにすっかり参ってしまったのだ。

■主役の高校生・藤丸(三浦春馬)がみせる天才ハッカーぶりの演出も、リアルかどうかは別にして、視覚的に面白くカッコいい。

そして、それ以上に素晴らしいのが豪華な脇役たち。

真剣でありながら少しとぼけた味わいが魅力の松重 豊、独房に拘束された謎の男を演じる嶋田久作、平成ガメラに哀愁あふれる人情劇を持ち込んだ蛍雪次郎のくたびれた刑事。

■だが、安心してはいけない。

「SP(エスピー)」でがっかりした例もある。

初回2時間スペシャルは舞台が一箇所に収斂し、物語の集中力がラストに向かって加速していった完璧ともいえる構成だったとおもう。

それだけに、これから日常を舞台にドラマが展開していったとき、テロリズムという不条理な暴力がもつ濃密な違和感が、連続的な日常に色あせてしまうのではないか、ということだ。

だから、まあ脇役たちの魅力的な演技を楽しみながら、構えずに見ていこうと思う。

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                           <2008.10.13 記>

       
■【原作】
Bloody_monday
■ BLOODY MONDAY 1
■龍門諒・作 恵広史・画 (講談社 2007年8月初版)

       
■【テーマ曲】
Photo unreal / flumpool
■ブラッディ・マンデイ主題歌 『Over the rain ~ひかりの橋~』 収録

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

■CAST■
【高木家】
高木藤丸(主人公、天才ハッカー)     : 三浦春馬

高木遙(藤丸の妹)              : 川島海荷
高木竜之介(警察庁課長補佐、藤丸の父): 田中哲司
 
【テロリスト集団】
折原マヤ(新任生物教師、テロリスト) : 吉瀬美智子
J (テロリスト集団の参謀)       : 成宮寛貴
出門丈一(テロ組織の殺し屋)     : TET
   
【警察庁秘密組織 THIRD-i 】
苑麻孝雄(警察庁警備局局長)         :中原丈雄
加納生馬(警察庁特殊班チーフ)       :松重豊
宝生小百合(特殊班捜査官)            :片瀬那奈
南海かおる(特殊班捜査官)             :芦名星
霧島悟郎(特殊班情報分析官)         :吉沢悠
工藤明(特殊班情報分析官)            :久保田将至
澤北美姫(特殊班情報分析官)        :阿南敦子
沖田耕一(警察庁課長、死亡)          :工藤俊作
    
【弥生高校新聞部】
九条音弥(藤丸の級友、新聞部長) :佐藤健
朝田あおい(藤丸の級友)              :藤井美菜
安斎真子(藤丸の級友)                 :徳永えり
立川英(藤丸の級友)                    :久野雅弘
   
【その他】

船木勘助(警視庁捜査一課刑事)      :蛍雪次朗
伊庭刑事(舟木の相棒刑事)            :尾崎右宗
    
敷村壮介(ウイルス学者)                 :神保悟志
神島紫門(謎の男)                         :嶋田久作

   
 
■STAFF■
プロデューサー   :蒔田光治、神戸明、樋口優香
脚本         :蒔田光治、渡辺雄介
演出         :平野俊一、波多野貴文、宮下健作
               * * * * * * * * * * * *
音楽         :井筒昭雄
音楽プロデュース :志田博英  
主題歌  : flumpool 『Over the rain ~ひかりの橋~』
               * * * * * * * * * * * * 
特殊メイク      :松井祐一  
アクションコーディネイター :田渕景也
製作         :東宝、TBS 

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■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

■ブラッディ・マンデイ 番組HP
■毎週土曜日夜7:56~ TBS系列■

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2008年10月11日 (土)

■NHKドラマ8 『七瀬ふたたび』。予想外のテンポの速さに大満足。

これは楽しみにしてましたです、はい。

_
■NHKドラマ8 『七瀬ふたたび』
木曜夜8時NHK総合で放映。全10回シリーズ。
主演の蓮佛美沙子(17)はデビュー当時の原田知世みたいで初々しい。

■何しろ中学生時代には筒井康隆を濫読していて、その中でも気に入っていた「家族八景」、「七瀬ふたたび」、「エディプスの恋人」の七瀬三部作。

「エログロ」と「異常な心理描写」は筒井作品には欠かせないものではあるけれど、三部作の中でも「七瀬ふたたび」はそういう描写が抑えられていて、『時をかける少女』とかの(茶色い背表紙の)ジュブナイル作品に近いものがある。

だから安心してNHKでも放映できるというわけだ。

まあ、多少は「ぬるく」なっても七瀬がドラマで見られるならばそれでいい。

■なーんて気分を見事に吹き飛ばしてくれる第一話であった。

七瀬の母親を交通事故であっさり殺してしまう。母娘の物語の描きこみを敢えて切り捨て、七瀬が「テレパス」として覚醒する、その一点に焦点を絞り込む。

ほとんど助走もなしに一気に本題に切り込んでくる、そのスピーディーな展開が気持ちいい。

■早くも同じ能力をもった少年と出会い、さらには予知能力を備えた青年が七瀬のもとに駆けつけて、土砂崩れによる列車事故から寸でのところで救われる。

全十回シリーズの第一話なのだから、七瀬が自分の能力に目覚めて驚愕する場面で終わらせてもいいくらいなのに、一気呵成にメンバー集結までもっていってしまったその勢いが素晴らしい。

このスピード感を維持していけば全く想像もしていなかった驚くべき展開も十分期待できるだろう。

■また楽しみなドラマを見つけてしまった。

でも木曜日は七瀬、風のガーデン、かなえるゾウと結構盛りだくさんで、ちとキツイな~。

   

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                          <2008.10.11 記>

   
■【原作本】
Photo
■七瀬ふたたび (新潮文庫)
筒井康隆 著(1978年12月 改訂版)
■なつかしい表紙です。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

■STAFF■
脚本     : 伴一彦
演出     : 笠原友愛、吉川邦夫、松浦善之助、陸田元一
制作統括  : 谷口卓敬、遠藤理史
音楽     : 川井憲次
制作         : NHK、NHKエンタープライズ


  
■CAST■
田中(火田)七瀬   : 蓮佛美沙子
                             奥森皐月(少女時代:)
田中    静子(七瀬の母) : 中村久美 
火田精一郎(七瀬の父) : 小日向文世
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
岩渕恒介(予知能力者)  : 塩谷瞬
ヘンリー(念動力者)       : 郭智博
広瀬朗(テレパスの少年): 宮坂健太
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
真弓瑠璃(七瀬の親友)  : 柳原可奈子
増田(マジックバー店長)  : 北村総一朗
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
漁藤子(未知能力研究者): 水野美紀
高村刑事                       : 市川亀治郎
江藤刑事                      : 載寧龍二

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

■NHKドラマ8 七瀬ふたたび 番組HP

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2008年10月10日 (金)

■あさ。

朝日が顔を出す そのまえの

一瞬の静けさが 美しいと思う。

24bit20081010

おはようございます。
                      <2008.10.10 記>

  
■■■ 空の写真 ■■■  
↑カテゴリー・【空の写真】へのリンクです。

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2008年10月 9日 (木)

■スペシャルドラマ 『ガリレオΦ』。これが本来のガリレオか!

柴咲コウが出ないだけで

ここまで作品のテイストが変わるものなのか・・・。

実に面白い。

Ds
■土曜プレミアム スペシャルドラマ 『ガリレオΦ』
2008年10月4日(土)9:00~フジテレビ系列で放映。
・・・これって、ガリレオ ’ゼロ’?それとも’ファイ’?

↓ネタバレ注意↓

■北村一輝の刑事と福山雅治のガリレオが初めて本格的に事件に挑んだ、エピソード・ゼロ的今回のスペシャルドラマは、推理サスペンスとして無茶苦茶に面白かった。

確かに、海に沈んだ噴出物をガリレオが素もぐりで探し当てたり、折りたたみ傘の柄の部分で作った「伸びるステッキ」でレーザーポインターの微妙な角度調整をしてみたり、突っ込みどころ満載ではあった。

けれども「ガリレオ」という特異なキャラクターがいきいきとしていて、ああ本来の場所で羽ばたいているんだな、と感じた次第である。

■さらに輪をかけて引きずり込まれたのが回想シーンの中での

「本当のエピソード・ゼロ」。

物理学科の学生だった頃の湯川と草薙の話。

とある殺人事件で容疑者にされてしまった草薙に請われて「あり得ない」ことが科学的に再現可能であることを実際に証明してみせる。

つまり、『ガリレオ』フォーマット誕生の瞬間の話なのだ。

■若い頃の湯川と草薙を演じた三浦春馬と佐野和真が、もうそっくり。本人たちの演技力もさることながら、このキャスティングは天才的だ。

テレビシリーズの最後で対決した、かつての指導教官が超スピードで黒板に数式を書きなぐってたり、映画『容疑者Xの献身』で対決する数学の天才が四色問題と格闘していたりと、作品世界がぐーっと拡がるサービスも満点。

この劇中劇だけでも十分満足できたに違いない。

■柴咲コウとのラブコメも嫌いではないんだけど、推理とサスペンスに集中すると、やっぱり本格的な面白さが味わえる。

原作は読んでいないけれども、これが本来の『ガリレオ』の味なのかもしれない。

■そういう意味では、現在公開中の『容疑者Xの献身』のテイストがどうなっているか非常に気になるところである。

商業ベースで考えたら主人公のそばにはヒロインが必須条件で、柴咲コウを外すワケにはいかない。

それを生かしつつ、どこまで本格サスペンスになっているのか。

DVD化が待ち遠しい。(・・・って、映画見に行かんのかい!)

■え?

今回のヒロインの長澤まさみはどうだったか、って?

いや、彼女はいつもの彼女のまま。

演技力とか物語を動かすとかを期待しちゃいけない。

長澤まさみはカワイければ、それでいいのである。

って、甘すぎ?

                        <2008.10.09 記>

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(2008年10月以降 発売予定)
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■ 容疑者Xの献身 東野圭吾 著 (文春文庫 2008年8月初版)
       

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■STAFF■
原作      :東野圭吾 (「操縦る」、「落下る」)
         ※ 近日出版の短編集『ガリレオの苦悩』に収録予定
脚本      :福田 靖
監督      :西坂瑞城
プロデュース :鈴木吉弘、牧野 正
製作      :フジテレビドラマ制作センター

  
■CAST■
湯川学(物理学助教授)      :福山雅治
                     :三浦春馬(大学生時代)
草薙俊平(刑事、湯川の友人)  :北村一輝
                     :佐野和真(大学生時代)
栗林宏美(湯川の助手)      :渡辺いっけい
弓削志郎(草薙刑事の相棒)    : 品川祐
城ノ内桜子(監察医)         :真矢みき
塩野谷あかり(湯川ゼミの学生)  : 長澤まさみ
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
友永邦宏(事件の被害者)         :波岡一喜 ‎
友永幸正(金属加工の神様、邦宏の父) : 蟹江敬三
新藤奈美恵(幸正と同居する義理の娘) :香里奈

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2008年10月 8日 (水)

■えーっ、うつ病ってウイルスが関係してたの!?『爆笑問題のニッポンの教養』 ウイルス学、近藤一博。

今回のテーマは、ウイルス学。

Photo
■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE050:「”あ~疲れた”の正体」 2008.10.06放送
慈恵医科大学ウイルス学講座教授 近藤一博。

■と、いつもの調子で始めたかったのだけれども、実は録画に失敗して見逃してしまったのだ(涙)。

で、どんな話だったのかと番組HP経由で近藤先生のホームページを覗いてみたら、

    
HHV-6 は、脳のグリア細胞と血中マクロファージに潜伏感染し、ストレスや疲労によって再活性化を生じます。 また、HHV-6 の脳内での異常な再活性化は、中枢神経機能に影響を与え、慢性疲労症候群患者における鬱症状をもたらします。
   

なんて書いてあるじゃないですか!

こりゃ、えらいことです。

■うつ病の治療は、

①ストレスを遠ざける。

②抗ウツ剤を服用する。

この2つを根気よく続けることだと認識している。

ちなみに②の抗ウツ剤というのは一般的に、神経と神経がつながる部分(シナプス)において、セロトニンなど’神経を和らげる’脳内伝達物質の濃度を増やしてあげるお薬のことである。

■ところが上の話からすると「うつ」の発生メカニズムは、

A) 疲労、ストレス

  ↓

B) ウイルス・HHV-6の脳内での異常な活性化

  ↓

C) 中枢神経の情報伝達システムに異常が起きる

というふうに解釈できる。

■と、するとウツ病の基本的な治療である

①ストレスの排除(原因の除去)

②神経伝達システムの修復(結果への対策)

という2本柱の間にもう1本太い柱があるかもしれない、

つまり、少なくとも一部の患者群では、HHV-6の活性化を抑えることが出来れば、抗ウツ剤のつらい副作用から解放され、「ストレスに強い体」を獲得することも夢ではない、ということになる。

■それは知的好奇心をくすぐるというだけでなく、

自分のまわりにもウツ病に苦しむ人が身近にちらほらいたりするわけで、まったくもって他人事とはいえないのである。

■で、再放送は?

と思ったら国会中継の影響で中止でやんの(悲)。

BSでの再放送はあるんだけど、

そんな高級なものはウチのテレビにゃ映らないし・・・。

■「こりゃ、運がいい!」(by ガネーシャ)

と、取り合えず言ってみて気がついた。

お、そうだ。

そういや、この番組の話をそれぞれ一冊にまとめた新書本があるじゃないか!

Photo_2
■新書版 『爆笑問題のニッポンの教養』の既刊一覧へ■
     

■・・・白状しよう。

ずーっと、爆問の記事にこのリンクを貼り付けてきたのだけれど、実は、自分自身一回も読んでなかったのだ。

だって、番組見ちゃったら買わないよね~、ふつう(苦笑)。

■ということで、新書版 「爆笑問題のニッポンの教養」の記念すべき50巻目の発売を首を長くして待つことにしよう。

あー、楽しみ~。

                         <2008.10.08 記>

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■緒形拳、死去。当たり前のように存在していたものもいつかは消え去ってしまうのが道理だとしても。

5日、緒形拳さんが亡くなった。

数年前に発病した肝がんを周囲に隠し通しながらも、亡くなる直前まで俳優であり続けた。

71歳であった。

■突然の訃報にしばらく意味が分からなかったのだけれども、

落ち着いて、緒形拳さんを代表するような作品って何だったかと考えたとき、何も浮かんでこないのにも驚いた。

そんなわけはない。

緒形拳さんは、テレビドラマでも映画でもCMでも、子供のときからずーっと「そこ」にいた存在なのだ。

■そう、いつでもそこにいた。

けれどもそれは、気がつけばそこにいるといったやわらかな存在などではなく

凛とした静かな笑みの奥に梃子でも動かない極太の情念を宿している、そういう一種独特の雰囲気が極めて強い存在感の役者さんであった。

■たぶん数多の名作で見た「緒形拳」は、その登場人物そのものではなく、その役柄を通して「緒形拳」自身を強烈に発散していたのではないだろうか。

思い浮かぶいくつもの映画のシーンでの拳さんは、あくまでも緒形拳のイメージなのである。

こういう役者さんは他にもいろいろ居そうだが、実際に想像してみると「自身」よりも役者としての器用さにどうしても目が行ってしまう。

そして、大きな存在を失ってしまったことに思い至るのだ。

     
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

                          <2008.10.08 記>

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2008年10月 7日 (火)

■ドラマ『夢をかなえるゾウ』。ガネーシャ、自分、インチキっぽいくせに意外といいこと言うやん!

ガネーシャの出す課題に不覚にも感心してしまった自分がなんか悔しい・・・。

Photo
■スペシャルドラマ 『夢をかなえるゾウ』 2008.10.02(木)放送。
古田新太のガネーシャが最高。あまりの知名度の低さに落ち込んで押入れに引きこもる「すねた」演技は古田新太ならではの味わい。

■話題の本っていうのを敢えて敬遠するいやらしいところがあって、本屋に平積みされているこの本の装丁が醸し出すインチキ臭さに惹かれつつも今まで無理に避けてきた。

けれど、ドラマのガネーシャ役を古田新太がやると聞いたらもう我慢の限界っ、どっぷりとハマり込んでしまいました(苦笑)。

■平凡な毎日を送る若手サラリーマンが、ふと自分の人生のつまらなさに気付き「変わりたい!」と願う。

そこに関西弁をしゃべる変なゾウの神様が現れて自信たっぷりにこう言うのだ、

―ワシの出す簡単な課題を確実に実行すれば

 お前は必ず成功する―

果たしてこの怠惰でインチキ臭い神様、ほんとに信じていいのだろうか???

・・・という おはなし。

Photo_9 「あんみつ、くれ~」

■要するに「成功の秘訣」の話なのだ。

・靴を磨く

から始まり、

・ 人を笑わせる

・ 誘われても真っ直ぐ帰宅し、自分の時間を作る

・ その日がんばった自分を褒める

主人公は半信半疑ながらもガネーシャの出す課題をこなしていく。

■実はこれらの「課題」は世界の偉人や成功者が実際に実行していたことなのだそうだ。
(またWikiネタなのですが・・・。)

靴を磨くのはイチローで、順にハーブ・ケレハー(サウスウエスト航空会長)、スティーブン・キング、手塚治虫というわけである。

「ものごとをプラス思考で考える」とか抽象的なことではなくて、実際に「行動」を伴った具体的な課題であることがポイントのように思われる。

■金も、地位も、名誉も、

ぜんぶ他人が自分を認めて与えてくれたもの。だから、

【毎日、感謝する】

という最後の課題も確かによかった。

けど、以下に挙げる3つの課題は「おおっ」と、メモってしまうほど

ナルホド度が高かった。

  
・ どんな最悪な事態に陥ってしまったときでも、

 【運がいい、と口に出して言ってみる】

・ 人に何かをしてあげるとき、まあこんなもんだろうという相手の

 想像力を遥かに上回る【サプライズをする】

・ いろいろ言い訳をしながら、やらずに後悔していることを

 【今日から始める】
    

■・・・でも、なかなかそう上手くいかないのが現実だ。

そういった「成功する習慣」を教授してくれる本を読んで理解したつもりになっても、「何だか掴んだぞ!」と思っているのは数週間程度。

半年もすれば本の中身はすっかり忘却の彼方、ご利益のある実践的自己啓発本も本棚のお飾りと化してしまう。

何を隠そう、ウチの本棚にも「スゴイ!」と感動した本が何冊も並んでいる。

だが悲しいかな、背表紙を眺める満足感以上のものは今や何も残っていないのである。

■このドラマ、というかこの物語がひと際かがやいて見えるのは、その「罠」を乗り越える力を秘めているからなのだ。

それらの「ありがたい課題」を提示するのが、如何にもインチキ臭い違和感たっぷりの「存在」であること。

一人暮らしのアパートに突然あらわれて押入れに住み着くのが’ドラえもん’ならまだしも、怠惰なゾウ人間(神様?)なのだから始末が悪い。

こんなのと一緒に暮らしながら逐一行動を見張られていたら、小栗旬ならずとも嫌でも継続的に実行せざるを得ないだろう。

その意味で古田新太は今回、最高の仕事をしたと言える。

彼以上にガネーシャ役が似合う男は世界広しといえども他にはいない。そういわれても本人はちっとも嬉しくないかもしれないが、あえて断言してみたいとおもう。

■さて、問題は我々がこのドラマをみた直後からの実際の行動と、その半年後、3年後にそれが継続できているかどうか。

何しろ我々のそばには違和感溢れるガネーシャも古田新太もいないのだ。これは結構痛いハンディキャップである。

とりあえず、今すぐに出来ることは古田新太扮するガネーシャの画像をデスクトップの背景にでもするかなのだけれども・・・

うーん、チョッと気が進まないなぁ。

_ 「よっこらせっ」
Photo_7 「何じゃ、コイツ!」
■【連続ドラマ】『夢をかなえるゾウ』木曜 夜 11:58 NTV系列 
  主演:水川あさみ (祝!連ドラ初主演!)

■引き続いての連続ドラマ。

こちらはオリジナルストーリー(だよね?)で

主人公は水川あさみが演ずる一人暮らしの独身派遣社員。

彼女の夢が「幸せな結婚」だったりするのでテーマ的に40のおっさんには正直きびしい。

■でも、第一話での水川あさみの

「もう、最悪!!」

っていう演技が最高によかったので、うん、これは続けて見ちゃうかもしれない。

気位を高く見せている内面が実はとてもか弱いOLの成長ぶり、しっかり期待させてもらいます。

あ、もちろんガネーシャ・古田とのかけあい漫才も楽しみ。

水川あさみは果たして新境地を拓くのか!

                          <2008.10.07 記>

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■【原作本】
Photo_8
■『夢をかなえるゾウ』  水野敬也 著(2007年8月初版)

     
■【DVD】 夢をかなえるゾウ スペシャル 男の成功編

    

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■CAST■

【スペシャル・ドラマ版】
古田新太 :ガネーシャ(ゾウの神様)
小栗 旬  :野上耕平 (主人公) 
瀬戸朝香 :氷室絢子(会社の上司)
田中要次 :ニュートン&イチロー&キュリー夫人&エジソン
宇梶剛士 :刑事
ランディ  :本物のゾウ
【連続ドラマ版】
水川あさみ  :星野あすか(主人公)
長谷川朝晴 :坂東剛(主人公を振った職場のエリート)
加藤理恵   :本多加奈子(派遣仲間)
大久保麻理子 :池上ルナ(派遣仲間)
佐戸井けん太 :田島部長

■STAFF■
原作 : 水野敬也 「夢がかなうゾウ」 飛鳥新社
脚本 : 根元ノンジ(スペシャル・ドラマ)
      国本雅広(連続ドラマ)
演出 : 岡本浩一(読売テレビ)
チーフプロデューサー : 田中壽一(読売テレビ)
  * * * * * * *
ナレーション - 窪田等
音楽 : 中塚武
主題歌 : SEAMO 『Continue』
  * * * * * * *
VFX・特殊メイクスーパーバイザー : 岡野正広(ゴンゾ)
CG  : フレームワークス・エンタテインメント
  * * * * * * *
製作 :読売テレビ/ケイファクトリー

Photo  Continue

      

■ドラマ 夢をかなえるゾウ 公式HP

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2008年10月 4日 (土)

■手応えを求めて踏み込む、あきらめない勇気。『爆笑問題のニッポンの教養』 政治学、姜尚中。

今回のテーマは、政治学。

遂に、我らが悩める姜尚中さんの登場である。

Photo_2
■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE049:「愛の政治学入門」 2008.9.30放送
東京大学大学院情報学環教授。政治学・政治思想史。姜尚中(かんさんじゅん)。

■「死ぬなら一人で死ね、としか言えない政治がもしあるのならば、それはもはや「政治」とは言えない」

「本来、政治とは他者を受け入れましょう、その代わり私も受け入れて欲しいというものだ」

秋葉原無差別殺傷事件の犯人に対して姜さんは、その「目を背けたくなる恐ろしげなもの」を如何に受け止めるかが政治の役割りであると説く。

それを貧困や雇用の問題に還元し、一般化した上でしか問題を捉えることが出来ない今の政治に対する痛烈な批判。

「私」という生身で対象を捉える、そうすることでしか本質を見出すことは出来ないとする姜尚中の真骨頂炸裂である。

■それに対して太田はネット上での殺害予告事件について語りだす。

2ちゃんねるに殺害予告が書き込まれたことに脅威を覚えた太田が警察に被害届を出し、間もなく書き込んだ男が逮捕された事件である。

「そこから、ものすごい『憎しみ』が伝わってきた」

という太田の表情は本当に恐怖を感じていたようで、「申し訳なかった、あれは冗談だったんです」という生身の犯人を見て安堵する。

その「ふつう」な反応の意外さに、いつもの「作った」イメージの裏にある太田の素の部分が覗けてみえた。

■受けとる側の想像力の大切さを痛感した、

と語るその太田の「素」のコトバには説得力がある。

何しろ掲示板の向こうにいる名無しさんと実際に対峙したのだ。

その「恐れ」と「安堵」は今回の話題の根幹の部分を象徴していたようにも思う。

ネット上の文字列から受ける「恐れ」と、直に相手と接することで受ける「安堵感」。

そこに、この孤独な時代を和らげるヒントが隠されているような気がするのである。

■ノーリアクションが一番ツライ。

とボヤくのは何も親父ギャグ常習犯のお父さんに限った話ではないだろう。

「社会とつながりたい」

なんてカッコいい言い回しではまだ不十分で、「認められたい」、「好かれたい」という辛く切ない生々しい想いを抱えて生きていくのが人間である。

想いが伝わらないその悲しみを常に背負っていくのである。

それは人類が社会的動物として進化してきたが故に背負ってしまった悲劇であり、古代ギリシャであろうが、平安時代であろうが、人が人である限り変わることは無い。

■けれど、その悲しみがこれまでになく世の中に深く染み渡っているという実感もまた間違いでは無いだろう。

複雑な要素が絡み合いグローバル化した現代は「誰が悪いか分からない」時代であって、ぶつぶつ文句を言いながらも世の中に流されていく「ニヒリズム」が蔓延する時代なのだ、と姜さんはいう。

そのニヒリズムはコトバを発する「不審な」者に対してスルーしよう、刺激せず、ノーリアクションでいこうとする態度を生む。

そんな乾いた空気の中で一人ひとりの自己主張は空を切り、「認められる」ことを実感できない人類の宿命的な悲しみが、より強く感じられる時代だということだろう。

■自分が今パソコンに向かって文字を打ち込んでいるこの行為そのものが語っているように、誰もが「発信」する手段を持ちはじめているのが今の時代である。

「認めて欲しい」という欲求がこのインターネットの空間には満ち溢れている。

けれど自己主張の手段が爆発的に増大するのと反比例して、「認められた」、「受け入れられた」という手応えは限りなく頼りないものになっていく。

ネット空間の中で肥大する「認めて欲しい」という想いは決して満たされることはない。

自分の声が届いていることを示す微かな響きは、圧倒的な欲求につぶされ、過小評価されてしまうのだ。

■姜さんは若い頃、肥大化する自意識に苦しんだ。

「自分しか見えない鏡地獄」、その堂々巡りの苦しみの中で、「実は、問題は自分にあるのではなく、『社会、政治』にあるのではないのか」と、自らの外側にある『社会』の存在に気付き、視界が大きく転回したのだそうだ。

その真意は問題を他責にすることにあるのではなく、実は「自分」の外側にも世界が広がっているのだという当たり前のことを発見した驚きにある。

自意識に悩む姜さんの姿は、まさにネット空間の中での自縄自縛な「私」の姿であって、モニターの向こうにリアルタイムでつながっているはずの世界は皮肉なことに肥大する自意識をさらに拡大するばかりで、そこに見えるのは醜く歪んだ自分の姿ばかりという『鏡地獄』そのものだ。

書を捨てよ、町へ出よう

という、かつての裏町詩人の呼びかけは、「端末を捨てよ、街へ出よう」と書き換えられるべきなのかもしれない。

いずれにしても人はネットだけでは生きていけない、ということだ。

■高倉健がバツが悪そうに頭を掻きながら

「自分は不器用なもんで、」

とつぶやくそのワザが通用したのは人とのつながりに確信が持てた昭和の時代のノスタルジーの中だけである。

だが日本は今や「一億総不器用なもんで、」の時代であり、中途半端な高倉健ばかりが伏し目がちに生きている。

■「相手が自分を認めてくれている」という確信が持てないから、真っ直ぐなコトバを投げかけることが出来ない。

っていうか~、と主張を極力ぼやかして「自己」が相手との関係の中で曝されるのを極度に恐れるのである。

教師は生徒に及び腰になり、医師は患者に、親は子供に恐々とする。

そこに信頼が生まれるわけがない。

しっかり受け止めてもらえないのではないか、というその恐れが却って「自分を認めてくれてないの?」という不信を相手の中に生みだし、不安は連鎖し、拡大生産されていく。

■それが今の日本を覆っている「ニヒリズム」の正体なのだと思う。

「ネットの闇」はその連鎖を駆動する構成要素のひとつであって原因ではない。

同じように社会が悪いわけでも、ましてや特定の個人が悪いわけでもない。

ただ、自己強化していく不安の渦に巻き込まれているだけなのだ。

■その流れを止め、逆転させることができるならば、理想像としての「三丁目の夕日」の安心がそこに立ち上がっていくのだろう。

だが、気候の変動を止めることができないように、世の中の流れをコントロールすることはできない。「小泉改革」のように時代を積極的に動かしたかに見える運動にしても、実は時代の文脈の結果として生じた大きな「渦」のひとつに過ぎない。

そんな不安の渦巻きの中で我々にできるのは自己が傷つくことを恐れず「手応え」のある方へただ、進んでいくことなのではないだろうか。

■渦巻きの向きを変えるのは、それを止めようとする大きな力ではなく、その渦巻きの強さゆえに生まれる逆向きの小さな渦巻きをあきらめずに育てていく粘り強さなのだと思う。

そしてそれを支えるのは「対立」とか「競争」とか「成果主義」とか、そういうコトバからイメージされるような世界観ではなく、「許す」とか「ゆずる」とか「続ける」とか、そういう「自分」を主語とした動きの連なりなのだと思う。

その結果として、

姜さんのいう「愛の政治」が実現する日がくるのではないだろうか。

                           <2008.10.04 記>

Photo
■悩む力 (集英社新書) 姜 尚中 著

     
■関連記事■
■【書評】『悩む力』 姜 尚中。悩み抜いた果てにたどり着くであろう他者とのつながり。

■人と世の中のつながりについて。秋葉原無差別殺傷事件におもう。
      
 

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2008年10月 2日 (木)

■強迫的自己実現から落伍した者のつぶやき。

もう頑張らなくていい、ここまで十分頑張ったじゃないか。

これから10年は頑張らないで生きていこう。

50歳になって、

また頑張りたくなったらその時に頑張ればいい。

もう自分を許してやってもいいんじゃないかな。

 

そう思うことで、すこし気分が晴れてきた。

もうしばらくは生きていていいと思う。

                        <2008.10.02 記>

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