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2008年7月26日 (土)

■ドラマ 『打撃天使ルリ』。だっしゃー!と濃すぎる漫画を日常に組み込む試みは成功するのか?

困ったねー。こりゃ一筋縄ではいかないよ。

Photo
■金曜ナイトドラマ、『打撃天使ルリ』。

■正直、ラストの暴力シーンはちょっと引いてしまった。

お茶の間に持ち込まれる「暴力シーン」というのは型にはまった毒抜きされたものというのがお約束であって、懲らしめられるべき極悪人も必ずそういう「型」を踏むワケで、だからこそ時代劇にしても刑事ものにしても安心して家族でテレビを囲むことができるのである。

内気で弱々しいルリを打撃人類として覚醒させるために必要な刺激であるとはいえ、被害者の妻と子供をドラム缶にコンクリート詰めにするというのは明らかにその一線を越えている。

「必殺仕事人」のような爽快感がまったく無く、後味の悪さだけがいつまでも残ってしまうのは、「お約束」を裏切ったことによる不可避な副作用なのである。

■じゃあ、もう見ないのかというと、そこでなかなか踏ん切りがつかないのだ。

脚本も演出も上手く出来ていて、ハラハラしながら一気にラストまで惹きつけられたというのもまた事実なのである。

「あ、こう来るだろうな」というところで、「やっぱり!」と一度思わせておいて、その場で裏切る脚本の妙。

はじめの部分の夢オチか?と思わせたシーンとか、コンビ二前で3人組に立ち向かうと見せかけて菊川玲がヘナヘナの猫パンチを出すシーンとか、どうしてもニヤリとしてしまう。

その脚本の面白さにテンポとスピード感のある思い切りのいい演出が加わって、力強くコッチを作品世界に引きずり込んでゆくのだ。

■原作は10年ほど前にヤングジャンプで連載されていた山本康人の同名の漫画である。

ストーリーはすっかり忘れてしまったが立ち読みしていた記憶はあって、原作の「ルリ」は地味な女子高生なのだけれども、「だっしゃー!」のシーンの描写があまりにも濃く、いや、本当に濃すぎる絵で、そこだけが妙に記憶に焼きついている。

その濃すぎる絵のゆえに現実から切り離されていて、その異質な感覚が魅力であったように思う。

■そんな異質な作品をテレビドラマに持ち込むというのは明らかに暴挙である。

ところが作り手はこれを見事に料理した。

「だっしゃー!」という素手による「打撃」で相手をふっとばし、壁に人の形の穴をあける。

そんなバカな。

というマンガ的な部分をはっきりとわかりやすく描く一方で、そんな「非日常」はまったく理解しがたいですよ、という「現実」の部分は芝居としてリアルに描く。

そのギャップを強烈に作り出すことで、「こんなことあるわけない!」という感覚を面白く浮かび上がらせることに成功しているのだ。

「打撃」を目撃した街の人インタビューのドキュメンタリー’風’な場面とか、「非現実」を目の前にそれを受け入れることを頑なに拒む菊川玲の真剣な演技とか、エッジが効いているというのか、素直に凄いなと感心してしまう。

菊川玲?なんで!?という、はじめに感じた唐突な印象は、

おお!

という感嘆符に塗り替えられた。

■まわりを固める俳優もいい。

とくに素っ頓狂な声を出すコールセンターの係長。

この職場のドラマもうまく動き出せば面白そうだ。

あと、この人濃いなーと思ったデカ長。

見ているときには気付かなかったけどピーター(池畑慎之介)さんじゃないですか!

ヒゲ生やして、ぼさぼさのアタマで、色眼鏡かけてて、もう全然わからんかった。

ある意味一番のサプライズだったかもしれない。

■というわけで、後味の悪さを乗り越えて次回も見るのだろうな、とおもう。

毎回こんな展開だと見放さざるを得ないだろうけれど、もっと大きく化ける予感を秘めたドラマである。

そんな予感を信じてみたい。

                         <2008.07.26 記>

■追記■
やっぱ、駄目みたい・・・。リタイヤします。
                         <2008.08.19 記>

■原作 『打撃天使ルリ』 (1)
     

**********************************

■金曜ナイトドラマ 『打撃天使ルリ』公式HP

■キャスト■
>【打撃人類】
小峰ルリ    :菊川怜
相馬健一郎  :遠藤雄弥
謎の少女・唯  :沢木ルカ
【港警察署・刑事】
神取祐司    :池畑慎之介
佐々木達也   :池田努
柚川麗美    :中山恵
【ルリの家族】
小峰咲子(母) :石野真子
小峰 誠(父)  :升毅
【職場の同僚】
森崎潔(係長) :小須田康人
水上礼奈    :木内晶子
本吉由香里   :永池南津子
【ニュースリポーター】
葛谷美里    :能世あんな
   

■スタッフ■
原作:山本康人
脚本:徳永友一、高橋美幸
演出:常廣丈太、秋山 純、梶山貴弘
音楽:海田庄吾
制作:国際放映、テレビ朝日
* * *
主題歌 『I LOVE YOUをさがしてる』 GLAY
   

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コメント

なんとなくみちゃうという感じのドラマですね、ピータの刑事役は違和感を覚えましたが・・・

トラックバック送りましたよろしくお願いしますm()m

投稿: ぱうだーおぶらいふ | 2008年8月 6日 (水) 12時48分

ぱうだーおぶらいふ さん、こんばんは。

確かにピーターは微妙ですネ。
じきに慣れるかと思ったけどナカナカです(汗)。

投稿: 電気羊 | 2008年8月 6日 (水) 21時47分

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