■ヒトの遺伝子に国境は無いのだ。『爆笑問題のニッポンの教養』 分子人類学、篠田謙一。
今回のテーマは、分子人類学。
■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE044:「どこから来たのか ニッポンのヒト」 2008.7.22放送
国立科学博物館人類研究部研究主幹 分子人類学 篠田謙一。
■発掘された人骨に残されたDNAを分析する分子人類学によって現代の人類学は飛躍的な発展を遂げた。
ミトコンドリアのDNAを抽出し母系の祖先をたどっていくことによって、現在地球上の生きる我々人類すべての祖先が15万年前のアフリカに収斂するということまでが分かっている。
と、いうのはある程度知られている話だと思うのだけれど、今回の番組はそれをまた別の切り口で見せてくれる。
■「はじめの人類」からどのようにミトコンドリアDNAが変異し多様化し、分散していったのか。
篠田先生は15万年前の祖先から現在世界中に散らばる我々65億人にまで至る道筋を系統図として具体的に可視化してみせる。
今の日本人を構成する「筋道」はひとつではない。
田中は「D4a」、太田は「M7a1a」に分類され、10万年前にアフリカを出て世界中に散らばっていく、そのどの筋道から今の日本で生きる現在に至っているのかが明らかにされるのだ。
■我々の前には100万人の祖先がいる。
母がいて、母方の祖母がいて、曾祖母がいて。
その先にも、実際にこの世に生まれ、同じように笑ったり悲しんだりする「祖先」が100万人連なっていて、世界中のどの人とも、その途中のどこかで必ず交わっている。
そのイメージは、「我々の祖先はアフリカに生まれたミトコンドリア・イヴに収斂する」なんていうコトバでは決して理解できない「大切な事実」を気持ちのなかに立ち上がらせる。
■その一方で、遺伝子の違いが明らかにされ分類されていくことは、「優生学」的な、分類されたものに正誤、優劣をつけるような見方を生み出す危険をはらんでいる。
人間は分類したがる生きものなのだ。
けれど、その「分類」は系統図の「今」の世代しか見ていない。
ミトコンドリア・イヴを頂点とした世界中のすべての人々がつながる大樹として我々自身を理解するとき、その「分類」は意味を失うのだと期待したい。
■篠田先生が最後の方で語ったことばが印象的であった。
この研究をいくらやっても、「国」が出てこないんですよね。
極めて深いことばである。
<2008.07.30>
■日本人になった祖先たち
―DNAから解明するその多元的構造 篠田謙一・著
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コメント
前回の「エミリー・ウングワレーさん」の作品や、今回のDNAのお話から、自然や生命の息吹、スケールの大きさ等、ひしひしと感じることができます。
一方、先日、赤信号停車中に、追突もらい事故に遭い、病院通いや、代車生活、後続車に対するトラウマなど目先の事に右往左往している自分を、とても小さく感じる今日この頃です。
大きな怪我がなかったのが幸い、またお邪魔させてくださいね。
投稿: 臨床検査技師 | 2008年7月31日 (木) 14時30分
臨床検査技師さん、こんばんは。
ムチ打ち大丈夫ですか?
災難でしたね。
信号待ちの追突じゃ避けようが無いし・・・。
どうぞ、お大事にしてください。
投稿: 電気羊 | 2008年7月31日 (木) 22時26分