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2008年8月

2008年8月30日 (土)

■エド・はるみ。24時間テレビ、チャリティーマラソン。頑張れ40代の星!!

今年はエド・はるみが走るのだという。

旬の芸能人は大変だなあ、などと思いながらスタート前のコメントを聞いていて不覚にも感動してしまった。

2402_2
■NTV24時間テレビ2008.08.30-31より

■このチャリティーマラソンが憧れだったなんていうのは演出に違いない。

けれど、切っ掛けは何であったにせよ生半可な気持ちで113kmという距離を走ろうなんて思えない。

自分のこころを支える「本物」の何かがなければ、とても走りきれるのもではない。

■「人は、命がある限り、いくつであっても、いつからであっても、変わることができる。伸びて成長し続けることができる。その事をお伝えしたく、私は走り続けます。」

という言葉を聞いて、

ああ、そうか

と腑に落ちた。

■40歳を過ぎた淑やかな女性のイメージと「ぐ~」のギャップはちょっと痛々しい、という見方もある。

けれど彼女の背後にはそこから突き抜けた諦観のようなものが漂っていて、それがギリギリ限界のところでの安心感を生んでいる。

彼女は単純で薄っぺらな「イロモノ」ではなく、しっかりとした背骨のある「イロモノ」なのであって、だから年下の芸人たちも安心して彼女をイジることができるのだ。

■43歳でのお笑いデビュー。

そこに至るまでの20年に想像をめぐらせたとき、

40歳を超えたって人生を諦める必要は無い、

という彼女のメッセージが40歳のオヤジの胸にグッと来る。

頑張れ、エド・はるみ!40代の星!!

                          <2008.08.30 記>

■追記■
エドさん、完走おめでとう!お疲れ様でした!!
                          <2008.08.31 記>

Photo
■成人式は二度終えております
エド・はるみ 著 (2008年9月初版)
 

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■128億年の壮大な歴史書は日々書き換えられるノダ。『爆笑問題のニッポンの教養』 天文学、林 正彦。

今回のテーマは、天文学。

Photo
■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE:045:「128億光年の宇宙見物」 2008.8.26放送
国立天文台ハワイ観測所所長 天文学、林 正彦。

■ハワイ、マウナケア山頂4200メートルの高みに日本が誇る最大級の反射望遠鏡 すばる がある。

128億光年の彼方から届く微弱な光を捉えることが出来る世界屈指の望遠鏡なのである。

■林先生はこの望遠鏡で、日々「あれは何だ!?」という科学者冥利につきる日々を送っているのだ。

経費の獲得だとか、世界中からの要望の調整だとか、人間界の苦労も多そうだけれども、この望遠鏡で捉えた映像を眺めている瞬間はきっと忘我の悦楽を味わっているに違いない。

うらやましい限りである。

■宇宙空間に拡がったガスが吹き溜まるように集まり、それが加速してその中心に「星のたまご」が生まれる。

すばるでは、その姿が観測できるのだそうだ。

驚くべきことに、一度観測してから2週間も経てば宇宙の様子が変わっているのだそうで、2週間前には見ることの出来なかった新しい星の誕生や、星の最期が観測できるというのだ。

■よく考えてみれば宇宙の観測っていうのも不思議なもので、128億光年先の姿は「この望遠鏡を覗いている今」に対して128億年前に発せられた光なのだ。

そして望遠鏡の焦点距離を100億光年、50億光年、10億光年と変えていくことで宇宙の歴史を眺めることができるということは、望遠鏡とは一種の歴史書だということだ。

しかも、その歴史書は我々の心臓の鼓動の速さと同じ速度で日々書き換えられているのだ。(もちろん特殊相対論的な時間の伸び縮みはあるけれど。)

■宇宙の誕生ビッグバンから137億年。

ビッグバンに対して「137億年」なんていう我々の時間の物差しがそのまま通用するというのも不思議な話だが、少なくとも我々人類は「宇宙の誕生まであと10億年」という世界を覗くところまで来ている。

それは凄いことだ。

80年の人生と比べれば途方もなく遠い世界。

■けれど、生命の誕生から38億年、太陽系の誕生から46億年。

そして、これから40億年の後には我が銀河系は、おとなりのアンドロメダ銀河と衝突し、新たな銀河系へと生まれ変わるという。

そういったスケールで眺めてみれば、「すばる」が見させてくれる128億年の昔も全く理解の及ばない世界とも思えなくなってくる。

そして、その姿がリアルタイムで変化していく様子を捉えることが出来るなんて・・・。

■「すばるは皆に夢を与えてくれる」

とまわりからよく言われるんですよね、本人はあんまりそういうつもりはないんだけれど。

という林先生のおトボケぶりが、いかにも真面目な学者らしくて好印象であった。

太田が開陳した「他者との関わりによって常に爆発している私」、なんていう哲学的な話にはまったく反応されなかったが、そりゃそうだ。

だって「爆発する宇宙」を現実にいつもその目で眺めているのだから。

いや、本当にうらやましい。

                            <2008.08.30 記>

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■宇宙への秘密の鍵
■ルーシー・ホーキング, スティーヴン・ホーキング 著 (2008年2月)

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2008年8月29日 (金)

■入道雲の頂は。

久しぶりに正しい入道雲に出会った。

昨日の雷雨はこいつの仕業か?

2008082903

強い上昇気流はぐいぐいと力強く立ち上がり、

その勢いは富士山を超え、

エベレストを越えても なお衰えることを知らない。

高度1万1000メートルの空の底。

対流圏と成層圏のハザマに於いて、

やっとその頂は上昇志向に区切りをつける。

 

そのエネルギーが

上昇気流の中で翻弄される雨や氷の粒たちとの

摩擦による静電気として蓄えられ

900ギガワットの雷撃となる。

ドーン!

20080829

少し目線をあげてみれば

そこに壮大なスペクタクルが浮かび上がってくる。

己は実にチッポケナ存在ではあるのだけれど

その頂にこころを飛ばすことは

いつだって可能なのだ。

                        <2008.08.29 記>

  
■■■ 空の写真 ■■■  
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2008年8月27日 (水)

■【書評】『悩む力』 姜 尚中。悩み抜いた果てにたどり着くであろう他者とのつながり。

姜 尚中(カン サンジュン)さんは、政治学者でありながら’学者’らしくない人である。

その言葉は理屈だけによって構築された無味乾燥したものではなく、そこには熱い血潮が通っている。

それ故に姜 尚中さんの言葉はいつも胸に響くのだ。

Photo
■悩む力 (集英社新書) 姜 尚中 著

「自由と独立と己れとに充ちた現代に生まれた我々は、其犠牲としてみんなこの淋しみを味あわなくてはならないでしょう。」 夏目漱石 『こころ』より

■西洋近代文明の恩恵にあずかって我々は100年前には想像もできなかった夢のように豊かな生活を謳歌している、ということに疑いの余地は無いだろう。

けれどその一方で個人こじんの心はひりつくような孤独にさらされている、というのもまた事実。

市場自由化、収益至上主義によって地域や業者同士のつながりは解体され、また個人の権利を重視するあまりに教師や医師といった「聖職」の権威は失墜した。

我々の心の安らぎは失われ、時代の殺伐とした空気は取り返しのつかないところまできているようにも思える。

■この現代における「個人」の危機にどう向き合うのか。

個人の「悩み」はあくまでも個人によるものであって、その人にしかその悩みは分からないし、解決もできない。

姜 尚中さんは本書において、自分自身の葛藤、悩みを通して我々に語りかけてくる。

だからこそ、一般論ではない、人間・姜 尚中の赤裸々な「自我」の彷徨が我々を捉え、生きる指針のヒントを与えてくれるのだ。

■「孤独な自我」と「他者」とのつながりに生まれる矛盾と葛藤について悩み続けた文豪・夏目漱石。

西洋近代文明の根本原理を「合理化」に置き、文明が進むことによって人間の社会が解体され個人がむき出しになり孤独に陥っていく、という世界観を提示した社会学者マックス・ウェーバー。

100年前、19世紀から20世紀に移り変わる時代に生きたこの二人の思想を「対」にして咀嚼することで、姜 尚中さんは自我の危機を乗り越えてきたのだそうだ。

曰く、「まじめ」たれ。

■己の自我と他者の自我とのつながりを求めつつも避けることの出来ない軋轢。他者から「認められない」と感じることによって生じる不安と絶望。

私が私として生きていくことの意味とは何か。

自我をめぐる悩みは決して解決することはないだろう。

けれど、まじめに苦悩に向かい合い、真剣に悩み抜く

その先に「解答」は無いのかもしれないが、それぞれの人がそれぞれに生きていく「方向」が見えてくるに違いない。

その、如何にも姜 尚中さんらしい真摯な姿勢が清々しい。

■他者とのつながりの先に幸福と安心があるのだと信じ続ける。

多少の右往左往は承知の上。

ゆっくりでも構わない。

長い目でみて、その道を進み続けることが出来ればそれでいい。

それが、今、私が感じていることである。

                           <2008.08.27 記>

■『悩む力』 姜 尚中 著(集英社新書 2008年月初版)
  

Photo
■『こゝろ』 夏目漱石 著 (角川文庫)
■最近、読み直して高校時代には感じなかった感動を味わった。
前半での「私」と先生、先生の奥さんとの関わり合いのゆるやかさが、後半の先生の長い手紙に滲む「苦しさ」を際立たせる。
なんて偉そうに書く割りには、漱石はこれしか読んでいません(苦)。
   

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■『私の個人主義』 夏目漱石 著 (講談社学術文庫 )
■夏目漱石の講演記録。
これを読んで少し夏目漱石の声でも聞いてみようかと思う。
   

■『姜尚中の政治学入門 』 姜尚中 著 (集英社新書)
■「論理」(ロゴス)と「情念」(パトス)のふたつの観点を包み込むことで、世界において現代の日本が置かれている状況を読み解く。
「アメリカ」、「暴力」、「主権」、「憲法」、「戦後民主主義」、「歴史認識」、「東北アジア」の7つのキーワードによって、今という時代を構造として捉える道案内をしてくれる。姜 尚中の発言の背後にある思想にふれることが出来る一冊。
  

■『鬱の力』 五木 寛之 香山 リカ 共著 (幻冬舎新書)
■書店で『悩む力』のとなりに並んでいたのを衝動買い。
「現代の日本を覆う『欝の気分』は果たして悪いことなのだろうか」という切り口で進行していく作家・五木 寛之と精神科医・香山リカとの対談録。
今という時代の苦しみを肯定するというアプローチは姜 尚中さんの『悩む力』と同じだが読後感は180度違う。
いろいろな切り口で論が進み知的には面白いのだけれども、なんとも権威的でこころに触れないというのか響かない。まだまだコチラの精進が足りないのであろうか。
注意すべきは現在「うつ病」で苦しんでいる方は読まない方がいいということ。
ここで語られているのは「現実としての病気」とは違った「時代の気分」の話であって、そこを読み違えると具合が悪いことになると思います。ご注意を。
   

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2008年8月25日 (月)

■離陸時墜落事故連続発生の不思議について考える。

スペインの首都マドリードと中央アジアのキルギスで連続して旅客機の離陸時墜落事故が発生した。

20080821 20080825
■8/21スペイン・スパンエアMD82機、8/24キルギス・737-200型機

■2008.08.21 スペイン、マドリード 現地時間午後2時半

 マグダネル・ダグラス MD82型 乗客乗員約170名

 離陸直前に左エンジンから出火、滑走路を外れ墜落。

■2008.08.24 キルギス、ビシケク 現地24日夜

 ボーイング 737-200型 乗客乗員約90名

 離陸直後、高度1000mに達するところで機内の急な減圧

 離陸した空港へ緊急着陸しようと引き返す途中で墜落。

■何度かこのブログでも書いているけれども、何故か飛行機事故っていうのは集中して発生する。

耐久強度不足が原因といわれているF-15の空中崩壊を除けば特に原因が共通していないからこれがまた不思議なのである。

さらに不思議なのが、ともに離陸時に事故が発生しているというところだ。

■航空機の事故は羽田沖の逆噴射とか、日航機墜落事故の原因となったといわれている「しりもち」事故だとか着陸に絡んで発生することが多いという印象をもっていたのだけれども、どうも最近様子がおかしい。

離陸直後の墜落といえば今年1月に発生したF-2戦闘機の事故が思い起こされる。

着陸の事故というのは主としてパイロットの技量に依存するのに対して、離陸時の事故はエンジンだとか操縦系統だとかもろもろのハードウエアに依存するものだ。

離陸して地面を離れたところで「問題」が発覚、手の打ちようもなく墜落するというのがここのところの離陸時墜落事故に共通した傾向のように思われる。

■ハードウエアの進化によって多少の操縦ミスは機械の方でリカバーしてくれるようになった。

飛行機の操縦は安全で安定したものへと確実に進歩し続けている。

それが着陸時の事故を減らす要因にもなっているのだろう。

■今回の2件の墜落事故の原因についてはまだ分からないけれども伝わってくる情報からはハードウエアに問題があったことが窺える。

F-2墜落事故が象徴するように、システムがますます複雑になる一方で作業のスピードアップとコスト削減が優先されていく。そういう状況が進展していく中で整備の問題、設計思想の問題など、機械を使う側ではなくて、機械を作り、維持する側に課題が大きく移行しつつあるのかもしれない。

技術屋としてしっかり考えていきたい問題である。

                            <2008.08.25 記>

50
■『航空機事故50年史――第一人者がはじめてすべてを明かす』
加藤 寛一郎 著 講談社+アルファ文庫(2008年4月)

 
■過去の記事■ 飛行機、宇宙の話など  
    

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2008年8月23日 (土)

■【書評】『放送禁止歌』 森 達也。それもまた思考停止のひとつのカタチなのだ。

自分の頭でシッカリと考えること。

森達也さんが一貫して訴え続けていることである。

Photo_3 ■放送禁止歌  森 達也 著

■『放送禁止歌』は、テレビディレクターとして数多くのドキュメンタリー作品を演出してきた森達也さんの代表作のひとつである。

イムジン河、網走番外地、通りゃんせ、時には娼婦のように、ヨイトマケの唄、竹田の子守唄、・・・。

「放送禁止歌」とはその内容が反体制的であったり、あからさまな性表現があったり、差別的な内容や言葉が歌詞に含まれていたりするために「放送することが出来ない歌」のことである。

ところが放送されないはずの『イムジン河』がNHKのフォーク番組で流された。

森さんは、その経緯を調べていくうちに「放送禁止歌」という放送規定の驚くべき正体にたどりつく。

■創成期からテレビマンとして番組作りに携わってきた男がいう。

「テレビはマスメディアとして成長していく過程で、とにかく毒とみなされるものを少しずつ排除しながら角をどんどん丸くしてきた。・・・、しかし表現としては取り返しのつかない道を歩んでしまったのかもしれない。」

世の中がどんどんスピードアップしていく中で、悩ましい問題は単純化され、基準化され、その基準の意味も、いやその内容すら顧みられなくなっていく。

■もっと早く、もっと多く。

加速していく時間にもう追いつけないという感覚は既に80年代からあったけれども、21世紀に入ってさらにその加速度は増していっているように思える。

その非人間的速度の中で正常を保っていくためには自らの思考回路をマヒさせるより仕方が無い。

それは無自覚に進行していく生物学的防衛機構の作動ともいえるだろう。

■テレビ番組に限った話ではない。

機械設計の現場でも「基準化、マニュアル化」が進み、その「意味」を理解しようとしない、そんなことを考えもしない風潮がじわじわと広がっているようにみえる。

トラックの車軸強度不足やエレベーター事故。ここ数年の「事件」や「不祥事」は、そういった時代の流れと無関係では無いだろう。

■「放送禁止歌という存在が象徴するように、僕らは視界を自ら狭めて思考を停止させてしまう傾向がきっとある。

見ることなく、聞くことなく、したり顔で語ってしまうことがきっとある。

難しいことじゃない。

見ればよい。聞けばよい。話せばよい。知ればよい。

それだけで視座は確実に変わる。それだけは間違いない。」(P214より抜粋)

■この本の前に森さんの『いのちの食べ方』(理論社、2004)を読んだのだけれど、「差別について知ること」ばかり強調したその姿勢に強い疑問符を抱いていた。

知らなくてもよいことを無垢な子供たちにわざわざ教えなくてもいいじゃないか、そう思っていた。

けれど、それもまた思考停止のひとつのカタチなのだと気がついた。

「知らなくてもよい」と思ったその時点で、「見ることなく、聞くことなく、したり顔で語ってしまう」自分がそこにいるのだ。

【思考停止】は、常に無自覚にやってくる。

ご用心、ご用心。

                          <2008.08.23 記>

■放送禁止歌 (知恵の森文庫 2003年6月初版) 森 達也 著 
解放出版社刊『放送禁止歌』(2000年7月初版)より加筆修正。
  

Photo_2
■世界が完全に思考停止する前に
(角川文庫 2006年6月初版、単行本:2004年10月初版)
■森達也さんの評論集。
森さんは9.11アメリカ同時多発テロ事件以降の世界を、オウム真理教の地下鉄サリン事件以降に日本を覆った不安と焦燥に重ねている。
ともすると「『私』個人としての思考」を忘れ、世の中を覆う空気に無自覚に流される我々。そして無批判にそれを受け入れ、それを批判するものを排斥する単純さ。
世界は確実に壊れつつある、という言葉が重たい一冊である。

   
■関連記事■
■【書評】『いのちの食べかた』 森 達也。「知ろう」とするときに求められる姿勢について。
        

■過去記事■
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2008年8月22日 (金)

■雷雨。

2008082106

久しぶりの激しい雷雨に見舞われた。

こういう時にワクワクしてしまう性分ってどうなんだろう。

おまけに帰宅した途端に停電なんかもあったりして

おお、すげーってなもんなんだけれども、

最近の送電システムは素晴らしいようで、

真っ暗闇のドキドキ感も

ものの30秒程度で復帰した灯りにかき消されてしまった。
   

けれど、1分前にマンションのエレベーターに乗っていた

ことを考えると今更ながらゾッとするわけで、

東京電力ありがとう、と

手のひらを返したように感謝しきりなのである。

                         <2008.08.21 記>

  
■■■ 空の写真 ■■■  
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2008年8月21日 (木)

■タイフーン売ります。FX次期主力戦闘機選定、まさかのタナボタ決着か!?

日本に「肩代わり購入」打診=引き取り困難の戦闘機-英
【ロンドン8月20日 時事通信】
Photo_4
英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は20日までに、英国防省が発注したものの財政難で引き取りが困難になっている戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」の購入を日本を含む諸外国に「肩代わり」してもらう話し合いが行われていると報じた。 
英空軍はこれまでに144機を発注したほか、88機の購入を約束しており、キャンセルすると膨大な違約金の支払いに直面する。国防省筋によれば、日本のほか、サウジアラビア、インドなどが関心を示しているという。

■チャーンス!!!当然買うでしょ!

この際だからFX(次期主力戦闘機)選定で悩む日々にピリオドを打っちゃいましょう。

要はロシアと中国のSu-27フランカーに勝てればいいんでしょ?

第4世代のSu-27やF-15に空戦能力で勝る4.5世代のタイフーンなら問題ない。

スーパークルーズ(アフターバーナー無しの超音速飛行)は出来るし、ステルスじゃないけれどRCS(レーダー断面積)は比較的小さいみたいだしね。

■「棚からボタ餅」とはこのことか。

いっそのことファントム100機分、どーんと買って大英帝国に貸しを作っちまおうや。

こんな機会なかなか無いですぜ。

■真面目な話、ニッポンはアメリカ一辺倒じゃないんだぜ!というスタンスを強く示す絶好のチャンスだし、

現在、技本(防衛省技術研究本部)で開発中のATD-X(Advanced Technological Demonstrator-X)「心神」へのつなぎにもなる。

いやいや、面白くなってまいりました!

                        <2008.08.21 記>

■追記■
どうやら本件、誤報だったみたいですね。
考えてみれば、日本にとってのタイフーンの旨味はライセンス生産にあるわけで、余りモノをもらってもしょーがないもんな。
けど、時事通信まで誤報にのっかっちゃうとなると、一体何を信用したらいいんだろう・・・。
                        <2008.11.25 記>

Dvd ■DVD 『ユーロファイター』
    

■関連記事■
■『FX 次期主力戦闘機』 その3。 タイフーン一気の末脚!? (2007年6月記事)
■『FX 次期主力戦闘機』 その5。航空少年は夢を見れるのか?(2007年7月記事、ATD-X心神について)

 
■過去の記事■ 飛行機、宇宙の話など  
    

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■米軍、11月にX-37Bを打ち上げ予定。スペースシャトル後継に真打ち登場!?

NASAがスペースシャトル後継に日本のHTV(H-Ⅱ Transfer Vehicle)を検討中というニュースが流れたが、今度は米軍が面白い機体を引っ張り出してきた。【Technobahn 2008/8/11】記事より。

X_2
■X-37A 全長8.38m、翼幅4.57m、重量5,4t。

■X-37Bと名付けられた無人往還機をアトラスⅤ型ロケットを使って11月に打ち上げるというのだ。

もともとX-37の先行試験機として開発されたX-40から、大型化、ロケットエンジン追加という仕様変更とともにNASAに開発移管したのがX-37A。

ところがカプセル型宇宙輸送機への重点化というNASA内での方針転換によって、開発はX-37Bとして空軍に引き継がれたらしい。

■X-37Aのサイズは全長8.38m、翼幅4.57m。

スペースシャトル・オービターの全長: 37.24m、翼幅: 23.79mと比べると、全長で4分の1、翼幅で5分の1と大幅に小さい上に翼面積がやけに小さい。

このサイズは、アトラスVのペイロード・フェアリングに格納可能なサイズで寸法が決まっているようである。

■X-37Bの寸法は不明だが、上記要件で寸法が決まっているとするとX-37Aから大きな変化は無いだろう。

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■画像は2006年4月にNASAが、米スケールド・コンポジッツ社の「ホワイト・ナイト」を母船として滑空実験を行った際のX-37の映像。【Technobahn 2008/7/31】記事より

■さて、そのX-37なんだけれども、カタチがどうも「ずんぐりむっくり」で、その翼の小ささからペンギンを思い起こしてしまう。

おいおい、こんなんで本当に飛べるのかい!と疑いたくもなるのだけれど、X-40の滑空試験の映像を見る限りではちゃんと飛んでいるワケで、ペンギンをも飛ばせてしまうアメリカ航空技術の実力たるや、恐るべしなのである。
(記事の終わりに動画を添付しました。)

X37image

■実用化がいつくらいになるのかは不明だけれど、2010年9月と言われているスペースシャトルの引退にとても間に合うとは思えない。

そういう意味でJAXAのHTVと競合はしないのだろうし、そもそもこのシャトルがどういう位置づけになるかも分からない。(軍用オンリー?んー、どうだろう。)

けれど、やっぱり「空から帰ってくる宇宙船」というのは心をくすぐるものがあって、11月の打ち上げから帰還までのミッションが成功することを心から祈ってしまうし、出来ればその様子を見てみたいものである。

でも、相手は米軍だからなぁ・・・、

さてはて、どこまで開示されることやら。

                         <2008.08.21 記>

■【動画】X-40滑空、着陸試験(NASA HPより)

■【Technobahn】米空軍の次世代スペースシャトル「X-37B」とは?

X_3
■ Xの時代 ―未知の領域に踏み込んだ実験機全機紹介
(世界の傑作機スペシャル・エディション (Vol.3))

 
■過去の記事■ 飛行機、宇宙の話など  
    

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■NHKスペシャル『果てなき消耗戦 証言記録・レイテ決戦』。苦しむのはいつだって「個人」なのだ。

終戦記念日の夜、心に突き刺さる特集を見た。

N
■NHKスペシャル『果てなき消耗戦 証言記録・レイテ決戦』
<2008.08.15放映 8.29(金)深夜・
再放送予定>

■大東亜戦争における日本軍の「失敗」について語られることは非常に多い。

制海権、制空権を抑えられ補給路が確保できないまま8万もの将兵を送り込み、実にその97パーセントを「犬死」させたフィリピン・レイテ島の戦いもその一つである。

しかし、そこで8万人の兵士が戦死したという記述には、そこで繰り広げられた地獄を伝える力はほとんど無い。

歴史書や教科書は、そこに生きた人間の気持ちを伝えるには余りに無力なのである。

■今回の特集は、そのレイテ島の戦いの地獄に巻き込まれた日本兵、米兵、フィリピンの現地人の古老たちに重たい口をひらいてもらい、思い出したくない過去について語ってもらう、というスタイルをとっていた。

その「個人」に立脚したスタイルには心を揺さぶる強い力があった。

■アメリカの軍艦からの容赦ない艦砲射撃。圧倒的な米軍の戦力に押し込められる日本軍。食料、弾薬が不足する中での理屈に合わない「陣地絶対死守」命令。弾薬が底を尽き、相手に射殺されることが分かっていながら突撃していく「バンザイ突撃」。

ジャングルに這う蟲を生で食らうことができずに飢え死にしていく戦友たち。そしてそれを食らった者に襲い掛かるアメーバ赤痢。

■狂気としか思えない「バンザイ・アタック」に怯えて塹壕のなかで震えて眠る米兵たち。

その狂気を振り払うように塹壕の中でうずくまる日本兵を焼き払う火炎放射器。

「何故、戦友を殺すのか!」

と怒りのままに米軍に突撃していく日本兵。

補給がない分は現地調達せよと無理をいう大本営の命に従ってレイテ島の原住民の食料を奪い取り、現地人たちの敵意を増幅させていく日本軍。

この戦争を動かしているマッカーサーや大本営とはまったく違った個人のレベルで、兵隊同士のあいだで黒く増殖していく悲劇的な憎しみ合いがそこにある。

■セブ島に逃れて生き残った900人の日本兵。

そのひとりである老人の言葉がこころに重くのしかかる。

「今まで、親兄弟にもレイテの話はしなかった。

戦争が終わって初めて涙を流しましたよ。」

■レイテに限らず、戦時中に苦労をした人は、なかなかその体験を語ろうとはしない。

けれど、「戦争」というものを知る上で、それを体験した人たちの声ほどその現実を強く伝えるものはない。

そんな体験者も80代半ばを過ぎようとしているわけで、あと10年もすれば語るものは居なくなってしまうであろう。

■テレビやネットの映像によって戦争がゲームのような無機質なものに変容してしまった現代において、その「生」の力を失うことは社会として絶望的なことを意味しているのかもしれない。

それは戦後63年という表現が消え去り、新たな「戦前」へと世の中が流れていく悪夢の始まりなのかもしれないのだ。

「世界の平和を維持する活動」に貢献する、という言葉がもつ心地良い響きには慎重に構えなければならない。「私」という個人を抜きにして考えてはいけない。

■戦争とは個人のレベルでいえば所詮殺し合いであり、平時の優しい人間性を容易にマヒさせる恐るべき「状況」なのだ。

番組の終わりの方で、当時16歳の少女であったフィリピン人の女性が語った話に心を締め付けられた。

瀕死の状態でふらふらと山から降りてきた日本兵は、出くわした彼女に対してポケットから写真を取り出し、これを日本に送って欲しいと懇願した。

その写真には二人の子供を抱えて妻とにっこり笑う、その兵士が写っていた。

その笑顔と今、目の前にいる痩せ細った無残な日本兵の姿のギャップが激しくて、強く記憶に残っているのだという。

レイテの密林で亡くなっていった8万人の将兵ひとりひとりに、そういった物語があったに違いない。

死の淵に立って、戦闘の高揚からふと我に返ったとき、悔しかっただろう、悲しかっただろうその気持ちを想像するに、もう言葉さえ浮かばないやるせなさに沈み込む。

■民族だとか、宗教だとか、経済だとか、そんな社会的なことの前に、「個人の感覚」を大切にしたい。

女子高生的センチメンタリズムと嗤われても構わない。

それが大局の事象であったとしても、結局、苦しむのは個人なのだから。

                           <2008.08.20 記>

■NHKスペシャル 番組HP
『果てなき消耗戦 証言記録・レイテ決戦』
   

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’日々の細道’ さんの「NHKスペシャル「果てなき消耗戦 証言記録 レイテ決戦」」
 

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2008年8月19日 (火)

■セミ、その2。夏の終わりに心がざわつく。

お盆を過ぎても暑い日が続く。

今年はいつもの年よりもアブラゼミが異様に多い気がするのだけれども気のせいだろうか。

でも、よく見てみるとアブラゼミ以外もシッカリ夏を謳歌しているわけで自称・道端観察者としては油断出来ないのである。

20080819_
■ミンミンゼミ (O. maculaticollis)
カメムシ目(半翅目) ヨコバイ亜目(同翅亜目) セミ科  ミンミンゼミ属

ヨコバイの仲間というのはカタチが似ているので理解できるけれども、カメムシの親戚だとは知らなかった。

セミが飛び立つときに出すションベンが、カメムシみたいに臭くなくて本当によかった。

そこいら中にあの嫌な臭いが蔓延していたら日本の夏は地獄と化していただろう。

20080819__2
■思いっきり近づいて顔のアップを撮ってみると、カマキリとかトンボとかの肉食系昆虫の顔つきだ。

気は優しいのに必要以上に妙に強面のひとって、いるよな・・・。

20080819_03
■ ヒグラシ (T. japonensis)
カメムシ目(半翅目) ヨコバイ亜目(同翅亜目) セミ科 ヒグラシ属

夕暮れ時にヒヒヒヒヒヒヒとヒグラシが鳴き始めると、涼風に吹かれて少し暑さが和らぐ気がする。

ヒグラシという名前は「日を暮れさせるもの」という意味だそうで、そのあたりも風流を感じさせる。

【T. japonensis】という学名も、さもありなん、なのである。

■暑い日が続いてはいるものの夏の終わりは確実に近づいているようで、今日は今年初めてのツクツクボウシの鳴き声を聞いた。

学生の自分にはツクツクボウシが鳴き始めると、ああ、そろそろ宿題をやらねばな、と焦りを感じていたわけで、この年になっても何だか追い立てられるようで妙に心がざわついてしまう。

あと10日程で、もう9月。

鳴いている暇も無い。

                          <2008.08.19 記>

  
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2008年8月11日 (月)

■セミ。

20080807

メラメラとした夏を震わせて鳴く。

                          <2008.08.11 記>

  
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■NHK課外授業 ~ようこそ先輩~ 押井守。視点を変えることで生まれる不思議な感覚。

押井 守 監督が母校の小学生を相手に「授業」をおこなった。

Photo_4
■NHK 課外授業 ~ようこそ先輩~
「“見方”を変えて 退屈をけとばせ」 押井守。 <2008年7月20日放送>

■大学生の頃、家庭教師をしていた生徒の家が小学1年生の頃まで私が住んでいた社宅の近くだったので、そこを覗いてみたことがある。

場所も造りもほとんど変わらないはずなのに、そこには見たことも無いミニチュアのような小さくせせこましい景色があった。

その、「知っているはずなのに見たことの無い」不思議な風景を前にして、あの私の知っている子供の頃の景色はもう自分の記憶の中にしか存在しないのだと、すこし寂しい気分におそわれた。

45年ぶりに母校を訪れた押井守も、それとおんなじ感覚を覚えたようだ。

■今回の授業のテーマは、視点を変えることで起きる不思議を体験すること。

押井守は小学生たちを外に連れ出し、都心を流れる川を屋形船で遡り、まわりよりもずっと低い川面から見上げる首都高速やビル群がいつもとは違う大きな強さをもって覆いかぶさってくる、そういう不思議な感覚を彼らに教えた。

その足で超高層ビルの展望室に移動して、同じ都心の町並みを今度は上から見下ろしてみる。

なんとも頼りない、模型のような風景。

そこでは、さっきの力強い生命感はすっかり影を潜めている。

■同じ景色も視点を変えることで、これほどまでにも違って見える。

その感動を意識的に学ぶことが出来た小学生たちはとても幸福である。

これから成長し大人になっていく過程でその記憶はきっと薄れていくだろう。

けれど、ふとした瞬間にその時の感覚を思い出す。

世の中に「絶対」などというものはなく、今、目に映っているもの、そしてそこから感じるものは、物理的にも心理的にも、今の自分の「視線」の位置によるものでしかない。

今回の授業の記憶は、そのことに気付くための強力な切っ掛けとして、彼らの胸の中に深く埋め込まれたに違いない。

■押井守は「それ」が映画監督の仕事なのだという。

現実も、妄想も、どちらも自らの心に映るものであって、それをどうやって区別しようというのか。

いかにも押井 守 監督らしい授業であった。

                          <2008.08.11 記>

【追記】台湾の町並みを撮影するのにリアカーにカメラを載せて「犬の視線の高さ、犬の歩く速さ」で撮った映像が紹介されていたけれど、これは面白かった。主としてアニメを表現手段として選択しているけれど、押井守は根っからの映画監督なんだな、と感嘆した次第。

   

Photo
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■攻殻機動隊もいいけれど、やっぱり押井守の原点はビューティフル・ドリーマーなんだとおもう。

     

押井守 監督 最新作 映画『スカイ・クロラ』公式HP
■主人公たちが飛ばす戦闘機が【震電】(しんでん)というところがマニア泣かせだ。やっぱり、これが編隊で出撃していく光景を「妄想」したかったんだろうな。

NHK 課外授業 ~ようこそ先輩~番組HP

    

■過去記事■ 文化・芸術など

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大石英司さんの’代替空港’
’悠々日記’ さんの「NHK「課外授業ようこそ先輩」に押井守監督が登場」
 

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2008年8月10日 (日)

■すべては自分の内から生まれてくる。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 映画監督・宮崎駿。

今回のプロフェッショナルは夏休みスペシャル拡大版。

宮崎駿さんが『崖の上のポニョ』を生み出す過程をカメラが追った。

080805
■宮崎駿のすべて ~「ポニョ」密着300日~・映画監督・宮崎駿
<2008.08.05放送> (番組HPより)

■「映画の奴隷になる」、宮崎さんはそう語った。

’この映画はこうでなきゃいけない’という「宿命」がある。

作品とは自らの意思で創りあげるものではないのだ。

■主人公のイメージを決めたら、いきなりシナリオを書き始めるのではなく、イメージボード(スケッチ)を描き、毎日の散歩でみた身近な風景や、スタッフとのたわいない会話から、さらにそのイメージが膨らんでいく。

物語は、今、この瞬間に感じるものが、これまで今まで生きてきた自分自身の足跡と重なり、共鳴することで立ち上がってくるものなのだ。

■「生まれてこなければよかった」。

母親が病身で思い切り甘えることが出来ず、ムリに「いい子」であろうとして屈折していった幼少期。

それが67歳にしてなお創作の源泉であり続ける。

「楽しんでもらうこと」。

それが「自分が生きていていい唯一の存在理由だ」とつぶやくのだ。

■幼少期に刻まれた母親の笑顔を手に入れようという切なる思いは、アニメーション作家になって以降の宮崎さんにとって作品を見てくれる子供たちの笑顔に直結する。

宮崎さんの作家活動は自らの心の奥でうずき続ける屈折した幼児期の自分を救済する為に存在するのだろう。

だから「本当の笑顔」を得るために決して妥協はしない。

それは理屈によって生み出せるものではなく、鬱屈したこころの奥底に沈む「なにか」から浮かび上がってくるものなのだ。

■絵コンテの締め切りを過ぎても「それ」が浮かび上がってこない限り先に進むことは出来ない。

「崖の上のポニョ」の終盤のシーン。

歩けないはずの老婆「トキ」が宗佑に歩み寄り、抱きしめる。

その絵コンテを書き上げた宮崎さんの目には涙が浮かんでいた。

それは、決して悲しみによるものではない。

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                            <2008.08.10 記>

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■【DVD】プロフェッショナル 仕事の流儀スペシャル 宮崎 駿の仕事

  

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■【DVD】 ルパン三世 - カリオストロの城
■宮崎駿・初監督作品。79年の公開時点では全く売れずに、その後「アニメージュ」誌上で人気が出た「風の谷のナウシカ」映画化までの5年間(38歳~43歳)は不遇の時代だったのだそうだ。
この映画が「マンガ映画」ではない「映画作品」として存在したことで日本のアニメーション全体が底上げされたように思うのだが、やはり先頭バッターはツライ、ということか。
   

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■【マンガ】 『 風の谷のナウシカ 』 全7巻セット
■『ナウシカ』の完全版をいつか映像で見てみたいものだ。

   

■関連記事■
■感情に正直であること。 宮崎駿

                         

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過去の記事■『プロフェッショナル・仕事の流儀』

■『プロフェッショナル・仕事の流儀』番組HP

■茂木健一郎さんのクオリア日記にT/Bさせていただきます。

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2008年8月 9日 (土)

■『ゴンゾウ 伝説の刑事』。次回、第7話。遂にゴンゾウの過去が明らかに!

ゴンゾウ 第6話。

佐久間の精神的揺さぶりによってまんまと罠にはまり、窮地に追い込まれるゴンゾウ・黒木。

そして、響き渡る一発の銃声!

いやー、盛り上がってまいりました!!

Photo_3
■『ゴンゾウ』番組HPより。

■やっぱスゴイわ、古沢良太。

バイオリニスト射殺事件に6話を費やしたわけだけれども、何もムダにあちこち飛んだわけではない。

一話完結方式で捜査が進行していく中で、鋭い直感で核心に迫りつつも人情派な黒木の仕事のやり方を描いていく一方で、「本当のドラマ」の下準備を加速度的に進めていく。

■どうやら黒木は、女(池脇千鶴)の絡んだある事件で自分を支える何もかもを喪失し、投身自殺を試みたらしく、それがトラウマになっていて、しかも未だ完治していない。

その「事件」に絡んで、黒木と捜査を進めていた佐久間も何かを失い、そのことで黒木を憎んでいる。

帰宅した佐久間に鬱屈した罵声を投げかける足が不自由な彼の母親。

それも「事件」と関わりがあるようだ。

Photo_5 Photo_8 Photo_7

■テロを画策する元大物議員の御曹司、岡林(白井晃)の邸宅へ単身乗り込む黒木を送り出す時に佐久間がかける精神攻撃が素晴らしい。

その憎しみに背筋が凍るようだったよ。

■さて、黒木は無事なのか。

といえばそりゃ無事なんだろうけれどね、番組終わっちゃうし。

それより何より、3年前の事件で何があったのか!?

いやー、次回は見逃せないですな。

Photo_4

                         <2008.08.09 記>

■『ゴンゾウ』関連 AMAZON検索■

    

■前回の記事■
■『ゴンゾウ 伝説の刑事 』。船頭にまかせて流れに身をゆだねるのも良し。

■過去記事■
■TVドラマ雑感・バックナンバー

■『ゴンゾウ * 伝説の刑事 * 』HP
【水曜日・PM9:00・テレビ朝日系列】

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■【映画評】『キサラギ』。虚構は「偶然」と「必然」が交錯することによって「うっそー!」に昇華するのだ。

ビデオ屋で借りたばっかりなのに来週の木曜にもうテレビ東京でやるって、もっと早く教えてよ・・・(悲)。

でも、いいのだ。

えらく気に入っちゃってDVDでも買おうかぐらいの勢いだったから、早速DVDで録って永久保存版にしてしまうのだ。

なんだ、そう考えると儲かっちゃったじゃないの!

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.18  『キサラギ』               公開:2007年6月
   

  監督: 佐藤祐市    脚本: 古沢良太                     
  出演: 小栗旬 ユースケ・サンタマリア 小出恵介 塚地武雅 香川照之

_
■えぇ―――、うっそー!!な3人。

■最高~に面白い!

閉塞した空間、限られた登場人物の間で煮詰まるように濃密になってゆく物語。

いわゆる「密室劇」というやつで、観る者を引きずり込むその濃密さと集中力ゆえに秀作になりやすいタイプの映画なんだけど、それを十分差し引いたとしても面白い、ってか面白過ぎる。

小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之というキャストの濃さもさることながら、これでもか!これでもか!これでもか~!!!とばかりに「うっそぉー!」と思わずのけぞる「新事実」を連発していく、その突き抜け方が半端ではないのだ。

■それだけじゃなくて、スタイリッシュで斬新な画面作りの面白さ、特に回想シーンの「写真の切り貼り」っぽい動きとか、最低限に抑えているが故に効果的なBGMの絶妙さとか、とか、とか、とか、

いや!! ともかく見ないと始まらない。

四の五のいうより、ともかく見てよ、面白いから!!

と言える映画に出会うのも久しぶりで、なんかとってもうれしいのだ。

これから観る方は是非とも、エンディングまで続く怒涛の展開を存分に味わってください。

■ストーリー■
2007年2月4日、売れないアイドル・如月ミキの一周忌。

ファンサイト管理人「家元」の呼びかけによって、「オダ・ユージ」、「スネーク」、「安男」、「いちご娘。」の5人の男が都内某所の一つの部屋に集まった。

アイドル・ミキちゃんをこよなく愛するメンバーで思い出話に花を咲かせて盛り上がるはずだったのだが、

「彼女は自殺じゃない、殺されたんだ!」

という「オダ・ユージ」の一言から事態は急変。

もしかして犯人がこの中に・・・!?

次々と明かされる意外な事実。果たして如月ミキの死の真相は!?たった一つの部屋の中で生まれる謎は、誰も知らなかった思わぬ結末へと向かっていく・・・

Photo
■DVD 『キサラギ』

   
■■■■■ 以下、ネタバレ注意!! ■■■■■■
■■■ 本編の鑑賞後に先へお進み下さい。 ■■■

        

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■いや、いくらなんでもびっくりするサ。

●ユースケ・サンタマリア=「オダ・ユージ」

→ 何でも知ってる風の嫌なヤツ、と思ったらミキちゃんのマネージャーだった「デブっ茶」ご本人。そりゃ何でも知ってるさ。って激ヤセにも限度があるでしょ、もう別人だし!

●塚地武雅=「安男」

→ 自分で持ってきたアップルパイにあたって便所に行ってばっかりで、全然はなしについていけないトロい田舎ものかと思いきやミキちゃんの幼馴染って、核心への踏み込み方が急過ぎ!!

●小出恵介=「スネーク」

→ 実は、雑貨屋の馴染みの客と店員の関係でしてって、しかもミキちゃんが自殺した日もお部屋でお茶をご馳走になってって、それがなんでもないことに感じてしまうのは、やっぱり変だよ、おかしいよ!

●香川照之=「いちご娘。」

→ お、お父さん・・・orz

■で、身内じゃない純然たるファンは小栗旬=「家元」、この場を企画した本人だけだった、ってのも惨すぎる。そりゃ、泣きたくもなるわさ。

でも、200通の手紙はちゃんと通じていたんだね。

なんだか無理やりきれいにまとめた感があるけど、「家元」さん良かったじゃないの。「ポン」っと肩を軽く叩きたくなってしまったよ。

■冷静に考えてみると、特に「オダ・ユージ」と「いちご娘。」については、始まりの部分のキャピキャピした「熱狂的ファン」の姿と、「マネージャー」、「お父さん」というその正体との心理的ギャップがありすぎじゃないの?ということになる。

で、もう一度観てみると、「オダ・ユージ」が「デブっ茶」を何気にかばったり、しきりに顔の汗をハンカチでぬぐってたり、「いちご娘。」が「ストーカーじゃない!見守ってたんだ!」と強行に主張してたり、一応の伏線はあって、それぞれの「役作り」はシッカリ一本筋が通っている。

でも、この際そういうことはどうでもよくて、ただただ激流に身を任せるのが正解じゃないかとおもうのだ。

■ミキちゃんの死は、彼女のそっそかしさと本物のアイドルとしてのファンへの想いによって引き起こされた悲しい事故であった。

と男たちが結論に達した、そのあとの展開に、もう釘付けだった。

■家庭用プラネタリュウムで天井に映し出された満天の星々。

そこに、5人の男たち、それぞれの胸に万感の想いが浮かび、消えていく・・・。

(って「家元」、職場でいじめられてるんじゃん(爆)。)

そして、大磯ロングビーチでの夏のライブ映像!

初めて明かされるミキちゃんのそのお姿、その声。

でも、確かに音痴(笑)。

そのままエンドタイトルに流れ込み、如月ミキの『ラブレターはそのままで』にあわせた5人の「親衛隊」によるパフォーマンスは往年の「小劇場ブーム」を思い起こさせる。

うーむ、最後までスタイリッシュな映画だったな~、と思わせておいて

2008年2月4日、宍戸錠 登場!!

この期に及んでこの展開。

いや、もう降参!!!!

                           <2008.08.08 記>

■DVD 『キサラギ』

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Photo_3 
■ 『キサラギ』 オリジナル・サウンド・トラック 
もちろん、如月ミキの「ラブレターはそのままに」も収録。
■【曲目&試聴はコチラ!】

   

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■小説版 『キサラギ』 古沢 良太, 相田 冬二 著

    

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■家庭用プラネタリウム 「ホームスター プロ」
■映画のラストで天井に美しいの星空を映し出した小型プラネタリュウム。
一昨年えいっと買ったのだけど、天井に映して寝転がってぼんやり眺めると本物の星空のようで吸い込まれそうな感覚が味わえる優れもの。当時2歳だった娘にも好評で、これがあるとすぐ寝付いてくれる意外なオマケ付きなのであった。

■CAST■
家元      :小栗旬
オダ・ユージ :ユースケ・サンタマリア
スネーク    :小出恵介
安男      :塚地武雅
イチゴ娘。   :香川照之
如月ミキ    :酒井香奈子
宍戸錠(特別出演)

■STAFF■
監督      :佐藤祐市
企画・プロデューサー:野間清恵
原作・脚本   :古沢良太
音楽      :佐藤直紀
主題歌    :ライムライト 「キサラギ」
撮影      :川村明弘
制作プロダクション:共同テレビジョン

 
■映画 『キサラギ』 公式サイト■

    
■過去記事■

■【映画評】名画座・キネマ電気羊 <目次>へ

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’映画鑑賞★日記’ さんの「キサラギ」
 

   
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2008年8月 7日 (木)

■夏のそら。

20080807

暑いね、

気が遠くなりそうだ。

                      <2008.08.07 記>

  
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2008年8月 6日 (水)

■【書評】『第三の脳』、傳田光洋。「皮膚が『見る』世界」と「こころ」の在り処。

「今の仕事が”肌”に合う」なんてよく言うけれど、まさに文字通りで、皮膚は、まわりの環境についていろいろと「考えて」いるらしい。

皮膚についての科学的な分析から出発し、「われわれの『こころ』の在り処」にまで肉薄する極めてチャレンジングな本である。

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■ 第三の脳 ――皮膚から考える命、こころ、世界
資生堂ライフサイエンス研究センター主任研究員 傳田光洋 著

■最新の研究から、皮膚にはいろいろな機能があることが分かってきた。

①カラダの水分を逃がさず異物の侵入を防ぐバリア機能。
 (うるおいのある角層)。

②角層が破壊されたときに起きる免疫反応
 (炎症物質サイトカインの合成、分泌)及び抗菌作用。

③温度、圧力、湿度を検知し神経に伝える情報処理機能
 (末梢神経の密度より桁違いに肌理の細かい感覚器官)。

④「色」を識別して反応する。
 (青色光と赤色光で破壊されたバリアの回復度が異なる。)

⑤ホルモンの受容体を持ち、神経と同じく「興奮」、「抑制」をする。

⑥表皮の表面と裏側で電場を維持する。

⑦表皮細胞が相互につながって電気信号を伝える。
 (低周波の電波を発信している。)

■そこに立ち現れてくる姿は、カラダを包み込む以外にもさまざまな機能を有している、というだけに留まらない。

情報をやりとりし、反応し、恒常性を維持する。

それは「生物」そのものの姿である。

■実は、我々のカラダが受精卵から発達していく過程をみてみると、脳をはじめとする神経系や目、鼻、口、耳といった感覚器官と「表皮」は同じ部分(外胚葉)から分化していった「兄弟」なのだそうだ。

そうしてみると、その自律的な振る舞いも腑に落ちる。

■今まで我々が持っているイメージそのままに考えると、皮膚はロボットの表面を覆うカバーであり、そこに温度や圧力のセンサーが配置されている、という感じだろう。

けれど実際のところ、皮膚そのものが「外界」と「内部」を分ける「生きている膜」みたいなもので、あたかも単細胞生物のまわりを覆う細胞膜のようである。

アメーバのような単細胞生物には「脳」が無い。

当たり前のようにも思えるが、脳も無いのに周りの環境を「判断」し、不快な環境から逃げ出し、必要な栄養を摂取する。

つまり「細胞膜」自体で「考えている」のだ。

■その構図は、神経が未発達なミミズだって同じである。

さらに言えば、カエルだってミツバチだって同じである。

彼らも決して全ての判断を「脳」に委ねているわけではない。

そして実はわれわれ人間も同じかもしれず、

例えば、腕に蚊が止まったなと「感じて」ピシャリと叩く、その無意識の反応には「脳」が判断をする以前にあたかも皮膚の「感覚」で判断をしているようにも思える。

■さて、タイトルの『第三の脳』である。

皮膚は、神経系が密集する「腸」を『第二の脳』と呼ぶのに続く、『第三の脳』というわけだ。

けれど、ここでいう『脳』は一般に我々の意識が宿るといわれている脳ミソとは少し毛色が異なる。

海に浮かぶ氷山の見える部分を「意識」だとするのならば、海面下にある巨大な氷塊は「無意識」である。

その「意識」を支える「無意識」の部分において、「腸」や「皮膚」が重要なはたらきをしている。それが著者をして「脳」と呼ばせるものであって、そこで生まれてくるものが「体性感覚」というやつである。

■居心地の良さ、というものがある。

それは周りの環境をアタマで判断して得られるものではない。

五感から得られる「状況」だけでなく、肌に感じるあたたかさだとか、オナカの状態だとか、そういったカラダで感じる「全体」なのである。

我々が意識できるのは、そのほんのわずかな部分に過ぎず、大体の「体性感覚」は無意識のうちに処理される。

サカナからカエル、トカゲ、ネズミ、サル、ヒトと進化していく過程のどこかで「意識」が生まれてくるのだろうけれど、ここで「無意識」と考える「体性感覚」の全体はそのすべての段階で存在する。

誤解を恐れずにいうならば、アメーバにも「無意識」はある。

我々が持つ「意識」というやつは進化の過程で付け足しとして生じたものであり、その土台には「無意識」という名の「体性感覚」の海が広がっているのだ。

■さらに個と個のコミュニケーションを考えたとき、

百万のキレイなコトバよりも、だまってギュッと抱きしめられる方が数段伝わることがある。

コトバ=意識ではない、体性感覚=無意識の領域におけるコミュニケーション。

それは赤ん坊が母親に抱かれて安心して眠る、そこから連なる感覚であり、オナカが痛ければ手でさすってあげたり、怪我をしたところに手を当てたりすることで伝わるダイレクトなコミュニケーションなのである。

それゆえに、「理屈」が優先する世の中は「無意識」にとっては生きづらい。

■仕事や職場の人間関係におけるストレスを抱えているときに、

「こういう風に考えて、もっと大人になりなさい」

なんて理路整然と諭されたとしても、アタマでは理解しても「無意識」は決して納得しない。

結果、第二の脳である腸は苦しくうねり、第三の脳である皮膚は荒れてデキモノが出来たりするのである。

それは「無意識」からの悲鳴なのであって、そこで必要なのは苦境を乗り切るためのビジネス書なんかではなく、無条件でそばにいてくれる配偶者であったり、子供であったり、場合によってはペットとの、静かであたたかいスキンシップなのである。

その温もりのなかでこそ「意識」もその健全さを保つのではないだろうか。

■本書には、2007年時点での新たな発見が記されている。

授乳時に母親の脳下垂体で合成され「他人に対する信頼」という感情を導くホルモン、オキシトシン。

そのホルモンが皮膚への刺激によっても生成されるというのだ。

今、社会のなかで「他者に対する信頼感」が急激に崩壊しつつあると危惧する声がある。

その処方箋は、もしかすると実はスキンシップとか、そういうとても生物的で肉体的なところにあるのかもしれない。

                             <2008.08.06 記>

■ 第三の脳 ――皮膚から考える命、こころ、世界
資生堂ライフサイエンス研究センター主任研究員 傳田光洋 著
朝日出版社 2007年07月

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■皮膚は考える
傳田光洋 著 岩波書店  2005年11月
■よりアカデミックな語り口で「皮膚」に対するイメージを根本から覆してくれる本。私はコッチから読みました。


■関連書籍■

『第三の脳』の中で紹介のあった2冊です。
両方とも大変好きな本なので紹介します。

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■無意識の脳 自己意識の脳
■アントニオ・R・ダマシオ 著 田中三彦 訳 講談社 2003年06月

■【書評】『無意識の脳、自己意識の脳』 「私」とは何か?
    
     

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■脳のなかの幽霊
■V.S.ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー 著
角川書店 1999年08月(絶版・・・古書で入手可)

      

■過去記事■
■【書評】ひつじの本棚 <バックナンバー>

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’いいとこ取り読書と気ままな映画’ さんの
「「第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界」 傳田光洋」

・・・いいとこ取り読書。この手があったか!

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