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2008年7月12日 (土)

■出口の見えない徒労の時間の意味について。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 映画監督、演出家・堤 幸彦

しばらく録りためていた「プロフェッショナル・仕事の流儀」をぼちぼちと見始めた。

今回のプロフェッショナルは、映画監督の堤 幸彦さん。

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■気負わず、おごらず、立ち止まらず。映画監督、演出家・堤 幸彦
<2008.5.13放送> (番組HPより)

■『ケイゾク』、『池袋ウエストゲートパーク』、『TRICK』などのドラマの演出で有名な堤 幸彦監督だけれども、花開いたのは40歳頃で、そこまでの演出家としての人生は決して恵まれたものではなかった。

かっこいいミュージック・クリップをつくるという夢を抱いて飛び込んだこの世界。

だがAD時代にはその要領の悪さから、何も考えない、動かない、突っ立っているだけの「電信柱」とあざけられながらも、妻が不治の病に倒れてからはその治療代を稼ぎ出すために、朝から晩まで現場のハシゴをしながら働き続けた。

■この時期の、先の見えない結果の出ない、徒労ともいえるような苦労の日々が、『金田一少年の事件簿』というチャンスにおいて、周囲が瞠目するような大輪の花を咲かせる源泉であったのだ。

と、それはよくある人生の「筋書き」であって、そういう話が好きならば福留さんの『波乱万丈』でも見てなさい、ということなのだけれども、

それでも、意味がまったく見出せない徒労の中で、ただひたすらに歩み続けることの大切さを最近しみじみと感じていて、そういう風に軽く受け流すことが出来ないのだ。

■泥沼のなかで、もがいてももがいても先に進んでいる気がしない。

今、まさに、そういう現在進行形の中に自分があって、まったく他人事ではないのである。

世にいう【 ミッドライフ クライシス 】というやつであろうか。

いや、「名前」なんてどうでもいい、私の人生の問題を「あ、それは、【 ミッドライフ・クライシス 】ですね」なんて、そんな簡単に片付けられてしまっても困るのである。

空回りするばかりの焦燥感。

気、ばかりがはやる。

■客観的に「他人事」として考えるならば、

明けない夜は無い、

などといった言葉を添えて、ゆっくりでいいから進んでいこうと励ましたりもするのだが、

こと、自分のことになるとそんな冷静な考えはまったく働かず、「先に進んでいるかどうかさえ分からない漆黒の暗闇のなかの不安感」に呆然と立ち尽くしてしまいそうになるのである。

■ただ、ひたすらに歩み続けた結果、堤 監督のように花開くひともいる。

けれど堤 監督にしたところで、40歳でいい作品にめぐり合い一気に表舞台に躍り出る、なんてことはつらく厳しい30代には予想もつかなかったことであって、

それは50歳かもしれないし、60歳かもしれないし、もしかすると、アンパンマンで一躍脚光を浴びたやなせたかしのように70歳近い時期になるかもしれない。

先がまったく読めないからこそ苦しいのだ。

■その苦しみの中でもがきながら一生を終える人も大勢いるだろう。

明けない夜は無い、なんていう言葉は気休めで、いつか花開くなんていう保証はどこにもないのだ。

■だからといって、あきらめてしまっては「それまで」である。

あなたにとっての「プロフェッショナル」とは?

という問いに、堤監督はこう答えた。

『どんな逆境でも楽しめること』

■その言葉は、生半可ではない逆境をその背後に感じさせる。

そうなのだ。

今の「成果」の出ない泥沼を「徒労」とは考えないこと。

そこに何らかの意味を求めるのではなく、

それ自体を楽しむこと。

逆境は逆境であって、めちゃくちゃ厳しい状況であることに変わりは無いのだけれども、その状況をネガティヴな「徒労」として自分の外に排出するのではなく、自分の中に取り込んで真っ直ぐ向かい合うこと。

それが、一生、芽が出ないかもしれないという思いのなかで走り続けた堤監督が身につけざるを得なかった流儀なのだろう。

■その為には自分の持っている夢を実現したいという強い思いとその思いにおいては誰にも負けはしないという自信が必要なのだと思う。

それが出口の見えない暗闇の中を進んでいく人間がその苦闘のなかでもがきながらも勝ち取った欠くことの出来ない「能力」なのだと思う。

_
■撮影の現場ではなく控えの場所でモニターを見ながら演出をつける堤監督。目の前で演技を見てしまうと、それにのめりこんでしまって客観的に見ることが出来なくなってしまうからなのだという。深く、物事を考えているひとなのである。

■そういうストイックな生き方がある一方で、

まあ、いいじゃん。

とお気楽に生きていきたい自分もいたりする。

思いつめれば周りが見えなくなって客観性を失うのも理屈であって、

何事もバランスなのかな、とも思う。

と、深く悩んでいる振りをして、どこまでも自分に甘いのであった。

・・・、ってダメじゃん(笑)。

                           <2008.07.12 記>

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■ケイゾク DVD BOX ■トリック(1)        ■明日の記憶

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コメント

スガシカオさんのファンでもある私は、
番組テーマソング「Progress」を聴くと
火曜日なのに、また1週間がんばろう!
って気持ちになります♪

投稿: 臨床検査技師 | 2008年7月16日 (水) 10時38分

臨床検査技師さん、こんばんは。

レス遅くなりました。
「Progress」の最後のところ、
♪あと一歩だけ前に進もう。
という歌詞にはゾクリとします。

芯を突いてますよね。

投稿: 電気羊 | 2008年7月17日 (木) 23時17分

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