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2008年9月25日 (木)

■【書評】『「言いたいことが言えない人」のための本』、畔柳 修。自縄自縛の泥沼から抜け出す方法。

会社での対人関係に悩む知り合いがいたので参考になるかなと思って読んでみたら他人事なんかじゃなくて自分の悩みがあらわになってしまって愕然とした。

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■「言いたいことが言えない人」のための本
 ―ビジネスでは“アサーティブ”に話そう!

■「アサーティブ」

という聞きなれない言葉がキーワードになっているのだけど、要するに「自己表現」のことのようである。

自己表現が上手く出来ない、

相手に気持ちが伝わらない、

なんてことは万民の悩みであって、「伝え方」のノウハウ本なんかも随分売れているようだ。

■けれど、この本のポイントは、むしろ「生き方」にある。

言いたいことを口に出せて、それが相手に伝わるためには小手先のテクニックではどうしようもない。

「自分」を素直に肯定し、相手も同じように尊重する。

そういう姿勢が身につかなければ、言葉は空を切るだけではなく、思いとは逆のメッセージとして相手に捉えられてしまうこともあるのだ。

■いや、いや、私はしっかりとした自尊心をもっているし、他人に共感することを旨として生きているから大丈夫。

なんて考えがちで、実は私もそうだったのだけれども、知らず知らずのうちにいろいろな「思い込み」を抱え込んでいるのだな、と気付かされてしまった。

まったく想定外のことである。

■面白かったところをピックアップしてみよう。

【思い込み①】人を傷つけてはならない。

 →それは無理です。

【思い込み②】失敗してはならない。

 →チャレンジが出来なくなります。

【思い込み③】人に好かれなければならない。

 →自分を隠すようになってしまいます。

■要するにものごとを現実的に捉えようということだ。

そりゃ、そうだよねー、当たり前じゃん。

と思ってしまいがちだが、それは他人のことを指摘する場合のことで、さて自分のこととなると途端に「現実」が見えなくなり、勝手な思い込みで自分を縛り上げて身動きが出来なくなってしまうのだ。

それでは健全な「伝え方」はできないし、実際に伝わらない。

仕事でうまくいっていない件についてプロジェクトの会議で報告するときなんか、もうガンジガラメになって動けなくなっている自分がいたりするのである。

一番問題なのは、そのことに「気付かない」ことなのだと思う。

■もうひとつ、「アサーティブ権」なる権利を「私」も「相手」も「まわりの人」も皆もっている、という考え方も面白い。

これらの「考え」に違和感を覚えるところがあったら、「私」或いは「相手」が「OKでない」、という態度が心の底に潜んでいるのだそうだ。

・自分には十分に価値がある

・完璧でなくてもいい

・自分を表現してもいい、変更してもいい

・表現しなくてもいい

・間違いや失敗をしてもいい、責任を取ってもいい

・Noを言ってもいい

・相手に要求してもいい、欲しいものを望んでもいい

・周囲の期待に応えなくていい

■アタマで考えれば、その通り、なんだけど自分の気持ちに寄り添ってこれらの言葉を眺めてみると違和感感じまくり。

40年も生きてると随分と歪みが出てくるものである。

自分の完璧主義には手を焼いているのでそういうところは素直に受け入れられるのだけれど、「表現しなくていい」とか「責任を取ってもいい」とかいうのにはビックリした。

その一方で、「それがあなたに与えられた権利なのです」と改めていわれると何だか心の深いところでほっとするところがある。

■「責任をとる」ということが社会的関係性の中で否応無く覆いかぶさってくるものではなく、自ら選びとる「権利」なのだ、という考え方には特にしみじみ感じ入るところがあった。

その考え方を身につけていたならば、前の農水大臣も次官も「事故米騒動」で解任に追い込まれるような発言をすることはなかったに違いない。

国家を背負ったエリート殿でさえこうなのだから、まあ「歪んでる」というのは特に恥じることではないだろう。

■というわけで、自らの「歪み」に気をつけるべし、なんだけど、やっぱり実際その時になるとなかなか気付かないものである。

なので、何だか上手くいかないなーと思ったときにでも再度眺めてみようと思う。

文字が少なくて読みやすい本だし、そう億劫でもないだろう。

                          <2008.09.25 記>

■「言いたいことが言えない人」のための本
 ―ビジネスでは“アサーティブ”に話そう!

■畔柳 修 著 同文館出版 (2007/09)

■アサーティブ・コミュニケーション
     ―言いたいことを「言える」人になる

■岩舩 展子、渋谷 武子 著 PHP (2007/08)
■とても、ゆるくて読みやすい本なんだけど、具体的な場面で陥りやすいワナを結構するどく言い当てていて、実用としてはむしろコッチの方が役に立つかもしれません。
 

■過去記事■
■【書評】ひつじの本棚 <バックナンバー>
 

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コメント

勤務している創薬研究所には社員の研究員が9名で助手はパートの私1人です。研究者ってホントに個性の強いお方ばかり・・・^^;
同じ実験をするにもそれぞれにこだわりがあり、微妙に違うところがあったりするのですが、先日「マニュアルを統一してください!」と、
入社4年目にして初めて言えました^^;ちょっとストレスもたまり気味の今日この頃、もっと早くこの本に出会いたかった!
あっ、でも、今からでもまだまだ遅くないですね。
ご紹介ありがとうございました^^

投稿: 臨床検査技師 | 2008年9月26日 (金) 19時05分

臨床検査技師さん、こんばんは。

研究員9人に助手1人って、そりゃ大変そうですね(汗)。
でも、今まで言えなかったことが言えただけでもスゴイですよ!
波風立てずに自分が我慢すればいいんだっていう日本人のメンタリティも、複雑でスピードの速い現代では見直したほうが上手くいくのかもしれませんね。

投稿: 電気羊 | 2008年9月26日 (金) 19時59分

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